不動産投資コラム

マンション経営の初期費用は結局いくら?ケース別シミュレーションや見落としがちなリスクも解説

マンション経営の初期費用は結局いくら?ケース別シミュレーションや見落としがちなリスクも解説

本記事では、マンション経営に必要な初期費用の目安や内訳、総額の目安などを、ケース別に紹介。規模が大きくなるほど効いてくる金利差や税務の視点、見落としがちなリスクとその対策なども解説しますので、ぜひ不動産投資にお役立てください。

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この記事で分かること

  • マンション経営の初期費用は、一般的に物件価格の17~30%(頭金10~20%、諸費用7~10%)が一つの目安とされている
  • マンション経営では初期費用以外に、購入後もローン返済のほか、管理費・修繕積立金、固定資産税・都市計画税、保険料などのランニングコストがかかる
  • マンション経営を安定させるには「最低でいくら必要か」「いくら用意すると安心か」という2軸で考えたうえで、諸費用を抑える工夫をしたり、収支シミュレーションを徹底したりすると良い

目次

マンション経営の初期費用は結局いくら?

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マンション経営を始めるにあたり、「結局、いくら用意すれば良いのか」という総額が気になる方も多いのではないでしょうか。マンション経営では物件価格だけではなく、頭金や税金、ローン関連費用など、さまざまな費用が発生します。最初に、初期費用の全体像と目安をつかみましょう。

1. マンション経営に必要な初期費用の総額と内訳
2. 【物件価格別】初期費用の目安一覧
3. 【タイプ別】初期費用の目安一覧
4. マンション経営を始める「最低資金ライン」と「推奨資金ライン」の考え方

マンション経営に必要な初期費用の総額と内訳

マンション経営に必要な初期費用の総額は、物件価格の17~30%が一つの目安といわれています。例えば、1億円の物件を購入する場合は、1,700万~3,000万円程度を見込む計算です。初期費用は大きく「物件の購入にあてるお金」と「諸費用」の2つに分かれます。

◎マンション経営に必要な初期費用の主な内訳
区分 主な費用
物件にあてるお金 頭金 ローンとは別に、物件価格の一部として支払うお金
税金 不動産取得税 土地・建物を取得した人に課される都道府県税
印紙税 紙の売買契約書やローン契約書などに課される税金
登録免許税 所有権移転登記や抵当権設定登記をする際に納める税金
手続き費用 仲介手数料 仲介会社を通して購入した場合に支払う報酬
司法書士報酬 所有権移転や抵当権設定などの登記を依頼する費用
ローン関連 事務手数料 ローン手続きの対価として金融機関に支払う費用
保証料 保証会社を利用する場合に発生することがある費用
保険 火災保険料
地震保険料
火災や自然災害に備える保険料/融資条件に設定される場合もある
団体信用生命保険料(団信) 借入者の死亡・高度障害などに備える費用/金利に含まれる場合もある
積算金 固定資産税・都市計画税精算金 売主が納付した税額について、引渡日などを基準に買主負担分を精算する費用

フルローンで頭金をゼロに近づけても、これらの諸費用まで融資対象になるとは限りません。現金で用意するケースが一般的です。「物件価格=必要なお金」ではないことを、しっかり押さえておきましょう。

初期費用のそれぞれの項目については、下記の記事で詳しく説明していますので、ぜひご覧ください。
関連記事:不動産投資の初期費用はいくら?9つの項目・節約術を完全ガイド
関連記事:アパート経営の初期費用はいくら?相場と自己資金の目安・失敗しない資金計画を解説

【物件価格別】初期費用の目安一覧

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では、具体的に、初期費用はいくら必要なのでしょうか。物件価格別に、頭金を10~20%、諸費用を7~10%として、初期費用の総額の目安を算出しました。あくまでも試算にすぎませんが、一つの参考としてご覧ください。

◎物件価格と初期費用総額の目安
※金額は仕組みを理解するためのモデルです
※特定の地域における相場や、金融機関の融資条件を示すものではありません
物件価格 初期費用の総額目安 頭金の目安(10~20%) 諸費用の目安(7~10%)
5,000万円 約850万~1,500万円 約500万~1,000万円 約350万~500万円
1億円 約1,700万~3,000万円 約1,000万~2,000万円 約700万~1,000万円
2億円 約3,400万~6,000万円 約2,000万~4,000万円 約1,400万~2,000万円
3億円 約5,100万~9,000万円 約3,000万~6,000万円 約2,100万~3,000万円
5億円 約8,500万~1億5,000万円 約5,000万~1億円 約3,500万~5,000万円

【タイプ別】初期費用の目安一覧

ここでは、物件タイプを主な運用目的に分けて整理しました。こちらも物件価格別に、頭金を10~20%、諸費用を7~10%として、初期費用の総額の目安を算出しています。あくまでも試算にすぎませんが、一つの参考としてご覧ください。

◎タイプ別の初期費用総額の目安
※金額は仕組みを理解するためのモデルです
※特定の地域における相場や、金融機関の融資条件を示すものではありません
例1.物件の立地や取得時期を分散させたい
重視する点 立地・流動性
物件タイプ 都心の駅近区分マンション(47平方メートル)
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価格 1億円(利回り5.1%)
初期費用の目安 約1,700万~3,000万円
例2.まとまった賃料収入を確保し、資産規模を拡大したい
重視する点 利回り・キャッシュフロー・融資余力・修繕計画
物件タイプ 東京都23区内の一棟マンション(RC造5階建)
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価格 3億円(利回り6.7%)
初期費用の目安 約5,100万~9,000万円
例3.積極的に資産を増やし、次世代への承継を見据えたい
重視する点 立地・規模・利回り・積算価格
物件タイプ・価格の例 都心の一棟マンション(RC造5階建)
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価格 15億円(利回り3.1%)
初期費用の目安 約2億5,500万~4億5,000万円

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物件を選ぶ際のポイントとなる視点は、下記の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

マンション経営を始める「最低資金ライン」と「推奨資金ライン」の考え方

マンション経営においては、初期費用のすべてを自己資金で支払うとは限りません。初期費用のうちどこまで融資を受けられるかによって、購入時に用意する現金の金額は異なります。そのため、マンション経営を始めるための資金は、「最低いくらで始められるか(=最低資金ライン)」と「一般的に、事前にいくら用意しておくと安心につながるか(=推奨資金ライン)」という2軸を切り離して考えるとわかりやすいでしょう。整理すると、下記のとおりです。

初期費用 物件を購入する際にかかる頭金と購入諸費用
最低資金ライン 初期費用のうち、融資で賄えず、契約・決済までに支払いが必要となる最低金額
推奨資金ライン 最低資金ラインに加え、当面必要になると想定される予備の流動資金を確保した金額

推奨資金ラインで必要となる予備の流動資金には、例えば下記のような項目が想定されます。現状と照らし合わせて優先順位をつけたうえで、必要資金を確保すると良いでしょう。
用意する資金が妥当かどうかのシミュレーションも重要です。

  • ● 空室期間中のローン返済や管理費
  • ● 原状回復や設備交換にかかる費用
  • ● 固定資産税や不動産取得税などの納税資金
  • ● 外壁や防水、給排水設備などの修繕資金
  • ● 保険料や管理委託費などの運営費用
  • ● 次の物件購入に必要な資金
  • ● デッドクロスや、将来のデッドクロス対策に向けた資金
  • ● 自身に万が一のことがあった際の当面の生活費

デッドクロスについて詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
関連記事:不動産投資は出口戦略で決まる!目的別「利益最大化のコツ」徹底解説

【ケース別シミュレーション】初期費用と購入後の収支を試算

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ここでは、物件タイプの異なる3つのケースで、マンション購入時にかかる初期費用の総額と、購入後のおおまかな月次収支を試算します。ただし、ここで使用する数字は、あくまでモデルケースです。実際の金額は、物件の価格や立地、築年数、稼働率、融資条件、保有主体などにより異なります。初期費用を支払った後にどれだけの資金を残せるかイメージしながら、ご自身の条件に置き換えてご覧ください。

1. 都心中古ワンルームマンション
2. 都心中古一棟マンション
3. 都心新築一棟マンション

ケース1.都心中古ワンルームマンション

ワンルームマンションは、一棟物件に比べて取得単位を分けやすく、立地や購入時期を分散できる点が特徴です。ここでは、東京23区内の駅近にあるコンパクトタイプの中古ワンルームマンションを想定したシミュレーションを行います。
ワンルームマンションは、不動産投資のなかでも比較的自己資金が少なく済む傾向にあります。しかし利回りやキャッシュフローにおいても低くなる傾向にもあるため、目的にあった選択をしましょう。

◎初期費用の試算
項目 費用(目安) 補足
物件価格 6,170万円 都心の駅近にある資産性重視の物件
想定表面利回り 3.5% 年間家賃収入÷物件価格
初期費用の総額 約1,050万~1,860万円 頭金と購入諸費用の合計
 頭金(10~20%) 約620万~1,240万円 融資条件によって変動
 諸費用(7~10%) 約430万~620万円 仲介手数料、税金、登記費用など
予備資金 約130万~260万円 ローン返済や管理費など、購入後6~12ヵ月分の支出を想定
◎購入後の月次収支
前提:頭金620万円(物件価格の約10%)
借入:5,550万円(金利2%・35年・元利均等返済)
項目 月額(目安) 補足
家賃収入 約18万円
ローン返済 約▲18.4万円
管理委託費 約▲0.9万円 家賃の5%を想定
管理費・修繕積立金 ▲1.5万円
固定資産税・都市計画税(月割) 約▲1万円
★月次の手残り 約▲3.8万円

中古ワンルームマンションでは、購入時点ですでに入居者がいる場合、購入直後から家賃収入を得られる可能性があります。
ただし、キャッシュフロー面で見ると毎月の持ち出しが発生するケースが多いので、頭金を含む資金のコントロールは慎重に行う必要があるでしょう。また、現在の賃料が周辺相場より低いケースや、退去後にまとまった改修が必要となる場合もあるので、注意が必要です。

ケース2.都心中古一棟マンション

都心の中古一棟マンションは、区分マンションに比べて1棟あたりの投資額は大きくなりますが、複数の部屋から同時に家賃収入を得られるため、空室リスクを建物全体で分散できる点が特徴です。ここでは、東京23区内の利便性の高いエリアに建つ、築15~25年程度の中古一棟マンションを想定したシミュレーションを行います。

◎初期費用の試算
項目 費用(目安) 補足
物件価格 1億6,000万円 都心の駅近にある物件
想定表面利回り 7% 年間家賃収入÷物件価格
初期費用の総額 約2,700万~4,800万円 頭金と購入諸費用の合計
 頭金(10~20%) 1,600万~3,200万円 融資条件によって変動
 諸費用(7~10%) 1,120万~1,600万円 仲介手数料、税金、登記費用など
予備資金 約400万~800万円 ローン返済や管理費など、購入後6~12ヵ月分の支出を想定
◎購入後の月次収支
前提:頭金3,200万円(物件価格の20%)
借入:1億2,800万円(金利2%・30年・元利均等返済)
項目 月額(目安) 補足
家賃収入(満室) 約93万円
ローン返済 約▲47万円
管理委託費 約▲4.6万円 家賃の5%を想定
原状回復・設備交換への備え 約▲4.6万円 家賃の5%を想定
固定資産税・都市計画税(月割) 約▲10万円
★月次の手残り 約26.8万円

中古一棟マンションでは、購入時点ですでに入居者がついていることが多く、引き渡し直後から安定したキャッシュフロー(手元資金)を得やすいのがメリットです。
ただし、大規模修繕工事の実施履歴や、共用部の経年劣化の度合いによっては、購入後にエレベーターの交換や外壁塗装などのまとまった支出が重なるリスクがあるため、修繕履歴の入念な確認が必要です。

ケース3.都心新築一棟マンション

都心の新築一棟マンションは、初期の建築・取得コストは非常に高額になりますが、最新の設備と耐震性を兼ね備え、長期にわたり高い資産価値と入居率を維持しやすい点が特徴です。ここでは、東京23区内の最寄り駅から徒歩圏内に新たに建築(または竣工直後に購入)する、RC造(鉄筋コンクリート造)の新築一棟マンションを想定したシミュレーションを行います。

◎初期費用の試算
項目 費用(目安) 補足
物件価格 4億円 都心の新築物件
想定表面利回り 4% 年間家賃収入÷物件価格
初期費用の総額 約6,800万~1億2,000万円 頭金と購入諸費用の合計
 頭金(10~20%) 約4,000万~8,000万円 融資条件によって変動
 諸費用(7~10%) 約2,800万~4,000万円 仲介手数料、税金、登記費用など
予備資金 約800万~1,500万円 ローン返済や管理費など、購入後6~12ヵ月分の支出を想定
◎購入後の月次収支
前提:頭金8,000万円(物件価格の20%)
借入:3億2,000万円(金利1.8%・35年・元利均等返済)
項目 月額(目安) 補足
家賃収入(満室) 約133万円
ローン返済 約▲102万円
管理委託費 約▲6.5万円 家賃の5%を想定
原状回復・設備交換への備え 約▲6.5万円 家賃の5%を想定
固定資産税・都市計画税(月割) 約▲12.5万円
★月次の手残り 約5.5万円

新築一棟マンションは、「新築プレミアム」による高い賃料設定が可能で、入居直後の空室リスクが低い点が魅力です。また、設備保証があるため初期の突発的な修繕費用を抑えられます
ただし、満室になるまでのリーシング(入居者募集)期間中の資金繰りや、建築費高騰による初期利回りの低さ、将来の「築浅」移行に伴う緩やかな賃料下落を見込んだ、長期的な収支計画を立てることが重要です。

「新築プレミアム」については下記の記事でも詳しく解説していますので、ご覧ください。
関連記事:新築マンション投資の実態!成功例や失敗例、メリット・デメリットを解説

マンション経営の初期費用・資金計画で見落としがちなリスクと対策5選

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高額物件では、購入諸費用の見積もりが物件価格に対して1%ずれるだけでも、必要資金に数百万円から数千万円の差が生じます。初期費用を考える際は、今回の物件を購入できるかだけでなく、購入後の手元流動性や融資余力、保有主体、万一の際に残る債務まで確認することが大切です。
ここでは、初期費用と資金計画を設計する段階で見落としがちなリスクと対策について説明します。

1. 諸費用を一律の割合で見積もり、実際の必要額とずれる
2. 頭金を厚く入れすぎ、手元流動性と次の取得余力が低下する
3. 金利だけで融資を選び、総コストと今後の融資余力を見誤る
4. 保有主体を購入後に変更し、移転コストが再度発生する
5. 高額借入が団信の付保上限を超え、保障の空白が生じる

リスク1.諸費用を一律の割合で見積もり、実際の必要額とずれる

購入諸費用は「物件価格の7~10%程度」などと概算できますが、すべての費用が物件価格に比例するわけではありません。仲介手数料は売買価格、融資事務手数料は借入額に応じて増える場合があります。一方、登録免許税は原則として固定資産課税台帳に登録された価格、不動産取得税は固定資産評価額などを基礎に計算されます。そのため、物件価格へ一律の割合をかけるだけでは、正確な初期費用を算出できません。

特に数億円を超える取引では、概算の段階で生じた小さな誤差が、実際には数百万円以上の差となる可能性があります。正確な試算と数値の把握が大切です。

◎主な対策

  • ● 概算率は物件を比較する初期段階にとどめ、購入候補を絞った後は、仲介手数料、融資事務手数料、不動産取得税などの項目をできるだけ正確に、個別に見積もる
  • ● 固定資産評価証明書や金融機関から提示された融資条件をもとに計算する

リスク2.頭金を厚く入れすぎ、手元流動性と次の取得余力が低下する

頭金を増やせば借入額が減るため、毎月の返済額や支払利息を抑えやすくなります。ただし、頭金は物件価格の一部として購入時に支払う資金です。頭金を厚く入れすぎると、購入後に自由に動かせる現金が減り、条件の良い物件が出た際に追加取得へ動けなくなる恐れがあります。

購入後には、不動産取得税や設備交換、大規模修繕などの支出も発生する場合があります。複数の物件を保有している場合は、別の物件と空室や修繕のタイミングが重なるケースも考えておかなければなりません。

◎主な対策

  • ● 頭金の額を決める際は、今回の物件の返済額だけではなく、次の項目を比較する
    • ○ 頭金を10%・20%・30%などとした場合の初期費用
    • ○ 頭金ごとの毎月のローン返済額
    • ○ 金利が上昇した場合の収支
    • ○ 購入後に手元へ残る現金
    • ○ 修繕・納税に充てる予備資金
    • ○ 次の物件取得に使う予定の資金
  • ● 購入後に残す資金と今後の取得計画を踏まえて、資産全体の配分を決める

リスク3.金利だけで融資を選び、総コストと今後の融資余力を見誤る

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融資を比較する際、金利の低さだけで判断すると、実際の負担や購入後の収支を見誤る恐れがあります。金利が低くても、融資事務手数料や保証料が高ければ、借入れにかかる総コストは高くなります。返済期間が短い場合は毎月の返済額が増え、収支を圧迫しかねません。

今後も物件を取得する場合は、今回の借入額や年間返済額が、次の融資審査に影響する点にも注意が必要です。今回の物件で借入れを増やしすぎると、次の取得時に希望する融資額を受けられないリスクが高まります。

◎主な対策

  • ● 融資条件が提示されたら、金銭消費貸借契約を結ぶ前に、複数の金融機関で次の項目を比較する
    • ○ 適用金利
    • ○ 融資事務手数料・保証料
    • ○ 借入期間と毎月の返済額
    • ○ 支払利息を含む総返済額
    • ○ 金利が上昇した場合の収支
    • ○ 追加担保や代表者保証の有無
    • ○ 今回の借入れ後に残る融資余力
  • ● 金利の低さだけではなく、購入後のキャッシュフローと今後の取得計画を踏まえて融資条件を選ぶ

リスク4.保有主体を購入後に変更し、移転コストが再度発生する

収益物件を個人で購入した後、所得管理や資産承継を理由に法人へ移したいと考える場面も出てきます。個人から法人への移転は、単純に登記上の名義だけを書き換える手続きではありません。売買や現物出資などの手法で所有権を移転することになるため、法人側では登録免許税や不動産取得税、司法書士報酬などが発生するケースが一般的です。
個人が法人へ売却して譲渡益が生じれば、個人側にも譲渡所得課税が発生する場合があります。現物出資によって法人へ移す場合も、税務上は資産の譲渡として扱われます。

既存のローンがある場合は、借入れをそのまま法人へ移せるとは限りません。金融機関との調整も必要になるため、あらかじめ注意が必要です。

◎主な対策

  • ● 法人での保有や将来の株式承継を検討している場合は、売買契約を結ぶ前に保有主体を決めておく
  • ● 購入後に保有主体を変更するよりも、取得前に税理士や司法書士、金融機関と保有方法を検討したほうが、不要な移転コストを避けやすくなる

法人化については、下記の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
関連記事:不動産投資は法人化すべき?損益分岐と出口戦略の「後悔しない判断術」とは

リスク5.高額借入が団信の上限を超え、保障の空白が生じる

団体信用生命保険(団信)には上限がある」というのを、知らない方も多いのではないでしょうか。団信の上限は、金融機関によって異なります。借入額が上限を超えた場合、超過分は保障されません。「団信があるから家族は安心」という思い込みがあると、万が一の際に残債が残り、思いがけない借金を背負いかねません。

法人向け融資においては団信に加入できない商品もあるため、注意が必要です。法人で借り入れる場合は、経営者保険などを含めて別途保障を設計しましょう。

◎主な対策

  • ● 団信の上限額が高い金融機関を選ぶ
  • ● 融資契約前に、団信の付保上限額と実際に保障される借入額を確認する
  • ● カバーしきれない金額分について、民間の生命保険に別途加入する
  • ● 法人契約にして、経営者保険を活用する

マンション経営の初期費用を抑える方法3選

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マンション経営の初期費用は、単に抑えれば得というものではありません。抑え方を誤ると、購入後のキャッシュフローがかえって悪化する原因にもなりかねません。ここでは、将来の収益を損なわずに、購入時点の資金負担を適切に抑える3つの方法を紹介します。

1. 融資諸費用の「支払い方式」を比較・選択する
2. 登録免許税・不動産取得税の適用要件を正確に把握する
3. 保有主体(個人/法人)を購入前に決める

方法1.融資諸費用の「支払い方式」を比較・選択する

融資まわりの諸費用(事務手数料・保証料)は、支払い方式によって購入時点の現金負担が変動するのが特徴です。例えば、保証料を「外枠方式(一括前払い)」にすると初期費用は膨らみます。一方で、金利に上乗せする「内枠方式」を選べば、購入時点の現金支出を大幅に抑えられます。
ただし、金利への上乗せは毎月の返済額を増やし、将来のキャッシュフローを圧迫しかねません。目先の現金負担と総コストのバランスを重視し、複数の金融機関で比較することをおすすめします。

方法2.登録免許税・不動産取得税の適用要件を正確に把握する

税金の軽減措置には、投資用でも使えるものと、自己居住用に限られるものがあります。投資用で使えるものは取りこぼしなく、積極的に活用しましょう。

例えば、建物の登記(所有権保存・移転など)や抵当権設定登記の軽減税率は、自己居住用であることが必須要件です。投資用には適用されません。
一方で、土地の売買による所有権移転登記の登録免許税・軽減措置は、投資用でも一律で適用されます。本則2.0%が1.5%へ軽減するこの措置は、2029年3月31日まで延長となりました。
また、不動産取得税の軽減措置(新築時の控除など)は、投資用でも一部適用可能です。共同住宅の場合は「一戸あたりの床面積が40平方メートル以上240平方メートル以下」という厳格な要件があるため、注意しましょう。一般的な投資用ワンルームマンションにおいては、20~30平方メートルであるケースも少なくありません。この場合は対象外となります。購入物件のスペックは、必ず事前に確認しておきましょう。

方法3.保有主体(個人/法人)を購入前に決める

将来的に複数棟へ事業を拡大する予定がある場合は、1棟目を取得する段階で、個人と法人のどちらで保有するかを検討しておくのも効果的です。
個人名義で購入した物件を後から法人へ移すと、登録免許税や不動産取得税、司法書士報酬などがあらためて発生します。移転方法や譲渡価格によっては、個人側に譲渡所得税が生じる可能性も否定できません。取得前に保有主体を決めておけば、将来の移転に伴う税金や登記費用の重複を避けやすくなります

マンション経営は初期費用を把握して無理のない投資計画を立てよう

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マンション経営を始める際は、物件価格だけではなく、頭金や税金、保険料、ローン関連費用などの初期費用を把握することが重要です。また、購入後もローン返済や管理費、修繕費といったランニングコストが継続的に発生します。既存の借入状況や修繕・納税に備える資金、今後の取得計画まで含め、資産全体のバランスを見ながら資金を配分していきましょう。

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よくある質問

Q:マンション経営の初期費用は、いくら用意すべきですか?

A:「いくら」という正解はありません。人により異なりますが、一般的には物件価格の10~20%程度の頭金に加え、物件価格の7~10%程度の諸費用を用意するのが目安とされています。購入後に発生した空室や修繕に備えて予備資金も用意しておくと、いざというときの負担が軽減するので、おすすめです。

Q:マンション経営の初期費用は確定申告で経費にできますか?

A:初期費用の扱いは項目によって異なります。仲介手数料や登録免許税、不動産取得税、印紙税などは、経費への計上が可能です。一方、建物の取得価額に含めて減価償却するものや、土地の取得費として扱うものもあります。どの費用をどの項目で処理するかで税負担が変わるため、少しでも気になる場合は、税理士に確認するのが確実です。

Q:初期費用を支払うタイミングはいつですか?

A:費用ごとに時期が異なります。手付金は契約時、仲介手数料は契約時と引渡時に分けて支払うケースが一般的です。一方で、不動産取得税は、取得から半年以上経ってから納税通知が届きます。1年近くかかるケースも少なくありません。諸費用の多くは現金での支払いになるため、決済時に必要な現金を事前に把握しておくことが大切です。

髙森 塁会社経営、宅地建物取引士

不動産業の他、クリニック、建設、病院食事業を営む会社を経営。また、不動産会社をはじめWEB制作事業やSES事業など多くの会社の顧問、役員を勤める。自身が運営するコミュニティでは医師、歯科医師、弁護士をメインに50名が在籍し「不動産による被害を撲滅するためのセミナー」を2019年より年に2〜4回ほど開催している。顧客には区分マンションを22件保有しているオーナーや、1棟収益物件を30棟保有するオーナーがいるなど、緻密な出口戦略を武器に数多くの「メガ大家」を輩出している。
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