不動産投資コラム

表面利回りとは?実質利回りとの違いや計算方法をわかりやすく解説

表面利回りとは?実質利回りとの違いや計算方法をわかりやすく解説

本記事では、利回りの基礎知識から表面利回りと実質利回りの計算方法、両者の差から見えるリスク、全国の相場、利回りを見るときの注意点まで詳しく解説します。さらに、投資判断に活かすための具体的なポイントも紹介。初心者でも実践できる内容になっていますので、ぜひ参考にしてください。

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※以下の情報は2025年9月時点の情報をもとに、会社経営・宅地建物取引士の髙森塁が監修しています。

この記事でわかること

  • 表面利回りは計算が簡単で物件比較の目安には便利。しかし、管理費や税金などを考慮していないため実際の収益とは差が出やすい
  • 実際の収益性を判断するには実質利回りを重視する必要がある
  • 表面利回りと実質利回りの差が大きい物件ほど「隠れたコストやリスク」が潜んでいる

利回りの基礎知識

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不動産投資では「利回り」という指標が欠かせません。利回りは投資した金額に対して、どれくらいの収益が得られるかを数値で示すものです。初心者が最初につまずきやすいのは、この利回りの意味や種類を正しく理解できていないことです。ここでは、利回りの基本から表面利回り・実質利回り・想定利回りの違いまでを整理します。

利回りとは不動産投資の指標のひとつ
表面利回り・実質利回り・想定利回りの違い

利回りとは不動産投資の指標のひとつ

利回りとは、投資したお金に対してどれくらいの収益が出るかを示す割合です。例えば1,000万円で物件を購入し、年間50万円の家賃収入があれば、利回りは5%となります。利回りは投資効率を客観的に判断できる便利な指標であり、金融商品でいう「利率」に近いものです。

ただし、不動産の場合は空室や修繕費といった要素が収益に影響するため、単純な数値だけを見て判断するのは危険です。利回りはあくまで目安であり、投資判断の入り口と考えることが大切です。

表面利回り・実質利回り・想定利回りの違い

不動産投資では、利回りの計算方法によって意味が大きく変わります。表面利回りは「年間家賃収入÷物件価格×100」で求める簡単な数値で、広告などでよく見かけます。実質利回りはここから管理費や修繕費、固定資産税などの経費を差し引いて計算し、実際の収益性を反映するものです。一方、想定利回りは「満室で稼働した場合」を前提に算出するため、空室リスクが考慮されていません。
つまり、表面利回りは目安、実質利回りは現実的な収益性、想定利回りは条件付きのシミュレーションという位置づけになります。

表面利回り・実質利回りの計算方法

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物件選びでは、表面利回りと実質利回りの計算方法を理解することが重要です。表面利回りはシンプルに算出できますが、実際の収益性を判断するには実質利回りを確認しなければなりません。ここでは、それぞれの計算式と具体例を紹介します。

表面利回りの計算方法
実質利回りの計算方法

表面利回りの計算方法

前述したとおり、表面利回りは「年間家賃収入÷物件価格×100」で求めます。例えば、1,500万円の区分マンションを購入し、月額家賃が7.5万円なら年間収入は90万円です。この場合、90万円÷1,500万円×100=6%となります。

表面利回りは計算が簡単で物件比較の目安には便利ですが、管理費や税金などを考慮していないため、実際の収益とは差が出ることに注意が必要です。

実質利回りの計算方法

実質利回りは「(年間家賃収入-経費)÷(物件価格+諸費用)×100」で算出します。例えば、先ほどの例で年間経費が20万円、購入時の諸費用が100万円かかった場合、(90万円-20万円)÷(1,500万円+100万円)×100≒4.4%になります。

表面利回り6%と比べると大きな差があることがわかります。実質利回りは収益性を正しく判断するうえで欠かせない指標です。

表面利回りと実質利回りの差からわかるリスク

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投資用不動産を選ぶとき、広告などで示される「表面利回り」だけを見て判断すると危険です。表面利回りと実質利回りの間には差があり、この差こそが投資リスクを映し出しています。ここでは、差が生まれる理由と投資家が注意すべき点を解説します。

差が生まれる理由
リスクの正体
投資判断のポイント

差が生まれる理由

表面利回りは家賃収入と物件価格だけで計算されるため、数値が高く出やすい特徴があります。一方、実質利回りは管理費や修繕費、固定資産税、保険料といった経費を差し引くため、より現実的な収益を反映します。そのため、両者の間に1〜2%以上の差が生じるのが一般的です。

リスクの正体

表面利回りだけを信じて購入すると、実際の収益が想定よりも大きく下がるリスクがあります。特に築年数の古い物件では修繕費がかさみ、さらに空室期間が長引けば収益はさらに減少します。つまり、表面利回りと実質利回りの差が大きい物件ほど「隠れたコストやリスク」が潜んでいると考えるべきです。

投資判断のポイント

次のような視点を持つことで、利回りの数字に惑わされず、安定した投資判断が可能になります。

●表面利回りは「物件比較の目安」として使う
●実質利回りで「手残り収益」を必ず確認する
●両者の差が大きい場合は、維持費や空室リスクを再点検する

下記の記事では、不動産投資における利回りの最低ラインの考え方や利回りを改善するためのポイントなどを解説しています。あわせてチェックしてみてください。
関連記事:不動産投資における利回りの最低ラインとは?改善する4つのポイントも解説

利回りの相場

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利回りの数字は物件の魅力度を測る重要な指標ですが、相場を知らないままでは「高いのか低いのか」を判断できません。ここでは、一般財団法人日本不動産研究所が公表している、期待利回りを紹介します。

地域 ワンルームタイプ ファミリータイプ
東京 城南(※) 3.7% 3.8%
札幌 5.0% 5.0%
仙台 5.0% 5.0%
横浜 4.3% 4.3%
名古屋 4.5% 4.5%
京都 4.6% 4.6%
大阪 4.3% 4.3%
神戸 4.7% 4.7%
広島 5.0% 5.0%
福岡 4.5% 4.5%

出典:日本不動産研究所 第52回 不動産投資家調査®︎(2025年4月現在)

※「東京 城南」とは、東京都の南部に位置するエリアを指す言葉で、一般的に品川区・大田区などが含まれます。

都心の人気エリアは需要が高いため利回りが低めですが、安定性があります。一方で、地方や築古物件は利回りが高めですが、空室や修繕リスクも増えるのが一般的です。
また、投資の目的が「安定収入」なのか「積極的な資産拡大」なのかによって、適正な利回りの基準は変わってきます

利回り3%以上の物件を探す
利回り5%以上の物件を探す

利回りを考えるときの注意点

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利回りは投資判断の大切な基準ですが、数字だけを鵜呑みにすると失敗につながります。見かけ上の利回りの裏には、経費やリスク、金利などの要素が隠れているからです。ここでは、利回りを見るときに特に注意すべきポイントを解説します。

1.不動産投資でかかるコストの影響
2.高利回り物件に潜むリスク
3.物件選定はイールドギャップで考える

注意点1.不動産投資でかかるコストの影響

不動産投資には、購入時の初期費用と、所有後に継続的にかかるランニングコストがあります。初期費用には仲介手数料や登記費用、火災保険料などが含まれます。ランニングコストには、管理費、修繕積立金、固定資産税、保険料などがあります。これらを考慮しないと、表面利回りと実際の収益に大きな差が出ます。投資判断では、実質利回りを用いて現実的な収益性を確認することが欠かせません。

下記の記事では、不動産投資における9つの初期費用を詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
関連記事:不動産投資の初期費用はいくら?9つの項目・節約術を完全ガイド

注意点2.高利回り物件に潜むリスク

表面利回りが極端に高い物件は、一見魅力的に見えますが注意が必要です。例えば、築年数が古く修繕費がかさむ、立地が悪く空室が続きやすい、家賃設定が相場より高すぎて入居者がつかないなどのリスクがあります。「高利回り=お得」と考えるのは危険であり、裏にあるリスク要因を冷静に見極めることが重要です。

また、同様に「利回りが低い物件=良くない」と切り捨ててしまうのも、良い物件を逃すことにつながりかねません。なぜなら、賃料が相場よりも安くついている物件などは一見利回りが低く見えますが、その実「賃料を上げることのできる余白」を含んでいるので、購入後のバリューアップがしやすい物件といえるからです。

いずれにしても、利回りに執着しすぎず、あくまで「目安」ととらえ、総合的に物件を判断することをおすすめします。

注意点3.物件選定はイールドギャップで考える

イールドギャップとは「利回り-借入金利」で表される数値です。例えば、利回り5%で借入金利が2%ならイールドギャップは3%です。この差が大きいほど、ローン返済後に残る利益は多くなります。逆に、金利が上昇すればイールドギャップは縮小し、収益が圧迫されます。物件を選ぶ際には「利回りの高さ」だけでなく、イールドギャップを確認することが安定した投資の鍵となります。

利回りを投資判断に活かす方法

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利回りは不動産投資の収益性を数値で示す便利な指標ですが、数字を見るだけでは不十分です。大切なのは、自分で正しい計算を行い、投資基準を数値化して判断に役立てることです。ここでは、投資家が実践すべき利回りの活かし方を紹介します。

自分で利回りを計算する重要性
投資基準を数値化して判断するポイント

自分で利回りを計算する重要性

不動産広告に載っている利回りは、多くが「表面利回り」で、実際の収益を反映していない場合があります。そのため、購入を検討する際には、自分で「実質利回り」を計算することが不可欠です。修繕費や空室リスクを見込んで計算することで、購入後の手残りをより正確に把握できます。自分で計算できる力を持てば、数字に振り回されずに冷静な判断ができる投資家になれます。

投資基準を数値化して判断するポイント

投資判断を感覚に頼らず、数値化して基準を持つことが安定した運用につながります。例えば「実質利回り4%以上を最低ラインにする」「実質利回り7%以上の物件は、見えないリスクが許容できないので手を出さない」など、自分なりの基準を設定することが大切です。さらに、イールドギャップを確認し、ローン返済後にどれだけ利益が残るかを計算する習慣を持ちましょう。複数の物件を比較する際も、同じ基準を適用することで判断がブレにくくなり、長期的に安定した投資を実現できます。

表面利回りと実質利回りを理解して正しい投資判断を

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不動産投資で欠かせない「利回り」には、表面利回りと実質利回りがあります。表面利回りは目安には便利ですが、経費や空室リスクを考慮しないため、実際の収益とは差が出やすい点に注意が必要です。実質利回りを正しく計算し、相場やイールドギャップと照らし合わせて判断することで、リスクを抑えた投資が可能になります。本記事で紹介した考え方を活用し、自分に合った投資基準を数値化すれば、安定した資産形成につながります。まずは手元の計算から始めてみましょう。

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よくある質問

Q:表面利回りと実質利回り、どちらを重視すべきですか?

A:表面利回りは物件比較の目安には便利ですが、実際の収益性を判断するには実質利回りを重視する必要があります。購入検討時には必ず実質利回りを確認しましょう。

Q:表面利回りは何%あれば安心できますか?

A:一般的には5〜7%前後が目安とされます。ただし、都心の新築は3〜4%でも安定性が高く、地方や築古物件は高くても空室リスクがあります。目的に応じて基準を考えることが大切です。

Q:利回りを自分で計算するのは難しいですか?

A:表面利回りは「年間家賃収入÷物件価格×100」で簡単に計算できます。実質利回りも経費を差し引くだけなので、慣れれば難しくありません。計算式を押さえて、自分で確認する習慣を持ちましょう。

髙森 塁会社経営、宅地建物取引士

不動産業の他、クリニック、建設、病院食事業を営む会社を経営。また、不動産会社をはじめWEB制作事業やSES事業など多くの会社の顧問、役員を勤める。自身が運営するコミュニティでは医師、歯科医師、弁護士をメインに50名が在籍し「不動産による被害を撲滅するためのセミナー」を2019年より年に2〜4回ほど開催している。顧客には区分マンションを22件保有しているオーナーや、1棟収益物件を30棟保有するオーナーがいるなど、緻密な出口戦略を武器に数多くの「メガ大家」を排出している。
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