マンション投資は、安定した家賃収入を得られる資産運用として人気があります。しかし、知識がないまま始めると、思わぬ赤字や資産価値の下落といった「失敗」に直面することも。
本記事では、マンション投資で失敗する代表的な原因や失敗事例を紹介しつつ、失敗しないためのポイントや始め方まで解説します。
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※以下の情報は2025年10月時点の情報をもとに、宅地建物取引士の河原田琢人が監修しています。
この記事で分かること
- 利回りや節税効果だけで判断すると、想定外の赤字や空室リスクを抱えるおそれがある
- 営業トークをうのみにせず、管理費・修繕積立金・将来の賃料下落を踏まえた収支計画が重要
- 「立地の将来性」や「出口戦略」を見極めることで、失敗を防ぎ安定した運用につなげられる
目次
マンション投資における「失敗」とは
前提として、マンション投資における「失敗」の基準や定義は、個人により異なります。これは、投資の目的・リスク許容度・資金状況・経験値などがそれぞれ異なるためです。
そのうえで、マンション投資における失敗とは、「当初想定していた利益が出ない」「資産価値が下がりローン返済が続く」など、経済的にマイナスが生じた状態を指すことが多いようです。
例えば、家賃収入よりも支出が上回る「赤字運用」や、売却してもローンを完済できないケースが典型的です。
投資用不動産は長期運用が前提ですが、家賃下落や空室、金利上昇などでキャッシュフローが悪化することもあります。つまり「儲からないこと」よりも、「損失を出すリスクを理解していないこと」が失敗の本質といえます。
マンション投資で失敗する代表的な原因3選
マンション投資がうまくいかない人には、いくつかの共通する原因があります。それは「知識不足」「情報の偏り」「計画の甘さ」といった、投資以前の準備段階でのミスに起因することが多いことです。ここでは、実際によくある失敗の原因を具体的に見ていきましょう。
1. 市場調査をせずに購入してしまう
2. 表面利回りだけで判断してしまう
3. ローン返済計画を立てていない
原因1.市場調査をせずに購入してしまう
不動産投資では、物件の立地やエリアの需要を調べずに購入すると、失敗する可能性が高いです。
家賃相場や人口動態、再開発計画などを調べないまま買ってしまうと、入居者が集まらず空室が続くケースもあります。
特に地方都市では、人口減少が進む地域を選ぶと想定どおりの収益を得られない可能性があるほか、売却時も次のオーナーが購入する際に融資できる金融機関が少ない状況のため、売却が困難になる可能性も否めません。国土交通省の「土地総合情報システム」などを活用して、相場を確認してから購入することが大切です。
原因2.表面利回りだけで判断してしまう
「利回りが高い=儲かる」と考えるのは危険です。利回りには、経費や税金、空室リスクを考慮しない「表面利回り」と、これらを差し引いた「実質利回り」があります。
例えば表面利回り8%でも、維持費を引くと実際の手残りは3〜4%になることもあります。収益性を正しく把握するには、実質利回りを基準に判断することが不可欠です。
表面利回りがエリアのわりに高い場合は注意が必要です。よくあるケースですと「管理費や修繕積立金が割高な物件」の場合は、実質利回り自体は低いため表面利回りでは高く売り出される傾向にあります。
また 「築年数の古い物件」も表面利回りが高い傾向にあります。修繕リスクがあるため金融機関が融資に消極的になり、購入者が限定されることで物件価格が下がり、結果として表面利回りが高く見えます。
実質利回りを基準に判断しても、収支では計算できないリスクを許容したうえで判断する必要があります。
表面利回りと実質利回りとの違い、利回りを良くする改善ポイントなどを詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
関連記事:不動産投資における利回りの最低ラインとは?改善する4つのポイントも解説
関連記事:表面利回りとは?実質利回りとの違いや計算方法をわかりやすく解説
原因3.ローン返済計画を立てていない
ローンの返済額と家賃収入のバランスを考えずに購入すると、毎月のキャッシュフローが赤字になることがあります。金利上昇や一時的な空室で支払いが滞ると、生活費を切り崩すことになりかねません。返済期間や金利タイプを慎重に選び、余裕を持った資金計画を立てることが重要です。
状況によっては繰り上げ返済や金利見直しなどの対応策も事前に検討しておきましょう。
不動産投資ローンについて詳しく知りたい方は、下記の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:不動産投資ローンの金利相場は?選び方から低金利で借りるコツまで丸ごと解説
マンション投資でよくある失敗事例
マンション投資の失敗は、単なる「運の悪さ」ではなく、準備不足や判断ミスから起こることも少なくありません。ここでは、実際によくある4つの失敗パターンを紹介します。
1. 想定よりも家賃収入が下がって赤字になった
2. 修繕・管理費などの維持費が想定より高かった
3. 売却できずに資産が目減りした
4. 節税目的で始めたが逆に損をした
どれも初心者が陥りやすい内容なので、自分が同じ状況にならないよう注意しましょう。
事例1.想定よりも家賃収入が下がって赤字になった
家賃収入が計画より下がる原因は、築年数の経過や周辺競合物件の増加などです。「最初に提示された家賃がずっと続く」と思い込む人が多いですが、実際には築10年で10〜20%下がることもあります。
また、賃貸需要が弱いエリアでは、空室期間が長くなるリスクもあります。昨今では賃料増加傾向にあるエリアの物件も多くありますが、投資を行う際にはポジティブシナリオだけではなく、ネガティブシナリオも勘案したうえでの検討を推奨します。
ネガティブシナリオを加味したうえでの定期的なリフォームやターゲット層に合った内装改善で、下落を抑える工夫が必要です。
事例2.修繕・管理費などの維持費が想定より高かった
表面上の利回りだけで判断すると、実際の手残りが少なくなる典型例です。マンションは築年数が経つほど、修繕費や修繕積立金、管理費が上がる傾向にあります。さらに、固定資産税や火災保険料も毎年の負担です。
購入前に「実質利回り」で収支をシミュレーションし、維持費を含めた採算計画を立てることが大切です。
事例3.売却できずに資産が目減りした
「いつでも売れる」と考えていた物件が、いざ売ろうとしても買い手がつかないことがあります。立地や築年数、周辺環境によっては市場価格が想定より下がり、ローン残債を上回ることも。出口戦略を考えずに購入する人に多い失敗です。
例えば、マンション投資(ファミリー物件を除く)では、「収益還元法」を用いて資産価値を導き出します。
【収益還元法とは】
「(家賃-維持管理費)×12÷各エリアの相場利回り=資産価値」を計算式として算出する方法。主に融資を行う銀行が用いる計算方法
どこまで調査をしたとしても、各エリアの利回りについては、銀行規定の兼ね合いもあり個人のオーナーが詳細まで情報を握ることは現実的ではありません。
しかし収益還元法のもと、収支で融資付けがされる側面があることを理解するだけでも、相当な武器になります。計算をしてみるとわかりますが、同じ利回りで計算をしたとすると収支が1,000円違うだけで30万円売値に影響を及ぼします。
つまり、売却を見据えて出口戦略を綿密に練るのであれば、区分マンションの場合は、購入時に「①相場より安い家賃の物件」で「②管理費修繕積立金が上がったばかりの物件」を選ぶだけでも、投資成功の確率は格段に上がることでしょう。
①については、不動産会社に相談したり、ネットにて今の賃料相場を確認し、どれくらいの賃料を狙えるのか確認が可能です。
②については、不動産会社に「長期修繕計画書」を取得依頼することにより、あくまで目安ではありますが、どのように推移していくのかを見越して売却に向けて動き出すことが可能です。
購入前から「何年後にどのような条件で売却するか」を想定しておくことが重要です。
下記の記事では、不動産投資における出口戦略の特徴や成功事例、成功ポイントなどを解説しています。ぜひチェックしてみてください。
関連記事:不動産投資は出口戦略で決まる!目的別「利益最大化のコツ」徹底解説
事例4.節税目的で始めたが逆に損をした
「節税になる」と勧められて始めたが、結果的に赤字になった例もあります。節税効果は所得税率やローン額に左右されるため、すべての人に当てはまるわけではありません。節税だけを目的に始めると、収益が出ないまま維持費や金利負担で損をする可能性があります。
不動産投資が節税になる主な理由として「減価償却」というものが存在します。減価償却とは、時間の経過とともに価値が減少していく固定資産(マンションの場合は「建物」)の購入費用を、一度にすべて経費にするのではなく、法定耐用年数にわたって少しずつ分割して経費計上する会計上の手続きです。
落とし穴としては、毎年徐々に建物の価値を償却しているわけなので、売却する際に建物の価値を購入当初と同じ価格で算出するわけではなく、売却時の未償却残高で取得費を算出する都合上、不動産譲渡所得税が想定以上に発生した結果、赤字になる可能性があることが挙げられます。
極端な例ではありますが、実際にあったケースを一つご紹介します。地方の物件を所有していたオーナーAさんは、都心部物件に比べて地方物件の土地価格が低いため、建物価格が高い形で算出されていることが多く、減価償却も毎年多額の償却ができ、節税的な面で恩恵を受けていました。ただ、需要が低い場所であったため、売却する際にローン残債を下回る売却金額になってしまいました。さらに償却した建物価格が多額であったがゆえに、ただでさえ物件のポテンシャルとして損失だったにもかかわらず、100万円以上の不動産譲渡所得税を支払うことを余儀なくされました。
上記は事例の一つですが、総じていえることとして、マンション投資は「資産形成」が目的であり、節税はあくまで副次的な効果と考えましょう。
※税金は複雑な問題もありますので、ケースによっては税務署や税理士など専門家にご相談ください。
マンション投資で失敗しないためのポイント3選
マンション投資で失敗を防ぐには、「購入前の準備」と「購入後の管理」がすべてです。
数字を確認し、信頼できる会社を選び、出口戦略を立てる——この3つの意識があるかどうかで結果が大きく変わります。
ここでは、成功する人が実践している基本的なポイントを解説します。
1. 数字の根拠を自分で確認する
2. 信頼できる不動産会社を選ぶ
3. 出口戦略を立ててから始める
ポイント1.数字の根拠を自分で確認する
営業担当者が提示する収支シミュレーションは、好条件を前提にしていることが多いです。
家賃相場、維持費、金利の変動などを自分で調べることで、現実的な収益を把握できます。
国土交通省の「土地総合情報システム」や不動産サイトを活用すれば、家賃や取引相場を誰でも確認可能です。
「人任せにしない姿勢」が、安定した投資につながります。
ポイント2.信頼できる不動産会社を選ぶ
投資成功のカギは、良いパートナー選びにあります。販売実績があり、顧客対応が誠実な会社を選ぶことが大切です。
「今だけの限定物件」や「必ず儲かる」といった言葉を使う営業には注意が必要です。
口コミや宅建業者の登録情報などを確認し、契約前に必ず担当者と複数回話して信頼を見極めましょう。
また、不動産投資にはさまざまな知識が必要です。最新の不動産情報を常にチェックし、市場動向を把握することも投資成功への鍵です。
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ポイント3.出口戦略を立ててから始める
マンション投資では「いつ売るか」を決めずに始めると、思わぬ損失を招くことがあります。物件の立地・築年数・市場動向をもとに、将来の売却タイミングと目標価格を事前に考えておくことが大切です。
購入直後は売買価格とは別に購入経費がかさみ、売りにくいこともあるかもしれませんが、10〜15年後に資産価値が維持できていれば成功といえます。「出口を意識した入口設計」が、失敗を防ぐ最大のポイントです。
初心者が安全にマンション投資を始める5ステップ
マンション投資を成功させるには、勢いではなく「正しい順序」で始めることが重要です。
特に初心者の方は、購入までのプロセスを理解していないまま進めると、思わぬリスクを抱えることになります。
ここでは、初めての人でも安全に始められる5つのステップを紹介します。
1. 目的を明確にする
2. 市場とリスクを学ぶ
3. 収支シミュレーションを行う
4. 信頼できる不動産業者を比較検討する
5. 出口戦略を設計する
ステップ1.目的を明確にする
まずは「なぜ投資をしたいのか」を明確にしましょう。
老後の資産形成、節税、副収入など目的が違えば、選ぶ物件や運用方針も変わります。目的が曖昧なままでは、営業トークに流されてしまうおそれがあります。不動産投資で満足のいく結果を出せずに売却をしたオーナーの多くが、投資をする目的を持たずに友人の勧めや営業トークに流されてしまっているのが実情です。
「人を信用するな」というわけではなく、自分の価値の判断軸が必要であるということです。投資目的を言語化することで、自分に合った判断軸が生まれるのです。
ステップ2.市場とリスクを学ぶ
マンション投資は「知識が最大の武器」です。
立地や人口動態、金利動向など、基本的な市場知識を学ぶことでリスクを回避できます。セミナーや書籍、不動産投資サイトなどで情報を集め、複数の視点から判断する癖をつけましょう。
短期間で「儲かる」と言われる話ほど、慎重に見極める姿勢が必要です。
ステップ3.収支シミュレーションを行う
購入前に、家賃収入・管理費・税金・ローン返済をすべて含めたシミュレーションを作成します。
最悪のケース(空室・家賃下落・金利上昇)も想定し、どこまで耐えられるかを確認することが大切です。この段階で赤字リスクが高い場合は、購入を見送る勇気も必要です。
ステップ4.信頼できる不動産業者を比較検討する
1社だけで判断せず、必ず複数の不動産会社を比較しましょう。
提案内容や手数料、アフターサポートなどを見比べることで、営業姿勢や信頼度が見えてきます。口コミや第三者機関の評価も参考になります。
焦らず、時間をかけて「納得できるパートナー」を選ぶことが成功の鍵です。
下記の記事では、不動産投資のおすすめ相談先を紹介しています。選び方や相談時に押さえるべきポイントにも触れていますので、ぜひチェックしてみてください。
関連記事:不動産投資のおすすめ相談先6選!選び方や相談時に押さえるべきポイントを紹介
ステップ5.出口戦略を設計する
購入時点で「いつ・いくらで・誰に売るか」を想定しておくことが重要です。
市場価格の推移を定期的にチェックし、売却や買い替えのタイミングを逃さないようにしましょう。
出口戦略を持つことで、想定外の事態にも冷静に対応できます。投資は「ゴールを決めてから走る」ことが基本です。
マンション投資は「知らずに始める」ことが最大のリスク
マンション投資は、正しく行えば長期的な安定収入を得られる魅力的な資産運用です。しかし、知識や準備が不足したまま始めると、赤字運用や資産価値の下落など、取り返しのつかない失敗につながるおそれがあります。
大切なのは、「儲かる」と言われたから始めるのではなく、自分の目的とリスクを理解したうえで判断することです。数字の裏付けを取り、複数の意見を聞き、信頼できるパートナーと長期的に向き合うことで、堅実な運用が実現します。
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よくある質問
Q:マンション投資で多い失敗は何ですか?
A:想定よりも家賃収入が得られず、ローン返済や管理費の負担が増えるケースです。購入時の利回りだけで判断せず、空室リスクや修繕費を含めた長期の収支計画が必要です。 また、判断軸を持っていない方も失敗するケースが多いです。運用中にはポジティブなことばかりではなく、ネガティブなことや情報が入ってくる可能性が高いです。そのときに必要以上に不安になると、狼狽売りをしてしまうことにもつながりかねません。何のために投資をするのかをしっかりと言語化し、自分の判断軸を持つことが、実は一番重要な要素だといえるでしょう。
Q:初めてのマンション投資で失敗を防ぐにはどうすれば良いですか?
A:まずは「立地」「賃貸需要」「資金計画」の3点を客観的に見極めることです。短期的な利益ではなく、長期的に安定運用できるかを基準に判断しましょう。
Q:新築マンション投資と中古マンション投資、どちらが安全ですか?
A:新築は空室リスクが低い一方、価格が高く利回りが下がりやすい傾向があります。中古は収益性が高い反面、管理や修繕の確認が欠かせません。どちらを選ぶかは「運用目的」と「リスク許容度」によって異なります。









