不動産投資コラム

RevPAR(レブパー)とは?計算式やADR・OCCとの違い、ホテル投資への活用法などを解説

RevPAR(レブパー)とは?計算式やADR・OCCとの違い、ホテル投資への活用法などを解説

RevPAR(レブパー)とは、ホテルなど宿泊施設の「客室1室あたりの収益」を示す指標です。本記事では、RevPARの意味や計算式、ADRやOCCとの違いを整理したうえで、ホテル投資にどのように活かせるのかを具体的に解説します。RevPARを最大化して収益を上げる戦略もわかりやすく紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

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この記事で分かること

  • RevPAR(レブパー)は「販売可能な客室1室あたりの収益」を示す指標で、空室も含めたホテル全体の稼ぐ力を表す
  • RevPARは、「客室の料金設定の最適化」「リノベーションや設備投資の判断材料」「運営会社の実力の評価」など6つの手法に活用できる
  • RevPARの最大化には、「需要予測に基づくダイナミックプライシング」「高付加価値化によるADRの向上」「ターゲット別プラン作成によるOCCの向上」など、6つの戦略がある

目次

RevPARとは?基本の意味と重要性

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最初に、RevPARの基本的な意味や定義、重要視される理由について解説します。

1. RevPARの日本語の意味・定義
2. RevPARとADR、OCCとの違い
3. RevPARが重要な3つの理由

RevPARの日本語の意味・定義

RevPAR(レブパー)は「Revenue Per Available Room」の略称で、日本語では「販売可能な客室1室あたりの収益」などと訳されるのが一般的です。RevPARは実際に売れた客室だけでなく、空室も含めたすべての客室を対象に算出します。「どれだけ効率良く収益を生み出せているか」という「ホテル自体の稼ぐ力」を把握できるため、ホテル投資においては重要な指標の一つです。
一方で、RevPARは売上効率を示す指標であり、最終的な利益(GOPやNOI)を直接示すものではありません。投資判断では運営コスト構造もあわせて分析することが重要です。

ホテル投資の実態や魅力、メリット・デメリットなどについて知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
関連記事:ホテル投資の魅力と実態!利回りから具体的手法まで投資戦略を徹底解説

RevPARとADR、OCCとの違い

ホテルの実質利回りのベースとなる収益は、ホテルの「稼ぐ力」に影響されます。その「稼ぐ力」の判断に使用される3つの指標が、「RevPAR」「OCC」「ADR」です。

◎ホテルの収益で重要な3つの指標
指標 意味 計算式・指標からわかること
OCC 客室稼働率 ● 「宿泊された客室数」÷「総客室数」
● 稼働状況を示す
集客力や需要の強さがわかる
ADR 客室平均単価 ● 「宿泊売上」÷「総客室数×OCC(客室稼働率)」
● 1日で実際に売れた1室あたりの金額を示す
ホテルのグレードやブランド力がわかる
RevPAR 客室1室あたりの収益 ● 「OCC(客室稼働率)」×「ADR(客室平均単価)」
● 「宿泊売上合計」÷「総客室数」
● 空室も含めたホテル全体の「稼ぐ力」を示す
ホテル全体の「稼ぐ力」がわかる

一言で表すとOCCは「どれだけ埋まったか」、ADRは「いくらで売れたか」を示します。RevPARはこの2つをかけ合わせることで、価格と稼働のバランスを含めた総合的な収益力を数値化します。OCCが高くても、安売りしすぎると利益は残りません。同様に、ADRが高くても、空室が多ければ収益は伸びません。RevPARを見ることで初めて、状況が可視化できるのです。
RevPARの計算式や読み解き方については、次節「不動産投資RevPARの計算方法と目安」で説明します。

ADRやOCCなどのホテル市場動向の詳細は、下記の記事でもぜひご確認ください。
関連記事:旅行需要の回復とホテル市場 第2回 ~稼働率、ADRおよびホテル不動産市場の動向~

RevPARが重要な3つの理由

ホテルの経営状態を正確に把握するには、RevPARが重要です。ADRやOCCといった単一の数字だけでは、本当の収益力を見誤るリスクがあります。ADRは空室の影響が見えにくく、OCCは価格の高低が判断できません。RevPARが重要視されている理由は主に下記の3点に集約されます。

◎RevPARが重要な3つの理由
収益の質とバランスがひと目でわかる ● ADRを下げれば客室は埋まりやすくなるが、1室あたりの利益が減る
● 単価を上げすぎると空室が増え、全体の売上が伸び悩む
● RevPARはこの2つの数字をかけ合わせて算出するため、「安売りしすぎていないか」「高すぎて機会損失をしていないか」というバランスを客観的に判断できる
規模が異なるホテル同士を公平に比較できる ● ホテルの総売上高は客室数に左右されるため、規模が違うホテル同士を単純に比較できない
● 1室あたりの収益を示すRevPARを使えば比較可能
● どちらの経営効率が良いかを客観的に測定できる
ホテルの投資判断に直結する ● RevPARは将来のキャッシュフローを予測する根拠になる
● 運営会社(オペレーター)の手腕がダイレクトに反映されるため、評価しやすい

RevPARが高水準で安定している場合は、営業利益(GOP)が積み上がりやすく、キャッシュフローが安定しやすい状況だといえるでしょう。将来の売却価格(資産価値)も評価されやすいため、投資対象としての魅力が高いと判断できます。

ただし、最終的な投資収益は、営業利益(GOP)や純営業収益(NOI)によって決まります。
例えば、RevPARが高水準であっても、人件費率やOTA手数料率が高ければGOPは伸びません。逆に、コスト管理が優れていれば、同じRevPARでも利益率に大きな差が生じます。
ホテル不動産の価格は、一般的にNOIを市場のキャップレートで割り戻して算出されます。そのため、RevPARはあくまで「上流指標」であるという認識が必要です。投資判断ではGOPマージンやNOIへの転換率もあわせて確認することをおすすめします。

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RevPARの計算方法と目安・読み解き方

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RevPARの計算方法は2種類ありますが、どちらも比較的シンプルです。ここでは、RevPARを導き出す2つの計算方法と、得られた数値の目安や読み解き方、シミュレーションについて解説します。

1. RevPARを導き出す2つの計算式
2. RevPARの目安と読み解き方
3. 【実践シミュレーション】収益を最大化するトレードオフのバランス

RevPARを導き出す2つの計算方法

RevPARの計算方法は2種類あります。手元にあるデータや分析の目的に応じて、柔軟に使い分けましょう。どちらの式を使用しても計算結果の数値は同じですが、アプローチを変えることで、収益の背景をより深く分析できるようになります。

◎計算式1:ADRとOCCのデータがすでにある場合

RevPAR(客室1室あたりの売上高)=「OCC(客室稼働率)」×「ADR(客室平均単価)」

日別、月別でADRとOCCを管理しているなど、すでに指標がそろっている場合に適した方法です。「価格を上げたぶん、稼働が下がっても収益は維持できるか」といった価格戦略の効果を分析したいときなどに活用できます。将来の目標数値を設定する際のシミュレーションとしても有効です。

◎計算式2:売上データから直接算出したい場合

RevPAR(客室1室あたりの売上高)=「宿泊売上合計」÷「販売可能な全客室数」

RevPARは、ADRやOCCを個別に算出していない場合でも、売上データと客室数がわかれば計算できます。月次や年次の収益推移を素早く把握したいときに便利です。

例として、客室数100室、ADR15,000円、OCC50%、1日あたりの宿泊売上合計750,000円のホテルのRevPARを計算してみましょう。「OCC50%」は、実際に売れた部屋が50室であることを示しています。

◎計算結果

計算式1:50%(OCC)×15,000円(ADR)=7,500円(RevPAR)
計算式2:750,000円(宿泊売上合計)÷100室(販売可能な全客室数)=7,500円(RevPAR)

RevPARは、どちらの計算結果でも同じ7,500円となりました。では、この数値の良し悪しは、どのように評価できるのでしょうか。次節で詳しく解説します。

RevPARの目安と読み解き方

算出したRevPARの良し悪しは、ホテルのグレードやエリア、季節によって変動するため、一概にはいえません。例えば前節の「RevPARを導き出す2つの計算方法」で算出された「RevPAR7,500円」は、地方都市の一般的なビジネスホテル水準では一つの参考値になり得ます。一方で、繁忙期の東京都心の高級ホテルであれば、見直しが必要な数値ともいえるでしょう。

重要なのは、RevPARの数字そのものではなく、「何と比較するか」という視点です。同じエリア・同じホテルタイプにおける競合や自社の過去実績と比較しながら、季節変動を含めた中長期の推移として相対的に評価するのがおすすめです。

◎読み解き方のポイント

● 同エリア・同タイプのホテルと比較する
● 繁忙期と閑散期では数値が大きく異なるため、季節変動を考慮する
● 単月ではなく、数ヵ月~年単位の推移でトレンドを把握する
● 競合ホテルのRevPARをベンチマークにして、自物件との差を分析する

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【実践シミュレーション】収益を最大化するトレードオフのバランス

ホテル経営において、ADRとOCCは、一方が上がればもう一方が下がりやすい「トレードオフ」と呼ばれる関係にあります。ホテルは「満室であれば成功」と思われがちですが、実はそうとも限りません。安売りして満室にするよりも、稼働を抑えて単価を維持したほうが利益が出るケースは多々あります。

全100室のホテルを例に、「価格戦略で収益がどのように変化するか」シミュレーションをしてみましょう。

◎価格戦略の違いによる収益の比較
Aホテル Bホテル Cホテル
客室数 100 100 100
戦略 稼働率重視(安売り) 単価重視(高価格) バランス
ADR 8,000円 12,000円 10,000円
OCC 90% 65% 80%
1日の売上 720,000円 780,000円 800,000円
RevPAR 7,200円 7,800円 8,000円

この結果から、RevPARはバランス型のCホテルが最も高く、売上も最大であることがわかります。AホテルのようにOCCが90%と高くても、ADRが低すぎるとRevPARは伸びません。さらに、OCCが高いほど清掃費やアメニティ代などの「変動費」が増えるため、手元に残る利益はさらに少なくなる傾向があります。算出したRevPARをADRやOCCと並べて見ると、次のような改善策が見えてきます。

◎トレードオフから読み解ける改善のヒント
ADRは高いがOCCは低い ● 価格設定が市場ニーズより高すぎて、機会を損失している恐れがある
価格調整でRevPARを伸ばす余地がある
OCCは高いがADRが低い ● 安売りに頼りすぎているか、部屋の価値が十分に伝わっていない懸念がある
客室の単価アップの施策が必要

また、RevPARは、感覚的な値下げや短期的な売上向上施策といった根拠のない意思決定を回避するのにも有効です。

◎バランスを見極めるポイント
需要が高い時期(繁忙期・イベント時) ● ADRを上げても稼働率が落ちにくい
● 単価アップでRevPARの最大化を図る
需要が低い時期(閑散期・平日) ● ADRを重視すると稼働が激減する
● OCCを優先した適度な値下げで、RevPARの下落防止を図る

RevPARをホテル投資判断に活かす6つの方法

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ここでは、投資家が押さえておくべきRevPARの活用方法を6つ紹介します。

1. ホテル全体のパフォーマンスを客観的に評価する
2. 料金設定を最適化し、機会損失を防止する
3. マーケティングや販促施策の効果検証を図る
4. リノベーションや設備投資の判断材料にする
5. 競合ホテルとの比較分析(ベンチマーク)に使用する
6. 運営会社(オペレーター)の実力を評価する

活用1. ホテル全体のパフォーマンスを客観的に評価する

RevPARは、ホテルの価格と稼働の両面を含めた収益力を、一つの指標で把握する指標です。ホテル投資の検討場面では、単月・単年の数値だけでなく、過去数年間のRevPAR推移で安定性や成長性、運営の再現性を判断しましょう。右肩上がりで推移しているのか、景気や季節変動に左右されず安定しているのかなど、複数の視点で見ることが重要です。

◎活用のポイント

● 月次・年次の推移で季節変動やトレンドを把握し、収益の安定性を判断する
● 単月ではなく中長期で分析し、一時的な変動か構造的な問題かを見極める
● RevPARが上昇傾向の場合は、運営改善や市場成長の恩恵を受けている可能性が高い
● RevPARが横ばい・下降傾向の場合は、運営や市場環境に課題があると考えられるため要注意

活用2. 料金設定を最適化し、機会損失を防止する

RevPARを基準に料金を設定すると、「高すぎて予約が入らない」「安売りしすぎて、稼働しているのに収益が伸びない」といった価格起因の機会損失を防ぎやすくなります。また、需要に応じて価格を調整する「ダイナミックプライシング」を進める際も、RevPARは客観的な判断軸として機能します。
価格を変更したあとは、RevPARの変化を分析しましょう。ADRとOCCのバランスが最もとれた「理想の価格帯」の発見につながります。

◎料金設定の判断フロー(例)
状況 RevPARの動き 判断
値上げ後もOCCが維持 上昇 価格設定は適正/さらなる値上げ余地あり
値上げ後にOCCが大幅低下 低下 価格が高すぎる可能性あり/調整が必要
値下げ後にOCCが大幅上昇 上昇 それまでの価格設定が高すぎた可能性あり
値下げ後もOCCが変わらない 低下 安売りの効果が薄い/価格以外の施策の検討が必要

◎活用のポイント

● RevPARが最大化する価格帯を探る
● 繁忙期はADRを上げてもOCCが落ちにくいため、強気の価格設定でRevPARの最大化が狙える
● 閑散期はOCCを優先し、RevPARが下がりすぎない範囲で戦略的な値下げを実施する

活用3. マーケティングや販促施策の効果検証を図る

広告やキャンペーンなどの実施後にRevPARの変化を追えば、施策の成果を検証できます。広告費や値引きに見合う収益が得られているか可視化できるため、費用対効果を判断するうえでも有効です。

◎施策別の効果検証例
施策 期待される効果 RevPARの検証ポイント
OTA(予約サイト)への広告出稿 OCC向上 広告費を上回るRevPARの上昇が見られたか
閑散期限定の割引キャンペーン OCC向上 RevPARの下落を最小限に抑えつつ、OCCを確保できたか
高単価プランの販売強化 ADR向上 OCCが低下してもRevPARは向上したか

◎活用のポイント

● 施策実施前後のRevPARを比較し、効果を数値で把握する
● OCC向上施策とADR向上施策のどちらが収益改善に寄与したか判断する
効果が出なかった施策は見直し、PDCAサイクルを回す

活用4. リノベーションや設備投資の判断材料にする

運営方法の見直しや価格調整といった既存施策だけでは、RevPARの向上が頭打ちになるケースもあります。その場合は、設備投資を検討するタイミングと考えても良いでしょう。客室リニューアルや共用部の改装を行えば、ADRを底上げする余地が生まれます。投資額に対してRevPARや収益がどの程度向上するかシミュレーションを繰り返し、判断の精度を高めましょう。

◎活用のポイント

● 現状のRevPARと、投資後の想定RevPARを比較する
● RevPARの上昇で得られる増分収益を試算し、何年でペイできるか投資回収期間を算出する
● 競合のRevPARと比較し、設備投資が「選ばれる理由」の有効手段となり得るかどうか判断する

活用5. 競合ホテルとの比較分析(ベンチマーク)に使用する

競合ホテルのRevPARをベンチマークとして設定し、比較・分析することで自物件の強み・弱みを相対的に把握できます。投資を検討している場面では、エリア内の競合ホテルのRevPARを調査することで、「そのエリアでどれだけ稼げる可能性があるか」という物件のポテンシャルの把握につながります。

◎活用のポイント

● 同エリア・同タイプなど、ターゲット層が重なる競合のRevPARを比較対象に設定する
● 競合よりRevPARが低い場合、価格戦略や集客施策に改善余地がある
● 競合よりRevPARが高い場合はその要因(立地・ブランド・運営力など)を分析し、優位性の維持・拡大の戦略立案につなげる

活用6. 運営会社(オペレーター)の実力を評価する

同じ立地・同じ規模のホテルであっても、運営会社の違いでRevPARに大きな差が生じるケースは珍しくありません。また、固定賃料型と変動賃料型のMC方式(運営委託)でも、投資家の収益リスクは異なります。RevPARの変動が投資家の収益に「どの程度反映される契約形態か」を確認することも重要です。

MC(運営委託)方式でホテル投資を行う場合、収益の多くは運営会社の実力に左右されます。投資判断を行う際は、運営会社が過去に手がけてきたホテルのRevPAR実績を確認すると良いでしょう。

◎運営会社の評価チェックリスト(例)
RevPARの実績 ● 運営ホテルのRevPARは競合の平均を上回っているか
● 市場シェアを占める「営業力」の有無がわかる
RevPARの推移 ● 数値は上昇傾向、もしくは安定しているか
● 一時的なブームではない「継続的な運営力」の有無がわかる
ADRとOCCのバランス ● 安売りに頼りすぎず、ADRとOCCのバランスがとれているか
● ブランド価値を毀損しない「収益管理(レベニュー)能力」の有無がわかる
市場変化への対応力 ● コロナ禍などの外部環境変化時にRevPARをどう回復させたか
● 不測の事態に強い「危機管理・対応能力」の有無がわかる

◎活用のポイント

● 運営会社が手がける他ホテルのRevPAR実績を確認する(複数の物件で高い水準を維持できていれば、運営の再現性が高い)
● 同エリア・同タイプの競合ホテルと比較し、運営力の優劣を見極める
● 運営委託契約の更新や運営会社の変更の検討にあたり、継続判断や価格交渉の材料にする

RevPARを最大化して収益を上げる戦略6選

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RevPARを向上させるには、ADRとOCCの両方へのアプローチが効果的です。ここでは、RevPARを最大化して収益を上げる具体的な戦略を6つ紹介します。

1. 需要予測に基づくダイナミックプライシング
2. 高付加価値化によるADR(客室単価)の向上
3. ターゲット別プラン作成によるOCC(稼働率)の向上
4. 顧客レビュー改善によるブランド力の強化
5. ロイヤリティプログラムによるリピーター獲得
6. OTAや周辺施設とのパートナーシップ強化

戦略1. 需要予測に基づくダイナミックプライシング

ダイナミックプライシングとは、需要に応じて宿泊料金を柔軟に変動させる価格戦略です。繁忙期や大規模なイベント時など、需要が高まるタイミングではADRの最大化を狙いましょう。

◎需要予測に活用できるデータ例
データ 活用方法
過去の稼働実績 前年同時期の稼働率や単価をベースに、基本となる価格ラインを設定する
周辺イベント情報 コンサート、スポーツ大会、学会などの開催日を把握し、需要が高まる日を特定する
競合ホテルの価格 OTA(予約サイト)で競合の価格や残室状況をリアルタイムでチェックする
訪日外国人の動向 観光庁の統計データなどを参照し、特定の国からの旅行者が増える時期を予測する

需要が落ち込む閑散期には戦略的にADRを下げ、OCCの確保を優先して売上の機会損失を最小限に抑えることが重要です。経営手腕次第で利回りを大幅に向上させる「アップサイド」をダイレクトに狙えるのが、この戦略の強みです。

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戦略2. 高付加価値化によるADRの向上

宿泊料金を上げる際、単なる値上げでは顧客離れを招きかねません。サービスや設備の付加価値を高め、「この価格なら納得だ」と感じてもらうことが重要です。客室のリニューアルやアメニティの充実、特別な体験の提供などは、その代表的な施策といえます。「価格に見合う価値がある」と感じてもらえれば、OCCを維持したままADRを引き上げることも可能です。

◎ADR向上の具体策
施策 具体例 期待できる効果
客室リニューアル 内装・家具の刷新/最新家電や高級家具の導入 客室グレードの底上げによる単価アップ
食事プランの強化 地元食材を活かしたこだわりの特別メニュー 付帯サービスによる単価アップ
体験型サービスの提供 個室サウナ、本格スパ、ワークショップの開催など 競合との明確な差別化によるプレミアム価格の設定

ただし、設備投資には相応のコストがかかるため、投資回収期間の試算が欠かせません。厳しめの条件でシミュレーションを繰り返し、RevPARを意識した総合的な判断を心がけましょう。

戦略3. ターゲット別プラン作成によるOCC(稼働率)の向上

特定のターゲット層に向けた宿泊プランを設計し、閑散期や平日のOCC底上げを図るのも効果的な戦略です。「誰に、どのような目的で泊まってほしいか」というコンセプトを明確にし、ニーズに合ったプランを提供しましょう。RevPARの最大化に貢献します。

◎ターゲット別プランの例
ターゲット 狙い
ビジネス客 平日限定/連泊割引/出張応援など 平日の安定稼働
カップル・夫婦 記念日特典/レイトチェックアウトなど 週末・休前日のADR維持
シニア層 平日限定シニア割引/滞在延長割引など 閑散期の稼働率向上
インバウンド 多言語サポート/和文化体験/長期滞在割引など 訪日外国人の取り込み
特定の趣味層 サイクリスト向け(自転車持ち込み・メンテナンスツールあり)/ペット同伴など ニッチ市場での競争力向上

プランが多すぎると顧客が選びきれず、予約を断念してしまう恐れがあります。ニーズを調査してターゲットを明確化し、ニーズに合致した魅力的なプランのみを厳選しましょう。OTA(予約サイト)の特性に合わせてプランを出し分け、最も集客効果の高いチャネルにリソースを配分するのも効果的です。

戦略4. 顧客レビュー改善によるブランド力の強化

OTA(予約サイト)やGoogleの口コミ評価は、ホテル選びにおいて顧客が重視する情報の一つです。高評価のホテルは信頼感や安心感から価格が高くても選ばれやすく、ADRの維持・向上につながります。一方で、低評価のレビューを放置してしまうと、顧客離れやOCCの低下を招くリスクがあります。

◎レビュー改善の優先度
レビュー内容 対応優先度 対応方法
接客態度への不満 高(要即対応) スタッフへの共有/研修実施
清掃の不備 高(要即対応) 清掃フローの見直し/チェック体制の強化
アメニティへの要望 顧客ニーズと費用対効果の検討/導入判断
対応困難な設備の老朽化 中~低 部分補修、またはリニューアル計画への反映
立地・周辺環境への不満 対応困難 情報発信の工夫/来館前の期待値調整

ホテルのブランド管理は、RevPARを支える重要な土台です。顧客の声は頻繁にチェックし、改善点を洗い出しましょう。接客や清掃など改善可能な指摘には迅速に対応し、信頼の回復に努めることが重要です。設備など個人では解決できないハード面の課題は、将来のリニューアル投資時のエビデンスとして活用できます。中長期的な視点での取り組みがおすすめです。

戦略5. ロイヤリティプログラムによるリピーター獲得

独自の会員制度やポイントプログラムを導入し、リピーターを育成するのもOCCの安定化に効果的な戦略です。リピーターはOTA(予約サイト)を介さず、公式サイトからの直接予約が期待できます。直接予約は送客手数料の削減につながるため、実質的な利益率が向上するといえるでしょう。閑散期でも足を運んでくれるリピーターの存在は、年間を通じたRevPARの安定に大きく貢献します。

◎ロイヤリティプログラムの特典例
特典 具体例 期待できる効果
会員限定価格 公式サイトの予約に限り、最安値を保証 OTA手数料の削減
ポイント還元 宿泊金額に応じたポイント付与 リピート利用の促進
滞在時間の延長 会員限定のレイトチェックアウト制度 顧客満足度の向上
客室の優先提供 空室状況に応じた上位客室への無料アップグレード 顧客ロイヤリティの向上

ただし、大幅な割引に頼りすぎるとADRの影響でRevPARも低下する恐れがあるため、注意が必要です。サービスや体験を軸にした特典を充実させ、単価を維持しながらリピーターを増やすのがポイントです。

戦略6. OTAや周辺施設とのパートナーシップ強化

OTA(予約サイト)や周辺の観光施設・飲食店などと連携すると、ホテル単体では届きにくい層へのアプローチが可能となります。周辺施設と組み合わせた「チケット付きプラン」や「食事付きプラン」は、宿泊体験の付加価値向上にもつながります。

◎パートナーシップの種類と効果
パートナー 連携内容 期待効果
OTA(予約サイト) プラン掲載/広告出稿/特集への参画など 新規顧客の獲得/認知度向上
周辺観光施設 水族館・美術館・遊園地などの入館チケット付きプランなど ADRの向上/競合との差別化
地元飲食店 食事付きプラン/割引クーポンの提供など 地域との連携/顧客満足度の向上
交通機関 航空券や新幹線、レンタカーなどとのセット(ダイナミックパッケージ) 広域・遠方からの集客
旅行会社 団体旅行や教育旅行、パッケージツアーの送客 閑散期の稼働率の底上げ

OTA(予約サイト)経由の予約には、手数料が発生するのが一般的です。OTA(予約サイト)に依存した結果、手数料の負担で収益性が圧迫されるケースも少なくありません。直接予約を促進する施策を並行するなど、バランスを意識しましょう。RevPARを意識した持続的な収益構造の構築が有効です。

RevPARを理解してホテル投資を優位に進めよう

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ホテル経営や投資の成果を最大化するには、RevPARの理解と活用が欠かせません。感覚に頼らない客観的なデータに基づくことで、価格戦略や稼働率改善、設備投資の可否などのより合理的な判断が可能となります。
ホテル投資を検討中の方は、まずは気になる物件の運営資料を取り寄せるところから始めてみてはいかがでしょうか。あわせて周辺ホテルの客室単価やエリアの平均稼働率をリサーチすることで、検討物件のおおよそのRevPARが推測できます。物件のポテンシャルを見極める力を養い、ホテル投資の成功率を高めましょう。

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よくある質問

Q:RevPARとは何ですか?

A:RevPAR(レブパー)は「Revenue Per Available Room」の略で、日本語では「販売可能な客室1室あたりの収益」を指します。計算式は「OCC(客室稼働率)×ADR(客室平均単価)」もしくは「宿泊売上合計÷販売可能な全客室数」で表され、どちらを使用しても計算結果は変わりません。実際に売れた客室だけでなく、空室も含めたすべての客室を対象に算出するため、ホテル全体の「稼ぐ力」を評価する指標として活用されています。

Q:RevPARは高いほど良いのですか?

A:RevPARが高いほど収益力が強い傾向はありますが、断定はできません。例えば、RevPARを高水準で維持するための広告費や人件費が過剰であれば、手元に残る営業利益(GOP)は減少します。安売りによる高稼働でRevPARを維持している場合も、清掃費やアメニティ代などの変動費が利益を圧迫しているリスクがあります。ADRとのバランスを見るなど、収益の質で判断しましょう。

Q:RevPARと利回りはどちらを優先すべきですか?

A:「利回りを向上させるための先行指標として、RevPARを追う」という考え方がおすすめです。利回りは投資額に対する最終的なリターン(結果)を示すのに対し、RevPARは現場の「稼ぐ力(プロセス)」を表します。現在の利回りだけでなく、RevPARの改善余地を見極めることで、将来的に利回りを引き上げられるポテンシャルの高い物件を判断できるようになります。

天内 和幸株式会社エフエー代表取締役、マンション企画・プランニングディレクター

建設コンサルタント会社に橋梁設計専門の技術士として18年間勤務した後、自身の不動産投資を契機に不動産業へ転身。2018年に株式会社エフエー代表取締役に就任し、現在は海外富裕層向けコンドミニアムホテルの開発・販売・運営を主事業として展開。
企画・設計・開発から運営までのワンストップソリューションを確立し、高稼働率の運用で海外投資家を中心に利用者から支持を集める。地域の滞在価値を高める新しい宿泊スタイルの確立で、自身が手がけるホテルを通じた地域活性化の可能性を追求している。
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