不動産の活用は、相続税対策に効果的です。現金と比べて相続税の基準となる評価額を圧縮できるため、相続税対策として不動産投資を始める方も少なくありません。本記事では相続税対策に不動産が効果的な理由や具体的な活用方法、注意点、法人化のポイントなどを解説します。ぜひ最後までご覧ください。
なお、ノムコム・プロでは、相続税対策をはじめとした不動産投資に関するご相談を承っております。「不動産をどのように活用したらよいのか」「自分のケースではどのような対策が有効か」など、お気軽にお問い合わせください。
※以下の情報は2025年12月時点の情報をもとに、税理士の田中裕之が監修しています。
この記事で分かること
- 一般的に不動産は、現金に比べて相続税評価が低く評価される。賃貸に出すことでさらに評価を抑えられる、ローンも債務控除として相続税の計算から差し引けるなど、相続税対策に効果的
- 相続税対策のリスクは、「税務署による否認」「共有名義による分割トラブル」「納税資金不足」など
- 相続税対策として節税ばかり注力するのはリスクが伴う。賃貸経営としての収益性を重視する
目次
相続税対策に不動産が効果的な3つの理由
ここでは、相続税対策に不動産が効果的な3つの理由と注意点について解説します。
1. 現金よりも不動産の方が評価額が低くなりやすい
2. 賃貸でさらに評価額が下がる場合がある
3. ローンを相続税の計算で「マイナスの財産」として差し引ける
理由1.現金よりも不動産の方が評価額が低くなりやすい
相続税は資産の「時価(売買価格)」ではなく、国が定めた「相続税評価額」をもとに計算されます。「現金1億円」はそのまま1億円の価値として評価されますが、不動産は時価よりも低い基準で評価されることが一般的です。
◎評価の目安
土地:「路線価」方式などで計算され、目安は公示地価(時価)の約8割
建物:「固定資産税評価額」で計算され、構造等により異なるが目安は建築費の約5〜6割
例えば現金1億円を土地に変えた場合、税金の計算上は評価額を8,000万円程度まで圧縮できる可能性があります。ただし、不動産は立地や需要によっても評価額が異なります。相続税対策として不動産の購入を考える際は、実際の物件選びが重要です。
特に注意が必要なのが、タワーマンションです。2024年(令和6年)1月以降、タワーマンションなどの区分所有マンションの評価ルールが厳格化されました。
| 改正の背景 | ● 過度な節税が問題視されていた ● 評価額が時価の2〜3割まで下がるケースがあった |
|---|---|
| 改正の内容 | ● 「市場価格乖離率」という補正計算が導入された ● 評価額が最低でも時価の6割程度になるよう引き上げられた |
このルールの適用により、かつてのような極端な節税効果はなくなりました。しかし、依然として不動産の所有には4割程度の圧縮効果があり、相続税対策としての有効性は期待できます。
相続税評価の新ルールに関して詳細を知りたい方は、下記の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:2024年に変わる「タワマン相続税評価」解説|改正後の節税ポイント5つ
理由2.賃貸でさらに評価額が下がる場合がある
所有している不動産を賃貸に出すと、さらに評価額が下がる場合があります。物件を一度入居者に貸し出すと、基本的にオーナー側の都合だけで簡単に退去させることはできません。この「所有者の権利が制限される分」を考慮し、評価額が割り引かれる仕組みです。
◎貸家の敷地の相続税評価額
貸家の敷地の相続税評価額
=自用地の評価額-自用地の評価×その地域の借地権割合×借家権割合×賃貸割合
◎貸家の相続税評価額
貸家の評価額
=その貸家の固定資産税評価額-同家屋の固定資産税評価額×借家権割合×賃貸割合
地域や物件により差はありますが、実務上の目安として評価額の2~3割程度が割り引かれる場合もあります。借地権割合や借家権割合の詳細は、国税庁ホームページ「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」でご確認ください。
また、一定の要件を満たして「小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地等)」が適用された場合は、評価額をさらに減額できる可能性があります。この特例が適用になると、200平方メートルまでの土地の評価額が50%減額されます。ただし、「相続税申告期限まで継続して貸付事業を行っている」「相続開始前3年以内に貸付事業を開始していない(=相続開始の3年より前に貸付事業を開始している)」など、厳格な要件があるため注意が必要です。
下記の記事では小規模宅地等特例において、相続人の継続事業への関与度合いが問われた事例について解説しています。概要や審判所の判断結果を知りたい方は、ぜひご覧ください。
関連記事:相続人の継続事業への関与度合いが問われた事例
貸家建付地の相続税評価の事例や詳細について知りたい方は、下記の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:貸家建付地の相続税評価では、次の相続までの状況変化に注意
理由3.ローンを相続税の計算で「マイナスの財産」として差し引ける
不動産購入のためのローンは、相続税の計算上「マイナスの財産(債務)」として差し引くことができます。これを「債務控除」といいます。
1億円を借り入れて、1億円のアパートを購入したケースで考えてみましょう。相続税の計算上、アパートの評価額が時価の約70%(約7,000万円)だったと仮定します。ローン残高(債務)は1億円のまま評価されるため、差し引きするとマイナス約3,000万円という結果になります。1億円の現金をアパートに変えることで、相続税の計算上は「3,000万円分、財産を減らした」ことになるのです。
ただし、控除額はローン残高や抵当権設定状況によって変わる場合があります。正確な計算は、税理士に相談することをおすすめします。
相続税対策のための不動産活用術4選
ここでは、相続税対策に不動産を活用する方法として、投資家の資産状況に合わせた具体的な活用法を4つ紹介します。
1. 収益物件(アパート・マンション)の新規購入・建築
2. 資産の組み替え
3. 物件そのものの生前贈与
4. リフォーム・修繕
活用1.収益物件(アパート・マンション)の新規購入・建築
相続税対策に不動産を活用する場合、よく使われるのが賃貸用の物件を新たに購入もしくは建築する方法です。土地から購入する場合と、すでに所有している土地に物件を建てる場合では、節税の仕組みと効果が異なります。
◎土地から購入する場合
● 土地の購入や建築費を借入でまかなうと、そのローン残高は相続税計算上の「債務」として控除できる(債務控除)
● 取得した物件を実際に賃貸に出すと、土地は「貸家建付地」として評価が低くなる(賃貸による評価減)
● ローンによる債務控除と貸家建付地による評価減は別の仕組みだが、要件を満たせば両方を同時に受けられる
◎すでに所有している土地に、新たに建築する場合
● 更地は相続税評価上、評価が高いその更地に物件を建てて賃貸に出せば土地の扱いが「貸家建付地」に変わり、土地の評価が下がる
● 建物自体も固定資産税評価を基準に評価されるため、時価より抑えられる場合が多い
物件を新たに購入する際は、物件選びが重要です。一概にはいえませんが、一般的には都心部の築浅物件のように購入価格や評価が高いほど、節税効果を得やすい傾向があります。購入価格や評価が低くなりがちな地方の物件は、下がる余地も限定的です。しかし、利回りが高くなるケースもあり、収益面では魅力的といえます。節税効果と収益性の一方に偏らず、資産全体のバランスを見て選ぶことをおすすめします。
現在、不動産市場にどのような収益物件があるのか具体的に見てみたい方は、ノムコム・プロの物件一覧ページをご覧ください。
活用2.資産の組み替え
現在所有している不動産を売却し、より収益性が高く、かつ相続税対策としても有利な物件へ買い換える方法も効果的です。例えば、ニーズの低い郊外の駐車場や老朽化した空き家などは、収益性が乏しいにもかかわらず固定資産税や相続税評価額は高くなりがちです。こうした負担の大きい不動産を収益が安定した資産へ組み替えることで、全体の利回りを高めつつ資産評価を見直すことができます。
《特例の活用テクニック》
売却時に利益が出ると、通常は譲渡所得税がかかります。一定の条件を満たせば売却時の税金を将来に繰り延べられる「特定の事業用資産の買換え特例」などの活用も、一つのポイントです。要件が複雑なため、活用を検討する際は税理士への相談をおすすめします。
また、「売却すれば評価額が下がる」という誤解には注意が必要です。評価額は物件ごとに異なるため、相続税に必ず有利に働くわけではありません。「相続しやすい資産構造」に組み替えるのがポイントです。複数の視点を持ち、目的を誤らないようにしましょう。
◎資産組み替え時のポイント
● キャッシュフローはどう変化するか
● 収益性は向上するか
● 相続時の分割に問題はないか(分筆しにくい土地は分割可能なマンションに変えるなど)
ノムコム・プロの「不動産投資シミュレーション(キャッシュフローシミュレーション)も、ぜひご活用ください。
活用3.物件そのものの生前贈与
現金ではなく収益物件そのものを、生前贈与で子どもや孫へ移してしまう方法も効果的です。親が収益物件を持ち続けていると、毎月の家賃収入によって親名義の現金が増え続け、結果的に相続の財産も膨らんでいきます。収益源である建物の権利を早めに移すことにより、子ども自身が将来の納税資金を貯めていきやすくなります。
贈与に関する「暦年贈与」「相続時精算課税」という2つの制度は、2024年1月の法改正により下記のように変わりました。不動産の規模や時期にあわせて使い分けることが重要です。
| 暦年贈与 | ● 年間110万円までの基礎控除枠を利用して贈与する方法 ● 毎年110万円以内は非課税 ● 改正により相続開始前の持ち戻し期間(贈与がなかったことにされる期間)が3年から7年に延長 |
|---|---|
| 相続時精算課税 | ● 累計2,500万円まで贈与税がかからない制度 ● 累計2,500万円を超えた分は一律20%の課税 ● 改正により「年110万円の基礎控除」が新設 ※ただし、相続時に贈与時の価額で相続財産の金額に加算されるため注意が必要 |
活用4.リフォーム・修繕
手元の現金を使って物件をリフォーム・修繕すると、相続開始時の純資産を減らす効果が期待できます。内装や設備の入れ替え、外壁塗装などの基本的な修繕は、税務上で「修繕費」として扱われるのが一般的です。リフォームや修繕がただちに相続税評価額に反映して高額になるのは考えにくいため、現金を消費することで相対的に相続財産の評価額が減少します。
ただし、エレベーターの新設や大規模な間取り変更などは「資本的支出」とみなされ、建物の評価額が上がる可能性があります。見積もりや工事内容が市場価格とかけ離れている場合も税務調査で問題になるケースがあるため、注意しましょう。
リフォーム・修繕に関してより詳しく知りたい方は、下記の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:リフォームにいくらかければよい?「修繕費」か「資本的支出」か
関連記事:リフォームした費用は一括で経費にできる?修繕費をうまく活用する方法!
法人化を活用した高度な相続税対策
法人化も相続税対策として有効です。不動産そのものではなく「会社の株式」として資産を引き継ぐことで、評価額をコントロールしやすくなります。ここでは法人化の選び方や注意点などを解説します。
1. 法人化の3つの種類と選び方
2. 個人と法人による税金の違いと損益分岐点
3. 「取得後3年以内のルール」と小規模宅地の特例に注意
4. 借地権の課税トラブルを避ける方法
法人化の3つの種類と選び方
個人で所有している不動産を法人に移す方法は、関わり方の深さによって主に下記の3パターンに分けられます。資金や税務面、将来の承継方針などにより適切な選択肢が異なるため、概要を理解しておきましょう。
| 管理委託方式 | ● 不動産の名義は個人のまま ● 法人が家賃の5〜8%程度にあたる管理業務を受け取り、清掃・集金などの管理業務を行う ● 所得の分散効果は小さく、相続税対策としての効果は限定的 |
|---|---|
| サブリース方式 | ● 不動産の名義は個人のまま ● 法人が物件を一括で借り上げ、入居者に転貸する ● 家賃の10〜15%程度が法人の利益として残る ● 管理委託よりは法人に移せる所得が多い |
| 所有方式 | ● 建物そのものを法人が所有する(土地は個人のまま、もしくは土地も法人が所有する) ● 家賃収入はすべて法人の売上となる ● 所得分散効果が最も高く、相続税対策として主流の方法 ● 親族への役員報酬支払いなどを通じて柔軟な資産移転が可能 |
個人と法人による税金の違いと損益分岐点
個人と法人の最大の違いは税率構造です。
| 個人 | ● 累進課税 ● 所得税・住民税は最大55% |
|---|---|
| 法人 | ● 実効税率は約30% ● 中小法人の年800万円以下の所得部分は約15% |
一般的には、課税所得が695万円を超えると、個人の税率(所得税23%・住民税10%)が法人の税率(30%)を上回るケースが増え始めます。そのため、この695万円が「法人化検討の一つの損益分岐点」ということができるでしょう。
家族を法人の役員にして役員報酬を支払えば、所得を分散させることもできます。結果として世帯全体の手取りが増え、被相続人である親の資産が増える速度も抑制可能です。相続時には「不動産」ではなく「会社の株式」として引き継ぐことになる点も、法人化のメリットです。株式は非上場株式の評価ルールが適用されるため、不動産を個人で持つ場合と比べて、評価額を調整しやすくなります。
法人化について興味がある方は、下記の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:個人と法人、どちらが得か?法人化のタイミングとメリットを押さえる!
「取得後3年以内のルール」と小規模宅地の特例に注意
相続税対策に法人化も効果的ですが、税制上の落とし穴もあります。特に注意が必要なのが、「取得後3年以内の評価ルール(財産評価基本通達189-4)」です。
《取得後3年以内の評価ルール(財産評価基本通達189-4)の概要》
法人が不動産を取得してから3年以内に株主(被相続人)が亡くなった場合、その法人が持つ不動産は通常の評価額(路線価など)ではなく、「通常の取引価額(時価)」で評価される。
参考:国税庁(土地保有特定会社の株式又は開業後3年未満の会社等の株式の評価)
これは、相続直前に法人化して不動産を購入しても、3年間は節税効果が得られないことを意味します。この空白期間を知らずに法人化すると、本末転倒になりかねません。
土地と建物を分けて所有する場合も、さらに注意が必要です。例えば個人が土地を購入し、法人が建物を所有するケースがあります。この場合、適用となる要件を満たさないと、個人が土地で「小規模宅地等の特例(特定同族会社事業用宅地等)」を使えなくなるリスクが発生します。相続人の事業への関与度合いが問われ、実際に特例が否認された事例も少なくありません。法人化は税理士と連携しながら、綿密な計画を立てて臨みましょう。
小規模宅地等特例の事例について知りたい方は、下記の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:小規模宅地等特例:相続人の継続事業への関与度合いが問われた事例
関連記事:入居者募集広告を出していても空室とされ小規模宅地等特例が否認された事例
借地権の課税トラブルを避ける方法
法人化でよくあるのが、建物のみを法人名義にし、土地は個人のまま残すケースというケースです。実務としては一般的なこの「所有方式」も個人と法人の間の契約手続きを誤ると、思わぬ税務トラブルに発展するリスクが生じます。
通常、他人の土地に建物を建てる権利(借地権)には高い価値があるため、権利金や相応の地代を支払うのが習慣化されています。しかし、親族間の法人では「身内だから」と権利金を支払わないケースも少なくありません。そのまま放置すると、税務署から「法人が個人から借地権の贈与を受けた」とみなされる場合があります。借地権の価値に相当する多額の法人税が課される恐れがあるため、注意しましょう。
《借地権の課税トラブル対策》
この問題は、税務署に「土地の無償返還に関する届出書」を提出することで回避できます。届出書を提出すると、「法人は土地を借りて使用しているが、将来は更地化して返却する(借地権としての価値は主張しない)」という合意があることになります。借地権が法人に移転したとみなされないため、借地権の贈与課税を回避できるという仕組みです。
相続税対策に不動産を活用する5つのリスクと対策
相続税対策に不動産活用は有効ですが、節税を意識しすぎると思わぬ落とし穴にはまることがあります。ここでは、相続税対策に不動産を活用する際の5つのリスクと対策について解説します。
1. 税務署による否認
2. キャッシュフローの悪化による経営破綻
3. 出口戦略の失敗
4. 共有名義による遺産分割トラブル
5. 納税資金の不足
リスク1.税務署による否認
相続税評価には本来、路線価などの評価ルールが使われます。しかし、その評価ルールを適用することが「著しく不適当」と税務署が判断した場合に発動するのが、「財産評価基本通達 総則6項」です。この規定が適用になると、路線価などのルールが無視されて時価で課税されることになります。
2022年の最高裁判決により、次のようなケースは「あからさまな節税行為」として否認されるリスクが高まるようになりました。「賃貸経営としての実態」があるかどうかが厳しく問われるようになっています。
◎否認されるリスクが高い行為
● 相続直前(亡くなる直前)の駆け込み購入
● 銀行からの過度な借入による購入
● 相続後、事業を行わずにすぐに売却
◎リスク対策
● 相続直前の購入をさけ、計画的に段階を踏んで相続を進める
● 購入後は長期間保有して賃貸事業を継続する
● 経済合理性のある賃貸経営を心がける
リスク2.キャッシュフローの悪化による経営破綻
相続税を減らせても、借金返済で生活が破綻しては意味がありません。特に注意が必要なのがデッドクロスの状態です。
減価償却期間が終了すると経費計上できる金額が減るため、帳簿上の黒字が増えて税金が高くなる傾向があります。この状況では、ローンの元金返済は経費にならないため、「税金は高いのに手元に現金がない」という減少が発生しがちです。
◎リスク対策
● 目先の節税だけで判断しない
● 20年・30年先を見据えてキャッシュフローのシミュレーションを行う
● 金利上昇リスクを考慮し、余裕を持った返済計画を立てる
リスク3.出口戦略の失敗
相続税対策で購入した物件で、最終的に損をするパターンです。地方や郊外の物件では、「路線価(評価額)は高いのに、実勢価格(売値)は安い」という逆転現象が起きる場合があります。例えば路線価による相続税評価額が5,000万円なのに、実際に売ろうとすると2,000万円にしかならないといったケースです。この場合、相続税は5,000万円に対して課税されるため、税負担は重くなります。一方で売却価格は2,000万円にしかならず、損失を被ることになります。
人口減少が進む地方都市の物件には、なおの注意が必要です。購入時は利回りが高く魅力的に見えても、10年後、20年後には買い手がつかず、売却価格が大幅に下落するリスクがあります。築年数の経過とともに修繕費も増加するため、物件の保有が負担になることも考えられます。
◎リスク対策
● 購入前に複数の不動産会社や不動産鑑定士の意見を聞き、将来の売却予想価格を厳しめに見積もる
● 将来推計人口などを参考に、20年後、30年後の人口の維持や増加が見込まれるエリアを選ぶ
● 相続対策と投資判断の両方の観点から、複数の出口戦略を柔軟に設定できる物件かどうか見極める
出口戦略の種類や利益最大化のコツについて知りたい方は、下記の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:不動産投資は出口戦略で決まる!目的別「利益最大化のコツ」徹底解説
リスク4.共有名義による遺産分割トラブル
不動産は、物理的に分割しにくい資産です。兄弟姉妹などで安易に共有名義で相続するのは、万が一を考えるとおすすめできません。複数人で共有名義にすると、将来その不動産を売却したり、大規模修繕を行ったりする際に「共有者全員の同意」が必要になります。一人でも反対者がいれば、その物件は動かせません。また、共有者の一人が自分の持ち分だけを第三者に売却することも、法律上は可能です。まったく知らない人と共有関係になり、トラブルがさらに複雑化する恐れもあります。
◎リスク対策
● 不動産を相続する人が他の相続人に現金を支払う「代償分割」を行う
● 生命保険を活用して遺留分に相当する現金を確保し、共有を避ける
● 生前から家族で話し合い、誰が不動産を引き継ぐのか、他の相続人にはどう配分するのかを決めておく
● 生前に遺言書の作成について税理士に相談する
リスク5.納税資金の不足
相続税は原則として、相続発生から10ヵ月以内の「現金一括払い」が必要です。手元の現金をすべて不動産に変えてしまうと、いざ相続が発生したときの納税資金が不足するという事態に陥ります。最悪の場合は、取得した不動産を売却せざるを得ないケースも考えられます。期限が迫っている状況での売却は難しく、買い手に有利な条件で物件を売り急ぐことになりかねません。
◎リスク対策
● 相続財産総額の10〜20%程度は、現金や生命保険などの流動資産として確保しておく
● 複数の不動産を所有している場合は、一部を早めに売却して現金に換えておく
● どうしても納税資金が用意できない場合は、早めに税務署に相談する
● あらかじめ税理士に相続税のシミュレーションを依頼し、早めに対策を立てておく
不動産を活用した相続税対策を成功させる3つのポイント
最後に、不動産を活用した相続税対策を成功させる3つのポイントについて解説します。
1. 「節税」よりも「賃貸経営としての利益」を優先する
2. 長期視点で出口戦略を立てる
3. 税理士や不動産会社などの専門家と連携する
ポイント1.「節税」よりも「賃貸経営としての利益」を優先する
相続税対策による節税効果は、あくまでも結果にしかすぎません。物件そのものが利益を生みだす仕組みを作ることが重要です。空室や家賃下落、修繕、金利上昇など、あらゆるリスクを見込んだうえで、慎重に物件を選びましょう。
ポイント2.長期視点で出口戦略を立てる
不動産は、購入が終わりではありません。大規模修繕が必要な時期やデッドクロスを考慮しながら、複数の出口戦略を検討しましょう。人口減少や周辺環境の変化によって資産価値が下がるなど、リスクは厳しめに想定しておくことが重要です。相続税対策といえども保有し続けるのではなく、赤字が積み重ねられるのであれば、売却の決断の余地があります。自分がどこまで許容できるか把握し、撤退ラインを決めておくのも効果的です。
ポイント3.税理士や不動産会社などの専門家と連携する
相続対策は、税務知識と不動産実務の両方が求められる高度な領域です。自己判断は思わぬトラブルに巻き込まれるリスクが高まるため、各方面のプロと連携し、相談しながら進めることをおすすめします。
| 税理士 | ● 税理士にも得意分野がある ● 相続税申告の実績が豊富な税理士を選ぶ |
|---|---|
| 不動産会社 | ● 対応範囲や、実績、連携している専門家を確認する ● 知識や相続対策の不動産投資支援実績が豊富で、購入後の管理、客付け、出口戦略など、広い分野で長期間支援してくれる不動産会社を選ぶ |
不動産会社に相談して、安心で効果的な相続税対策をしよう
不動産を活用した相続税対策は、有効な手段です。しかし、節税だけを目的に物件を取得すると、思わぬリスクが表面化することもあります。不動産市場や金利動向、相続に関連する法律や制度なども変化しつづけるため、知識と情報のアップデートは欠かせません。
ノムコム・プロでは、会員登録者限定で「4つの特典」をご用意しております。不動産投資を始めたい方や保有物件の運用を見直したい方に向けた、役立つ情報やサポートのご提供です。最新の物件情報をいち早くチェックしたい方は、ぜひ下記リンクよりご登録ください。
よくある質問
Q:なぜ、相続税対策には不動産の活用が良いといわれているのですか?
A:不動産の活用は現金と比べて相続税評価額を大きく圧縮できるからです。資産価値を保ったまま評価額だけを抑えることができるため、結果的に支払う相続税の金額が少なくなります。賃貸に出すことでさらに評価額が減少するほか、取得時にローンを使用した場合は、債務控除として相続税から差し引くこともできます。
Q:不動産で相続対策をするデメリットは何ですか?
A:流動性が低く、現金が必要なときにすぐに売却できない可能性があること、分割しにくい資産のため、相続人が複数いる場合にトラブルになりやすいことなどが挙げられます。トラブルの発生や深刻化を防ぐため、不動産会社や税理士などの専門家と相談しながら相続税対策に取り組みましょう。
Q:相続税対策は、個人と法人のどちらが有利ですか?
A:相続税対策は、相続内容や状況によって異なるため、一概には言えません。受け継ぐ財産が多額な場合は、法人化のほうがメリットが強い傾向があります。ただし、法人化には個人にはない手間やコストがかかる場合もあるため、税理士に相談しながら慎重に判断することをおすすめします。





