不動産投資コラム

アパート経営はやめたほうがいい?失敗例とリスクから考える判断基準

アパート経営はやめたほうがいい?失敗例とリスクから考える判断基準

「アパート経営はやめたほうがいい」といった声を、聞いたことはありませんか?
アパート経営を含む不動産投資は不労所得として注目される一方で、空室リスクやローン返済の負担など、思っていたより厳しい現実があるのも事実です。
この記事では、なぜアパート経営が「やめたほうがいい」と言われるのか、その理由を具体的に紹介します。

なお、ノムコム・プロでは会員登録者限定で「4つの特典」をご用意しており、不動産投資を始めたい方や保有物件の運用を見直したい方に役立つ情報やサポートを提供しています。最新の物件情報をいち早くチェックしたい方は、ぜひ下記リンクよりご登録ください。

>>>とりあえず会員登録してみる<<<

※以下の情報は2025年7月時点の情報をもとに、不動産投資家・2級ファイナンシャル・プランニング技能士の前田裕太が監修しています。

「アパート経営はやめたほうがいい」と言われる理由5選

202507_01_image01.jpg

アパート経営は「不労所得で安定的に稼げる」と考えられがちですが、実際には多くのリスクが潜んでいます。うまくいかない原因を知らずに始めてしまうと、想定外の出費や失敗につながるおそれもあるのです。
ここでは、なぜ「アパート経営はやめたほうがいい」と言われるのか、具体的な5つの理由からひも解いていきます。

1. 初期費用や借入金が大きくリスクが高い
2. 空室・家賃下落のリスクがある
3. 管理や修繕の負担が大きい
4. 不動産市況や環境変化に左右される
5. 流動性が低い

理由1.初期費用や借入金が大きくリスクが高い

アパート経営では、建築費や土地代に数千万円以上の費用がかかることが多く、自己資金だけでまかなうのは困難です。そのため、多くの人がローンを利用しますが、この借入が後に大きな負担になることもあります。

金利が上がったり、家賃収入が減ったりすれば、返済が苦しくなります。最悪の場合、毎月の支払いが家賃収入を上回り、赤字に転落することも。

また、返済が続くなかで修繕費や税金などの支出が重なると、自己資金が尽きて経営が行き詰まるリスクもあります。
このように、高額な初期費用と長期の返済は、事業としてのリスクを大きくする要因の一つです。

理由2.空室・家賃下落のリスクがある

アパートは、入居者がいてこそ収入が得られます。しかし、周辺に競合物件が多いエリアでは、空室リスクも無視できません。
また、入居者を確保するために家賃を下げざるを得ないこともあります。特に新築から年数が経つほど、家賃は下がっていく傾向があります。

思っていたほどの収入が得られないまま、ローンや管理費だけが重なっていくと、経営は一気に苦しくなるでしょう。

理由3.管理や修繕の負担が大きい

アパートを所有すれば、建物の管理責任も発生します。共有スペースの清掃や修理、入居者からの問い合わせ対応など、日常的な管理には手間がかかります。

また、外壁の塗装や屋根の補修など、大規模な修繕にはまとまった費用が必要です。これを怠ると物件の価値が下がり、入居率にも悪影響を及ぼします。
管理会社に委託しても費用は発生しますし、任せきりではトラブルに気付けないこともあります。
収入があっても、維持管理にかかるコストが重くのしかかる点は、大きなハードルです。

理由4.不動産市況や環境変化に左右される

アパート経営は、立地や地域の将来性に強く影響されます。例えば、近くに大きな工場や大学があるエリアなら安定した需要が期待できますが、それらが撤退すれば入居者が減ります。

また、不動産市況が冷え込めば物件価格も下がり、売却したくても希望した価格で売れないケースもあります。
人口減少が進む地域では、長期的な経営がますます難しくなる可能性もあるため、立地の選定と将来予測が非常に重要です。

理由5.流動性が低い

アパートは「売却したい」と思ってもすぐには売却して現金化しにくい(流動性が低い)資産です。流動性の低さは不動産全般にいえることではありますが、ワンルームマンションなどの区分投資と比較して、アパートは価格帯が大きい傾向にあります。そのため、売り手を探すのに時間がかかることもあり、何らかの事情で現金が必要になってもなかなか成約しない可能性があります。

よくあるアパート経営の失敗例

202507_01_image02.jpg

アパート経営にはさまざまなリスクがあることを理解しても、「自分は大丈夫」と思ってしまう人も少なくありません。しかし、実際には多くの人が似たような失敗パターンにはまっています。
ここでは、初心者が陥りやすい典型的な失敗例を見ていきましょう。

1. フルローンで始めて返済に苦しむ
2. サブリース契約の仕組みを理解せず失敗
3. 修繕費を想定しておらず赤字経営に
4. 出口戦略を考えず売却に困る

1.フルローンで始めて返済に苦しむ

30代公務員のAさんはアパート投資を始めるにあたり、初期費用をほとんど用意していなかったため、物件購入費用全額の融資(フルローン)を受けて物件を購入。当初は家賃収入がローン返済額を上回っており、安定した経営を実現していました。

しかし、年数が経つにつれ、空室期間の増加や家賃の下落、さらに金利上昇などの影響を受け、収支は徐々に悪化。月々の手取りは各種諸経費の支払いや積み立てにどうにか充てられる状況から、ついには毎月の収支まで赤字に転落しました。本業の給与や賞与で補填しつづけなければならない、完全なる赤字経営に陥っています。

【失敗ポイント】
● 自己資金を用意せず、フルローンで物件を購入した
● 年数の経過による収支の悪化や金利の変動リスクを織り込んでいなかった

2.サブリース契約の仕組みを理解せず失敗

【サブリースとは】
物件の所有者がサブリース業者に物件を一括で貸し出し、サブリース業者がその物件を入居者に又貸しする仕組み。家賃の支払いが保証される反面、契約内容によっては収益が下がるリスクもある。

上場企業に勤める20代後半のBさんは、「稼働率に関係なく決まった家賃が入る」というセールストークに惹かれ、販売会社とサブリース契約を締結。当初こそサブリース業者のシミュレーション通りの家賃収入を得られていましたが、ある契約更新のタイミングで空室率や周辺相場の下落を理由にサブリース賃料を引き下げられてしまいました。

一度は「仕方がない」と納得したものの、その次の更新でも引き下げの要求を受け、サブリース契約の解除を申し出ました。しかし、サブリース業者は「正当理由がない」と契約の解除を拒絶。最終的には訴訟に発展し、契約の解除には成功したものの、多額の費用と時間を要してしまいました。

【失敗ポイント】
● サブリースの仕組みへの理解が不十分だった
● サブリース業者の選定が不適切だった(悪質なサブリース業者と契約)

サブリースの仕組みや種類、活用メリットについては、下記の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
関連記事:サブリースとは?やばい、安心?不動産投資におけるメリット&注意点

3.修繕費を想定しておらず赤字経営に

60代のCさんは、長年勤めた企業の退職金を初期費用に中古物件を購入し、アパート経営を開始。初期費用を多く用意していたこともあり、月々の手取りをしっかりと確保した安定経営を実現しました。
購入から数年、予想よりも遥かに早いタイミングで外壁や屋根・給排水管など、多数の修繕が必要に。しかし、月々の家賃収入のほとんどを生活費や旅行に充ててしまっていたCさんは修繕の積み立てを行っておらず、適切なタイミングでの修繕が実施できませんでした。

緊急性の高い部分から順次修繕を開始したものの、物件の不便さがなかなか解消されないことを不満に感じた入居者の退去が相次ぎます。当然、適切な修繕が行われていない物件に新しい入居者はなかなかつきません。収支の悪化から修繕が遅れ、それにともない退去が増加し、さらに収支が悪化する悪循環に陥ってしまいました。

【失敗ポイント】
● 修繕費用の積み立てを行っていなかった
● すぐに修繕(大規模な出費)を要する状態の物件だと理解せずに購入した

4.出口戦略を考えず売却に困る

40代のDさんは大学生の一人暮らし需要を見越して、大学のキャンパスからアクセスの良いエリアでアパートを新築。やや強気の家賃設定をしましたが、立地の良さ、物件の新しさが好まれ、想定通り学生向けの賃貸で安定した経営を実現させました。

ところが、10年ほど経過したところでキャンパスの移転が決定しました。この情報を得た段階ではアパートは満室稼働していたこともあり、Dさんは「周辺の物件と比べて競争力があるから」とこの状況を静観。結果として楽観的な見通しは外れ、キャンパスの移転とともに空室が目立つようになりました。

家賃を下げることでどうにか空室率を多少改善しましたが、収支は大幅に悪化。空室率も低いとはいえず、キャンパス移転後は大きな賃貸需要もないエリアとなってしまったため、売却を試みるにも買い手がつかず、途方に暮れています。

【失敗ポイント】
● 買った理由がなくなった時点で撤退しなかった(出口戦略を誤った)
● その後も適切な対策が打てず、物件の購入需要を大きく下げてしまった

下記の記事では、不動産投資で「出口戦略」が重要な理由や、利益の最大化やリスクを最小限に抑えるための出口戦略のコツを解説しています。あわせてチェックしてみてください。

アパート経営はやめたほうがいい人の特徴

202507_01_image03.jpg

アパート経営には向き・不向きがあります。リスクを理解せずに始めると、思わぬ失敗につながることも。自分がアパート経営に向いているかどうかを判断するには、いくつかの特徴を知っておくことが大切です。
ここでは、特に「やめたほうがいい」とされる人の共通点を紹介します。

1. 十分な自己資金がないのに始めようとしている
2. 収支計画やシミュレーションが苦手
3. 管理を他人任せにしすぎる
4. 出口戦略がない
5. 「楽して儲かる」と誤解している

特徴1.十分な自己資金がないのに始めようとしている

アパート経営は数千万円の資金が動く事業です。自己資金が少ないまま始めると、ローンの返済比率が高くなりキャッシュフローに影響が出ます。家賃の下落や金利上昇などの原因で、月々のキャッシュフローがマイナスに転落してしまう可能性も高まるのです。

また、空室や修繕といった突発的な出費にも対応できず、資金がショートするリスクも高いといえるでしょう。
自己資金が多いほど、金融機関からの信頼も得やすく、融資条件も有利になります。資金に余裕がない人は、無理して始めるべきではありません。

特徴2.収支計画やシミュレーションが苦手

アパート経営では、家賃収入や経費、税金、ローン返済などを含めた収支の見通しが必要です。
月々の家賃収入と物件価格の割合(表面利回り)や毎月の家賃収入とローン返済の差額だけを見て投資判断をすると、実際の手取り額が想定より少なくなったり、思わぬ出費でキャッシュフローが悪化したりしかねません。経営には長期的な視点と数字への理解が不可欠。数字に苦手意識がある人は、自分で無理に判断せず、専門家に相談するのが安全です。

なお、本サイトを運営する野村不動産ソリューションズでは、投資用物件のご紹介をはじめ、資金調達や税務のご相談など不動産の購入または売却に幅広く対応しております。
「多様な情報ルート」と「経験豊富なスタッフ」を持つ野村不動産ソリューションズへは、下記のフォームからお気軽にご相談ください。

>>>野村不動産ソリューションズに相談してみる<<<

特徴3.管理を他人任せにしすぎる

管理会社に委託する場合でも、オーナーには最終的な責任があります。すべてを任せきりにすると、細かいトラブルや入居者対応、修繕の判断を誤る可能性があります。

また、管理の質が悪い会社と契約してしまうと、空室が増えたりクレーム対応が不十分になったりします。オーナーとしての意識を持ち、定期的なチェックや管理内容の確認は欠かせません。

特徴4.出口戦略がない

アパート経営では購入する物件の選定、購入するタイミング、購入してからの運用とともに非常に重要なのが出口戦略です。
相続財産として生涯保有する場合を除いては、どのようなタイミングで売却し、利益確定(もしくは損切り)するかが投資全体の収支を大きく左右します。

キャピタルゲイン(売却益)を狙う場合は、最も高く売れるタイミングを見計らうのはもちろんのこと、購入時の目論見が外れるなど保有する理由がなくなった場合、損失が出ても傷が浅いうちに撤退するといった意思決定も重要なのです。

特徴5.「楽して儲かる」と誤解している

「不労所得」という言葉にひかれてアパート経営を始める人は少なくありません。しかし優良物件を良い条件で購入し、適切に運用を続けるには物件の選定、融資の手続き、管理、トラブル対応など、多くの手間と時間が必要です。
また、収入が安定するまでには数年かかることもあります。「楽して儲かる」と思っている人ほど、現実とのギャップに苦しむ傾向があります。

アパート経営で成功するコツ5選

202507_01_image04.jpg

ここまでアパート経営のリスクや失敗例を紹介してきましたが、適切な準備と運営ができれば、成功することももちろん可能です。
では、成功している人はどのような考え方や行動をしているのでしょうか?最後に、アパート経営をうまく進めるための具体的なコツを5つに絞って紹介します。

1. エリアの賃貸需要を丁寧に調べる
2. 自己資金に余裕を持ってスタートする
3. 信頼できる管理会社や専門家と組む
4. 長期的な視点で経営と出口戦略を設計する
5. 入居者ニーズを満たす物件を選ぶ

コツ1.エリアの賃貸需要を丁寧に調べる

アパート経営において、立地はもっとも重要な要素の一つです。どれだけ設備が整っていても、需要のない場所では入居者は集まりません。
事前に周辺の賃貸ニーズ、家賃相場、競合物件の数などを調べることが重要です。
例えば、大学や工場が近い地域なら、単身者向けの物件が合うかもしれません。逆に、ファミリー層が多い地域では2LDK以上が好まれる傾向があります。
需要をしっかり把握することで、空室リスクを減らすことができます。

コツ2.自己資金に余裕を持ってスタートする

202507_01_image05.jpg

借入に頼りすぎると、家賃収入が想定より少なかったときにすぐ経営が苦しくなります。
そのため、初期費用の2〜3割は自己資金でまかなえる状態が理想です。
自己資金が多いほどローン条件もよくなり、返済負担が軽くなります。さらに、空室や修繕など急な出費があっても、対応しやすくなります。
資金に余裕があると、気持ちの面でも冷静な判断ができるため、安定した経営につながります。

また、月々の家賃収入などもすべて使ってしまうのではなく、大規模修繕に向けて積み立てておくことが重要です。修繕のみならず、突発的なトラブル対応のためにも、一定の現預金は持っておいたほうが良いでしょう。

コツ3.信頼できる管理会社や専門家と組む

アパート経営は一人ですべてをこなすのは難しく、信頼できるパートナー選びが成否を分けます。管理会社には入居者対応や修繕手配を任せられますが、その対応の質によって入居率や退去率に差が出ます。

また、税理士や経験豊富な不動産会社に相談することで、経費計上や節税対策も可能になります。
複数社を比較し、実績や対応力、費用の透明性などを見て慎重に選びましょう

下記の記事では、不動産投資の主な相談先6選とそれぞれの特徴を解説していますので、ぜひチェックしてみてください。
関連記事:不動産投資のおすすめ相談先6選!選び方や相談時に押さえるべきポイントを紹介

コツ4.長期的な視点で経営と出口戦略を設計する

アパート経営は短期的に利益が出るものではなく、10年、20年といった長いスパンで考える必要があります。
収益だけでなく、いつ・どうやって売却するかという「出口戦略」も重要です。
エリアの将来性や物件の資産価値をふまえて、手放すタイミングや売却方法をあらかじめ想定しておきましょう。
戦略を立てずに経営を続けると、手遅れになって売却できなくなるリスクもあります。

コツ5.入居者ニーズを満たす物件を選ぶ

最近の入居者は、築年数よりも「設備の充実度」や「暮らしやすさ」を重視する傾向があります。
インターネット無料、宅配ボックス、防犯カメラ、独立洗面台など、ニーズを意識した設備があると競争力が高まります。

また、ペット可や楽器可など、他物件と差別化できる要素も効果的です。
ターゲットとなる入居者像を明確にし、それに合わせた物件を選ぶことが空室対策につながります。

アパート経営は始める前の見極めがカギ

202507_01_image06.jpg

今回は、「アパート経営はやめたほうがいい」と言われる理由や失敗例などを解説しました。アパート経営は、正しい知識を持ち、事前にしっかりと準備すれば、安定した収益を得ることも可能です。
この記事で紹介した失敗例や成功のコツをふまえ、自分に向いているかどうか、まずは冷静に判断してみましょう。

なお、ノムコム・プロでは、会員登録者限定で「4つの特典」をご用意しており、不動産投資を始めたい方や保有物件の運用を見直したい方に役立つ情報やサポートを提供しています。最新の物件情報をいち早くチェックしたい方は、ぜひ下記リンクよりご登録ください。

>>>とりあえず会員登録してみる<<<

前田 裕太
前田 裕太

前田 裕太企業役員、不動産投資家、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)

上場企業勤務時代にローンを活用して不動産投資を開始。現在は全国に複数の物件を所有する。不動産投資の知識をつけるため、独学で宅建試験に合格。
現在は不動産投資の傍ら、スタートアップ企業の役員として離島振興に従事。不動産の知識・経験や内装事業部とのシナジーも活用し、空き家問題の解決にも取り組んでいる。
監修コラム一覧

 

不動産投資ニュース

業界の動向やトピックスなど、不動産業界の最新ニュースをお届けします。

  1. 不動産投資、収益物件、事業用不動産サイト「ノムコム・プロ」
  2. 不動産投資コラム
  3. ノウハウ
  4. アパート経営はやめたほうがいい?失敗例とリスクから考える判断基準