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相続で不動産を負債にしない「資産組み換え」を考える

執筆者:宮澤 大樹(野村の仲介+ 横浜支店)2018年11月29日

資産家や地主といわれる層の中には、相続が気になりながらも、「いざとなれば土地を売ればいい」と考えている人もいます。しかし、売るに売れない、慌てて売ったが納得がいかない、というケースは少なくないようです。

対策を急ぐべき不動産、土地はどのようなものなのでしょうか?相続する人、相続される人、両世代で考えておきたい不動産の相続対策について紹介します。

土地資産はあるのにお金にゆとりがない?「質素な地主」

富裕層や資産家といえども、財産の多くが不動産の場合、自由に使える現金が潤沢にあるとは限りません。

親の資産の相談に来店したAさん(40代)の事例を紹介します。
Aさんの実家は、東京郊外に貸地や駐車場など複数の不動産を所有する地元の名士です。

しかし、どの不動産も収益性は高くありません。たとえば図1のように、東京23区内でも住宅地の地代(貸地の賃料)収入の利回りは1%に達しないのが現状です。Aさんの実家の土地に対する地代は、せいぜい固定資産税の数倍程度でしょう。

自宅は、広い敷地に立派な屋敷を構えていますが、手入れが行き届かない部分も散見されます。すぐ隣に、十数年前に建てたアパートがありますが、最近では半分以上が空室で、リノベーションする余裕もありません。

Aさんは、「この資産を引き継いでも負担になる。もっと収益性の高い資産に転換することはできないか?」と悩んでいるのです。

「ご先祖の土地」にこだわる親世代と合理性を求める子世代

運用効率の悪い不動産を売って、より優良な不動産に買いかえることは当然の発想でしょう。

何も活用していない土地(遊休資産)を売って家賃収入を得られるビルを買う、土地を売った資金で金融商品を購入するなど、種類の異なる資産の「買いかえ」、「交換」、「換金」などによって、資産の活用効率を改善したり、より高い収益を生むように転換することを「資産組み換え」といいます。

このような発想があることを伝えても、親御さんには土地を売ることに対する抵抗感が根強く残っています。

しかし、郊外や地方都市では、人口減少と共に地価下落に歯止めがかからなくなるともいわれています。早いうちに手を打たないと、売るに売れない状況に陥り、納税資金も作れなくなる恐れもあるわけです。

売却を検討するべき土地「3つの条件」

「資産組み換え」を検討したほうが良い土地の条件は次の通りです。

1.貸地[借地権の付いた土地=底地(そこち)
2.広すぎる土地(100坪以上など、地域による)
3.築年数が古く空室率が高いアパート(または同様の賃貸マンション)

1の「貸地(=底地)」は、次のようなデメリットがあります。
・他の賃貸事業(アパート・マンション経営など)に比べて収益性が低い
・一般的に相続税評価額が割高になる
・借地権付きという制約があるため、一般の市場では売りにくい

底地取引専門業者もいますが、買い取り価格は低めになり、売却には通常より時間がかかるため、早めに対策を立てることが必要です。

2の「広すぎる土地」は、利用効率が低い割に固定資産税が高いケースが多いようです。徒歩圏に鉄道駅がないなど利便性が悪くて、容積率が200%に満たないようなエリアは、マンション用地にも向きません。

3の「空室率が高い築古アパート」は、長期的に賃貸ニーズを見込めるエリアなら、リニューアルして付加価値を上げれば復活する可能性はあります。賃貸ニーズがあまりない、または将来的に衰退する可能性が高い場合は、早期に売却し別の資産に買いかえたほうが賢明です。

都心は高すぎる?売却資金で買える狙い目エリアとは

保有資産を売って別の資産を買うときには、次の2点が要点になります。ちなみに、相続税を圧縮するには現金資産より不動産のほうが有利なのが一般的です。

□ 収益性・資産価値の低いところから高いところへ
□ 実勢価格より相続税評価額が相対的に低く、相続税の圧縮効果が高い場所・物件へ

上記の2条件を満たすには、「地方都市から大都市へ」「郊外から都心へ」という動きになるのが一般的です。

ただ、何が何でも都心(中心部)を買えばいいというわけではありません。都心に近づくほど価格は高くなり、競合も激しくなります。

そこで、都心周辺部にも目を向けることをお勧めします。たとえば、「ひとつの駅で生活が完結できる利便性の高いエリア」は有望でしょう。人々が集まり、長期的な賃貸ニーズが期待できるからです。

駅としては、神奈川県の「横浜駅」、埼玉県の「大宮駅」など、各県を代表するようなメジャーな駅・ターミナル駅が第一候補です。その他には、ここ数年で発展した、また発展している駅も注目です。「二子玉川駅(東急田園都市線。世田谷区)」や「武蔵小杉駅(東急東横線、JR南武線・横須賀線。川崎市)、「北千住駅(JR常磐線、地下鉄千代田線・日比谷線、東武伊勢崎線、つくばエクスプレス。足立区)」などが挙げられるでしょう。

一方、都心やメジャー駅に近い駅であっても、未整備だったり、魅力に乏しいエリアでは賃貸ニーズが伴いません。

売って買うだけはない「資産組み換え」の多様なスキーム

「資産組み換え」には、同じ場所で「土地から建物へ」という方法もあります。東京郊外に広い敷地の自宅と3つの駐車場を持つBさんの事例を紹介します。

Bさんは、自宅の建て替え費用の借り入れが多額になるため悩んでいました。また、3か所ある駐車場は稼働率が3~4割しかなく、税金を払うと、手元に残るお金はそれほど多くありません。

そこで、駐車場3か所のうち2か所を売却し、その資金で自宅を建て替えることにしました。

3か所に分散していた駐車場契約を1か所に集約することで、契約台数を減らすことなくほぼ100%の稼働になり、税金やメンテナンスの負担が減ったので、収益性もアップしました。

しかも、駐車場の売却代金から自宅の建て替え費用を差し引いて残った余裕資金を活用して、新たに収益不動産を購入する計画もあるそうです。
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このように先祖代々の土地に住み続けながら、収益性の低い一部の土地を売り、別の資産のバリューアップを行うことで、資産内容を改善することも「資産組み換え」の効果の一つです。

次に、収益性の改善を目的に、一般的なセオリーとは反対の「都心から準都心へ」買いかえたCさんの例です(図3)。




Cさんは、都心のタワーマンションに6戸の区分物件(同一棟内)を所有していましたが、維持管理コストが高く、税引き前の収支は満足いくものではありません。

そこで、これらの区分物件を売却し、準都心にある経費率の低い新築木造アパートを購入しました。その結果、税引き前の収支を2倍以上に増やすことができました。
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収益性・資産性を高める「資産組み換え」には、多様なスキームが考えられます。先祖代々受け継いだ土地や相続した家を守るだけでなく、「資産の価値」を守り高めていけるよう、所有している資産の実態に合わせ、収支計画をしっかりと吟味した上で実行してください。

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