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第3回 不動産の土地と建物の値段はどのようにして決まる?

執筆者:塩田 雅人2014年8月29日

不動産の購入金額には土地代と建物代が含まれます。例えば、1億円で物件を購入し、そのうち4,000万円が土地代とするとその残りの6,000万円が建物代ということになります。この土地と建物の金額については、購入時、保有時、売却時のキャッシュフローに大きな影響を及ぼします。

キャッシュフローを左右する、購入時、保有時、売却時の土地代と建物代

まず購入時についてですが、購入時は土地と建物合わせてお金を売主さんへ支払うので、内訳がどうであれ影響ないのでは?と思われるかもしれません。しかし、売主が課税事業者の場合、1点注意が必要です。それは「消費税」です。
消費税法上、土地の売買は非課税取引、建物の売買は課税取引となります(課税事業者ではない個人や免税事業者などが売主の場合を除きます)。冒頭の1億円の物件を例に挙げると、土地4,000万円には消費税が含まれていませんが、建物6,000万円には消費税が含まれるということになります。

もし、みなさんが消費税の「課税事業者」に該当する場合は、建物に含まれている消費税約444万円(6,000万円×8/108)が、本来納めるべき消費税から差し引いてもらえる可能性があります。ですので、購入時には建物金額の高い方が納める消費税も少なくなり、有利ということになるのです。
ちなみに「課税事業者」というのは、消費税の申告をする業者を差します。よく、法人=課税事業者と勘違いされている方が多いのですが、個人でも課税事業者になる可能性は十分ありますのでご注意ください。

次に、保有時についてですが、保有時に土地と建物の金額が影響するのは、「減価償却費」です。減価償却とは、建物の劣化に応じて、建物金額の一部を毎年徐々に経費化していくことを言います。冒頭の例で言うと、建物6,000万円という金額を毎年経費化していくことになります。仮に30年で経費化していくことになれば、1年あたり200万円を経費計上することができます。よって、建物金額が高い方が保有時に経費計上できる金額も多くなり、結果納める税金が少なくなり、手元に残るキャッシュが多くなります。

そして、売却時についてですが、売却時は売却損益の計算に影響が出てきます。

売却損益=売却価額 -(建物簿価+土地簿価+仲介手数料等の売却にかかる経費)

ここで言う「簿価」とは、決算書上の金額という意味です。土地は、基本的に購入時の金額がそのまま維持されます。

一方で、建物は...

建物簿価=購入時の金額 - 毎年の減価償却費計上額の合計額

となります。先ほど述べた通り、建物金額が高いほど保有時の毎年の減価償却費(経費)の金額は大きくなるため、売却時の建物簿価は低くなり、結果、売却益が出やすくなります。よって、取得時の建物金額が高いほど、売却時には売却益が出やすくなり、その分税金が多くとられるので、売却時に残るキャッシュは少なくなります。

話をまとめると...

取得時:(購入時の)建物金額が高い方が有利
保有時:(購入時の)建物金額が高い方が有利
売却時:(購入時の)建物金額が低い方が有利

ということになります。
ではトータルで見ると、建物金額が高い方、低い方の結局どちらが得なのでしょうか。

それは、人によって異なります。取得時に「課税事業者」であり、建物に含まれる消費税が納付額から差し引かれる場合には、トータルで見ても建物金額が高い方が得でしょう。これは、他の事業をされている場合や、取得する個人の方や法人の方がすでにテナントや事務所のビルを保有している場合に多く起きます。

また、そうではなく、初めて不動産を購入する場合や、他の不動産は保有しているが賃貸部分のほとんどが住居になっている場合には、取得時の消費税の話はなくなりますので、保有時と売却時で考えればいいでしょう。投下した資金の回収をできるだけ早くし、保有時のキャッシュフローに重点を置きたい方は建物金額を高くするべきです。

一方で、投資全体でとらえ売却時の納税をできるだけ抑えたいという方にとっては、建物金額を低くする方が得策と言えるでしょう。
自分の状況や目的に合った、土地と建物金額にするよう心がけましょう。

次回は、物件を購入する際に役立つ、本当に儲かっている物件かどうかの考え方について説明します。

執筆者

塩田 雅人

塩田 雅人

不動産投資 専門税理士

不動産投資に関する税務をさまざまな角度(所得税・法人税・消費税・相続税など)から検討し、トータルでサポートを行う。個人所有物件の法人化や消費税の還付に精通。銀行との良好な関係を築き、顧問先の借り換え提案や金利交渉に力を発揮する。

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