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改正は不動産投資にどう影響するのか?

プロに聞く!不動産投資 実践編 不動産投資コラム 不動産投資専門税理士が教える! 知っておきたい不動産投資の税金戦略 自らも不動産投資を実践する“不動産投資専門”の税理士が、自身の経験に基づいた不動産投資における節税戦略を、わかりやすくお教えします。
不動産投資専門税理士 叶 温氏(かなえ ゆたか)叶税理士事務所代表。広告代理店の営業として3年間勤務後、税理士を目指し会計事務所に転職。勤務時代に年収400万円で、1億円のマンションを購入。現在は自社ビルを含む2物件のオーナーでもある。著書『大家さん税理士が教える 不動産投資で効率的にお金を残す方法』(ぱる出版)他。

第7回 相続税、贈与税の改正間近!
改正は不動産投資にどう影響するのか?

2014年02月13日

前回のコラムでは、不動産投資の税金は最初が肝心な理由や税金とうまく付き合う考え方についてお伝えしました。私の最終回のコラムとなる今回は、平成27年に改正が予定されている相続税、贈与税の改正内容についてお伝えします。相続税対策に不動産の活用は欠かせないもの。では、なぜ不動産が相続税対策になるのか、また改正がされれば、不動産投資にどのような影響が出るのかを考察してみますので、相続対策をお考えの方はぜひ参考にしてくださいね。

相続税はどうやって計算されるのか?

平成27年より相続税が改正されることが予定されていますね。今までの相続税は、お亡くなりになった方のうち、3%~4%の方が相続税申告が必要でしたが、この改正により、6%程度に増えると予想されています。では、どのように改正されるのでしょうか?

それを理解するためには、まず相続税がどのように計算されるのかを知っておく必要があります。まず、そもそも相続税の対象になるものはどんな財産なのでしょう?それは次の10の財産です。

  • 現金、預金、有価証券、土地、建物、車、貸付金、絵画・骨董品、生命保険、死亡退職金

逆に相続税の対象にならない財産は次のようなものがあります。

  • お墓、仏具

また、相続財産から差し引けるものは次の2つです。

  • 借入金、葬式費用

では、ここから具体的に例を挙げて見てみましょう。

奥さんと子供が1人いるAさんが亡くなったとします。Aさんは、収益用の土地と建物以外に1億5,394万円の財産を持っているとします。このAさんは、生前に1億5,000万円の借入をして、次のような収益不動産を購入していました。

【物件情報】
購入金額 1億5,000万円
固定資産税評価額 建物:7,000万円 土地:3,000万円 合計:1億円
路線価:10万円 地積:330m2 借地権割合:60% 全室賃貸中

では、まず建物を評価してみましょう。建物の評価には固定資産税評価額を使います。

建物の評価方法:固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)
Aさんの収益マンションの建物:7,000万円×(1-30%×100%)=4,900万円

借家権割合というのは、Aさんがこのマンションに住んでいるわけではないので、Aさんが自由に使えない割合だと考えてください。次に土地の評価をしてみましょう。土地の評価には相続税路線価を使います。

土地の評価方法(貸家建付地):路線価×地積×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
Aさんの収益マンションの土地:10万円×330m2×(1-60%×30%×100%)=2,706万円

借地権割合は、こちらも自分の土地を自由に使えない割合だと考えてください。結局、Aさんの建物と土地を合わせると合計で7,606万円の相続税評価額となりました。

建物4,900万円+土地2,706万円=合計7,606万円

そしてAさんが亡くなった時の残債はまだ1億円ありました。では、Aさんの全相続財産額はいくらになるでしょう?

不動産以外の財産1億5,394万円+収益マンション7,606万円-借入金1億円=1億3,000万円

この1億3,000万円から相続税を計算します。計算過程では、まずこの1億3,000万円から相続税の基礎控除を差し引きます。相続税の基礎控除は、5,000万円+1,000万円×法定相続人の数で計算します。Aさんの場合、奥さんと子供1人ですから、法定相続人は2人。ですから基礎控除は7,000万円になります。

5,000万円+1,000万円×2人=7,000万円

したがって、Aさんの場合は、全相続財産額 1億3,000万円から基礎控除額 7,000万円を引いた6,000万円から相続税を計算します。

全相続財産額 1億3,000万円 - 基礎控除額 7,000万円=6,000万円 (課税対象額)

しかし、平成27年1月1日の相続より、この基礎控除が次のように下がります。

基礎控除額:3,000万円+600万円×法定相続人の数
全相続財産額 1億3,000万円 - 基礎控除額 4,200万円=8,800万円(課税対象額)
基礎控除は現在の60%まで下がってしまうんですね。

次に、計算された6,000万円を、それぞれの相続人が法定相続分で分けたとします。仮に奥さんがすべての財産を相続した場合は、配偶者には次のような税額控除が認められているため、全相続財産が今回のように1億3,000万円の場合、相続税は発生しません。

配偶者の税額控除:1億6,000万円もしくは課税遺産総額の半分以下

しかし、子供が1人ですべての財産を相続した場合は、次のような計算過程により相続税が発生します。

法定相続分で分けた金額:6,000万円×法定相続分1/2=3,000万円
1人分の相続税:3,000万円×相続税率15%-50万円=400万円
2人分の相続税:400万円×2人=800万円

これが、基礎控除が下がることによって、次のように相続税がアップします。

全相続財産額 1億3,000万円-基礎控除額 4,200万円=8,800万円
8,800万円×法定相続分1/2=4,400万円
4,400万円×相続税率20%-200万円=680万円
680万円×2人=1,360万円

なんと基礎控除が下がったことにより、相続税が560万円もアップしました。さらに、平成27年より、相続税率も次のように変わります。

従来の相続税率
課税額 ※従来税率&控除額
1,000万円 以下 × 10%
3,000万円  〃 × 15% -50万円
5,000万円  〃 × 20% -200万円
1億円    〃 × 30% -700万円
3億円    〃 × 40% -1,700万円
3億円   超 × 50% -4,700万円

改正後の相続税率
課税額 ※改正税率&控除額
1,000万円 以下 × 10%
3,000万円  〃 × 15% -50万円
5,000万円  〃 × 20% -200万円
1億円    〃 × 30% -700万円
2億円    〃 × 40% -1,700万円
3億円    〃 × 50% -2,700万円
6億円    〃 × 40% -4,200万円
6億円    超 × 55% -7,200万円

この改正により、今まで相続税が掛からなかった人にも相続税が発生する可能性が高くなり、さらに財産を多く持っている人には相続税率アップにより、増税となるわけです。

不動産が相続税対策になる理由

先ほど、土地と建物の相続税評価の計算方法で説明した通り、1億5,000万円で購入した収益マンションは、相続税評価にすると7,606万円まで下がりましたよね。その理由は、まず建物は実勢価格の約70%といわれる固定資産税評価額で評価されること、そして土地は実勢価格の約80%といわれる相続税路線価で評価されるためです。

さらに、不動産を他人に貸している場合は、借家権や借地権などの、「自由に使えない割合」分を引くことができるため、さらに相続税評価額は下がります。もちろん、固定資産税評価額や、相続税路線価の金額によって、評価額は変動しますが、実勢価格より下がることは間違いありません。

このように、現預金を不動産に変えることによって、相続税の対象金額を下げることができ、その結果として相続税対策になるわけですね。

また、近頃は区分所有の高級タワーマンションを購入することによる相続税対策も多くなっています。土地建物が一体となっている区分所有マンションでも、相続税の評価は土地と建物に分けて行います。高級タワーマンションは低層階と高層階で金額は変わりますよね。その理由は眺望や高層階というブランドでしょう。しかし、低層階でも高層階でも、相続税評価は同じ計算をするので、広さが同じであれば相続税評価額も同じになります。この差を活用すれば、価値の高い高層階を購入したほうが相続税対策としては有効という理論が成り立ちますね。

相続対策の考え方と不動産投資への影響

相続税の改正内容はご説明した通りですが、平成27年より贈与税率も次のように変わります。

贈与税の速算表
基礎控除後の課税価格 現行 改正案
20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合 左記以外の場合
税率 控除額 税率 控除額 税率 控除額
200万円以下 10% 10% 10%
300万円以下 15% 10万円 15% 10万円 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円 20% 30万円 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円 30% 90万円 40% 125万円
1,500万円以下 50% 225万円 40% 190万円 45% 175万円
3,000万円以下 45% 265万円 50% 250万円
4,500万円以下 50% 415万円 55% 400万円
4,500万円超 55% 640万円

基本的な相続税対策の考え方は、相続税率と贈与税率の差を使うことによります。例えば、全相続財産が10億円ある人は、実際に相続が発生すると、相続する人には現在の税率で3億円を超える部分には50%の相続税率が掛かりますよね。でも、事前の対策で毎年500万円ずつの生前贈与をすれば、現在の税率で30%以下の贈与税率で済むことになります。それがまとめて相続すれば50%の税率、贈与すれば30%以下の税率になるわけですから、贈与税を払っても、長期スパンで考えるとより多くお金が残ることがわかりますね。

では、相続税、贈与税が改正されることによって、不動産投資にどのような影響が出ると予想されるでしょう?考えられる影響の1つとしては、今まで相続税が掛からなかった人にも相続税が掛かることによって、不動産の売り急ぎが出ることが考えられます。

なぜなら相続税は原則として、相続発生時から10ヵ月以内に現金一括納付ですので、不動産が財産のほとんどを占めている場合、相続税を払うために不動産を売却しなければ納税資金を準備できないことが考えられるためです。売り急いでいる不動産は、通常よりも安く買える可能性が高いと考えられますので、お金を残したい不動産投資家にとっては、美味しい物件になる可能性が高いでしょう。不動産は株など紙の投資と違って、相対取引で価格も取引内容によって千差万別ですので、だからこそ不動産投資は面白いとも言えますね。

7回に渡って連載させて頂いたコラムも今回が最後となりました。不動産投資の税金について、色々とお伝えしてきましたが、不動産投資は最後は税金との戦いになります。ぜひ、これまでお伝えした税金の知識や考え方をあなたの不動産投資に活かして、効率的にお金を残せるようになってくださいね。では、またお会いしましょう!

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本コラムは、叶 温氏の経験に基づいた解説を中心に、分かりやすい情報を提供するよう努めておりますが、その内容について、弊社が保証するものではございません