
土地を売却した際に課される税金は種類が多く、計算方法や控除の適用ルールもさまざまです。この記事では、土地譲渡に関連する税金の仕組みや正確な計算の流れに加え、申告のスケジュールや手取り額を増やすための特例(節税ルール)を解説しています。さらに、国税庁の資料に基づいたシミュレーションも紹介していますので、土地売却時の税金の不安解消にお役立てください。
1. 土地売却でかかる税金3種類
土地を売却した場合にかかる税金は、売買契約から引渡し完了までの時点によりさまざまあり、その中の主に3種類を解説します。まずは全体像を解説していきましょう。
1-1.譲渡所得税(所得税・住民税)
土地売却でかかるもっとも大きな税金は、「利益×税率」により算定される「譲渡所得税」です。譲渡所得税は、土地を所有した期間の長短により2種類の税率が適用されます。
| 区分 | 所得税 | 住民税 | 合計 |
| 短期 | 30% | 9% | 39% |
| 長期 | 15% | 5% | 20% |
関連記事:譲渡所得税とは?計算方法・3,000万円控除・税金が不要なケースを税理士が解説
1-2.復興特別所得税
2037年まで東日本大震災からの復興の財源として復興特別所得税も別途課税されます。所得税額の2.1%が加算される仕組みとなっており、この復興特別所得税を加えた合計の税率は、以下となります。
・短期:39.63%
・長期:20.315%
1-3.登録免許税・印紙税
土地を売買する際や登記の際にかかる税金です。売買契約書に貼る印紙税は、売主と買主の合意によって負担 割合が決まります。個人がマイホームを売却した際の領収書は、「営業に関しないもの」と判断されるため非課税です。また、登記の際に必要な登録免許税は、住所・氏名変更登記、抵当権抹消登記の場合、原則として売主が負担します。
2. 土地売却の税金はいつ払う?確定申告〜納税スケジュール
土地を売却した場合の確定申告から納税までのスケジュールを解説します。
2-1.所得税は売却した年の翌年に確定申告
譲渡所得税は確定申告の際に納税します。土地を売買した翌年の2月16日~3月15日(申告期限が土・日曜、祝日の場合は、翌日)に、税務署へ申告してください。確定申告は、最寄りの税務署で案内を受けながら申告することも可能です。
2-2.納期限は原則3月15日
納期限の原則は、譲渡した年の翌年3月15日です。なお、振替納税の場合は4月20日頃となり、約1カ月程度遅くなります。また、延納の場合、税金の2分の1は3月15日までに収め、残額は5月31日まで延期することも可能です。
3. 土地売却の税金の計算方法|3つのステップで理解
実際に所得税の確定申告の際に行う譲渡所得の計算方法を解説します。
ステップ1: 譲渡所得の計算
譲渡所得は、以下の計算式で計算します。
譲渡所得=売却価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
「取得費」は売却した不動産を購入したときの価格です。取得費が不明な場合は、概算取得費として売却価額の5%とすることも可能です。「譲渡費用」は、売却の際に必要となる諸経費です。具体的には仲介手数料、測量費、売買契約書の印紙代などが該当します。
ステップ2: 所有期間に応じて税率を適用
所有期間に応じて税率が適用される場合は、以下の計算式で計算します。
税金=譲渡所得×税率
「税率」は、所有期間に応じ長期と短期に区分されます。この所有期間は、短期の場合「5年以下」、長期の場合は「5年超」となります。この所有期間の判定は、「取得した日から譲渡した年の1月1日」により判定します。「売却した日」ではない点に注意しておきましょう。
ステップ3 :特例控除後に税額を算出
譲渡所得の計算では、特別控除を適用することで税負担が下がりますが、要件を満たしていなければ、恩恵を受けられないため、事前の要件チェックが重要です。
4. 【例】1,500万円で土地を売った場合の税金シミュレーション
1,500万円で土地を売った場合について、3つのケースにより税額のシミュレーションを行います。
ケース1:長期保有(5年超)で譲渡益500万円の場合
【前提条件】
・取得費800万円、譲渡費用200万円
・譲渡所得:1,500万円-(800万円+200万円)=500万円
・所得税、復興特別所得税及び住民税の計算:500万円×20.315%=約101万円
ケース2:取得費不明(概算取得費5%)のケース(所有期間5年超)
【前提条件】
・取得費不明、譲渡費用200万円
・取得費の計算:1,500万円×5%=75万円
・譲渡所得の計算:1,500万円-(75万円+200万円)=1,225万円
・所得税、復興特別所得税及び住民税の計算:1,225万円×20.315%=約248万円
ケース3:マイホーム特例を利用した場合
【前提条件】
・取得費300万円、譲渡費用100万円
・譲渡所得の計算:[1] 1,500万円-(300万円+200万円)=1,000万円
・特別控除:[2] 3,000万円(特別控除額)>1,000万円(譲渡所得) ∴1,000万円
・所得税、復興特別所得税及び住民税の計算:([1]-[2])=0円 ∴税金0円
5. 土地売却で使える特例・特別控除一覧|要件と注意点
土地売却による所得税などの負担軽減が期待できる特例・控除制度を解説します。
5-1.3,000万円の特別控除(マイホームを売った場合)
居住用財産(マイホーム)を売却した際には、譲渡所得から最高3,000万円までの特別控除が可能です(過去に住んでいたマイホームも対象)。ただし、特別控除を受けるための要件は、売却される家屋について、自分が所有・居住しており、かつ、その居住しなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する必要があります。
5-2.10年超所有軽減税率
所有期間が10年を超えると税率が下がる制度です。譲渡所得金額が6,000万円以下の場合、税率が14.21%、6,000万円超の部分は、20.315%となります。譲渡所得が8,000万円の場合、税額は約1,258万円です。
5-3.特定居住用財産の買換え特例
マイホームを売った年から一定期間内に新たにマイホームの買換えを行った場合に適用される制度です。要件は「譲渡価額が3億円以下」「所有期間10年超」「居住期間10年以上」などです。この制度は、譲渡益(利益)の課税を将来に繰り延べる制度のため、将来課税されることになります。
5-4.相続土地を売却する場合の特例
都市計画区域内にある一定の低未利用土地等(居住用に利用されていない土地)を500万円以下で売った場合に、譲渡所得の金額から100万円を控除できる制度です。
5-5.事業用資産の買換え特例(いわゆる「事業用」)
特定地域内における土地の譲渡及び取得をし、取得の日から1年以内に新しい資産を事業の用に供した場合、譲渡益の一部に対する課税を将来に繰り延べる制度です。こちらも、課税を将来に据え置く制度のため、譲渡益は非課税にはなりません。
5-6.譲渡損が出る場合の損益通算
マイホームを売って譲渡損が発生した場合、他の所得(給与所得など)の黒字と相殺できる制度です。所有期間が5年を超えるマイホームの譲渡損失の場合に適用され、他のプラスの財産と相殺するため、総所得金額が減り、住民税も減少します。
5-7.各特例の重複適用・ふるさと納税との併用
各特例は重複が不可であり、確定申告も必要です。一方、ふるさと納税は併用可能です。寄附金控除として所得控除される上、土地の譲渡益は課税所得が増えるため、ふるさと納税の控除上限額も増加します。
6. 土地売却でよくある3つの落とし穴
土地売却時の思わぬ落とし穴を3つ紹介します。
6-1取得費が分からなくて損をする
取得費が分からない場合は、5%が取得費、95%が譲渡利益扱いとなるルールがあるため、税負担が非常に重くなってしまいます。こうした事態を防ぐために、まずは購入時の売買契約書や領収書などの関連資料が手元に残っていないか、念入りにチェックしましょう。資料が見つかれば、実際の取得費を計上できるため、税額を大きく抑えられる可能性があります。
6-2.確定申告が不要と思って未申告になる
マイホームの場合、他の所得との損益通算が可能となるため、譲渡損でも一概に確定申告不要とは言い切れません。また、申告不要制度は、所得税の取扱いであり、住民税は申告が必要となります。
6-3.特例を受けられたのに条件を満たさず適用漏れ
特例には適用要件があり、要件を満たしていなければ適用されません。各特例の要件を事前によく確認しておくことが大切です。
7. 土地売却でよくある質問
Q1. 土地を売却した税金はいつ払う?確定申告は必要?
A.土地の譲渡により売却益が発生した場合は、譲渡した年の翌年3月15日までに確定申告と納税が必要となります。
Q2. 土地売却の税金はいくらかかる?簡単に計算する方法は?
A.土地売却にかかる税金は、所有していた期間により、売却益に対し約20%~39%の税金が必要となります。
Q3. 土地売却でも節税できますか?どんな特例が使える?
A.マイホームの3,000万円控除は、条件を満たせば適用できます。
8. まとめ
土地売却にかかる税金は、所有期間の長短により税率が異なり、3,000万円控除をはじめとする各控除の適用には、要件を満たしていることと、確定申告が必要です。売却の検討段階から、各控除の適用要件をよく確認しておきましょう。

税理士
一般企業における経理事務を約25年経験した後、大手税理士法人勤務を経て税理士事務所開業。フリーランス・中小企業専門の税理士として、税務業務のみならず、将来の企業運営も含めた経営サポート業務を提供。また、近年の電子帳簿保存法やインボイス制度への対応も含めたITツールの導入にも積極的に導入サポートを行っている。
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