
親から引き継いだ実家を、売るか残すか迷っている方もいるのではないでしょうか。実家の売却では、名義や相続登記の確認から、仲介・買取の選択、解体の要否、税金まで順に整理する必要があります。
この記事では、空き家・実家の売却を進める流れと、判断に迷いやすいポイントをわかりやすく解説します。
この記事の要点
- 実家はまず売却するか管理を続けるかを整理する
- 売却する場合は仲介・買取などを比較する
- 売却前に名義と相続登記を確認する
- 税金の特例は適用要件や期限の確認が必要
- 判断に迷う段階から仲介会社へ相談できる
1. 使わない実家・空き家をそのままにするとどうなるか
空き家を所有し続けると、税金や維持管理の負担が続きます。老朽化が進む前に今後の方針を整理しておくことが大切です。
1-1.空き家のまま所有し続けた場合にかかる管理コストと固定資産税
使っていない実家でも、所有している間は固定資産税がかかり、地域によっては都市計画税も課されます。
また、空き家の維持には、庭木の手入れや清掃、建物の点検などの費用がかかる場合があります。国土交通省の「令和6年空き家所有者実態調査」では、年間の維持管理費は「10~20万円未満」が16.7%で最も多く、5万円未満の回答を合計すると約5割となっています[出典1]。
空き家を所有し続ける場合は、税金だけでなく、こうした継続的な維持管理費も含めて負担を確認しておくことが大切です。
1-2.老朽化や管理不足で選択肢が狭まっていくリスク
空き家は、雨漏りやシロアリ被害、設備の劣化などが進む場合があります。
また、管理不全空家や特定空家等に指定され、勧告を受けると、住宅用地に適用される固定資産税の軽減措置を受けられなくなる可能性があります[出典2]。
老朽化が進むほど、修繕や解体など必要な対応が増える場合があるため注意が必要です。
1-3.「実家を売るのはつらい」と感じたときの考え方の整理
実家には思い出があり、売却をためらうこともあるでしょう。
ただし、所有を続ければ管理や税負担も続きます。仏壇や思い出の品を先に整理し、気持ちの整理をつけてから家を手放すという考え方もあります。
1-4.親の生前に動く場合と相続後に動く場合の違い
親が健在な場合は、本人の意向を確認しながら今後の方針を検討できます。
相続後は、実家の名義や相続登記を確認し、相続人が複数いる場合は遺産分割協議などが必要になることもあります。
1-5.判断を先延ばししないために最初に確認したいこと
まず、遺言書の有無、実家の名義、相続人の特定、相続登記の状況を確認しましょう。
そのうえで家族・相続人の間で「売却するか、当面所有するか」を整理しておくと、その後の判断を進めやすくなります。
2. 空き家・実家をどうする?売却・管理と売却方法の判断フロー
実家の今後は、順番に選択肢を整理すると判断しやすくなります。
| 判断すること | 検討しやすいケース | 主な確認ポイント |
|---|---|---|
| 売却する | 今後住む予定や活用予定がない | 管理負担、税金、家族の意向 |
| 管理を続ける | 将来住む・活用する可能性がある | 維持費、管理方法、所有期間 |
| 仲介で売る | 購入検討者を探しながら市場価格で売却したい | 査定根拠、売却期間、売却方針 |
| 買取を検討する | 売却活動や内覧対応の負担を抑えたい | 買取価格、売却時期 |
| 建物を残す | 建物を利用できる可能性がある | 建物の状態、再建築の可否 |
| 解体する | 老朽化し、更地需要が見込まれる | 解体費用、税負担、周辺需要 |
2-1.まず「売却するか、当面管理を続けるか」を判断する
今後住む予定や活用計画がない場合は、売却を選択肢として検討できます。
所有を続ける場合も管理や税負担は続くため、「いつまでに方向性を決めるか」を決めておくとよいでしょう。
2-2.売却する場合は仲介会社に相談し、価格の目安と売却方法を確認する
売却を検討する場合は、建物の状態や立地、市場動向を踏まえて、どのような売却方法が考えられるか確認します。
査定価格だけでなく、その根拠や成約事例、想定売却期間なども確認しましょう。
2-3.仲介で売るか、買取を検討するかを判断する
仲介は、仲介会社を通じて購入検討者を探す方法です。
買取は買取業者が直接購入するため、売却活動や内覧対応の負担を抑えやすい一方、仲介での想定成約価格を下回る場合があります。
希望する価格や売却時期を踏まえて比較しましょう。
2-4.一戸建ては建物を残して売るか、更地にして売るかを検討する
建物を利用できる可能性がある場合は、そのまま売却する方法があります。
一方、老朽化が進み、建物を残して売却するよりも、新築を前提とする土地需要のほうが見込まれる場合は更地も選択肢です。ただし、更地にすれば必ず売れやすくなるとは限りませんし、解体費がかかることも踏まえて検討する必要があります。
2-5.建物の状態・立地・相続人の合意・時間的制約を判断材料にする
建物の状態や立地、相続人の合意状況、希望する売却時期などを整理して判断しましょう。
相続登記や一部の税制特例には期限があるため、手続き時期の確認も必要です。
3. 空き家・実家を売却する流れと事前に整えておく権利関係
実家の売却は、名義・相続登記の確認から、査定、仲介会社との媒介契約、売却活動、売買契約、決済・引渡しの順で進みます。
3-1.名義と相続登記の確認(共有名義・未登記建物がある場合)
実家の名義が亡くなった親のままになっている場合は、売却前に相続登記を行います。
令和6年4月から相続登記は義務化され、不動産を相続したことを知った日から3年以内の申請が必要です。令和6年4月以前の相続も対象となります[出典3]。
相続した不動産の売却で必要になる書類や、相続登記を含む準備については、「不動産売却に必要な書類ガイド【2026年版】」でも詳しく解説しています。
共有名義や未登記建物がある場合は、必要に応じて仲介会社を通じて司法書士などへ確認しましょう。
3-2.相場を調べ、査定を依頼して価格の目安をつかむ
名義の整理と並行して査定を依頼し、売却価格の目安を確認します。
査定価格は成約価格を保証するものではありません。価格の根拠となる成約事例や市場動向も確認しましょう。
3-3.仲介会社を決めてから売却活動・内覧対応までの進め方
仲介会社が決まったら、売却を依頼するための契約を結びます。
契約の種類には、一般媒介・専任媒介・専属専任媒介があり、複数社への依頼可否やレインズへの登録義務などが異なります。
それぞれの違いや専任媒介の仕組みについて詳しく知りたい方は、関連記事「専任媒介とは?2026年版の徹底解説と選び方」もあわせて確認してみてください。
その後、サイトへの掲載や広告を通じて売却活動を行い、内覧に対応します。
3-4.売買契約・決済・引渡しと、売却後に必要な手続き
購入検討者との条件が整ったら売買契約を結びます。
決済・引渡しでは、売買代金の受け取りや所有権移転登記、鍵の引渡しなどを進めます。
譲渡所得が生じた場合は、確定申告が必要になることがあります。
3-5.遠方の実家で現地に行きにくいときの進め方
遠方の場合は、内覧対応や鍵の管理、残置物への対応、代理人を活用する手続きなど、仲介会社に確認しておきましょう。
オンラインや郵送で進められる手続きの範囲も確認すると安心です。
4. 一戸建て・土地・マンション別|売却前に確認しておきたいこと
物件の種類によって、売却前に確認するポイントは異なります。
なお、相続した物件に住宅ローン残債がある場合は、物件種別にかかわらず金融機関へ契約内容を確認しましょう。被相続人が団体信用生命保険に加入していた場合は、契約条件によってローン残債が返済されることがあります。
4-1.一戸建て|残置物の処分や片付けを進める際の注意点
建物の劣化や設備の状態、雨漏り、シロアリ被害などを確認します。
家具や家電などの残置物についても、撤去が必要か、現状のまま引渡せるかを仲介会社へ確認しましょう。
4-2.一戸建て・土地|境界・越境・付帯設備など事前に確認しておきたい点
隣地との境界や接道状況を確認します。
確定測量図や現況測量図、境界確認書などがあれば仲介会社へ共有しましょう。接道状況や再建築の可否も売却条件に関わります。
4-3.一戸建て|建物を残して売るか、解体して売るかの判断ポイント
老朽化した建物は、残したまま売るか、更地にするかを比較します。
解体費用や固定資産税への影響、地域の土地需要なども踏まえて判断しましょう。
4-4.土地|現況や利用状況など売却前に確認しておきたい点
空き地や駐車場など、現在の利用状況によって確認事項や引渡し条件が異なる場合があります。
駐車場として貸している場合や第三者が利用している場合は、利用契約の内容や明渡し時期なども事前に確認しておきましょう。
4-5.マンション|管理費・修繕積立金など売却までに確認しておきたい点
管理費・修繕積立金の支払い状況や、長期修繕計画、大規模修繕の実施状況などを確認します。
総会議事録や重要事項調査報告書などの資料も準備しておくと、購入検討者への説明や売却手続きを進めやすくなります。
5. 空き家・実家の売却で後悔しないための注意点と費用・税金の全体像
売却にかかる費用と税金を把握し、特例の適用条件も確認しておきましょう。
5-1.売却にかかる費用の内訳(仲介手数料・解体費・測量費など)
売却時には、仲介手数料のほか、必要に応じて測量費、解体費、印紙税などがかかります。
印紙税は、令和9年3月31日までに作成される不動産譲渡契約書について軽減措置があります[出典4]。
5-2.3,000万円特別控除・相続空き家特例など、売却時に確認したい税金と特例
マイホーム(居住用財産)で一定の要件を満たす場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります[出典5]。
相続した空き家にも、一定の要件で特別控除を受けられる制度があります[出典6]。
適用条件は売却時期や建物の状況などによって異なるため、個別に確認しましょう。
5-3.確定申告が必要になるケースの見極め方
売却で譲渡所得が生じた場合は、原則として確定申告が必要です。
3,000万円特別控除などの特例を利用する場合も申告手続きが必要です[出典5]。
5-4.価格設定で後悔しないための相場の押さえ方
売出価格は、査定価格だけでなく、周辺の成約事例や売出事例、地域の需要などを踏まえて検討します。
価格を設定した根拠や、今後の見直し方針まで確認しておきましょう。
5-5.実家が売れないときに見直す3つのポイント(価格・売り方・買取の併用)
問い合わせや内覧が少ない場合は、価格だけでなく、掲載写真や物件情報、売却活動の内容も見直します。
希望する売却時期によっては、買取を選択肢に加える方法もあります。
6. 空き家・実家の売却で迷ったら、査定と売却相談から始める
判断に迷う場合は、査定で価格の目安を確認し、売却方法について相談するところから始めましょう。
6-1.まずは無料査定で「いくらで売れそうか」を確認する
売却を決めていない段階でも、査定によって価格の目安や今後の進め方を整理できます。
査定価格だけでなく、物件の状態や市場動向を踏まえた売却方法も確認しましょう。
6-2.空き家・実家の売却相談でできること(買取・解体・残置物の整理の相談を含む)
仲介会社には、査定だけでなく、買取、解体、残置物の整理などについても相談できます。
相続や共有名義、換価分割など法律・税務の確認が必要な場合は、仲介会社から司法書士や税理士などの専門家の紹介を受けられることもあります。
また、売却時期や資金計画、購入検討者との条件調整、契約から引渡しまでの支援内容も、仲介会社を選ぶ際の判断材料になります。
野村の仲介プラスでは、ノムコムを通じて査定や売却相談を申し込むことができます。
7. まとめ
実家や空き家の売却では、まず所有を続けるか売却するかを整理し、そのうえで仲介・買取、建物を残すか解体するかを検討します。
相続登記や税金、物件の状態によって必要な対応は異なります。売却を決めきれていない段階でも、査定や相談を通じて選択肢を確認しておくと判断しやすくなります。
8. よくある質問(FAQ)
住まない実家はそのまま所有し続けるより売却したほうが良いのでしょうか。
一概に売却したほうがよいとは限りません。今後の活用予定や維持管理の負担、固定資産税、家族の意向などを踏まえて判断します。
活用予定がない場合は、所有を続けた場合の負担と売却した場合の条件を比較し、今後の方針を検討するとよいでしょう。
実家を売却する場合、どのような流れで進めますか。
まず名義や相続登記の状況を確認し、必要な手続きを行います。その後、仲介会社へ査定を依頼し、売却方針を決めて仲介会社と契約し、売却活動・内覧対応を進めます。
購入検討者と条件が整ったら売買契約を結び、決済・引渡しへ進みます。物件の状態によっては、解体や残置物の整理などを並行して検討する場合もあります。
実家を売却する際にはどのような税金や費用がかかりますか。
実家の売却では、仲介手数料や印紙税のほか、物件の状況に応じて測量費や解体費用などがかかる場合があります。
また、売却によって譲渡所得が生じた場合は、所得税・住民税の対象になります。一定の要件を満たすと特別控除などを利用できる場合もあるため、詳しい適用条件は国税庁の情報などで確認しましょう。
実家を売却するのがつらいと感じる場合、どう考えればよいでしょうか。
実家には思い出があるため、売却に迷いや抵抗を感じることもあります。すぐに結論を出す必要はなく、まずは家族で今後の活用予定や管理方法について話し合ってみるとよいでしょう。
そのうえで、所有を続ける場合の負担や売却した場合の条件などを整理し、必要に応じて仲介会社へ相談しながら選択肢を確認すると、今後の方向性を考えやすくなります。
実家が遠方にあり現地に出向くのが難しい場合はどうすればよいですか。
遠方に住んでいる場合でも、査定や一部の手続きについて、オンラインや郵送で対応できることがあります。
ただし、内覧対応や鍵の管理、残置物の整理など、どこまで対応してもらえるかは仲介会社によって異なります。相談時に、現地へ行く必要がある場面や対応可能な範囲を確認しておくとよいでしょう。
9. 出典
- [出典1] 令和6年空き家所有者実態調査結果|国土交通省
- [出典2] 国土交通省|住宅:空き家対策 特設サイト
- [出典3] 相続登記の申請義務化について|法務省
- [出典4] 不動産売買契約書の印紙税の軽減措置|国税庁
- [出典5] No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁
- [出典6] No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁
※ 掲載内容は執筆時点の情報です。最新情報は各関係機関の公式ホームページをご確認ください。
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