
内覧を控えていると、「何を準備すればよいか」「当日は在宅した方がよいか」など、対応に迷うことがあります。内覧の申し込みが少ない場合も、どこを見直すべきか判断しにくいことがあります。
この記事では、内覧前の準備、掲載写真・ホームステージング、当日の対応、反響が伸びない場合の見直し方を整理します。
この記事の要点
- 内覧前は玄関・水回り・リビングなどを整え、居住中はにおい・生活用品への配慮、空室は傷や設備の状態を確認
- 掲載写真やホームステージングは、物件の状態や暮らし方を伝える方法の一つ
- 内覧当日は、案内方法や役割分担を仲介会社と確認し、質問には分かる範囲で事実を伝える
- 反響が伸びない場合は、価格・写真・広告内容と内覧後の反応をあわせて見直す
1. 内覧の役割と売却活動の中での位置づけ
内覧は、購入検討者が広告や写真だけでは分からない間取りや日当たり、室内の状態などを実際に確認する機会です。
1-1.内覧で購入検討者が確認するポイント
内覧では、写真や間取り図だけでは分かりにくい点も確認されます。主な例は次のとおりです。
| 確認されやすい点 | 具体例 |
|---|---|
| 室内の印象 | 明るさ・広さの感じ方 |
| 収納 | 使いやすさ・容量 |
| 動線 | 家具配置・部屋のつながり |
| 騒音 | 道路の交通音や隣接住戸から聞こえる音など |
1-2.売り出しから成約までの流れと内覧が入るタイミング
売出価格の設定・広告掲載 → 問い合わせ → 日程調整 → 内覧 → 購入申込→条件確認・交渉 → 売買契約、という流れが一般的です。
内覧は、広告や写真で得た情報を実際の物件で確かめ、購入をさらに検討するか判断する材料の一つになります。
1-3.内覧件数の目安と購入検討者が重視するポイント
内覧件数に全国共通の目安はなく、価格や立地、築年数、間取り、周辺の競合状況などによって異なります。国土交通省の『令和7年度住宅市場動向調査』では、中古戸建住宅・中古集合住宅ともに『価格が適切だったから』が主な選択理由となっています[出典1]。
価格に加え、駅や買い物施設へのアクセスといった生活の利便性や、購入後の維持・修繕にかかる費用も、購入検討者が判断する際のポイントになります。
1-4.内覧の申し込みが少ないときに見直したいポイント
内覧の申し込みが少ない場合は、理由を一つに決めつけず、次の点を確認します。
| 見直す項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 売出価格 | 周辺相場と大きく離れていないか |
| 掲載写真・物件情報 | 特徴が伝わっているか |
| 広告 | 掲載状況や情報の伝え方に問題がないか |
問い合わせ状況もあわせて確認し、どこを見直すか仲介会社と整理すると進めやすくなります。
1-5.居住中と空室では内覧準備のポイントが異なる
内覧準備のポイントは、居住中と空室で異なります。居住中は生活感やにおい、空室は家具が無い分、傷や汚れ、室内全体の状態が目立ちやすくなります。具体的な準備は3章で紹介します。
2. 掲載写真とホームステージングで物件の魅力を伝える
掲載写真は、購入検討者が物件の特徴を知るための情報の一つです。撮影前に室内を整え、必要に応じてホームステージングを取り入れると、状態や暮らし方を伝えやすくなります。
2-1.掲載写真で確認されやすいポイント
掲載写真では、室内の広さや明るさ、設備の状態などが確認されます。 暗さや物の多さで室内の様子が分かりにくくならないよう、撮影前に整理しておくとよいでしょう。
2-2.撮影前に売主が準備しておきたいこと
撮影前は、床やテーブルの上、洗濯物や日用品などをできる範囲で整理します。
リビング、水回り、収納、バルコニーからの眺望など、どこを撮影するかは仲介会社と共有しておくと準備すべき範囲を整理しやすくなります。
写真撮影などの支援内容は、依頼する仲介会社に確認しておくとよいでしょう。
2-3.ホームステージングとは
ホームステージングは、売却活動時に家具やインテリア小物などで室内を整え、部屋の使い方や暮らし方をイメージしやすくする手法です。 実際に家具を配置するほか、既存の家具を生かす方法もあります。
ホームステージングについては、「物件にさらなる付加価値がつく!?ホームステージングを活用した販売方法とは?」にて詳しく解説しています。
2-4.居住中と空室でホームステージングを使い分ける
居住中と空室では、ホームステージングの取り入れ方が異なります。
| 状態 | 主な方法 |
|---|---|
| 居住中 | 既存家具の整理・配置調整 |
| 空室 | レンタル家具や小物を配置する方法など |
2-5.バーチャルホームステージングを利用する場合の注意点
物件写真に家具やインテリアを合成する「バーチャルホームステージング」もあります。 家具の搬入・撤去を伴わない一方、加工後の写真と実際の室内では見え方が異なる場合があります。
利用する場合は、加工画像であることの表示方法や掲載ルールを仲介会社に確認しておくとよいでしょう。
3. 内覧前に確認したい準備ポイント
内覧前は、玄関・リビング・水回りなどの状態を整え、質問に備えて必要な資料も準備しておきます。ここでは、共通の確認事項と居住中・空室それぞれの注意点、清掃やリフォームの必要性、整理しておきたい資料を紹介します。
3-1.居住中・空室で共通して確認したい室内の状態
居住中・空室のどちらでも、内覧前に確認しておきたい室内の状態は次のとおりです。
| 場所 | 確認ポイント |
|---|---|
| 玄関 | 床・壁・ドアまわりの汚れや傷 |
| リビング | 床・壁・窓まわりの汚れや傷 |
| 水回り | 水垢・カビ・におい・設備の状態 |
| 収納 | 扉・棚板などの状態 |
| バルコニー | 床・窓まわりの汚れ |
3-2.居住中は生活用品・におい・明るさを整える
居住中は、洗濯物や日用品など人に見せたくない物をできる範囲でまとめます。 内覧前には換気を行い、必要に応じて照明を点けるなど、室内の状態が分かりやすい環境を整えると内覧対応を進めやすくなります。
住みながら家を売る際の進め方については、「住みながら家を売る完全ガイド!不動産会社選び~売るコツを網羅」で詳しく解説しています。
3-3.空室は傷や汚れ、設備の状態を確認する
空室では家具や荷物が少ない分、壁や床の傷、設備の不具合などが目につきやすい場合があります。目立つ汚れや設備の状態を確認し、修繕の要否に迷う場合は仲介会社へ相談する方法もあります。
3-4.ハウスクリーニングやリフォームは必要性を見極める
内覧前に大がかりなリフォームが必ず必要とは限りません。目立つ汚れや設備の不具合への対応は、費用と想定価格を踏まえ、着手前に仲介会社と相談すると判断しやすくなります。
3-5.内覧前に整理しておきたい資料
内覧時の質問に備え、物件の状態が分かる資料も整理しておくと、購入検討者からの質問への対応がスムーズになります。
| 物件・状況 | 資料の例 |
|---|---|
| マンション | 管理規約・長期修繕計画・修繕積立金に関する資料・リフォーム履歴 |
| 一戸建て | 設備の保証書・修繕、リフォーム履歴・点検記録(シロアリ、防蟻、防水等) |
また、建物状況調査(インスペクション)を実施している場合や、一定の要件を満たす「安心R住宅」に該当する場合は、その内容が分かる資料もあわせて整理しておくとよいでしょう[出典2]。
不動産売却で必要になる書類については、「不動産売却に必要な書類ガイド【2026年版】」にて詳しく解説しています。
4. 内覧当日の対応:段取り・案内・伝え方
内覧当日は、案内方法や質問への対応を仲介会社と確認し、設備や建物について聞かれた際は、分かる範囲で事実を伝えられるようにしておきます。
4-1.内覧の日程は無理のない範囲で調整する
内覧希望が入ったら、売主側の予定と購入検討者の希望をすり合わせます。内覧対応が負担になる場合は、対応できる曜日・時間帯をあらかじめ相談しておくと、無理なく続けやすくなります。
4-2.内覧直前に室内の状態をチェック
内覧直前は、照明・カーテン・換気・空調などを確認します。ペットや小さな子どもがいる場合も、室内を見てもらいやすいよう過ごし方を事前に決めておくと対応しやすくなります。
4-3.案内方法と売主の役割を仲介会社と確認する
誰がどこまで案内するかは、あらかじめ仲介会社と共有しておくとスムーズです。設備の使用状況や周辺の暮らしなど、実際に住んでいるから分かる情報を補足します。分からないことは推測せず、確認してから回答します。
4-4.設備の不具合や建物の状態は正確に伝える
設備の状態や修繕履歴、建物の不具合について把握している内容は、仲介会社とも共有し、事実に沿って伝えることが重要です。
国土交通省では、既存住宅の取引時に情報提供を充実させる仕組みを設けています。建物状況調査を実施している場合は、結果の概要も重要事項説明の対象となります[出典3]。
内覧時にすべてを説明しきる必要はありませんが、購入判断に関わる情報は仲介会社と確認しながら伝えます。
4-5.価格や条件の相談は仲介会社を通じて整理する
価格や引渡し時期について質問された場合は、その場で決めず、購入検討者の希望を仲介会社から確認したうえで売主側の条件と整理します。
5. 内覧後のフォローと、反響が伸びないときの見直し
内覧後は、購入検討者の反応を売却活動の見直し材料にします。件数だけでなく、価格・物件条件・情報の伝わり方などを仲介会社と整理します。
5-1.内覧後に確認したい購入検討者の反応
内覧後は、評価された点や迷われた点を、仲介会社を通じて可能な範囲で確認します。見送り理由が分かれば、今後の売却活動を見直す材料になります。
一人の反応だけで判断せず、複数の内覧で共通する傾向がないかを見ることもポイントです。
5-2.2回目の内覧・再訪の申し込みが入ったときの確認事項
再訪の希望があった場合は、前回確認していた点と今回確認したい内容を仲介会社に聞いておくと準備しやすくなります。
寸法・収納・設備など、確認事項を事前に共有してもらい、対応できる範囲を整理しておきます。
5-3.内覧は入るのに検討が進まない場合に見直すポイント
内覧後の検討が進まない場合は、購入検討者の反応や比較されている物件を仲介会社に確認し、価格・建物状態・設備・間取り・日当たり・内外装の印象など、競合物件との差を整理します。
主な見直し候補は以下のとおりです。
| 状況 | 見直し候補 |
|---|---|
| 建物状態への不安が多い | 建物状況調査の実施など |
| 室内の印象が弱い | 清掃・整理・ホームステージング |
| 競合物件との差が大きい | 売出価格や販売条件 |
| 内覧は多いが検討が進まない | 内覧者の反応や比較されている物件を確認 |
すぐに価格を下げるのではなく、まずは価格以外で改善できる点がないかを確認し、それでも競合物件との差が埋まりにくい場合に、売出価格の見直しを検討する流れが考えられます。
内覧件数が多くても、すべての購入検討者が有力候補として見ているとは限りません。具体的な検討へ進まない状態が続く場合は、内覧者の反応や一緒に比較されている物件も仲介会社へ確認するとよいでしょう。
6. 内覧準備を仲介会社と進める
内覧準備では、片づけや清掃に加え、仲介会社の売却支援サービスを利用できる場合があります。物件の状態や居住状況に合う支援があるか、販売活動を始める際に確認しておくと進めやすくなります。
6-1.写真撮影や広告掲載の進め方を確認する
写真や広告をどのように掲載するかも、売却活動の確認ポイントです。撮影箇所や準備範囲を仲介会社と共有しておくと、対応内容を整理しやすくなります。 撮影方法や広告掲載の内容は仲介会社によって異なるため、具体的な対応範囲は依頼先で確認が必要です。
6-2.片づけ・清掃・ホームステージングの支援を確認する
自分だけで内覧準備を進めるのが難しい場合は、仲介会社の支援サービスを確認する方法もあります。 「野村の仲介プラス」では、ホームステージング、ホームクリーンアップ、ハウスクリーニング、荷物一時預かりなどの売却サポートを用意しています。対象物件や利用条件があるため、希望する場合は担当者への確認が必要です。
▶野村の仲介プラスの売却サポートサービスについてはこちら
6-3.内覧準備も含めて売却方針を相談する
売却相談では、査定価格だけでなく、販売活動の予定や写真撮影・内覧準備で受けられる支援も確認できます。 大がかりなリフォームや清掃を行うべきか迷う場合も、費用をかける前に相談すると判断材料を整理しやすくなります。 「野村の仲介プラス」では不動産の売却相談や無料査定を受け付けており、売出価格や販売方法について相談する際の選択肢の一つです。
7. まとめ
内覧前は、清掃や整理整頓に加え、購入検討者が物件の状態を確認しやすい環境を整えることがポイントです。居住中と空室では、確認したい項目も異なります。
内覧後は一度の反応だけで判断せず、複数の意見や周辺の価格情報も参考に、価格・掲載情報・見せ方などを見直します。準備や対応に迷う場合は、利用できる支援も含めて仲介会社へ相談すると進め方を整理しやすくなります。
8. よくある質問(FAQ)
内覧のとき売主は在宅していたほうがよいですか?
売主が必ず在宅する必要があるとは限りません。案内方法は仲介会社によって異なるため、事前に役割分担を確認しておくと安心です。
売主が同席する場合は、設備の使い方や周辺の暮らしなど、実際に住んでいるからこそ分かることを聞かれた際に補足する程度にすると、購入検討者も室内を確認しやすくなります。
住みながら売却する場合、内覧前に何を準備すればよいですか?
居住中は、洗濯物や日用品をできる範囲で整理し、室内のにおいや明るさも確認します。
すべての生活感をなくす必要はありません。購入検討者が室内の広さや設備の状態を確認しやすいよう、床やテーブルまわりなどを中心に整えておくことがポイントです。
内覧の申し込みが少ない場合、何を見直せばいいですか?
理由を価格だけに決めつけず、売出価格、掲載写真・物件情報、広告の掲載状況などを確認します。
周辺の取引価格も参考にしながら、見直す余地がある部分を仲介会社と整理するとよいでしょう。
内覧後に購入を見送られた場合、理由は確認したほうがよいですか?
可能であれば、仲介会社を通じて購入検討者の反応を確認します。
価格、間取り、設備、立地など、どの点が検討に影響したのかが分かれば、今後の販売活動を見直す材料になります。一つの反応だけで判断せず、複数の内覧で共通する傾向がないか確認することも大切です。
掃除や整理整頓以外に、内覧前に準備しておくことはありますか?
管理や修繕、設備の状態が分かる資料を整理しておくと、購入検討者から質問があった際に確認しやすくなります。
建物状況調査(インスペクション)を実施している場合は、その結果が分かる資料も整理しておくと確認しやすくなります。インスペクションでは、住宅の基礎や外壁などについて、ひび割れや雨漏りなどの劣化・不具合の有無を確認します[出典2]。
9. 出典
[出典1]国土交通省「住宅市場動向調査」
[出典2]国土交通省「安心R住宅」
[出典3]国土交通省「既存住宅流通について(建物状況調査(インスペクション)活用に向けて)」
※ 掲載内容は執筆時点の情報です。最新情報は各自治体・関係機関の公式ホームページをご確認ください。

株式会社あゆみリアルティーサービス 代表取締役
三菱UFJ信託銀行にて、富裕層向け不動産コンサルティングやファイナンス業務などに17年間従事。2009年に株式会社あゆみリアルティーサービスを設立。宅地建物取引士、1級FP技能士、公認不動産コンサルティングマスターなどの資格を有し、現在は不動産相続・投資コンサルティングや空き家再生事業、不動産売買仲介などを幅広く手掛ける。ビルオーナー、地主・設計会社・不動産会社との顧問契約も多数。金融と不動産の実務を融合させた、実用性の高い提案を得意とする。経営学修士(MBA:早稲田大学大学院)、現在、早稲田大学大学院博士課程に在籍中。
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