福岡オフィス市場および賃貸マンション市場の現況と展望(2026年)

福岡オフィス市場および賃貸マンション市場の現況と展望(2026年)

福岡のオフィス市場では、大規模ビルの竣工に伴い高水準の新規供給が続く一方、立地改善や設備のグレードアップを目的としたオフィス需要は旺盛であり、空室率は低下し、成約賃料も上昇している。本稿では、福岡のオフィス市況を概観した上で、2030年までの賃料予測を行う。
また、福岡の賃貸マンション市場では、コロナウイルス感染拡大直後、空室が増加したものの、足元では改善に向かっている。本稿では、賃貸マンション市場を取り巻く需給環境を確認した後、賃貸マンション指標(空室率・平均支払賃料・EGI(Effective Gross Income))の現況および今後の展望について概観する。


【サマリー】

オフィス市場

  • ● 福岡市では、人口の転入超過が継続しており、福岡県の就業者数も増加が続いている。また、「企業の経営環境」は一進一退の動きをみせているものの、「雇用環境」については情報サービス業を中心に人手不足感が強い。以上を鑑みると、福岡市のオフィスワーカー数が大幅に減少する可能性は小さいと考えられる。ただし、AIによる業務代替等に伴い、採用を抑制する動きもみられることから、引き続き動向を注視したい。
  • ● 福岡では、コロナ禍を経てハイブリッドワークが普及するなか、多様な働き方に対応したオフィス利用や拠点配置を検討する企業の増加が予想される。また、半導体投資の拡大や「金融・資産運用特区」の指定に伴い、企業進出が活発化することで、福岡のオフィス需要の拡大が期待される。
  • ● 一方、福岡市では「天神ビッグバン」プロジェクトや「博多コネクティッドボーナス」を背景に、多くの大規模開発が進行中である。今後3年間の総ストック量に対する供給割合は、主要地方都市の中で札幌市に次いで高い水準となる見通しである。
  • ● 福岡におけるオフィス新規供給量は高水準となる一方、オフィス需要は底堅いことから、空室率は上下に変動しながらも、概ね横ばいで推移すると予測する。2025年の賃料を100とした場合、2026年は100、2027年は101、2030年は103となる見通しである。

賃貸マンション市場

  • ● 福岡の賃貸マンション市場については、人口の転入超過や学生数の増加等に支えられ、需要は堅調であり、EGIはコロナ禍前を上回る水準にある。
  • ● 福岡市では、人口の転入超過が継続する一方、住宅着工戸数(借家・共同住宅)も建築コストの高騰が下押し要因となり、大幅に増加する可能性は低いと見込まれる。空室率は改善に向かい、EGIは引き続き上昇基調で推移することが予想される。

Ⅰ.福岡オフィス市場の現況と展望

ⅰ.福岡オフィス市場の現況

三幸エステートによると、福岡市の空室率(2026年7月時点)は4.5%(前年比▲0.7ppt)となった(図表1)。「天神ビジネスセンターⅡ」などの大規模ビルが竣工した一方、人材確保や従業員満足度の向上などを目的に、立地改善や建物設備のグレードアップを図るオフィス需要が旺盛であり、空室率は前年から低下した。
福岡市の空室率を規模(注1)別にみると、「小型」は4.5%(前年比▲1.7ppt)、「中型」は4.2%(同▲0.8ppt)、「大型」は2.8%(同▲1.0ppt)、「大規模」は5.3%(同▲0.4ppt)となり、すべての規模が前年から低下した(図表1)。
2025年の空室率と成約賃料の動き(前年比)を主要都市で比較すると、空室率は東京都心5区、大阪市、名古屋市、仙台市で低下した一方、福岡市と札幌市はやや上昇となった。また、成約賃料はすべての都市で上昇した(図表2)。
賃料と空室率の関係を表した福岡市の賃料サイクル(注2)は、2012年下期を起点とする「空室率低下・賃料上昇」の局面から、「空室率上昇・賃料下落」の局面へ移行していた。しかし、足元では再び「空室率低下・賃料上昇」の局面に移行し、新たな賃料サイクルに入りつつある(図表3)。

【図表1】福岡オフィスの規模別空室率
202610_04_image01.jpg(出所)三幸エステートのデータをもとにニッセイ基礎研究所作成
【図表2】主要都市のオフィス成約賃料(東京都心5区除く)(オフィスレント・インデックス)
202610_04_image02.jpg(出所)三幸エステート・ニッセイ基礎研究所「オフィスレント・インデックス」
【図表3】福岡オフィス市場の賃料サイクル
202610_04_image03.jpg(出所)空室率:三鬼商事、賃料:三幸エステート・ニッセイ基礎研究所

1 三幸エステートの定義による。大規模ビルは基準階面積200坪以上、大型は同100~200坪未満、中型は同50~100坪未満、小型は同20~50坪未満。
2 賃料サイクルとは、縦軸に賃料、横軸に空室率をプロットした循環図。通常、①空室率低下・賃料上昇→②空室率上昇・賃料上昇→③空室率上昇・賃料下落→④空室率低下・賃料下落、と時計回りに動く。

ⅱ.福岡オフィス市場の需要見通し

(Ⅰ)オフィスワーカー数の見通し

住民基本台帳人口移動報告によると、福岡市では長期にわたり転入超過が続いており、2025年の転入超過数は+8,175人(前年比▲4%)となった(図表4)。また、2025年の福岡県の就業者数は269.3万人(前年比+4.3万人)となり、15年連続で前年を上回った(図表5)。

【図表4】主要都市の転入超過数
202610_04_image04.jpg(出所)総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」をもとにニッセイ基礎研究所作成
【図表5】福岡県の就業者数
202610_04_image05.jpg(出所)総務省「労働力調査」をもとにニッセイ基礎研究所作成

以下では、福岡のオフィスワーカー数を見通すうえで重要となる福岡財務支局管轄下の3県(福岡県・佐賀県・長崎県)における「企業の経営環境」と「雇用環境」について確認したい。
内閣府・財務省「法人企業景気予測調査」によれば、「企業の景況判断BSI(注3)」(福岡財務支局)は、コロナ禍を受けて2020年第2四半期に「▲53.7」と一気に悪化した。その後は、改善と悪化を繰り返しながら推移し、2026年第2四半期は「+1.7」となった(図表6)。
また、「従業員数判断BSI(注4)」(福岡財務支局)は、新型コロナウイルス感染拡大後、「+22.5」(2020年第1四半期)から「+5.2」(第2四半期)へ大幅に低下した。その後は順調に回復し、現在は「+22.6」となり、人手不足感が強い状況が継続している(図表7)。
帝国データバンク「福岡県・人手不足に対する企業の動向調査(2026年1月)」によれば、正社員の人手不足を感じている企業の割合は58%となり、業種別では「情報サービス」が最も高く、87%を占めた。

【図表6】企業の景況判断BSI(全産業)
202610_04_image06.jpg(出所)内閣府・財務省「法人企業景気予測調査」をもとにニッセイ基礎研究所作成
【図表7】従業員数判断BSI(全産業)
202610_04_image07.jpg(出所)内閣府・財務省「法人企業景気予測調査」をもとにニッセイ基礎研究所作成

一方、西日本新聞が九州の主要企業を対象に実施した2027年春の採用計画調査によれば、2026年度と比べて採用人数を「減らす」(23%)との回答が、「増やす」(16%)との回答を上回った。その理由として、中東情勢などを背景とした先行き不透明感の高まりに加え、AIによる業務代替などが挙げられている(注5)。福岡商工会議所の調査によれば、福岡市の中小企業を中心とする地場企業の約6割(注6)が、生成AIの活用に前向きな姿勢を示した。今後は、AIを活用した業務効率化や省人化がさらに進展すると考えられる。
福岡市では人口の転入超過が継続しており、福岡県の就業者数も増加している。また、「企業の経営環境」は一進一退の動きをみせているものの、「雇用環境」については情報サービス業を中心に人手不足感が強い。以上を鑑みると、福岡市のオフィスワーカー数が大幅に減少する可能性は小さいと考えられる。ただし、AIによる業務代替などに伴い、採用人数を前年より抑制する動きもみられることから、引き続き動向を注視したい。

(Ⅱ)福岡県内企業におけるオフィス環境整備の方針

総務省「通信利用動向調査」(企業編)によれば、九州・沖縄地方に所在する企業にテレワークの導入状況を尋ねたところ、「導入している」との回答割合は、2019年の13%から2020年の37%へ大幅に上昇した(図表8)。その後は4割程度で推移しており、九州・沖縄地方において、テレワークが一定程度定着していることがうかがえる。こうした状況を受けて、福岡市ではテレワークを取り入れた柔軟な働き方(ハイブリッドワーク)が広がりつつある。ザイマックス総研「大都市圏オフィスワーカー調査2025」によれば、福岡市のオフィスワーカーに勤務形態を質問したところ、「完全出社」(65%)との回答が最も多く、次いで「ハイブリッドワーク」(33%)となった。オフィスワーカーの約3人に1人が、ハイブリッドワークで勤務している。

【図表8】テレワークの導入状況(九州・沖縄)
202610_04_image08.jpg(出所)総務省「通信利用動向調査」(企業編)をもとにニッセイ基礎研究所作成

帝国データバンク「九州・沖縄 2026年度の設備投資に関する企業の意識調査」によれば、2026年度の設備投資について、約7割の大企業が設備投資を実施すると回答した。設備投資の内容では、「設備の代替」(60%)が最も多かった。「事務所等の増設・拡大」(22%)との回答も一定割合を占めており、人材確保などを目的として、福岡でもオフィス環境の整備が進んでいることがうかがえる。
オフィス環境の整備においては、前述のハイブリッドワークへの対応が課題となっている。ザイマックス総研「大都市オフィス需要調査2025 秋」によれば、福岡市の企業にオフィスに関する課題を質問したところ、「会議室やリモート会議用スペースなどが不足している」との回答が最も多く、約5割を占めた。今後は、従業員間のコミュニケーション促進を目的としたオフィス環境の整備が進むと考えられる。
また、多様な働き方が広がるなか、「シェアオフィス」や「コワーキングスペース」等の利用が増えている。ザイマックス総研「フレキシブルオフィス(注7)市場調査2026」によれば、福岡市の「フレキシブルオフィス」は「92拠点」(前年比+13)で、首都圏以外の主要都市では、大阪市「243拠点」(前年比+35)、名古屋市「99拠点」(前年比+2)に次いで多い。ハイブリッドワークが広がるなか、フレキシブルオフィスは、引き続き福岡のオフィス需要を下支えするとみられる。

(Ⅲ)半導体投資拡大がもたらすオフィス需要への影響

AI技術の進展等に伴い、半導体市場の拡大が注目されている。九州地方では、TSMC(台湾積体電路製造)の熊本進出以降、半導体関連企業による設備投資が活発化しており、地域経済の牽引役として大きな期待が寄せられている。九州地方の2025年の集積回路(IC)の生産額は1兆1,747億円となり、3年連続で1兆円を上回る高水準となった(注8)。
TSMCは、熊本第1工場において2024年12月から生産を開始した。さらに、第1工場の隣接地では熊本第2工場の建設が2025年から進められており、AI向けデータセンター等で使用される回路線幅3ナノメートルの先端半導体について、2028年から生産を開始する予定である(注9)。
また、熊本県は、県内に半導体関連企業や研究機関を集積させる「くまもとサイエンスパーク」構想を推進している。三井不動産と熊本県、合志市は、2026年4月に中核拠点エリア(約31ha)の開発に関する基本協定を締結した(注10)。サイエンスパークでは、半導体産業に必要なR&D施設やオフィス・シェアオフィス等を整備する予定で、2026年5月に造成工事を開始し、2030年までに全体竣工を予定している。
九州経済調査協会の調査によれば、九州地域(九州・沖縄・山口)における半導体関連の設備投資による経済波及効果は10年間(2021年~2030年)で約23兆円に達すると推計されている。県別では、熊本県(約13.4兆円)が最も大きく、次いで長崎県(約2.6兆円)、福岡県(約2.1兆円)の順となっている。今後、半導体関連の設備投資や企業進出が活発化することで、福岡のオフィス需要の拡大が期待される。
ただし、熊本県「2025年県民アンケート調査報告書」によれば、TSMC進出の波及効果について、「特に感じていない」との回答が約4割を占めた。また、熊本経済同友会が2026年に実施した調査によれば、TSMC熊本進出の地域社会への影響について、雇用増加など好影響が見込まれるとの回答が増加した一方、環境や水資源を懸念する回答も増加している(注11)。
半導体投資は依然として拡大途上にあり、現時点では経済効果が大きく顕在化しているとは言い難いが、引き続き半導体投資の拡大が福岡のオフィス需要に与える影響を注視したい。

(Ⅳ)「金融・資産運用特区」指定がもたらすオフィス需要への影響

2024年6月、政府は、①東京都、②大阪府・大阪市、③福岡県・福岡市、④北海道・札幌市の4都市を「金融・資産運用特区」に指定した。各地域は、それぞれの特色を活かした特区コンセプトを掲げている。福岡県・福岡市は、「スタートアップ・金融・資産運用特区」を掲げ、アジアのゲートウェイとして金融機能を強化し、福岡・九州のスタートアップなどの育成を進める方針である。
具体的な取組みは、産学官が連携する「TEAM FUKUOKA」が中心となって推進している。同機関が誘致した企業数は、2025年6月時点で35社(注12)に達しており、進出企業は天神地区や博多駅前地区の主要ビルに入居している(図表9)。

【図表9】「TEAM FUKUOKA」の支援を受けた福岡進出企業の拠点事例(出所)福岡市国際金融機能誘致 「TEAM FUKUOKA」HP、各社公表資料等をもとにニッセイ基礎研究所作成
企業名 ビル名 企業名 ビル名
台新國際商業銀行 天神ビジネスセンター 台湾銀行 福岡Kスクエア
Origgin Pte Ltd. Fukuoka Growth Next SOTATEK JAPAN ONE FUKUOKA BLDG
Sausuke Financial Lab 天神ブリッククロス 日本マスタートラスト信託銀行 天神ブリッククロス
ジャパンインベストメントアドバイザー ibb fukuokaビル M-DAQ Pte. Ltd. 天神パインクレスト
クラウドファンディング 博多座・西銀再開発ビル VMO Japan ARKビル
Genpact 日之出天神ビルディング Minami Fuji Group 新日本ビル
Codo Advisory 天神ビル 勝利アセットマネジメントジャパン 天神大産ビル

また、金融・資産運用特区における規制緩和を活用したファンドの運用が2026年3月に開始され、スタートアップ企業への投資が実施された(注13)。また、外国人による創業を促進する目的として、福岡市内で創業する外国人を対象に住居及び事業所の賃料の一部を補助する施策(注14)も始まっている。
福岡市は、①オフィス賃料等のビジネスコストが首都圏と比べて割安であること、②空港から市内中心へのアクセスに優れるなど交通利便性が高いこと、③他の主要都市と比べて人口増加率が高く、平均年齢が若いこと、などの要因により、開業率が高い都市として知られている(注15)。こうした積極的な支援施策に後押しされ、スタートアップ等の企業進出が活発化することで、福岡におけるオフィス需要の拡大が期待される。


3 企業の景況感が前期と比較して「上昇」と回答した割合から「下降」と回答した割合を引いた値。マイナス幅が大きいほど景況感が悪いことを示す。
4 従業員数が「不足気味」と回答した割合から「過剰気味」と回答した割合を引いた値。マイナス幅が大きいほど雇用環境の悪化を示す。
5 西日本新聞「新卒採用『減らす』、5年ぶり『増やす』を上回る【主要111社の2027年度採用計画】」(2026年4月20日)
6 生成AI(人工知能)を業務に「活用している」との回答が33%、「今後検討」との回答が25%。
7 一般的なオフィスの賃貸借契約によらず、利用契約・定期建物賃貸借契約などさまざまな契約形態で、事業者が主に法人および個人事業主に提供するワークプレイスサービス。「レンタルオフィス」「シェアオフィス」「サービスオフィス」「サテライトオフィス」「コワーキングオフィス」などを含む。
8 読売新聞「九州のIC生産額1兆1747億円、5年ぶり前年を下回ったが…出荷額は3年連続1兆円超えの高水準」(2026年2月21日)
9 東京読売新聞「熊本で3ナノ半導体生産 TSMC計画 台湾が許可」(2026年4月2日)
10 三井不動産株式会社「三井不動産、熊本県・合志市と基本協定締結『くまもとサイエンスパーク』プロジェクト始動、半導体産業コミュニティを併設先端半導体を見据え、産官学連携・日台連携によるR&D・量産一体のエコシステムを構築」(2026年4月27日)
11 熊本放送「TSMC効果『売上増』46%に上昇 熊本の103社調査 雇用に期待の一方、『水資源』へ懸念」(2026年5月4日)
12 福岡市「〜TEAM FUKUOKA 誘致企業〜 『⾦融・資産運⽤特区を活⽤したベンチャー・ファンド1号の設⽴』 及び『株式会社 Power Angels 福岡進出』について」(2025年6月6日)
13 福岡市「金融・資産運用特区における規制緩和を活用したベンチャー・ファンドの運用を開始!~特区活用による地元スタートアップへの投資が実現~」(2026年3月9日)
14 [福岡県企業立地促進交付金]
外国・外資系金融機関及び資産運用会社・Fintech企業が福岡県内に拠点を開設する場合に要する費用の一部を補助。
[福岡市立地交付金]
日本初進出の外国・外資系企業(金融業等は二次進出も含む)を対象として、賃料・雇用に対し最大2億円を交付。

15 野村敦子「スタートアップの集積拠点を目指す福岡市の取り組み」日本総研 Research Focus (2018年7月19日)

ⅲ.福岡オフィス市場の新規供給見通し

日本不動産研究所「全国賃貸オフィスストック調査(2026年1月時点)」によれば、福岡市では、新耐震基準以前(1981年以前)に竣工したオフィスビルの割合が23%となり、大阪市と並んで主要都市のなかで最も高い水準にある。そこで、こうした築年数の経過したオフィスビルの建て替えを促進する目的で、天神地区では「天神ビッグバン」プロジェクト、博多駅前地区では「博多コネクティッドボーナス」が進行中である。

(Ⅰ)「天神ビッグバン」プロジェクト

天神地区(注16)では、容積率や航空法に基づく高さ制限の緩和等により再開発を誘導する「天神ビッグバン」プロジェクトが2015年にスタートした。原則2026年12月31日までに竣工予定のビルが同制度の対象となっている(注17)。
天神地区では、「天神ビッグバン」を活用した再開発が進展している。日本生命保険と積水ハウスは、「日本生命福岡ビル」と「福岡三栄ビル」の建替えを行い、「天神ブリッククロス」(北館:地上18階建て、南館:地上13階建て、総延床面積約3.7万㎡)を開発し、2025年4月に竣工した(注18)(図表10 ①)。
また、住友生命保険と福岡地所は、天神2丁目において「住友生命福岡ビル」と「天神西通りビジネスセンター」の建替えを行い、「天神住友生命FJビジネスセンター」(延床面積約4.2万㎡、地上24階建て)を開発し、2025年6月に竣工した(注19)(図表10②)。
2026年以降も「天神ビッグバン」の優遇施策を活用した再開発が複数予定されている。
天神ビジネスセンターに隣接する「福岡市役所北別館跡地」および「メディアモール天神(MMT)跡地」で、天神一丁目761プロジェクト合同会社(注20)と福岡地所は、オフィスを核とした大型複合ビル「天神ビジネスセンターⅡ」(延床面積約6.3万㎡、地上18階建て)を開発し、2026年6月末に竣工した(注21)(図表10③)。また、三菱地所は、複合商業施設「イムズ跡地」において、オフィスとホテルを核にした複合ビル「(仮称)天神1-7計画」(延床面積約7.4万㎡、地上21階建て)を開発し、2027年5月末に竣工予定である(注22)(図表10④)。
福岡アジア都市研究所が2026年4月に公表した天神ビッグバンプロジェクトの経済波及効果は約1兆8,943億円と推計され、当初推計(約8,446億円・2015年度)の約2.2倍に達した。天神地区の再開発は、福岡経済に対して想定以上のプラス効果をもたらした。一方、雇用効果は当初推計比で+4%増の5万9,500人と推計されている。DX推進等に伴う生産性向上により、雇用者数の増加は当初推計に近い水準にとどまる見込みである(注23)。
天神地区では、「天神ビッグバン」関連の開発が一段落した後も、大規模ビルの開発が続く見通しである。野村不動産と竹中工務店は、天神2丁目において「福岡天神センタービル」の建替えを行い、オフィスを核とした大型複合ビル(延床面積約6.9万㎡、地上21階建て)を開発し、2028年度までに竣工予定である(注24)。同ビルは、福岡市の「グリーンボーナス(注25)」第1号認定を取得している。
また、電気ビル・九州電力・十八親和銀行・ふくおかフィナンシャルグループ・アリウェルは、渡辺通2丁目において地上15階建てのオフィスビル「電気ビル西館」(延床面積約3.6万㎡)を開発し、2028年3月に竣工予定である(注26)(図表10⑤)。

【図表10】「天神地区」におけるオフィス開発計画
202610_04_image09.jpg(出所)新聞・雑誌記事、各社公表資料をもとにニッセイ基礎研究所作成

(Ⅱ)「博多コネクティッドボーナス」

福岡市は、2019年5月にビルの建替えを促進する優遇処置制度「博多コネクティッドボーナス(注27)」を公表し、博多駅周辺(注28)の再開発を後押ししている。2028年12月31日までに竣工予定のビルが同制度の対象となっている。これらの再開発プロジェクトでは、延床面積は34.1万㎡から49.8万㎡へ約1.5倍に拡大し、雇用数は3.2万人から5.1万人へ約1.6倍に拡大すると試算されている。
博多駅周辺では、「博多コネクティッドボーナス」を活用した再開発が進んでいる。2025年は、中央日本土地建物が博多区博多駅前3丁目において、地上13階建てのオフィスビル「中央日土地博多駅前ビル」(延床面積約1.3万㎡)を開発し、2025年6月に竣工した(注29)(図表11①)。
2026年も、オフィスビルの開発予定が相次いでいる。サンケイビルは、博多駅東三丁目において、地上8階建てのオフィスビル「S-GATE博多駅東」(延床面積約0.7万㎡)を開発し、2026年1月末に竣工した(注30)(図表11②)。
また、西日本シティ銀行は福岡地所と共同で、博多駅前の保有ビル(本店本館ビル・本店別館ビル・事務本部ビル)を連鎖的に建て替える計画を進めている(注31)。その第一弾として、本店本館ビルを、オフィスを核とした「西日本シティビル」(延床面積約7.5万㎡、地上14階建て)を開発し、2026年3月末に竣工した(注32)(図表11③)。
今後も、東京建物が、博多駅前4丁目において、地上8階建てのオフィスビル「T-PLUS博多駅前」(延床面積約0.5万㎡)を開発中で、2026年11月末に竣工予定である(注33)(図表11④)。

【図表11】「博多駅周辺」におけるオフィス開発計画
202610_04_image10.jpg(出所)新聞・雑誌記事、各社公表資料をもとにニッセイ基礎研究所作成

(Ⅲ)福岡オフィス市場の供給見通し

2025年は、「天神ブリッククロス」や「天神住友生命FJビジネスセンター」などの大規模ビルが竣工し、新規供給量は約2.0万坪(前年比▲33%)となり、6年連続で1万坪を上回った(図表12)。
2026年以降も、「天神ビッグバン」プロジェクトや「博多コネクティッドボーナス」を背景に大規模開発計画が複数進行している。今後3年間(2026年~2028年)の新規供給面積は約4.8万坪に達する見通しで、総ストック量に対する供給割合は5.0%と、札幌市(5.7%)に次いで高い水準となっている(図表13)。

【図表12】福岡オフィスビル新規供給見通し
202610_04_image11.jpg(出所)三幸エステートのデータおよび各社公表資料をもとにニッセイ基礎研究所作成
【図表13】今後3年間の新規供給予定(2025年ストック対比)
202610_04_image12.jpg(出所)三幸エステートのデータをもとにニッセイ基礎研究所作成

16 天神交差点から半径約500mのエリア
17 一定条件を満たせば2027年以降の完成も認められる。
18 日本生命保険相互会社・積水ハウス株式会社「天神ブリッククロスの竣工について~天神地区を南北に結び街の賑わいを生み出す緑豊かなランドマーク~」(2025年4月9日)
19 住友生命保険相互会社・福岡地所株式会社「充実したワーカー専用スペースで新たな働き方を提案 天神住友生命 FJ ビジネスセンター竣工」(2025年7月7日)
20 福岡地所株式会社、九州電力株式会社、株式会社クラフティアで構成される特定目的会社
21 天神一丁目761プロジェクト合同会社・福岡地所株式会社「オフィス・商業・創業支援・ワーカー支援機能が融合 天神ビッグバンの新拠点 天神ビジネスセンターⅡ 竣工のお知らせ 2026年8月4日開業」(2026年7月9日)
22 三菱地所株式会社「『(仮称)天神1-7計画』グリーンボーナス認定 & LEED GOLD予備認証取得~緑と花が息づく、まちにひらかれた空間づくり~」(2025年12月23日)
23 日本経済新聞「福岡・天神ビッグバン、経済効果1.8兆円に 建て替え増で想定の2倍」(2026年4月16日)
24 野村不動産株式会社・株式会社竹中工務店「(仮称)福岡天神センタービル」2025年12月着工予定 グリーンボーナス第一号認定」(2025年7月28日)
25 福岡市中心部において、緑化や環境に配慮したビル計画に対して容積率緩和のインセンティブを付与する制度。
26 株式会社電気ビル・九州電力株式会社・株式会社十八親和銀行・株式会社ふくおかフィナンシャルグループ・アリウェル株式会社「福岡市中央区渡辺通において『電気ビル西館』新築工事着工」(2026年2月5日)
27 つながり・広がりが生まれる広場の創出など、賑わいの拡大に寄与したビルの容積率を最大で50%拡大する等の優遇処置。
28 博多駅から半径約500メートル、約80ヘクタール。
29 中央日本土地建物グループ株式会社「既存躯体を再利用した免震オフィスビル『中央日土地博多駅前ビル』竣工
博多コネクティッドボーナス認定を受けた環境配慮型ビル」(2025年6月30日)

30 株式会社サンケイビル「既存躯体を再利用した免震オフィスビル『五感で整い、様々な働き方へ進化させるオフィス「S-GATE博多駅東」』 竣工」(2026年2月20日)
31 西日本シティ銀行「西日本シティ銀行保有ビルの連鎖的再開発のお知らせ」(2019年12月19日)
32 株式会社西日本シティ銀行・福岡地所株式会社「― 博多コネクティッド ― 『西日本シティビル』竣工のお知らせについて~博多駅前の賑わいを周辺につなげる『人と地域の交流拠点』が完成~」(2026年4月3日)
33 東京建物株式会社「中規模オフィスビル『T-PLUS』シリーズ、九州エリア進出 『T-PLUS博多駅前』着工」(2025年6月20日)

ⅳ.福岡のオフィス賃料見通し

前述の新規供給見通しや経済予測、オフィスワーカー数の見通し等を前提に、2030年までの福岡のオフィス賃料を予測した(図表14)。
福岡市では、人口の転入超過が継続しており、福岡県の就業者数も増加が続いている。また、「企業の経営環境」は一進一退の動きをみせているものの、「雇用環境」については情報サービス業を中心に人手不足感が強い。以上を鑑みると、福岡市のオフィスワーカー数が大幅に減少する可能性は小さいと考えられる。ただし、AIによる業務代替等に伴い、採用を抑制する動きもみられることから、引き続き動向を注視したい。
福岡では、コロナ禍を経てハイブリッドワークが普及するなか、多様な働き方に対応したオフィス利用や拠点配置を検討する企業の増加が予想される。また、半導体投資の拡大や「金融・資産運用特区」の指定に伴い、企業進出が活発化することで、福岡のオフィス需要の拡大が期待される。
一方、福岡市では「天神ビッグバン」プロジェクトや「博多コネクティッドボーナス」を背景に、多くの大規模開発が進行している。今後3年間(2026年~2028年)の総ストック量に対する供給割合は、主要地方都市の中で札幌市に次いで高い水準となる見通しである。
以上を踏まえると、福岡におけるオフィス新規供給量は高水準となる一方、オフィス需要は底堅いことから、空室率は上下に変動しながらも、概ね横ばいで推移すると予測する。
福岡のオフィス成約賃料は、安定的な需給環境に支えられ、堅調に推移する見通しである。2025年の賃料を100とした場合、2026年は「100」、2027年は「101」、2030年は「103」となると予測する。

【図表14】福岡のオフィス成約賃料見通し
202610_04_image13.jpg(注)年推計は各年下半期の推計値を掲載。
(出所)実績値は三幸エステート・ニッセイ基礎研究所「オフィスレント・インデックス」
   将来見通しは「オフィスレント・インデックス」などをもとにニッセイ基礎研究所作成

Ⅱ.福岡賃貸マンション市場の現況と展望

ⅰ.賃貸マンション市場を取り巻く需給環境

以下では、福岡市の賃貸マンション市場を取り巻く需給環境について、概観したい。具体的には、供給面では、(Ⅰ)総住宅に占める賃貸マンションの割合、(Ⅱ)賃貸マンション着工戸数、(Ⅲ)建築コストの動向を確認する。次に、需要面では、(Ⅳ)人口移動、(Ⅴ)学生数の動向を確認する。

(Ⅰ)総住宅に占める賃貸マンションの割合

総務省「令和5年住宅・土地統計調査」によれば、福岡市の総住宅に占める賃貸マンションの割合は39%となっている。区別にみると、博多区(56%)・中央区(50%)では賃貸マンションが約半数を占めている(図表15)。福岡市都心部の住宅市場において、賃貸マンションの存在感は際立っている。

【図表15】福岡市 総住宅に占める賃貸マンションの割合
202610_04_image14.jpg(出所)総務省「令和5年住宅・土地統計調査」をもとにニッセイ基礎研究所作成

(Ⅱ)賃貸マンション着工戸数の動向

次に、賃貸マンション着工戸数(注34)の動向を確認する。国土交通省「建築着工統計調査」によれば、2025年の福岡市の賃貸マンション着工戸数は、前年比+16%増の約8千戸となった。
面積帯別にみると、福岡市では、「30㎡以上50㎡未満」の住戸が過去10年間にわたり一貫して多く供給されており、全体の半数程度を占めている(図表16)。
また、「30㎡未満」の住戸は、コロナ禍が始まる前は年間約2千戸で推移していたが、コロナ禍以降は減少に転じ、足元では年間約1千戸まで減少している。一方、「50㎡以上」の住戸は、コロナ禍以前、年間約2千戸で推移していたが、2023年以降、増加傾向にあり、足元では約3千戸で推移している(図表16)。
auじぶん銀行「ビジネスパーソンの住宅事情に関するアンケート」によれば、リモートワークを経験した後、住宅選びの際に意識する項目として「広さ・間取り」(52%)を挙げる回答が最多となった。在宅勤務等のリモートワークを取り入れたハイブリッドワークが普及したことで、住居に「広さ」を求める動きもみられ、面積の広い住戸の供給増加の一因となっている可能性がある。

【図表16】福岡市 賃貸マンション着工戸数(面積帯別)
202610_04_image15.jpg(出所)国土交通省「建築着工統計調査」をもとにニッセイ基礎研究所作成 ※12か月累積値

(Ⅲ)建築コストの動向

続いて、賃貸マンションの供給戸数等に影響を及ぼす建築コストの動向を確認する。
建設物価調査会「建築費指数」によれば、福岡の「集合住宅(RC造)」の建築費は長期的に上昇基調で推移している。2026年6月は前年比+6%上昇の「147.2」となり、2020年1月対比で37%上昇した(図表17)。
建築費は大きく資材価格と人件費で構成される。
建設物価調査会「建設資材価格指数」によれば、福岡の「住宅(SRC造、RC造)」の建設資材価格指数は、2021年から2023年にかけて上昇幅が一段と拡大した。2026年6月には前年比+9%上昇の「160.7」となり、2020年1月対比で+50%上昇している(図表18)。足元では、中東情勢の緊迫化を背景とした原油価格の高騰が、建設資材価格に与える影響が懸念されている(注35)。
また、国土交通省「建設労働需給調査」によれば、建設業の労働需給を示す「建設技能労働者過不足率(全国)」は、コロナ禍後、概ねプラス(人手不足)で推移しており、2026年6月は「+1.0」となった(図表19)。建設業は他産業と比較して若年層の割合が低く、高齢化が進行している(注36)。週休2日制の定着をはじめとする「働き方改革」の取組みが進むなか、建設業における人手不足は今後も継続する可能性が高いと考えられる。構造的な人手不足を背景とした建築コストの高騰は、賃貸マンションの供給抑制をもたらす可能性があり、引き続き注視が必要である。

【図表17】「集合住宅(RC造)」建築費
202610_04_image16.jpg(出所)建設物価調査会「建築費指数」をもとにニッセイ基礎研究所作成 ※2015年=100
【図表18】「住宅(SRC、RC)」建設資材価格
202610_04_image17.jpg(出所)建設物価調査会「建設資材価格指数」をもとにニッセイ基礎研究所作成 ※2015年=100
【図表19】建設技能労働者過不足率(全国)
202610_04_image18.jpg(出所)国土交通省「建設労働需給調査」をもとにニッセイ基礎研究所作成 ※8職種計

(Ⅳ)人口移動の動向

以下では、賃貸マンションの需要に影響を及ぼす人口移動の動向を確認する(図表20)。総務省「住民基本台帳人口移動報告」によれば、福岡市の転入者数(12か月累積値)は、長期的に約7.5万人付近で推移している。一方、転出者数(12か月累積値)は約6.5万人から7万人の範囲で推移しており、その結果、転入超過数は、安定してプラスで推移している。
2025年(年間)の福岡の転入者数は約7.4万人(前年比▲4%減少)、転出者数は約6.6万人(同▲2%減少)、転入超過数は約+0.8万人(前年比▲4%減少)となった。

【図表20】転入者数および転出者数(福岡市)
202610_04_image19.jpg(出所)総務省「住民基本台帳人口移動報告」をもとにニッセイ基礎研究所作成 ※12か月累積値

(Ⅴ)学生数の動向

最後に、賃貸マンション需要の一角を形成する学生数の動向を確認する(図表21)。福岡市における人口に占める学生数(注37)の割合は4.6%となり、全国平均(2.4%)を大きく上回っており、学生数の動向が賃貸住宅市場に及ぼす影響は大きい。文部科学省「学校基本調査」によれば、2025年の福岡市の学生数は、前年比+2%増加の約7.4万人となった(図表22)。

【図表21】人口に占める学生数の割合
202610_04_image20.jpg(出所)総務省「住民基本台帳人口移動報告」、文部科学省「学校基本調査」をもとにニッセイ基礎研究所作成 ※2025年の値
【図表22】福岡市の学生数の推移
202610_04_image21.jpg(出所)文部科学省「学校基本調査」をもとにニッセイ基礎研究所作成

34 共同住宅かつ貸家の着工戸数
35 静岡朝日テレビ「住宅業界衝撃『見たことない値上げ幅』原油高で建築資材高騰 工務店『5%ほどの値上げ検討』」(2026年4月2日)
36 吉田資『深刻化する建設業の人手不足と外国人労働者への期待』ニッセイ基礎研究所、年金ストラテジー (Vol.271) January 2019
37 大学および大学院の学生

ⅱ.規模別にみた賃貸マンション指標の動向

以下では、福岡市の賃貸マンション指標(空室率・平均支払賃料・EGI(注38))の動向について、賃貸面積「30㎡未満」、「30㎡以上50㎡未満」、「50㎡以上」の3つのカテゴリーに分けて確認する。

(Ⅰ)空室率の動向

日本情報クリエイト株式会社「CRIX(注39)」によれば、福岡市の賃貸マンションの空室率は、いずれの面積帯も、コロナウイルス感染拡大に伴って上昇した後、改善に向かっているものの、なお回復の途上にある。
賃貸面積「30㎡未満」の空室率(2026年5月)は8.7%となり、コロナ禍前の水準(2020年1月:5.3%)を大きく上回っている。同様に、賃貸面積「30㎡以上50㎡未満」の空室率は5.7%(同4.0%)、賃貸面積「50㎡以上」の空室率は8.1%(同5.3%)となっており、福岡市の需給環境はなお回復の途上にある。

【図表23】福岡市の空室率の動向
202610_04_image22.jpg(出所)日本情報クリエイト株式会社「CRIX」をもとにニッセイ基礎研究所作成

(Ⅱ)平均支払賃料の動向

次に、平均支払賃料の動向を概観する。図表24は、福岡市内の賃貸マンションを対象とした平均支払賃料(2020年1月=100)の推移を示したものである。
賃貸面積「30㎡未満」の平均支払賃料は、コロナウイルス感染拡大に伴って下落したものの、2021年後半以降、回復に向かっており、2026年5月には「113」に達している。
賃貸面積「30㎡以上50㎡未満」と「50㎡以上」の平均支払賃料は、横ばいで推移した後、2022年後半より上昇基調で推移している。2026年5月には、賃貸面積「30㎡以上50㎡未満」は「108」、「50㎡以上」は「109」となっている。

【図表24】福岡市の平均支払賃料の動向
202610_04_image23.jpg(出所)日本情報クリエイト株式会社「CRIX」をもとにニッセイ基礎研究所作成

(Ⅲ)EGIの動向

福岡市のEGI(2020年1月=100)は、コロナウイルス感染拡大直後、空室率の上昇とともに、いずれの面積帯においても低下し、100を下回った(図表25)。感染収束とともに回復基調に転じ、賃貸面積「50㎡以上」と「30㎡以上50㎡未満」は2023年前半に、賃貸面積「30㎡未満」は2024年前半に100を上回り、その後も順調に上昇が続いている。2026年5月には、賃貸面積「50㎡以上」は「106」、「30㎡以上50㎡未満」は「106」、「30㎡未満」は「109」となっている。

【図表25】福岡市のEGIの動向
202610_04_image24.jpg(出所)日本情報クリエイト株式会社「CRIX」をもとにニッセイ基礎研究所作成

38 平均支払賃料と空室率をもとに算出した「実効総収入(Effective Gross Income)」。 EGI=満室想定家賃収入 - 空室損失=平均支払賃料×(1-空室率)EGI-運営費用=NOI(Net Operating Income・純営業収益)
39 クリエイト賃貸住宅インデックス(CRIX)(https://www.n-create.co.jp/download/contents/crix/)

ⅲ.福岡の賃貸マンション市場の展望

福岡の賃貸マンション市場については、人口の転入超過や学生数の増加等に支えられ、需要は堅調であり、EGIはコロナ禍前を上回る水準にある。
福岡市では、人口の転入超過が継続する一方、住宅着工戸数(借家・共同住宅)も建築コストの高騰が下押し要因となり、大幅に増加する可能性は低いと見込まれる。空室率は改善に向かい、EGIは引き続き上昇基調で推移することが予想される。

提供:リサーチ・コンサルティング部
作成:ニッセイ基礎研究所

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