マンション賃料相場分析 東京23区 ~駅別・路線別上昇率ランキングから読み解く上昇要因と今後の見通し~

マンション賃料相場分析 東京23区 ~駅別・路線別上昇率ランキングから読み解く上昇要因と今後の見通し~

近年、物価高や分譲マンション価格の高騰を背景に、賃貸マンションの賃料は大幅な上昇傾向が続いています。特に東京23区では、その上昇が顕著に表れています。

賃貸マンションの賃料は全体的に上昇傾向ですが、専有面積の違いや、エリア別や駅別などの違いによって、上昇率の傾向は大きく異なります。そのため、単純に全体の傾向だけでなく、専有面積別やエリア別の上昇傾向の違いを把握することが重要です。

本レポートでは、賃貸マンションの賃料上昇動向に焦点を当て、株式会社コラビットがまとめた東京23区における2018年から2025年の賃貸マンションの募集事例データを基に、下記条件で調査・集計した上で、2018年からの中期的な賃料上昇の推移について、駅別・路線別など多方面から考察を行います。また、短期的なトレンドも踏まえ、賃貸マンション市場の今後を展望します。

項目 集計条件
データ取得期間 2018年1月1日~2025年12月31日
対象エリア 東京都23区
物件種別 賃貸マンション
価格帯 平米単価 1000円以上 30000円未満
専有面積 シングルタイプ20~30㎡、コンパクトタイプ30~50㎡、ファミリータイプ50~100㎡
徒歩分数 最寄り駅まで徒歩1~15分
築年数 2年~30年

【サマリー】

  • 東京23区の賃貸マンションの賃料は、2018年以降、シングル・コンパクト・ファミリーすべてのタイプにおいて上昇傾向が続いています。2018年比の上昇率は、それぞれシングルタイプ120.5%、コンパクトタイプ132.7%、ファミリータイプ138.5%となっており、ファミリータイプが最大の上昇率となりました。
  • シングルタイプは、駅別に比較すると、金町駅など葛飾区の駅で上昇傾向が顕著です。また、路線別に比較すると、JR常磐線、京成電鉄本線と押上線で130%程度の高い上昇率となっています。新築物件が全体の相場を押し上げ、シングルタイプの賃料上昇を牽引していると考えられます。
  • ファミリータイプは、駅別に比較すると、町屋駅などの下町エリアに存する駅で大幅な賃料上昇となっています。路線別に比較すると、JR常磐線、東京メトロ千代田線において、140%程度の高い上昇率となっています。都心部のマンション価格高騰を背景に、比較的割安な賃料で推移していたエリアで賃料上昇が顕著です。
  • コンパクトタイプは、駅別に比較すると、北千住駅とその周辺の駅での上昇が目立ちます。路線別に比較すると、JR常磐線、東武伊勢崎線、京成押上線、つくばエクスプレスなど、多くの路線で130%を超える高い上昇率となっています。ターミナル駅での大幅な賃料上昇を避け、少しでも賃料を抑えようとする検討者が、ターミナル駅から数駅離れた駅に流出していることがコンパクトタイプの賃料上昇の要因の一つと言えます。
  • 今後の見通しとして、シングルタイプはオフィスの集積する都心部に上昇エリアがシフト、ファミリータイプはタワーマンションが多く所在する駅を中心に上昇、コンパクトタイプはシングルとファミリーの両タイプの動きに注目が必要です。

Ⅰ.全データの集計結果と東京23区タイプ別上昇率ランキング

ⅰ.東京23区全体の上昇率

はじめに、東京23区全体おける賃貸マンションの賃料相場の変動を確認します。図表1は、2018年を100とした場合の東京23区全体におけるタイプ別の賃料上昇率を示したグラフです。

【図表1】東京23区・タイプ別の賃料上昇の推移
202604_03_image01.jpg

このグラフから、2018年以降、全てのタイプにおいて上昇傾向が続いていることが窺えます。特に、ファミリータイプの上昇が顕著で、2018年比138.5%を記録しています。これは、他タイプと比較して、ファミリータイプの賃貸マンションの供給戸数が少なく、供給不足となっていることなどが要因と考えられます。

また、シングルタイプについては、2022年頃まで上昇率は低水準でしたが、近年、上昇傾向が強まっています。アフターコロナに入り、出社回帰が進んだことにより、単身世帯を中心に比較的狭小なシングルタイプへの需要が増加していることが要因の一つと考えられます。

ⅱ.区別の上昇率ランキング

では、区別の上昇率はどうでしょうか。図表2は、タイプ別に比較した23区の2018年比賃料上昇率のランキングを示した表です。

【図表2】東京23区・タイプ別2018年比賃料上昇率ランキング

[シングル]
全体
順位
区名 2018年
(円/坪)
2025年
(円/坪)
2018年
比(%)
(参考)
前年比(%)
1 葛飾区 9,376 12,812 136.7% 10.4%
2 足立区 9,347 11,779 126.0% 6.3%
3 台東区 12,144 15,088 124.2% 8.1%
4 江東区 12,237 15,134 123.7% 8.4%
5 品川区 13,020 16,053 123.3% 8.4%
6 豊島区 12,070 14,852 123.0% 6.4%
7 北区 10,835 13,305 122.8% 7.8%
8 目黒区 13,370 16,303 121.9% 6.7%
9 新宿区 13,540 16,429 121.3% 8.1%
10 文京区 12,955 15,717 121.3% 9.0%
11 千代田区 14,483 17,563 121.3% 10.4%
12 板橋区 10,356 12,536 121.0% 6.4%
13 中野区 11,682 14,128 120.9% 6.4%
14 墨田区 11,954 14,419 120.6% 7.9%
15 荒川区 10,736 12,934 120.5% 7.5%
16 世田谷区 11,811 14,142 119.7% 6.7%
17 杉並区 11,561 13,645 118.0% 6.5%
18 渋谷区 14,691 17,294 117.7% 7.0%
19 大田区 11,612 13,652 117.6% 6.9%
20 練馬区 10,491 12,286 117.1% 5.2%
21 中央区 14,512 16,957 116.8% 8.6%
22 江戸川区 9,591 11,119 115.9% 4.5%
23 港区 15,934 18,252 114.5% 7.6%
[コンパクト]
全体
順位
区名 2018年
(円/坪)
2025年
(円/坪)
2018年
比(%)
(参考)
前年比(%)
1 足立区 7,006 9,843 140.5% 9.3%
2 墨田区 10,031 13,768 137.3% 8.5%
3 江東区 10,134 13,819 136.4% 8.0%
4 板橋区 8,370 11,142 133.1% 9.9%
5 台東区 10,986 14,484 131.8% 8.3%
6 荒川区 9,050 11,890 131.4% 7.8%
7 品川区 11,744 15,203 129.4% 8.8%
8 葛飾区 7,038 9,074 128.9% 7.5%
9 北区 9,280 11,943 128.7% 6.7%
10 大田区 9,369 11,989 128.0% 7.2%
11 文京区 11,830 15,108 127.7% 7.3%
12 豊島区 10,843 13,837 127.6% 5.7%
13 練馬区 8,393 10,679 127.2% 5.8%
14 杉並区 10,075 12,573 124.8% 7.2%
15 中野区 10,456 13,010 124.4% 6.4%
16 中央区 13,124 16,327 124.4% 7.6%
17 新宿区 12,777 15,884 124.3% 6.1%
18 目黒区 12,464 15,477 124.2% 7.5%
19 江戸川区 7,514 9,323 124.1% 7.2%
20 世田谷区 10,617 13,034 122.8% 6.2%
21 渋谷区 14,419 17,633 122.3% 7.1%
22 千代田区 14,139 17,035 120.5% 6.8%
23 港区 15,438 18,239 118.1% 6.7%
[ファミリー]
全体
順位
区名 2018年
(円/坪)
2025年
(円/坪)
2018年
比(%)
(参考)
前年比(%)
1 台東区 9,767 14,390 147.3% 6.9%
2 北区 8,542 12,192 142.7% 9.0%
3 荒川区 8,769 12,503 142.6% 11.1%
4 墨田区 8,831 12,551 142.1% 7.2%
5 板橋区 7,086 9,726 137.3% 9.3%
6 文京区 11,056 14,940 135.1% 5.8%
7 江東区 9,520 12,856 135.1% 7.1%
8 足立区 6,418 8,665 135.0% 9.7%
9 品川区 11,468 15,346 133.8% 5.3%
10 中野区 9,183 12,253 133.4% 8.0%
11 渋谷区 14,715 19,433 132.1% 4.7%
12 中央区 12,380 16,288 131.6% 8.0%
13 世田谷区 9,647 12,684 131.5% 6.6%
14 新宿区 12,838 16,874 131.4% 4.1%
15 目黒区 12,559 16,416 130.7% 6.2%
16 豊島区 10,409 13,573 130.4% 6.0%
17 葛飾区 6,517 8,491 130.3% 7.5%
18 杉並区 8,798 11,340 128.9% 7.0%
19 大田区 8,504 10,897 128.1% 8.2%
20 港区 15,461 19,599 126.8% 8.7%
21 練馬区 7,158 9,032 126.2% 6.2%
22 千代田区 14,895 18,756 125.9% 5.5%
23 江戸川区 7,049 8,697 123.4% 5.0%

出所:株式会社コラビット「賃貸データ」より野村不動産ソリューションズ作成

これらの表を比較すると、タイプごとに賃料上昇率が高い区が異なる傾向にあることがわかります。まず、シングルタイプについては、2018年比でみると、葛飾区が136.7%でトップの上昇率を記録するなど、いわゆる下町エリアでの上昇が目立ちます。また、コンパクトタイプとファミリータイプについては、北区、荒川区、板橋区、足立区などの城北、城東エリアにおいて高い上昇率が記録されています。これは、都心部の大幅な賃料上昇により、比較的賃料が抑えられていた地域に需要が流れたことが要因の一つであると考えられます。また、通勤を考慮した都心へのアクセスの良さも賃料上昇に影響していると推測されます。

Ⅱ.タイプ別上昇率ランキング・トップ20駅と賃料上昇要因の傾向

ⅰ.シングルタイプ上昇率ランキング・トップ20駅

【図表3】シングルタイプ上昇率ランキング・トップ20駅(2018年比)出所:株式会社コラビット「賃貸データ」より野村不動産ソリューションズ作成
全体
順位
駅名 路線名 2018年
(円/坪)
2025年
(円/坪)
2018年
比(%)
(参考)平均
築年数
1 金町 JR常磐線/京成金町線 葛飾区 8,430 12,463 147.8% 9
2 お花茶屋 京成本線 葛飾区 8,809 12,649 143.6% 6
3 京成高砂 京成押上線・本線・金町線/北総鉄道北総線/成田スカイアクセス 葛飾区 8,768 12,333 140.7% 7
4 青砥 京成押上線・本線/成田スカイアクセス 葛飾区 9,412 13,157 139.8% 8
5 青物横丁 京急本線 品川区 12,591 17,478 138.8% 11
6 北綾瀬 東京メトロ千代田線 足立区 8,485 11,742 138.4% 9
7 四ツ木 京成押上線 葛飾区 9,412 12,907 137.1% 8
8 亀有 JR常磐線 葛飾区 9,231 12,632 136.8% 9
9 京成立石 京成押上線 葛飾区 9,260 12,617 136.3% 7
10 稲荷町 東京メトロ銀座線 台東区 12,375 16,660 134.6% 8
11 新宿三丁目 東京メトロ丸ノ内線・副都心線/都営新宿線 新宿区 14,617 19,647 134.4% 15
12 下板橋 東武東上線 板橋区 10,963 14,503 132.3% 9
13 綾瀬 JR常磐線/東京メトロ千代田線 足立区 9,519 12,580 132.2% 9
14 荏原中延 東急池上線 品川区 12,111 15,855 130.9% 10
15 西大井 JR横須賀線・湘南新宿ライン/相鉄JR直通線 品川区 11,670 15,256 130.7% 11
16 大師前 東武大師線 足立区 9,015 11,775 130.6% 9
17 赤土小学校前 日暮里・舎人ライナー 荒川区 10,203 13,302 130.4% 11
18 若松河田 都営大江戸線 新宿区 13,239 17,121 129.3% 11
19 後楽園 東京メトロ丸ノ内線・南北線 文京区 13,490 17,420 129.1% 11
20 六町 つくばエクスプレス 足立区 8,523 11,000 129.1% 7

ⅱ.シングルタイプにおける賃料上昇要因の傾向・特徴

(Ⅰ)新築供給が全体の相場を押し上げる葛飾区・品川区 ~「金町駅」、「青物横丁駅」~

図表3は、シングルタイプにおける2018年比の賃料上昇率のトップ20駅を示した表です。金町駅など、葛飾区に所在する駅が上位を独占しており、葛飾区に所在する駅で中期的な上昇傾向にあることがわかります。これは、都心部での賃料上昇を背景に、都心部での居住を断念する検討者が増加し、比較的賃料が安価な葛飾区のエリアに需要が集中していることが理由の一つとして考えられます。また、品川区においても、青物横丁駅、荏原中延駅、西大井駅などが上位にランクインしています。葛飾区や品川区に共通して言えることは、シングルタイプの新築供給が多く、これらが全体の相場を押し上げているということです。図表4は、東京23区における2018年以降のシングルタイプの新築供給戸数を示したグラフです。最も着工戸数が多いのは足立区ですが、葛飾区と品川区においても、周辺の区に比べ、新築供給戸数が多いことがわかります。
葛飾区や品川区では、新築物件を求める需要が周辺の区から流入していることなどから、新築物件が全体の相場を押し上げ、シングルタイプの賃料上昇を牽引していると考えられます。
また、2023年以降の新築着工数を見ると、足立区が突出した数値となっており、今後のシングルタイプの賃料上昇率は、足立区に所在する駅に要注目です。

【図表4】東京23区におけるシングルタイプの新築供給戸数
202604_03_image02.jpg

ⅲ.ファミリータイプ上昇率ランキング・トップ20駅

【図表5】ファミリータイプ上昇率ランキング・トップ20駅(2018年比)出所:株式会社コラビット「賃貸データ」より野村不動産ソリューションズ作成
全体
順位
駅名 路線名 2018年
(円/坪)
2025年
(円/坪)
2018年
比(%)
(参考)平均
築年数
1 町屋 京成本線/東京さくらトラム/東京メトロ千代田線 荒川区 7,714 12,771 165.6% 10
2 門前仲町 東京メトロ東西線/都営大江戸線 江東区 9,271 14,602 157.5% 12
3 王子 JR京浜東北線/東京さくらトラム/東京メトロ南北線 北区 7,443 11,686 157.0% 12
4 菊川 都営新宿線 墨田区 8,503 13,170 154.9% 10
5 扇大橋 日暮里・舎人ライナー 足立区 5,666 8,750 154.4% 14
6 西日暮里 JR京浜東北線・山手線/日暮里・舎人ライナー/東京メトロ千代田線 荒川区 8,595 13,257 154.2% 11
7 高田馬場 JR山手線/東京メトロ東西線/西武新宿線 新宿区 10,856 16,725 154.1% 15
8 湯島 東京メトロ千代田線 文京区 11,095 17,030 153.5% 10
9 綾瀬 JR常磐線/東京メトロ千代田線 足立区 6,529 9,960 152.6% 16
10 早稲田 東京メトロ東西線 新宿区 10,222 15,584 152.5% 9
11 幡ヶ谷 京王新線 渋谷区 9,630 14,651 152.1% 15
12 板橋本町 都営三田線 板橋区 7,616 11,485 150.8% 18
13 京成金町 JR常磐線/京成金町線 葛飾区 5,886 8,871 150.7% 16
14 参宮橋 小田急線 渋谷区 11,917 17,931 150.5% 12
15 若林 東急世田谷線 世田谷区 9,193 13,823 150.4% 19
16 西高島平 都営三田線 板橋区 6,194 9,232 149.1% 14
17 新宿御苑前 東京メトロ丸ノ内線 新宿区 13,470 20,059 148.9% 12
18 六町 つくばエクスプレス 足立区 5,726 8,523 148.8% 13
19 高島平 都営三田線 板橋区 6,026 8,970 148.8% 23
20 亀戸 JR中央・総武線/東武亀戸線 江東区 8,190 12,179 148.7% 13

ⅳ.ファミリータイプにおける賃料上昇要因の傾向・特徴

(Ⅰ)都心マンションの価格高騰で下町の賃貸需要が増加 ~「町屋駅」~

図表5は、ファミリータイプにおける2018年比の賃料上昇率のトップ20駅を示した表です。上昇率トップは、「町屋駅」で、2018年比165.6%を記録しています。「町屋駅」は、大手町駅まで千代田線直通で15分程度の優れた立地にありながら、比較的割安な賃料で推移していました。近年の都心部のマンション価格高騰を背景に、急速に立地評価の見直しが進んでいます。その他にも、「菊川駅」、「扇大橋駅」、などの下町エリアに存する駅で大幅な賃料上昇となっています。しかし、これらの駅の賃料は、都心部の賃貸マンションの賃料と比較すると、まだ割安感を感じる価格帯で推移しているため、今後も上昇率ランキング上位が見込まれる、注目のエリアであると言えそうです。

(Ⅱ)駅前再開発が計画され今後さらに価格上昇の期待が高まる ~「門前仲町駅」~

東京メトロ東西線と都営大江戸の線の二路線が乗り入れる「門前仲町駅」が2位にランクインしています。東西線を利用すれば、オフィス集積地の大手町駅まで10分以内と利便性に優れた立地です。かねてより丸の内・大手町のオフィス街に通勤する単身者の人気が高く、これまでシングルタイプの賃貸マンションが大量に供給されてきました。

また近年では、隣接の「越中島駅」、「木場駅」、「清澄白河駅」を含む広域「門前仲町駅」で、大型分譲マンションが多数供給されています(【図表6】)。これらの分譲マンションが賃貸として転用されたことにより、ファミリータイプの相場が大きく上昇したと考えられます。加えて、門前仲町駅前では、「門前仲町駅前地区市街地再開発」も計画されています。2026年3月に正式な方針が作成される予定となっており、今後さらなるエリアポテンシャルアップへの期待がかかる、目が離せないエリアです。

【図表6】周辺で供給された分譲マンション
202604_03_image03.jpg

ⅴ.コンパクトタイプ上昇率ランキング・トップ20駅

【図表7】コンパクトタイプ上昇率ランキング・トップ20駅(2018年比)出所:株式会社コラビット「賃貸データ」より野村不動産ソリューションズ作成
全体
順位
駅名 路線名 2018年
(円/坪)
2025年
(円/坪)
2018年
比(%)
(参考)平均
築年数
1 鶯谷 JR京浜東北線・山手線 台東区 9,567 14,292 149.4% 11
2 梅島 東武伊勢崎線 足立区 6,855 10,165 148.3% 9
3 木場 東京メトロ東西線 江東区 10,015 14,801 147.8% 10
4 青井 つくばエクスプレス 足立区 6,266 9,257 147.7% 12
5 西台 都営三田線 板橋区 7,132 10,526 147.6% 14
6 菊川 都営新宿線 墨田区 9,884 14,515 146.9% 9
7 八広 京成押上線 墨田区 7,866 11,533 146.6% 8
8 京成曳舟 京成押上線 墨田区 8,300 12,149 146.4% 11
9 中板橋 東武東上線 板橋区 8,454 12,352 146.1% 8
10 豊島園 西武豊島線/都営大江戸線 練馬区 8,203 11,866 144.6% 9
11 稲荷町 東京メトロ銀座線 台東区 11,153 16,129 144.6% 7
12 綾瀬 JR常磐線/東京メトロ千代田線 足立区 7,213 10,398 144.2% 13
13 北綾瀬 東京メトロ千代田線 足立区 6,323 9,077 143.6% 13
14 六郷土手 京急本線 大田区 7,990 11,444 143.2% 11
15 北千住 JR常磐線/つくばエクスプレス/東京メトロ千代田線・日比谷線/東武伊勢崎線 足立区 8,438 12,026 142.5% 9
16 曳舟 東武亀戸線・伊勢崎線 墨田区 9,316 13,260 142.3% 8
17 押上 京成押上線/東京メトロ半蔵門線/東武伊勢崎線/都営浅草線 墨田区 9,656 13,704 141.9% 9
18 森下 都営大江戸線・新宿線 江東区 10,292 14,551 141.4% 10
19 西永福 京王井の頭線 杉並区 9,515 13,404 140.9% 12
20 早稲田 東京メトロ東西線 新宿区 10,956 15,430 140.8% 10

ⅵ.コンパクトタイプにおける賃料上昇要因の傾向・特徴

(Ⅰ)上野駅との賃料格差が縮小 ~「鶯谷駅」~

図表7は、コンパクトタイプにおける2018年比の賃料上昇率のトップ20駅を示した表です。鶯谷駅が2018年比149.4%を記録し、上昇率トップとなりました。鶯谷駅は2018年時点においては、1坪当たりの賃料が10,000円を下回っており、隣駅である上野駅と比較して、2,000円以上の格差がありました。直近の2025年においては、この格差が、1,000円未満に縮小しています。鶯谷駅では、急速に立地評価の見直しが進んでいると言えそうです。

(Ⅱ)北千住駅の賃料高騰で「近隣駅」の需要増 ~「梅島駅」、「青井駅」、「綾瀬駅」~

JR常磐線、つくばエクスプレスなど、5路線が乗り入れる巨大ターミナル駅である北千住駅が2018年比142.5%を記録し、15位にランクインしています。北千住駅は、都心部のオフィス街へのアクセスが良好である上に、2031年竣工を目指す「北千住駅前地区第一種市街地再開発事業」が計画され、今後さらなる発展が期待されます。さらに注目すべきは、北千住駅から直通で3駅以内である、「梅島駅」、「青井駅」、「綾瀬駅」「北綾瀬駅」が軒並み上昇率上位にランクインしていることです。これは、ターミナル駅での大幅な賃料上昇を避け、少しでも賃料を抑えようとする検討者が、ターミナル駅から数駅離れた駅に流出している影響と考えられます。実際、北千住駅と周辺の駅では1坪当たり2,000円前後の賃料差があり、これはコンパクトタイプの平均的な専有面積を12坪程度と考えると、総額にして24,000円程度の賃料差となります。
北千住駅周辺で特に顕著にみられるこうした動きは、今後、他のエリアにおいても見られてくると考えられます。

202604_03_image04.jpg

Ⅲ.2018年比上昇率の路線別比較

ⅰ.シングルタイプ路線別平均上昇率

【図表8】路線別シングルタイプ上昇率(2018年比)出所:株式会社コラビット「賃貸データ」より野村不動産ソリューションズ作成
鉄道会社名 路線名 駅総数 2018年
(円/坪)
2025年
(円/坪)
2018年
比上昇率
JR 山手線 27 13,832 16,506 119.9%
総武線 23 13,169 15,907 120.8%
中央線 22 13,134 15,865 120.9%
京浜東北線 19 12,738 15,322 120.6%
埼京線 10 12,807 15,372 120.6%
常磐線 8 10,405 13,322 128.9%
湘南新宿ライン 7 13,990 16,857 121.3%
東京地下鉄 丸ノ内線 22 13,393 16,259 121.5%
有楽町線 19 12,366 14,839 120.0%
日比谷線 20 14,249 16,830 118.6%
千代田線 16 13,437 16,173 121.8%
銀座線 15 14,726 17,551 119.7%
南北線 16 13,441 16,136 120.3%
東西線 16 12,873 15,412 119.8%
副都心線 15 12,658 15,079 119.5%
半蔵門線 12 14,417 17,227 120.0%
西武鉄道 新宿線 13 10,844 12,826 118.0%
池袋線 11 10,770 12,743 118.2%
京王電鉄 京王線 10 11,834 14,045 118.7%
井の頭線 14 12,345 14,259 115.2%
東急電鉄 池上線 14 11,848 13,837 117.3%
大井町線 14 12,035 14,541 120.8%
多摩川線 6 11,258 13,166 117.0%
田園都市線 7 13,030 15,497 119.1%
世田谷線 8 11,381 13,825 121.5%
東横線 8 13,744 16,394 119.2%
目黒線 8 12,513 15,083 120.5%
東京都交通局 新宿線 20 12,620 15,227 120.6%
大江戸線 32 13,297 15,909 119.7%
三田線 24 12,652 14,951 118.7%
浅草線 20 13,752 16,184 118.1%
日暮里・舎人ライナー 7 9,995 12,010 120.1%
東武鉄道 伊勢崎線 9 10,147 12,419 122.3%
東上線 10 10,605 12,989 122.4%
亀戸線 5 10,837 13,346 123.3%
京成電鉄 本線 9 9,744 12,553 129.4%
押上線 7 9,988 12,953 130.5%
小田急電鉄 小田原線 14 12,082 14,247 117.8%
京浜急行電鉄 本線 14 12,398 15,024 121.3%
首都圏新都市鉄道 つくばエクスプレス 7 11,006 13,526 123.4%

図8は、シングルタイプにおける2018年比の賃料上昇率の平均を路線別に示した表です。120%前後の上昇率を示す路線が多くを占める中、JR常磐線、京成電鉄本線と押上線では130%程度の上昇率となっています。これらの路線は、葛飾区、荒川区、江戸川区、足立区、墨田区、台東区など、下町エリアを経由する点で共通しています。2018年の平均賃料では、坪単価10,000円前後と比較的割安な賃料帯で推移していましたが、直近で坪単価13,000円と急速に賃料水準の見直しが進んでいます。シングルタイプの1部屋当たりの面積が7~8坪程度と考えると、これらの路線では1部屋当たりの賃料が10万円を超える水準になりつつあることがわかります。

ⅱ.ファミリータイプ路線別平均上昇率

【図表9】路線別ファミリータイプ平均上昇率(2018年比)出所:株式会社コラビット「賃貸データ」より野村不動産ソリューションズ作成
鉄道会社名 路線名 駅総数 2018年
(円/坪)
2025年
(円/坪)
2018年
比上昇率
JR 山手線 25 12,402 16,616 135.0%
総武線 19 10,980 14,708 134.4%
中央線 19 11,003 14,847 135.3%
京浜東北線 17 10,698 14,535 137.2%
埼京線 10 11,244 14,965 133.7%
常磐線 8 8,109 11,440 141.8%
湘南新宿ライン 7 12,797 16,946 132.9%
東京地下鉄 丸ノ内線 20 11,609 15,190 131.4%
有楽町線 19 10,638 13,584 127.4%
日比谷線 17 12,463 16,463 133.4%
千代田線 15 11,674 15,962 139.6%
銀座線 9 15,670 19,772 128.6%
南北線 14 13,099 17,303 133.2%
東西線 13 9,885 13,348 135.3%
副都心線 13 10,329 13,168 126.8%
半蔵門線 11 13,945 17,639 129.5%
西武鉄道 新宿線 13 8,112 10,300 126.3%
池袋線 11 8,052 10,092 125.3%
京王電鉄 京王線 8 9,575 12,269 127.3%
井の頭線 10 10,496 13,836 130.5%
東急電鉄 池上線 11 9,124 11,661 127.3%
大井町線 9 9,747 12,682 130.1%
田園都市線 7 11,950 15,369 128.9%
東横線 7 12,897 16,989 131.9%
目黒線 6 10,986 15,000 136.4%
東京都交通局 新宿線 16 9,816 12,777 130.5%
大江戸線 33 12,233 15,786 130.5%
三田線 21 10,436 13,955 135.5%
浅草線 15 11,310 14,852 131.9%
日暮里・舎人ライナー 7 6,785 9,324 136.0%
東武鉄道 伊勢崎線 8 7,482 9,348 124.6%
東上線 9 7,855 10,046 128.3%
京成電鉄 本線 7 7,275 9,921 135.4%
押上線 7 7,022 9,139 129.9%
小田急電鉄 小田原線 10 10,695 14,590 135.4%
京浜急行電鉄 本線 9 9,500 12,083 127.9%
ゆりかもめ 臨海線 6 12,642 16,062 127.8%
首都圏新都市鉄道 つくばエクスプレス 7 8,915 12,299 137.4%
東京臨海高速鉄道 りんかい線 5 11,329 14,008 123.6%

図表9は、ファミリータイプの2018年比の賃料上昇率の平均を路線別に示した表です。130%前後の上昇率を示す路線が多くを占める中、綾瀬駅を介して相互直通運転を実施しているJR常磐線、東京メトロ千代田線において140%前後の上昇率となっています。特に、常磐線はシングルタイプでも高い上昇率となっており、賃貸マンション全体の賃料相場が上昇傾向にある注目の路線と言えそうです。
また、ファミリータイプについては、他タイプと比較して1坪当たりの平均賃料が10,000円を超えない路線も多く見受けられ、今後はこのような「穴場」路線において上昇傾向が強まる可能性もあると言えそうです。

ⅲ.コンパクトタイプ路線別平均上昇率

【図表10】路線別コンパクトタイプ上昇率(2018年比)出所:株式会社コラビット「賃貸データ」より野村不動産ソリューションズ作成
鉄道会社名 路線名 駅総数 2018年
(円/坪)
2025年
(円/坪)
2018年
比上昇率
JR 山手線 27 12,815 16,071 126.1%
総武線 22 11,993 14,923 124.8%
中央線 21 11,961 14,916 125.1%
京浜東北線 18 11,381 14,666 129.5%
埼京線 10 11,506 14,441 126.2%
常磐線 8 8,633 11,631 135.4%
湘南新宿ライン 7 12,862 16,280 127.6%
東京地下鉄 丸ノ内線 22 12,451 15,452 124.5%
有楽町線 20 11,564 14,295 124.5%
日比谷線 19 13,129 16,300 125.3%
千代田線 15 12,117 15,208 128.1%
銀座線 14 14,341 17,455 122.9%
南北線 17 12,655 15,674 125.0%
東西線 14 11,195 14,352 128.9%
副都心線 15 11,526 14,277 125.0%
半蔵門線 13 13,899 16,794 122.8%
西武鉄道 新宿線 13 9,210 11,434 124.0%
池袋線 11 9,010 11,182 124.0%
京王電鉄 京王線 10 10,309 12,880 124.8%
井の頭線 13 10,922 13,763 126.1%
東急電鉄 池上線 14 10,002 12,648 126.3%
大井町線 12 10,684 13,301 124.5%
多摩川線 6 9,315 11,582 124.5%
田園都市線 7 12,110 14,806 122.1%
世田谷線 7 10,327 12,530 121.3%
東横線 8 13,238 16,195 122.4%
目黒線 8 11,646 14,344 123.1%
東京都交通局 新宿線 20 11,165 14,033 126.5%
大江戸線 34 12,410 15,335 124.7%
三田線 22 11,176 13,953 126.2%
浅草線 17 12,504 15,819 127.4%
日暮里・舎人ライナー 8 7,576 9,967 131.3%
東武鉄道 伊勢崎線 8 7,892 10,958 138.7%
東上線 10 8,740 11,575 132.8%
京成電鉄 本線 8 7,622 9,857 129.0%
押上線 7 7,655 10,352 134.4%
小田急電鉄 小田原線 14 11,286 13,901 123.2%
京浜急行電鉄 本線 13 10,451 13,480 129.8%
首都圏新都市鉄道 つくばエクスプレス 7 9,470 12,554 134.4%

図表10は、コンパクトタイプの2018年比の賃料上昇率の平均を路線別に示した表です。125%前後の上昇率を示す路線が多くを占める中、JR常磐線、東武伊勢崎線、京成押上線、つくばエクスプレスなど、多くの路線で130%を超える上昇率となっています。シングルタイプやファミリータイプと比較して、コンパクトタイプにおいては、幅広い路線において強い上昇傾向がみられることがわかります。コンパクトタイプは、需要者層が単身世帯からファミリー世帯まで幅広く、シングルタイプとファミリータイプのどちらからも影響を受けていると考えられます。実際に、上昇率上位の綾瀬駅、北綾瀬駅はシングルタイプ、菊川駅、早稲田駅はファミリータイプと共通して高い上昇率となっています。そのため、コンパクトタイプの路線別の上昇率は、シングルタイプ・ファミリータイプの2タイプの影響を受け、幅広い路線で上昇傾向がみられます。

Ⅳ.今後の見通し

ⅰ.短期的な傾向

ここまで、2018年比上昇率を用い、区別、駅別、路線別に賃貸マンション賃料の中期的な上昇率を比較してきました。では、短期的な傾向はどうでしょう。ここでは、2024年比の賃料上昇率などを踏まえ、賃貸マンション市場の今後を展望します。図表11は、タイプ別に比較した23区の2024年比賃料上昇率をランキング化したものです。

【図表11】東京23 区・タイプ別2024 年比賃料上昇率ランキング

[シングル]
全体
順位
区名 2024年
(円/坪)
2025年
(円/坪)
前年比
(%)
(参考)
2018年比
順位
1 葛飾区 11,602 12,812 10.4% 1
2 千代田区 15,908 17,563 10.4% 11
3 文京区 14,416 15,717 9.0% 10
4 中央区 15,608 16,957 8.6% 21
5 江東区 13,962 15,134 8.4% 4
6 品川区 14,814 16,053 8.4% 5
7 新宿区 15,198 16,429 8.1% 9
8 台東区 13,960 15,088 8.1% 3
9 墨田区 13,364 14,419 7.9% 14
10 北区 12,348 13,305 7.8% 7
11 港区 16,969 18,252 7.6% 23
12 荒川区 12,027 12,934 7.5% 15
13 渋谷区 16,162 17,294 7.0% 18
14 大田区 12,769 13,652 6.9% 19
15 世田谷区 13,257 14,142 6.7% 16
16 目黒区 15,285 16,303 6.7% 8
17 杉並区 12,817 13,645 6.5% 17
18 板橋区 11,778 12,536 6.4% 12
19 中野区 13,277 14,128 6.4% 13
20 豊島区 13,961 14,852 6.4% 6
21 足立区 11,077 11,779 6.3% 2
22 練馬区 11,678 12,286 5.2% 20
23 江戸川区 10,641 11,119 4.5% 22
[コンパクト]
全体
順位
区名 2024年
(円/坪)
2025年
(円/坪)
前年比
(%)
(参考)
2018年比
順位
1 板橋区 10,135 11,142 9.9% 4
2 足立区 9,007 9,843 9.3% 1
3 品川区 13,975 15,203 8.8% 7
4 墨田区 12,690 13,768 8.5% 2
5 台東区 13,369 14,484 8.3% 5
6 江東区 12,801 13,819 8.0% 3
7 荒川区 11,032 11,890 7.8% 6
8 中央区 15,179 16,327 7.6% 16
9 目黒区 14,397 15,477 7.5% 18
10 葛飾区 8,441 9,074 7.5% 8
11 文京区 14,074 15,108 7.3% 11
12 大田区 11,182 11,989 7.2% 10
13 杉並区 11,728 12,573 7.2% 14
14 江戸川区 8,700 9,323 7.2% 19
15 渋谷区 16,461 17,633 7.1% 21
16 千代田区 15,956 17,035 6.8% 22
17 港区 17,098 18,239 6.7% 23
18 北区 11,198 11,943 6.7% 9
19 中野区 12,222 13,010 6.4% 15
20 世田谷区 12,271 13,034 6.2% 20
21 新宿区 14,969 15,884 6.1% 17
22 練馬区 10,094 10,679 5.8% 13
23 豊島区 13,095 13,837 5.7% 12
[ファミリー]
全体
順位
区名 2024年
(円/坪)
2025年
(円/坪)
前年比
(%)
(参考)
2018年比
順位
1 荒川区 11,249 12,503 11.1% 3
2 足立区 7,897 8,665 9.7% 8
3 板橋区 8,896 9,726 9.3% 5
4 北区 11,182 12,192 9.0% 2
5 港区 18,029 19,599 8.7% 20
6 大田区 10,071 10,897 8.2% 19
7 中央区 15,079 16,288 8.0% 12
8 中野区 11,348 12,253 8.0% 10
9 葛飾区 7,897 8,491 7.5% 17
10 墨田区 11,707 12,551 7.2% 4
11 江東区 12,005 12,856 7.1% 7
12 杉並区 10,595 11,340 7.0% 18
13 台東区 13,466 14,390 6.9% 1
14 世田谷区 11,901 12,684 6.6% 13
15 練馬区 8,501 9,032 6.2% 21
16 目黒区 15,453 16,416 6.2% 15
17 豊島区 12,809 13,573 6.0% 16
18 文京区 14,122 14,940 5.8% 6
19 千代田区 17,785 18,756 5.5% 22
20 品川区 14,573 15,346 5.3% 9
21 江戸川区 8,280 8,697 5.0% 23
22 渋谷区 18,554 19,433 4.7% 11
23 新宿区 16,206 16,874 4.1% 14

出所:株式会社コラビット「賃貸データ」より野村不動産ソリューションズ作成

2018年比の上昇率では下位であった区が、2024年比で上位にランクインするケースも見受けられ、賃料上昇エリアの傾向が変化しつつあることが窺えます。特に、シングルタイプについては、中期的には葛飾区、足立区、台東区などのいわゆる下町エリアの上昇が目立ちましたが、短期的にみると千代田区、中央区、品川区などのオフィスが集積するエリアで高い上昇率を記録していることがわかります。

ⅱ.シングルタイプの見通し

では、シングルタイプおける今後の賃料上昇の見通しはどうでしょうか。図表12は、2018年比の上昇率(中期的な傾向)と2024年比の上昇率(短期的な傾向)のランキング20位までの駅の所在をまとめた図です。2018年比の中期的な傾向としては、葛飾区などの下町エリアを中心に上昇傾向にありますが、2024年比の短期的な傾向を見ると、オフィスの集積する都心部に上昇エリアがシフトしていることがわかります。

【図表12】シングルタイプ上昇率ランキング・トップ20駅

[2018年比]
202604_03_image05.jpg
202604_03_image07.jpg
[2024年比]
202604_03_image08.jpg

賃料上昇傾向が都心にシフトしている理由としては、テレワーク実施率の低下による出社回帰が要因の一つであると考えられます。図表13は、各調査年度において直近1年間にテレワークを実施しているテレワーカーの割合を示した表です。コロナ禍の令和3年にピークとなって以降、テレワークの実施率は減少傾向にあることがわかります。これにより、職住近接を求める単身者の賃貸需要が増加し、短期的にはオフィス集積地に近いエリアを中心に高い上昇率となっています。
今後も、テレワーク実施割合の上昇は見込みにくく、オフィスの集積する都心部において、シングルタイプの大幅な賃料上昇が継続する可能性が高いと言えそうです。

【図表13】テレワーク実施割合推移
202604_03_image09.jpg出所:国土交通省

ⅲ.ファミリータイプの見通し

では、ファミリータイプおける今後の賃料上昇の見通しはどうでしょうか。図表14は、2018年比の上昇率(中期的な傾向)と2024年比の上昇率(短期的な傾向)のランキング20位までの駅の所在をまとめた図です。中期的・短期的ともに、比較的幅広いエリアで上昇傾向がみられます。その中でも、2024年比の短期的な傾向として、上昇率3位に白金高輪駅がランクインしたことが今後のファミリータイプの賃料上昇を見通すうえで重要なポイントとなりそうです。白金高輪駅では、2022年に総戸数1,000戸を超える分譲マンションである「白金ザ・スカイ」が竣工しており、竣工後数年経過した現在、多くの住戸が賃貸住宅として貸し出されています。これらの「分譲賃貸」が、白金高輪駅のファミリータイプの賃料相場を大幅に押し上げています。

【図表14】ファミリータイプ上昇率ランキング・トップ20駅

[2018年比]
202604_03_image10.jpg
202604_03_image11.jpg
[2024年比]
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ファミリータイプの賃貸マンションについては、分譲マンションや分譲戸建とも競合するため、賃借需要が限定的であると考えられます。しかし、近年の分譲マンション価格の大幅な高騰によって、足元ではファミリー世帯による賃借の需要が非常に高まっています。そのため、「白金ザ・スカイ」のように、分譲マンションの1部屋が賃貸住宅として貸し出される「分譲賃貸」の存在感が高まっています。図表15は、国土交通省による分譲マンションの「賃貸転用率」(総戸数のうち分譲賃貸住戸に転用されている割合)の最新の調査結果です。一般的に「タワーマンション」に分類される「20F以上」のマンションでは、相当数が「分譲賃貸」に回っていることが類推できる結果です。タワーマンションは総戸数も多く、この割合以上にマーケットに与える量的なインパクトは大きいと言えます。タワーマンションが都心部かつ駅近くに所在している物件が多いことを考えると、今後は、タワーマンションが多く所在する駅を中心にファミリータイプの賃貸マンション賃料が上昇する可能性が高いと言えそうです。

【図表15】全国・分譲マンションの「賃貸転用率」の割合
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ⅳ.コンパクトタイプの見通し

最後に、コンパクトタイプおける今後の賃料上昇の見通しはどうでしょうか。図表16は、2018年比の上昇率(中期的な傾向)と2024年比の上昇率(短期的な傾向)のランキング20位までの駅の所在をまとめた図です。
コンパクトタイプについては、需要者層が単身世帯からファミリー世帯まで幅広く、シングルとファミリーの両タイプからの影響を受けると考えられます。実際に、2024年比の短期的な傾向を見ると、麹町駅や六本木一丁目駅が上昇率上位にランクインしており、シングルタイプ・ファミリータイプでみられた都心部での上昇と同様の動きも見られます。
コンパクトタイプの賃料上昇の今後を見通すうえでは、シングルタイプとファミリータイプの動きに注目することが重要であると言えそうです。

【図表16】コンパクトタイプ上昇率ランキング・トップ20駅

[2018年比]
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[2024年比]
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提供:リサーチ・コンサルティング部

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