35年ローンの途中で売るときの注意点は?売却手順と完済できないときの対策

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35年ローンは、人生設計を考えて自宅を購入する際に組まれる代表的な契約です。しかし、突然の転勤や海外赴任、失業や事故・病気など、さまざまな理由によってローンの途中で家の却を検討することがあるかもしれません。この記事では、35年ローンの途中で自宅を売却する際の手続きや注意点について詳しく解説していきます。

目次

1. 35年ローンの途中で家を売る理由と注意点

35年ローンの途中で家を売るときの準備は、売却理由によって変わってきます。まずは、ローン途中で家を売る理由と注意すべきポイントを解説します。

1-1.住宅ローン返済がきつい

35年ローンの途中で家を売却する典型的な理由は、「転職・失業や事故などによる収入の減少によって住宅ローンの支払いが厳しくなった」というものです。元利払いの遅延を放置すると、強制競売となるため、その後の生活に備える期間が限られてしまいます。

また、競売による売却では、一般的な売買よりも低廉な売却額となることが多いため、住宅ローンが完済されずに残ることも少なくありません。支払いが滞らないよう早めに売却準備をし、任意売却やローンの期限前支払いの相談をする必要があります。

1-2.転勤・転居や海外赴任の場合

転勤・転居や海外赴任のために自宅を売却しなければならない場合は、柔軟なスケジュールを組むのが難しいため、転勤・転居が決まった段階で早めに行動しなければなりません。立地が良く賃貸需要があるエリアであれば、リロケーションを活用してローンを返済する方法も考えられます。

1-3.離婚の場合

離婚で家を売却する際は、売却後の財産分与も考慮に入れつつ手続きを進めることになります。物件が単独所有か、ペアローンなどの理由で共有名義になっているかなど、法的な取り扱いの検討が必要です。また、収入合算などの理由で、配偶者が住宅ローンの連帯債務者や連帯保証人になっている場合、物件売却後のローン残高が問題になることもあります。

2. ローン返済中に自宅を売却する手順

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自宅の売却時は、住宅ローンの担保として物件に設定されている「抵当権」を抹消しなければなりません。住宅ローンの現状と自宅の価値を調べ、家の売却資金で住宅ローン完済が可能かの調査が最初のステップです。ここでは、ローンの途中で自宅を売却する際の手順を解説していきます。

2-1.売却相場と住宅ローンの残債を確認する

まずは、不動産仲介会社への売却査定依頼が必要です。簡易な査定も可能ですが、本格的な売却を考えているなら、最初から訪問査定を依頼しても良いでしょう。住宅ローンの残債は、毎年金融機関から送られてくる「ローン残高確認書」で分かります。

より直近の残高を確認したい場合には、Web上から借入金残高の照会を行い確認書をダウンロードするほか、金融機関に直接確認することも可能です。不動産仲介会社からの査定結果とローンの残高を見比べ、売却資金でローンを完済できそうか確認しましょう。

2-2.金融機関に相談する

実際に売却活動を始める前に、金融機関に住宅ローンの期限前弁済の相談をしなければなりません。特に、売却後に住宅ローンが残る場合は、残債をどう取り扱うかの相談が必要です。金融機関によっては、安易な売却について慎重な姿勢をとられる可能性があります。

2-3.売却・住みかえの計画を立てる

売却予定価格やローンの残債をもとに売却計画を立てましょう。主に検討しておかなければならない事項は、売却・引越しに必要な資金の準備や売却スケジュール、住みかえ先の計画などです。住みかえについては、賃貸にするか購入か、売り先行か買い先行かなどによって、必要な資金やスケジュールが変わるため、綿密な計画が欠かせません。

2-4.不動産仲介会社に売却を依頼する

不動産仲介会社と売買の媒介契約を締結し、売却活動を依頼しましょう。不動産仲介会社は、物件の調査や物件情報に関する書類の収集を行うとともに、チラシや情報サイトへの掲載などで検討客を集めます。売主側にも、物件資料の収集、物件調査の対応、検討客の内見の対応など、多くの準備が必要です。

2-5.売買契約・引渡し準備を行う

売買価格や引渡し条件、契約条件に合意できれば、売買契約を行います。売買契約後は、引渡しまでに引越し・不用品の処分・クリーニングや設備の修繕が必要です。スケジュール通りに引渡せるよう、事前にしっかり段取りをしておきましょう。

2-6.物件引渡し・住宅ローンの返済を行う

引渡日当日は、物件の引渡し(物件の鍵・権利証・登記情報などの受け渡し)、残代金の受領、住宅ローンの返済、抵当権抹消登記と所有権移転登記の手続きを同時に行わなければなりません。事前に金融機関や司法書士、仲介を行う不動産仲介会社と相談し、当日の手続きを確認しておく必要があります。

3. 残債を完済できない場合の対処方法

家の売却時には抵当権を抹消しなければなりません。自宅の売却金でローンを完済できない場合、抵当権の抹消方法について、抵当権者である金融機関との相談が必要です。ここでは、ローン残高を完済できない場合の「任意売却」と「住みかえローン」について解説します。

3-1.任意売却の相談をする

「任意売却」とは、住宅ローンが滞納しており、物件の売却金でもローン完済ができない状態で物件を売却することです。ローンの支払いに滞納がない場合は、任意売却を断られるケースがあります。金融機関にとっては抵当権のないローンが残るため、その取り扱いについて相談が必要です。

3-2.住みかえローンを活用する

「住みかえローン」とは、新居の購入費用に加え、既存住宅のローン残債を合わせてローンを組む方法です。新居の担保価値や借入人の返済能力、返済期間も含め、一般の住宅ローンよりも厳しく審査されます。

4. 売り先行・買い先行のメリット・デメリット

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新居を購入して住みかえるときは、「既存の自宅を先に売る」(売り先行)か、「新居を先に買う」(買い先行)か、いずれかの方法をとることになります。ここでは、両者のメリット・デメリットを解説します。

4-1.売り先行のメリット・デメリット

売り先行では、まずは自宅を売って仮住まいの賃貸物件に引越し、改めて新居を探すことになります。売り先行のメリットは、資金計画が立てやすく、新居が見つからなければ賃貸に変更するなど、柔軟な対応が可能な点です。一方、仮住まいの出費がかさむ、2回の引越しの手間と労力がかかるといった点は、デメリットと言えるでしょう。

4-2.買い先行のメリット・デメリット

買い先行のメリットは、転居先が先に決まるため、引越しのスケジュールが立てやすい点です。一方で先行して手付金や諸費用を支払うため資金に余裕がないと難しい点や、住みかえローン等を活用する場合にはローン審査が厳しめになる可能性があることが買い先行のデメリットと言えます。

5. まとめ

35年ローンの途中で自宅を売却する必要があるときは、早めに不動産仲介会社や金融機関に相談することをおすすめします。スケジュールに余裕があるうちは、冷静になってさまざまな可能性を考えられますが、時間が限られると、売却方法や売却価格で不利な交渉を強いられるかもしれません。

トラブルや資金不足を避けるためにも、手元の資金や今後のスケジュールに加え、売り先行・買い先行のメリット・デメリットも考慮しながら、綿密な計画を立てる必要があります。自宅の売却や住みかえは、専門家の助けを借りつつ計画的に行いましょう。

徳田 倫朗

徳田 倫朗

宅地建物取引士
株式会社イーアライアンス代表取締役社長。中央大学法学部を卒業後、戸建・アパート・マンション・投資用不動産の売買や、不動産ファンドの販売・運用を手掛ける。アメリカやフランスの海外不動産についても販売仲介業務の経験をもち、現在は投資ファンドのマネジメントなども行っている。

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