中古マンションの購入にかかる税金とは?

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マンションを購入しようと考えたときに、購入金額の安さから中古マンションを選択する方が多いのではないでしょうか。中古マンションを購入する利点は金額の安さですが、実は税金面でもメリットがあります。今回は、固定資産税と中古マンション購入の節税メリットについて説明します。

目次

1. 中古マンション購入時の税金

マンション購入時には、売買代金の他に仲介手数料や契約書へ貼る収入印紙代、登記費用などいろいろな費用がかかります。その費用の中で税金は、通常は登記費用の一部である「登録免許税」と契約書に貼る「収入印紙税」がかかり、売主が不動産業者などで消費税の課税事業者である場合にはマンションの建物価格に対して「消費税」もかかります。新築物件か中古物件かで課税される税金の種類に違いはありません。この3つの税金は地方消費税部分を除きすべて国税です。

税額を計算する課税標準は、登録免許税・不動産取得税は固定資産税評価額、収入印紙税は契約書の売買金額、消費税は売買代金のうちの課税対象金額(主に建物)です。

1-1. 収入印紙税

収入印紙税は収入印紙を郵便局などで購入し、契約書に貼付して消印を押すことで納税が完了します。

1-2. 登録免許税

登録免許税は、登記を委任した司法書士が代わりに納付書で納付し、その他の登記費用と一緒に司法書士に対して支払う場合が多いでしょう。

1-3. 消費税

消費税は、売主が消費税の課税事業者になっている場合にのみ税の負担が必要です。売主は売買代金と一緒に消費税を受け取り、決算の時などに他の課税売上や課税仕入などと集計して申告書を作成し、税務署へ提出と納税をします。買主は、消費税についての手続きなど何もする必要はありません。

1-4. 不動産取得税

購入後に不動産取得税がかかることがあります。取得してから30日以内の申告が必要で、住宅取得の場合には軽減制度の特例がありますので、申告をして特例を受けましょう。

2. マンション購入後にかかる固定資産税とは

固定資産税は土地建物等の財産に課税される地方税です。固定資産税にはほかにも、事業を行っている中で所有した備品などにも償却資産税などがあります。
納税義務者は、毎年1月1日時点の土地・建物・償却資産の所有者です。地方自治体は登記情報などをもとに1月1日時点の所有者を決定、固定資産税課税台帳に記載し、納税額を計算します。固定資産課税台帳は財産ごとに作成するものですが、所有者ごとに集計すること(名寄せ)ができるため、自治体が住民票の移動があったことを確認した場合には所有者の住所をまとめて変更することができます。また、相続の際に相続人が名寄せをして固定資産税課税台帳を取得して、被相続人の不動産の所有状況を確認することもできます。
固定資産税の納付書は、地方自治体が春頃に発送します。納付は一年分を一括で納めるか、4回程度の分割でその年の5月頃から翌年2月頃までに納付します。
なお、固定資産税は登記の有無に関係なく課税されるため、未記の建物も課税対象になります。地方自治体では定期的に航空写真などで未登記の建物がないかどうかの確認をして、もし固定資産税台帳上に確認できない建物を見つけた場合には現地へ行って確認作業を行い、固定資産税の課税を行います。逆に一度課税対象になってしまうと未登記の建物を取り壊しても課税対象から外れることが少ないため、固定資産税の明細を確認して、すでに取り壊している建物が載っている場合には役所へ異動届を提出しましょう。マンションでも倉庫などは課税されていることがあるので、管理組合は普段から確認しておき課税さている建物を取り壊した場合には必ず届け出をしましょう。

3. 購入時の固定資産税精算

固定資産税は、1月1日時点の所有者に課税義務が生じます。その時点の所有者が納税義務者になるので、年の途中に売買などで名義が変わってもその年の納税義務者は変わりません。そのために年の途中で売買があった場合には、通常は買主が売主に対して売却日以降の固定資産税の精算をして支払います。逆に売却があっても納税義務者は変わらないので必ず精算しなければならないものではありません。
固定資産税の精算をする場合、売買契約書とは別に精算書などを作成し固定資産税の精算やその他の精算内容を記載して、売買代金に加減した金額が最終的な売主へ渡す金額になります。

4. 固定資産税の計算方法

4_1.固定資産税評価額

固定資産税の税額計算のもとになる固定資産評価額は、通常、総務大臣が決める固定資産評価基準に従って評価額を決定します。評価額は3年に一度見直されることになっていて、多くの地方自治体は2021(令和3年)年度に価格の見直しをしているため、2022(令和4年)年度・2023(令和5年)年度は評価の見直しは行われません。

建物の評価は再建築価格方式といって、建築時の建築時価をもとに計算されます。具体的には、新築時は「各個の建物の評点数×評点1点あたりの価格」(土地の計算方法も基本的に同じです)で評価するように規定されています。新築時の金額から、減価償却の計算と同様に既定の経年減価補正率をかけて減額していきます。最終的に残存価額まで減額させます。

参照:京都市役所「京都市平成30年 固定資産税評価要領 家屋評点付設の手引き」
https://www.city.kyoto.lg.jp/gyozai/cmsfiles/contents/0000082/82048/hyotenhusetu.pdf

土地の評価は「固定資産税路線価方式」もしくは「標準地比準方式」によって評価します。
固定資産税路線価方式は、相続税の土地等の評価で使う路線価とは違う独自の路線価です。内容的にはおおよそ同じで、道路に値段が付いていて、その金額に土地の形による減額をして面積をかける計算します。ただ、固定資産税路線価方式は自治体が各土地を個別に判定して評点数を決めるため、より細かい評価になっていると思われます。

固定資産税路線価は次のような流れで決めていきます。市区町村内の宅地の利用状況をもとに商業地区や住宅地区などに区分します。その区分内で、状況の類似している地域ごとに再区分します。その中の標準的な街路を選定します。その街路に沿った標準的な土地を選定し、地価公示価格、都道府県地価調査価格及び不動産鑑定士等による鑑定評価の約70%を固定資産税の標準的な時価とします。一般的に言われている固定資産税評価額は時価の70%になっているという話はここからきています。標準的な時価が決まったら、これまで区分した「街路」「利用状況区分」などをもとに路線価を決めていきます。

標準地比準方式も決定方法は大体同じで、こちらは標準的な平米単価を算定して各土地の評価額を計算していく方法です。

参照:東京都主税局「令和3基準年度路線価図」
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/map/R03/chizu.html

参照:一般財団法人資産評価システム評価センター「固定資産税評価のあらまし」
https://www.recpas.or.jp/new/jigyo/report_web/R3_hyoka_aramashi.pdf

4_2.固定資産税評価額

固定資産税の税率は土地・建物・償却資産ともに共通で1.4%です。固定資産税評価額に1.4%をかけて固定資産税を計算します。
また、土地建物にはそれぞれ免税点が設定されていて、標準的な免税点は土地が30万円、建物が20万円です。同一市町村内の固定資産のそれぞれの固定資産課税評価額の合計が課税標準以下の場合には、固定資産税の課税はありません。自宅マンションが古くても免税点以下になることはほとんどありませんが、以下の特例によってかなり少なくなることはあります。

4_3.固定資産税の特例

固定資産税は、小規模な居住用住宅の場合は固定資産税評価額の減額の特例があります。一般的な特例は以下の通りです。ただし、固定資産税は地方自治体に課税権があるため、一定の範囲内で特例額の変更や税率を決めることができます。住んでいる市区町村がどういう設定になっているかを必ず確認ください。

(1)住宅用地の特例

一定の要件を満たした住宅用地で1戸につき200㎡までの部分は、固定資産税の評価額は1/6に減額されます。それ以外の住宅用地は1/3の減額です。 通常は固定資産の評価時から特例の適用が開始されますが、それまで事業用だったマンションが居住用に利用が変わって特例の対象になった場合には、固定資産税の住宅用地等申告書を提出しなければなりません。固定資産税の納付書が届いたら、所有している不動産がどういう評価になっているのかを固定資産の明細で確認してみましょう。

(2)負担水準の均衡化

固定資産税の評価額は3年ごとに評価替えが行われるため、土地は時価の高騰により大きく固定資産税が増えてしまうこともあります。この状況を緩和するために、課税標準が一定以上に上がった場合には、課税標準額の減額措置が取られています。2021(令和3年)年度の評価替えは新型コロナウイルス感染症の流行により経済環境などに大きく変化があったため、課税標準の据え置き措置が取られています。

5. 中古マンションと固定資産税

購入時の登録免許税や不動産取得税も、取得後の固定資産税も固定資産評価額を基に計算されます。固定資産税の評価額は地方自治体が決定するため、基本的に納税者側で税金対策ができません。ただ、マンションを買う際、エリアや駅からの距離が同条件であれば、新築マンションに比べて、減価償却金額分だけ固定資産税評価額が下がった中古物件を選ぶことが唯一の税金対策になるでしょう。固定資産税評価額が安ければ、毎年の固定資産税が少なくなります。資産価値という面では得になるかはわかりません。ただし、毎年の固定資産税が少ないということは選択する理由の一つに入れておいてもいいでしょう。

6. まとめ

固定資産税は自分で計算する機会も少なく、不動産を持ったことがなければ気にする機会のない税金です。しかし、マンションを購入すると毎年納税をすることになり、税金対策ができる税金ではありません。特例の適用も基本的には申告書の提出は前提になっていて、適用漏れになっていることがないとはいえません。固定資産税の納付書が届いたら、内容を確認する習慣をつけるといいでしょう。中古マンション購入の際は、購入検討の物件が出てきたら固定資産税の評価額も確認して判断材料の一つに加えましょう。

須栗 一浩

須栗 一浩

税理士法人エムエスオフィス 代表税理士
平成7年税理士登録・開業。平成27年より税理士法人へ合流。現在に至る。会社税務から個人の確定申告、相続税に至るまで活動範囲は広い。固くない、いつでも話せる税理士としてクライアントからの信頼は厚い。ファルクラム租税法研究会研究員

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