住宅ローンは借りてからが大切!返済中の見直しのポイントを解説
2026年09月02日
住宅ローンは、数十年にわたって返済が続くことが一般的です。その間には、子どもの進学、家族構成の変化、転職、定年退職など、ライフスタイルや家計にさまざまな変化が生じる可能性があり、また、経済情勢によって金利が変動することもあります。そのため、借入時点では最適だと思っていた返済プランであっても、返済中に見直しが必要になるケースもあります。
住宅ローンは「借りたら終わり」ではなく、「借りてから」も大切です。住宅ローンの返済中に見直しを検討すべきタイミングや、具体的な見直し方法についてわかりやすく解説します。
住宅ローンを見直す4つのタイミング
住宅ローンを借りる際には、「金利タイプの選択」「毎月の返済額」「返済期間」などを真剣に検討するでしょう。しかし、返済が始まると、毎月口座から自動的に引き落とされるため、そのまま放置してしまいがちですが、その間に、家計収支や資産との間にズレが生じてくる可能性があります。このような状況を解決するためには、適切なタイミングで住宅ローンを見直すことが効果的です。
住宅ローン見直しのタイミングは人により異なりますが、主に次の4つがあげられます。
・タイミング1:住宅ローンの金利が変動してきたとき
住宅ローンの金利は、景気や物価、金融政策、市場金利など、さまざまな要因により変動します。金利が上昇する局面では、変動金利型を選択している場合に、返済負担が増加する可能性があります。一方、金利が低下する局面では、固定金利型を選択している場合に、変動金利型との金利差が広がることがあります。
・タイミング2:家計の収支バランスが変化したとき
住宅ローンを借りた時点で見込んでいた収入が、転職、退職、失業などによって著しく減ることがあります。また、子どもの進学方針の変更や親の介護などにより、予期せぬ出費や予想を超える支出が生じるケースもあります。
このように、収入の減少や支出の増加により家計収支が悪化すると、住宅ローンの負担が重くなる可能性があります。
・タイミング3:臨時収入があったり手元資金が増えてきたとき
見直しのタイミングは、金利が変動してきたときや、家計が苦しくなったときだけではありません。ボーナス、退職金、相続・贈与などでまとまった資金が入ってきたときや、預貯金が徐々に増えて手元資金に余裕ができたときなどが、繰り上げ返済を検討するタイミングといえます。
・タイミング4:買いかえを検討するとき
マイホームの購入後に買いかえを行うケースもあります。買いかえを検討する際には、売却後の手取り額と現在の住宅ローンの残債を確認し、売却後の手取り額で住宅ローンを完済できるかどうかを確認したうえで進める必要があります。

住宅ローンの見直しの方法
住宅ローンの見直しにはさまざまな方法があります。見直しのタイミングや期待される効果により、適切な選択をすることが大切です。
(1)繰り上げ返済
多くのタイミングで行われるのが繰り上げ返済です。繰り上げ返済は、金利上昇、金利低下のどちらの局面でも、将来支払う利息を減らし、総返済額を抑える効果があります。繰り上げ返済の方法には、「期間短縮型」か「返済額軽減型」があります。
「期間短縮型」は、毎月の返済額は変えずに返済期間を短縮するタイプです。完済時期を早められるほか、将来支払う予定だった利息を減らす効果が期待できます。
「返済額軽減型」は、返済期間は変更せず、毎月の返済額を抑えるタイプで、毎月の家計負担を抑えたい場合に適しています。
参考記事:住宅ローンの繰り上げ返済をするときに考えておきたいポイント
(2)金利タイプの変更
住宅ローンの金利が変動してきたときに検討したいのが、金利タイプの変更です。
金利タイプの変更とは、住宅ローンの金利タイプを「変動金利型から固定金利型へ」または「固定金利型から変動金利型へ」と条件変更する手続きのことです。金利の上昇局面において変動金利型を選択している場合、固定金利型に変更することで、さらなる金利上昇による返済額の負担の増加を抑えられる可能性があります。
タイミングとしては、返済期間中に「金利が上がりそう」と不安を感じたとき、すでに金利が上昇してきており、これ以上の金利上昇リスクを避けたいときなどがあります。
一方、金利が低下する局面において固定金利型を選択している場合、変動金利型との金利差が広がる可能性があります。このような場合、固定金利型から変動金利型へ変更することで、毎月の返済額を抑えられる可能性があります。
なお、金融機関によっては金利タイプの変更ができない場合もあるため、個別に確認をする必要があります。
(3)その他の条件変更
返済が本当に厳しくなったときは、金融機関によっては「返済期間の延長」や「元金の返済猶予(元金据え置き)」に対応してくれます。また、ボーナス払いが厳しくなったときには、ボーナス払いを取り止め毎月返済のみへの変更に対応してくれるケースもあります。いずれの場合も、滞納する前に金融機関に相談することが重要です。
ただし、条件変更にあたっては金融機関の承諾が必要です。収入状況の他、これまでの返済実績(滞納がないか)、物件の資産価値などが審査されます。また変更の内容に応じて事務手数料などの諸費用が発生する場合もあります。
(4)借り換え
他の金融機関が取り扱う、より有利な条件の住宅ローンに借り換えることにより、返済負担が軽減できるケースもあります。金融機関によっては、借り換えに対して金利優遇プランを用意しているケースもあります。
(5)買いかえローン
マイホームの買いかえのケースで、売却後の手取り額より住宅ローンの残高が多い場合、「買いかえローン」が利用できる場合もあります。「買いかえローン」とは、マイホームを売却しても残る住宅ローンの残債と新しく購入するマイホームの住宅ローンを一体で借りられる専用のローンのことです。ただし、一般的な住宅ローンよりも金利が高めになることが多くなります。
図表1:住宅ローンを見直すタイミングと主な方法
住宅ローン見直しの際の注意点
(1)固定金利は変動金利より先に変動する傾向がある
金利タイプの変更を検討するときに注意したいのが、一般的に固定金利は変動金利より先に変動する傾向があることです。そのため、変動金利型を固定金利型に変更しようとしたときには、すでに固定金利が上がってしまっていることが少なくありません。
この場合、一旦は返済額が増えたとしても、今後さらに変動金利が上昇し固定型の金利を超える可能性を見越して、早めに「金利を固定化しておく」ことが主な目的になります。
なお、金利タイプを変更する場合は、一般的に新規で住宅ローンを借りるときに受けられる金利優遇などのメリットは受けられないため、期待していたほどの効果が得られないケースもあります。そのため、変更前と変更後の比較も慎重に行う必要があります。
(2)借り換えの場合、諸費用も含めて計算する
借り換えには保証料、事務手数料、登記費用などのまとまった諸費用がかかります。そのため、借り換え後の金利だけではなく、「借り換えによって減る利息」と「借り換えにかかる諸費用」を総合的に比較する必要があります。
(3)繰り上げ返済の場合、手元に一定の資金は残す
繰り上げ返済をしすぎて手元資金が底をつくと、病気・ケガ・失業などの急な出費に対応できなくなる可能性があります。また、将来の教育費や老後資金など、今後必要になる資金の確保も考慮したうえで繰り上げ返済に充てる金額を決めましょう。
(4)住宅ローンの見直し以外の方法も検討する
住宅ローン自体を見直す際には、他の負担軽減方法と比較したほうがよいケースもあります。たとえば、教育資金の支出増加に対応する方法として、奨学金の活用があります。
日本学生支援機構(JASSO)の奨学金制度には、貸与型と給付型の奨学金があり、いずれも子どもの在学中の負担を軽減するための仕組みです。特に2024年からは、3人以上の子を扶養している「多子世帯」や「理工農系の大学などに進学する学生」を対象とした支援が拡充され、対象者の負担が大幅に軽減されました。奨学金には、所得、資産、学力の基準があるため、対象となる可能性がある場合は、早めに確認しておきましょう。
※制度内容は変更される場合があります。
(5)繰り上げ返済と資産運用を比較する
手元資金で住宅ローンの繰り上げ返済を行う方法は、返済負担の軽減や将来支払う利息を減らすために有効です。一方で、手元資金を繰り上げ返済には充てるのではなく、その一部で資産運用を行うという考え方もあります。
住宅ローンの金利よりも高い利回りで資産運用ができれば、長期的な資産の増加にもつながります。新NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)などの税制優遇を活用し、長期・積立・分散を意識した資産形成を検討する方法もあります。
ただし、金融資産運用には元本割れなどのリスクもあるため、繰り上げ返済によって得られる負担軽減効果と、資産運用によって期待できるリターンを、今後必要となる資金や運用期間、リスク許容度などを踏まえて判断することが大切です。
(6)金利は上昇・低下を繰り返す
金利はさまざまな経済情勢や社会情勢などの影響を受けて変動します。上がり続ける、下がり続けるのではなく、上昇と低下を繰り返すのが一般的です。そのため、短期的な金利の動きだけにとらわれず、中長期的な視点も含めて判断することも大切です。
まとめ
住宅ローンは「借りて終わり」ではなく、金利や家計・ライフステージの変化に合わせて見直すことが大切です。見直しの方法も、繰り上げ返済だけではなく、金利タイプの変更や、借り換えなど、状況に応じてさまざまな選択肢があります。
家計やライフステージの変化に合わせて柔軟に見直すことが、家計を守り、無理のない返済を続けるための重要なポイントとなります。

ファイナンシャル・プランナー(CFP®、1級FP技能士)、終活アドバイザー、不動産コンサルタント
1961年東京都出身 早稲田大学商学部卒業後、大手住宅メーカーに入社。30年以上、顧客の相続対策や資産運用として賃貸住宅建築などによる不動産活用を担当、その後独立 。現在は、FPオフィス ノーサイド代表としてライフプラン・住宅取得・不動産活用・相続・終活などを中心に相談、コンサルティング、セミナー、執筆などを行っている。
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