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オフィスマーケットレポート(2025年9月)
【東京都心5区 大規模ビル】
アナリストの視点
コロナ禍前の2019年後半は募集面積が20万坪程と極めて低い水準で推移し、需給バランスはひっ迫した状態にあった。その時期と比較して足元で募集面積は上回るものの、実際には成約に向けた話が既に進んでいる募集床も多い。選択肢が限定的なことから移転を見送る事例も増えており、今後も成約面積の増加が続くのか動向が注目される。
(基準日:2025年8月31日)
※東京都心5区: | 千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区 |
※大規模ビル: | 1フロア面積200坪以上の賃貸オフィスビル |
※空室率: | 貸付総面積に対する「現空面積」の割合 |
※潜在空室率: | 貸付総面積に対する「募集面積」の割合。既存ビルにおいて、テナント退去前を含む募集床が対象 |
※募集面積: | 各統計日において公開されているテナント募集面積の合計 |
※統計開始: | 1994年1月1日 |
Ⅰ.実質GDP成長率
25年度0.6%、26年度0.9%の予測
2025年4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率1.0%と、5四半期連続のプラス成長となった。7-9月期は関税引上げの影響が顕在化することに加え、住宅投資の大幅な落ち込みによりマイナス成長を見込んでいる。ニッセイ基礎研究所は2025年度、2026年度のGDP成長率を0.6%、0.9%と予測している。(図表1)
Ⅱ.失業率
前月から低下(=改善)。2019年12月以来の低水準
7月の完全失業率(労働力調査 総務省)は前月から低下(=改善)の2.3%となり、コロナ禍前の2019年12月以来の低水準となった。有効求人倍率(厚生労働省)は前月から横ばい 、その先行指標である新規求人倍率は前月から低下(=悪化)している。(図表1)

Ⅲ.空室率・潜在空室率
6ヵ月連続の低下。低下傾向が継続
空室率は前月比マイナス0.13ポイントの1.71%となった。新築・築浅ビルを中心に空室消化が進んだことに加え、8月竣工の新築ビルが高稼働だったことが空室率低下の背景となっている。潜在空室率は前月比マイナス0.27ポイントの3.32%となった。空室率・潜在空室率ともに6ヵ月連続で低下し、低下傾向が継続している。

Ⅳ.募集賃料
上昇傾向が続く。2020年9月以来の31,000円/坪台
募集賃料は前月から上昇し、2020年9月以来の31,000円/坪台を回復した。21ヵ月連続で前月から上昇または横ばいとなり、上昇傾向が続いている。足元の募集面積は約33万坪と2020年6月並の水準まで低下しており、都心部の主要エリアでは募集床の品薄感が強まっている。

Ⅴ.成約面積
2025年上半期は前年同期を上回る。リーシング活動は活発な状態が継続
成約面積はリーシング活動の活発度を表す指標である。2025年第2四半期の成約面積は対前年同期比でプラスとなり、2025年上半期の合計でも前年同期を上回った。リーシング活動は活発な状態が続いている。

Ⅵ.エリア別募集賃料(円/坪)




※規模 (1フロア面積) |
・大規模(200坪以上) ・大型(100坪以上200坪未満) ・中型(50坪以上100坪未満) ・小型(20坪以上50坪未満) |
※「-」は、調査時点においてテナント募集を行ったビルが少なかったため、適正データが算出できなかったエリアです。
Ⅶ.空室率の推移(6大都市 大規模ビル)

Ⅷ.募集賃料の推移(6大都市 大規模ビル・主要駅前地区)

※募集賃料:共益費込
※外税表示
提供:三幸エステート株式会社
会社HP:https://www.sanko-e.co.jp/
当レポートは情報提供を目的とし、情報の正確性に十分配慮して作成されておりますが、その内容を保証するものではありません。使用にあたっては貴社の責任と判断にてお願い致します。
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