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オフィスマーケットレポート(2025年11月)
【東京都心5区 大規模ビル】
アナリストの視点
足元のオフィス需要は活発な一方、2026~2028年の平均供給量は11万坪/年と比較的低水準に止まる。2029年には大量供給が予定されていたものの、竣工時期が後ろ倒しになる事例が複数あり、懸念された程の供給過剰にはならないとみられる。二次空室の発生も想定を下回っており、需給バランス軟化のリスクは緩和されつつある。
(基準日:2025年10月31日)
| ※東京都心5区: | 千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区 |
| ※大規模ビル: | 1フロア面積200坪以上の賃貸オフィスビル |
| ※空室率: | 貸付総面積に対する「現空面積」の割合 |
| ※潜在空室率: | 貸付総面積に対する「募集面積」の割合。既存ビルにおいて、テナント退去前を含む募集床が対象 |
| ※募集面積: | 各統計日において公開されているテナント募集面積の合計 |
| ※統計開始: | 1994年1月1日 |
Ⅰ.実質GDP成長率
2025年7-9月期。6四半期ぶりのマイナス成長を予想
ニッセイ基礎研究所によれば、11月17日に内閣府が公表する2025年7-9月期の実質GDP成長率は年率マイナス2.7%と、6四半期ぶりのマイナス成長になったと予想される。輸出と住宅投資が大きく落ち込んだことが主因となっている。10-12月期は民間消費、住宅投資、設備投資が増加することから年率0%台前半の小幅なプラス成長を予測している。(図表1)
Ⅱ.失業率
前月から横ばい。女性の雇用が正規化を伴いながら拡大
9月の完全失業率(労働力調査 総務省)は前月から横ばいの2.6%となった。有効求人倍率(厚生労働省)も前月から横ばいで、その先行指標である新規求人倍率は前月から低下(=悪化)した。女性の雇用が正規化を伴いながら拡大しており、正規雇用比率は調査開始以来の最高水準を更新している。(図表1)
出所:ニッセイ基礎研究所Ⅲ.空室率・潜在空室率
8ヵ月連続の低下。潜在空室率は2020年5月以来の2%台
空室率は前月比マイナス0.07ポイントの1.38%となり、前月から小幅に低下した。拡張移転や館内増床等により空室消化が進んでいる。潜在空室率は前月比マイナス0.26ポイントの2.79%で、2020年5月以来の2%台に低下した。空室率・潜在空室率ともに8ヵ月連続の低下となり、低下傾向が継続している。

Ⅳ.募集賃料
上昇傾向は継続。募集面積は2020年4月以来の20万坪台に減少
募集賃料は約2年ぶりで前月から下落したものの、わずかな動きに止まっており上昇傾向は続いているとみられる。募集面積は2020年4月以来となる20万坪台に減少した。新築ビルに移転したテナントの二次空室は想定より発生しておらず、都心部の主要エリアでは品薄感が一層強まっている。

Ⅴ.募集賃料 対前年同月比
2024年2月から21ヵ月連続でプラス
募集賃料の対前年同月比は、2024年2月から21ヵ月連続でプラスとなった。2025年9月のプラス幅は8.4%で、コロナ禍前の直近のピークであった2020年3月の水準を上回っている。対前年同月比のトレンドは比較的安定しているため、上昇傾向は今後も続くと考えられる。

Ⅵ.エリア別募集賃料(円/坪)




| ※規模 (1フロア面積) |
・大規模(200坪以上) ・大型(100坪以上200坪未満) ・中型(50坪以上100坪未満) ・小型(20坪以上50坪未満) |
※「-」は、調査時点においてテナント募集を行ったビルが少なかったため、適正データが算出できなかったエリアです。
Ⅶ.空室率の推移(6大都市 大規模ビル)
Ⅷ.募集賃料の推移(6大都市 大規模ビル・主要駅前地区)
※募集賃料:共益費込
※外税表示
提供:三幸エステート株式会社
会社HP:https://www.sanko-e.co.jp/
当レポートは情報提供を目的とし、情報の正確性に十分配慮して作成されておりますが、その内容を保証するものではありません。使用にあたっては貴社の責任と判断にてお願い致します。
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