2026年版|住宅ローン返済中の家を売却する方法と注意点

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住宅ローン返済中に家を売却できるのか悩む様子

住宅ローンが20年以上残っていても、家は売れます。金融機関が設定した抵当権を抹消できれば、売却は成立するからです。

離婚や転勤、返済の負担をきっかけに「ローンが残っている家は売れるのか」と調べ始めた方も多いと思いますが、判断の分かれ目は残債と売却見込み額のどちらが大きいかです。

この記事では、残債の調べ方から売却の手順、売却代金でローンを返しきれないオーバーローンのときの対処法までを整理します。なお、ここで扱う「売却価格」は市場で買主に売る場合の価格を指し、税務上の評価額とは異なります。

この記事の要点

  • 住宅ローンが残っていても、抵当権を抹消できれば売却できる
  • 残債は返済予定表・残高証明書・金融機関への照会で確認する
  • 査定額ではなく、仲介手数料や登記費用を差し引いた手取り額で完済できるかを判断する
  • 手取りで完済できない場合は、自己資金の補填か住み替えローンで差額を埋めるのが基本
  • 返済が滞っている場合の任意売却は金融機関の同意が前提で、信用情報にも影響が残る

目次

1. 住宅ローン返済中の家を売却することは可能か?

住宅ローンが残っていても、抵当権を抹消できれば売却でき、多くの人が完済前に家を手放しています。

「ローンを払い終えていないのに、家を売っていいのだろうか」と迷う方は少なくありません。結論から言うと、住宅ローンの残債があるままでも売却自体は可能です。実際、多くの売主は完済前のタイミングで自宅を売却しています。ポイントになるのは、売却時に不動産へ設定されている「抵当権」を外せるかどうかという一点です。

1-1.住宅ローン返済中の家を売る条件

売却できるかどうかを分けるのは、シンプルに言えば「抵当権を抹消できるか」という点です。抵当権とは、返済が滞った際に金融機関が担保にしている不動産を差し押さえる権利を指します。この権利が付いたままの物件は、買主からすれば将来差し押さえられるリスクを背負うことになります。そのため通常は抵当権の抹消を条件として取引されます。

抵当権を抹消するには、住宅ローンを完済し、金融機関に対して抹消の手続きを依頼する必要があります。多くの場合、売却で得たお金を残債の返済に充て、その場で完済して抹消するという流れになります。なお、複数の抵当権が設定されている物件では第一順位から資金回収される仕組みです。住宅ローンは基本的に第一順位の担保として組まれています。完済しても抵当権は自動で消えるわけではなく、抹消の登記手続きを別途行う必要があります

1-2.ローン残債の確認方法

売却を検討し始めたら、現在の残債を正確な金額で把握してください。感覚だけで「まだ〇〇万円くらい残っている」と進めると、後の資金計画で誤差が生じます。

確認方法はいくつかあります。もっとも手軽なのは、契約時に受け取った返済予定表(償還予定表)を見返すことです。毎月の返済額や元金・利息の内訳、現在の残高が記載されており、手元にあればすぐに確認できます。紛失している場合や最新の数字を知りたい場合は、インターネットバンキングや金融機関のアプリで残高照会できるケースが多く、スマートフォンからその場で確認できる金融機関も増えています。

年末頃に金融機関から届く残高証明書(融資額残高証明書)も、その時点の正確な残債を示す資料になります。手元にない場合は窓口やコールセンターに問い合わせれば発行してもらえます。ただし本人確認書類の提示などの手続きが必要で、発行まで時間を要することがあります。売却スケジュールが決まっている方は、早めに動いておくと資金計画がぶれません。

2. アンダーローンとオーバーローンの違い

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売却価格が残債を下回るか上回るかで、必要な手続きも資金計画もまったく変わってきます。

家を売ると決めたら最初に確かめるべきは、「住宅ローン残債」と「売却価格」のどちらが大きいかです。残債が売却価格を下回っている状態を「アンダーローン」、上回っている状態を「オーバーローン」と呼びます。売却代金でローンを完済できるかどうかが、そのまま両者の分かれ目になります。

どちらに当てはまるかは、頭金の額や返済してきた期間、購入時にリフォーム費用や諸費用まで借り入れたかどうかによって変わります。返済が進んで残債が減っていればアンダーローン、購入から間もなく残債が多く残っていればオーバーローンです。注意したいのは、仲介手数料や登記費用といった諸費用まで含めて計算すると状況が変わる点です。残債が査定額を下回っていても、諸費用まで加味すると完済に届かないことがあります。査定額と残債を単純に比べて安心せず、諸費用を差し引いた手取り額で考える習慣をつけておくと、後になって資金不足に慌てずに済みます。

2-1.アンダーローンの場合の売却方法

売却代金でローンを完済できるため、住宅ローンが残っていない家を売る場合と同じ流れで進められます。例えば残債が2,000万円で2,500万円の値がつけば、諸費用を差し引いても数百万円が手元に残る計算です。この差額は、引っ越し費用や新居の頭金、他の借入の返済にも自由に充てられます。

住宅ローンの返済手続きを除き、金融機関との追加の交渉や特別な書類のやり取りが発生しないため、精神的な負担も比較的軽く済みます。

ただし、売却によって利益(譲渡所得)が出た場合は、譲渡所得税の対象になります。手元に残るお金がすべて自由に使えるわけではないため、税負担も見込んで資金計画を立てる必要があります。査定額が想定より高く出ても、そこから税金や諸費用を引いた実質的な手取りで判断してください。[出典2]

2-2.オーバーローンの場合の売却方法

一方、売却価格が残債に届かない場合は事情が変わります。金融機関からすれば、抵当権を外すと残った債権を回収できなくなるため、原則としてそのままでは抹消に応じません。

500万円足りないなら預貯金など手持ち資金での補填がまず検討策になりますが、まとまった資金を用意できないことも少なくありません。その場合は、残債と新居の購入資金をまとめて借り入れる住み替えローンを検討します。それも難しい場合は、債権者の同意を得て売却する任意売却という方法があります。なお、任意売却後に残債が生じた場合は、その返済方法について債権者と別途協議することになります。

住み替えローンも任意売却も、通常の売却より審査や交渉に時間がかかります。だからこそ、早めに動き出すことが結果的に負担を軽くします。

3. 住宅ローン返済中の家を売却する具体的な手順

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残債の確認から査定、媒介契約、残代金決済まで、順を追って進めば、住宅ローン支払い中の家でも計画的に売却まで進められます。

STEP 1

住宅ローン残債の確認

いま残っている住宅ローンの正確な金額を把握するところから始めます。金融機関が発行する返済予定表(償還予定表)を見れば、毎月の返済額に加えて元金と利息の内訳、そして現時点の残債が分かります。手元に見当たらない場合は、金融機関のインターネットバンキングやアプリからも残高照会が可能です。

年末近くになると「残高証明書」が自宅に届くケースも多いので、直近のものがあればそれを使っても構いません。証明書の発行を改めて依頼する場合は、届くまで1週間ほどかかることもあります。この段階で分かる残債の額が、この先の売却価格との比較や資金計画の土台です。

STEP 2

仲介会社に査定依頼

残債が分かったら、次は「いくらで売れそうか」を知るために仲介会社へ査定を依頼します。査定には机上査定(周辺の取引事例や図面情報から算出する簡易査定)と、実際に自宅を見てもらう訪問査定の2種類があります。

机上査定は手早く目安が分かる一方、実際の成約額とずれが出やすい面があります。本格的に売却を検討する段階では、訪問査定を受けておくと個別条件を反映しやすくなります。加えて、国土交通省が提供する不動産情報ライブラリを使えば、過去の実際の取引価格を自分で調べることもできます。[出典3]複数の情報源を突き合わせれば、提示された査定額が妥当かどうかを自分でも確認できます。

ここで得られる売却見込み額が、ステップ1で確認した残債と並ぶもうひとつの判断材料になります。

STEP 3

査定価格の確認・売却価格の検討

査定額が出たら、いよいよ残債と照らし合わせる番です。査定額が残債を上回っていればアンダーローン、下回っていればオーバーローンと判定できます。ただし、ここで抜け落ちやすいのが仲介手数料や登記費用といった諸費用の存在です。査定額だけを見て「残債より高いから大丈夫」と判断すると、諸費用を差し引いた実際の手取り額では完済に届かないという事態も起こります。

売却にかかる費用の目安まで含めた「実質的な手取り額」で完済できるかどうかを、この段階で確認してください。手取りが足りなさそうだと分かれば、この後の資金計画を早めに立て直せます。

STEP 4

媒介契約の締結

売却を任せる仲介会社が決まったら、媒介契約を結びます。契約の種類には一般媒介、専任媒介、専属専任媒介の3つがあり、依頼できる会社数や契約期間、仲介会社からの活動報告の頻度がそれぞれ異なります。一般媒介は複数社に同時に依頼でき契約期間の制限もありませんが、専任・専属専任は依頼先が1社に絞られる代わりに、より手厚い販売活動やこまめな報告を受けやすくなります。

STEP 5

売却活動の開始

媒介契約を結んだあとは、仲介会社が中心となって広告掲載や内見対応などの販売活動を進めていきます。売主としては、内見希望が入った際の日程調整や、室内を整えておくといった協力が必要です。ローンを返済しながらの売却では、この期間中も返済が続く点を忘れないでください。

反響が少ない場合は、価格設定や写真、広告の出し方を仲介会社と一緒に見直します。早く売りたい気持ちが先立って安易に値下げを重ねると、結果的に手取り額が想定より減ってしまうこともあります。担当者とこまめに状況を共有し、無理のない範囲で条件を調整していきましょう。

STEP 6

売買契約の締結と残代金決済・引渡し

買主が見つかり条件がまとまれば、売買契約を締結します。契約から残代金決済・引渡しまでは一定期間を設けることが一般的で、この期間に金融機関へ一括返済を申し出て、抵当権抹消に必要な書類を準備してもらいます。手続きの内容によっては、残代金決済・引渡し日より前に売主が金融機関の窓口へ出向く場合もあります。

残代金決済・引渡し日には、買主から受け取る売買代金をそのまま住宅ローンの完済に充てます。同じ日のうちに抵当権抹消登記と所有権移転登記の申請まで進めるのが通常の流れです。司法書士が決済の場に同席し、資金の流れと登記手続きを同時に進行させます。ここまで来れば、家の売却は完了です。

4. オーバーローンの家を売却する際の対処法

査定額がローン残高に届かないと分かった時点で、多くの方が「もう売れないのでは」と肩を落とします。

ですが実際には、完済して抵当権を外す方法はいくつかあります。まずは自己資金で差額を埋められないか、それが難しければ住み替えローンを使えないかを順に検討していくのが基本の流れです。

これらの方法で完済の見込みが立たない場合には、債権者の同意を得て売却する任意売却という手段もあります。

4-1.自己資金で差額を補填する方法

もっとも仕組みが単純なのは、預貯金などの自己資金で不足分を埋めて一括返済する方法です。例えば残債が3,000万円あり、売却価格が2,500万円だったとします。差額の500万円に加えて、仲介手数料や登記費用などの諸費用も自己資金でまかなえれば、残代金決済日に完済して抵当権を抹消できます。新たな借り入れが発生しないため、売却後に返済が残りません。金融機関との追加の交渉や審査もないため、手続きの面でももっとも負担の軽い方法です。

4-2.住み替えローンの利用

自己資金が足りない場合に候補となるのが、前述の住み替えローンです。新居の購入資金に加えて、旧宅で返しきれなかった残債分もまとめて借り入れる仕組みになります。

ただし借入額が大きくなるぶん審査は通常の住宅ローンより厳しくなる傾向があり、収入や信用情報によっては希望額を借りられないこともあります。事務手数料や保証料など借入額に応じて決まる費用も、その分だけ増えることになります。

加えて、一般的には旧宅と新居の残代金決済・引渡しを同日に行う必要があります。売却先と購入先のスケジュールをぴったり合わせなければならず、調整が難航しやすい点は事前に理解しておきたいところです。総支払額がいくらになるかは、金融機関の担当者に確認してから判断すると安心です。

4-3.任意売却の選択肢

自己資金の補填も住み替えローンも難しい場合の選択肢が任意売却です。債権者である金融機関と協議し、売却の許可と、返済しきれない残債の返済方法について合意を得ることで、抵当権を抹消して売却できるようになります。

自己資金の補填や住み替えローンが「売却時点で完済する」方法であるのに対し、任意売却は完済しないまま抵当権を外す点が大きく異なります。売却後も残債の返済が続くうえ、金融機関との交渉が必要になるため、手続きにかかる時間も長くなります。

そのため、まずは自己資金や住み替えローンで完済できないかを検討し、それが難しい場合の手段と位置づけてください。実際に検討する段階になったら、任意売却の取り扱い実績がある仲介会社や、借入先の金融機関へ早めに相談することが大切です。

5. 特殊な事情がある場合の売却方法

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離婚・相続・滞納のいずれのケースでも、まず確認したいのはローン残債と売却見込み額です。そのうえで名義と関係者の合意を整理していくことになり、放置すると選択肢が急速に狭まります。

5-1.離婚時の家の売却

離婚をきっかけに家を手放す場合も、まず確認したいのはローン残債と売却価格の大小関係です。残債が売却価格を上回るオーバーローンの状態では、売却しても手元に資金が残らないケースがあります。

家の名義が夫婦どちらか一方の単独である場合でも、住宅ローンは原則として契約上の債務者が返済義務を負います。オーバーローンで残った債務をどう扱うかは、預貯金など他の財産との兼ね合いを含め、個別の事情に応じて話し合うことになります。

さらに複雑になりやすいのが、夫婦でペアローンや連帯債務を組んでいる場合です。この場合、売却するにも名義変更するにも夫婦双方の合意が欠かせません。片方だけの名義に変更したいと思っても、金融機関の承諾と審査を新たに通す必要があり、収入や信用情報によっては認められないこともあります。

感情的にこじれやすい局面だからこそ、まずは残債と査定額を客観的な数字として並べてみましょう。どちらが住み続けるのか、それとも売却して清算するのか、早い段階で話し合っておくと整理が進みやすくなります。

5-2.相続による売却の注意点

相続した不動産を売却する場合、まず前提となるのが相続登記です(※令和6年4月からの義務化等)[出典4]。名義が被相続人(亡くなった方)のままでは、原則として売却手続きを進められません。相続人が複数いるときは、遺産分割協議で「誰が家を相続するか」「売却して代金をどう分けるか」を先に決めておく必要があります。

住宅ローンが残っている家を相続するケースでは、団体信用生命保険への加入状況も確認しておきたいところです。加入していればローンが完済扱いになる場合もあり、抵当権抹消の手続きに進みやすくなります。団体信用生命保険の対象とならない場合は、住宅ローン債務の承継関係について確認が必要です。

相続財産に住宅ローンが絡むと、法律面・税務面ともに個別事情による影響が大きくなります。登記や税金の扱いは司法書士や税理士に早めに相談し、遺産分割協議が整う前に安易に話を進めないようにしましょう。

5-3.滞納による売却

返済が厳しくなった場合、まず検討したいのが金融機関への返済条件の変更(リスケジュール)の相談です。返済期間の延長や一定期間の返済額軽減などによって、返済を継続できる可能性があります。

それでも滞納が続くと、金融機関からの督促を経て、最終的には競売へと進むのが一般的な流れです。競売は市場価格より低い水準で売却されやすく、退去時期も自分では選べません。ただし、その前に金融機関の合意を得られれば、任意売却という選択肢もあります。

滞納が続くほど選べる手段は狭まっていきます。返済が厳しいと感じた時点で、早めに金融機関や仲介会社へ相談してください。

6. 住宅ローン返済中の家を売却する際の注意点

住宅ローン返済中の家の売却では、諸費用と抵当権の抹消手続き、完済できなかった場合の残債の行方まで事前に把握しておくことが欠かせません。

6-1.売却にかかる費用と税金

住宅ローンが残る家を売る際は、仲介手数料や登記費用などの諸費用がかかるため、売却価格がそのまま手元に残るわけではありません。

ローンが残っている場合は、これに加えて抵当権抹消の登録免許税と、金融機関に支払うローンの一括返済手数料が発生します。一括返済手数料は金融機関によって無料の場合もあれば、数万円かかる場合もあるので、事前に窓口で確認しておくと安心です。

売却で利益(譲渡所得)が出た場合は、所得税・住民税を合わせた譲渡所得税の対象になります。利益が発生しない場合は、課税されません。残債を完済できるかどうかを判断するときは、売却価格から諸費用と税金を差し引いた「実質の手残り」で考える習慣をつけておきましょう。[出典2]

6-2.抵当権の抹消手続きについて

住宅ローンを完済しても、抵当権は自動では消えません。法務局への抹消登記を別途申請して、初めて登記簿から抵当権の記載が消える仕組みになっています。手続き自体は自分で行うことも可能ですが、残代金決済・引渡し日当日は所有権移転登記と同時に進める必要があるため、実務では司法書士に依頼するのが一般的です。

流れとしては、残代金決済・引渡し日に買主から受け取った売買代金でローンを完済し、金融機関から抵当権解除に必要な書類を受け取ります。その日のうちに抹消登記と所有権移転登記をまとめて申請する形です。抵当権抹消登記の登録免許税は、土地または建物1件につき1,000円です。そのため、土地と建物の両方に抵当権が設定されている場合は、登録免許税は2,000円となります。これに加えて、司法書士に依頼する場合は報酬が発生します。書類に不備があって当日中に手続きできないと、決済そのものが滞ることもあります。事前に仲介会社・金融機関・司法書士とスケジュールをすり合わせておくことが大切です。

6-3.売却後のローン残債の取り扱い

アンダーローンで売却できた場合、売却代金でローンを完済すれば債務は残りません。完済後に残ったお金の使い道にも制限はなく、新居の頭金や引っ越し費用、他の借入の返済などに充てられます。

一方、オーバーローンの場合は事情が異なります。まずは自己資金の補填や住み替えローンによる完済を検討し、それでも難しい場合は、債権者と協議のうえ、任意売却を検討します。売却後も返済は続くため、金融機関と協議したうえで返済方法を決めていく形になります。完済が難しいと分かった時点で早めに金融機関へ相談することで、選べる手段が増えます。

7. 住宅ローン返済中の家の売却を任せる仲介会社の選び方

残債と査定額の関係を数字で示せること、そして離婚やオーバーローンといった事情に対応できることが、会社選びの軸になります。

7-1.残債と相場の関係を把握する

売却の出発点は、自分の家がいくらで売れそうかを客観的な数字でつかむことです。

国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では、実際に成約した取引価格を地域や築年数から調べられます。周辺の似た条件の物件がいくらで売れたのかを知っておくと、仲介会社が提示する査定額が妥当かどうか判断しやすくなります[出典3]。住宅ローン返済中の売却では、相場とローン残高をセットで把握することが大切です。相場を知ることで査定額の妥当性を判断しやすくなり、ローン残高と比較すれば売却代金で完済できる見込みも確認できます。早い段階で両者を把握しておけば、その後の売却戦略や価格設定を検討しやすくなりますので、担当者と価格を相談する際の判断材料になります。

7-2.適切なタイミングでの売却

建物は経年とともに価値が下がる傾向にありますが、土地の価格は立地や市況によって変わります。近年の不動産市場では相場全体が上昇しており、築年数が経っていても購入時に近い価格で売れるケースもあります。そのため、「築年数が浅いうちに売らなければならない」「完済まで待つ」といった前提にとらわれるのではなく、今の査定額とローン残債を定期的に比べておくことが大切です。査定額と売却に係る諸費用が残債を上回り、その金額で売却できれば、住宅ローンが完済できることになります。

とはいえ、離婚や転勤など事情が差し迫っている場合は、市況の良し悪しだけを見て先延ばしにするのは得策ではありません。まず仲介会社に相談し、今の残債と査定額の関係を数字で確認するところから始めてみましょう。

7-3.仲介会社の選び方

ローン中の売却では、査定額の高さだけで会社を選ばないことが大切です。高い査定額で売り出したものの買主が見つからず、値下げを重ねた結果として残債を完済できなくなることがあります。

見るべきは、その査定額で売り切るための具体的な販売計画があるかどうかと、同じエリアや似た条件の物件での取引実績です。あわせて、諸費用まで含めた手取り額で残債を完済できるかを、数字で示しながら説明してくれるかどうかも確認しておきましょう。

8. まとめ

住宅ローン中の家を売れるかどうかは、気持ちの問題ではなく、残債と売却見込み額という2つの数字で決まります。返済予定表や残高証明書で残債を把握したうえで、アンダーローンであれば通常の売却で完済と抵当権抹消まで進められますし、オーバーローンの場合は自己資金の補填、住み替えローンのどちらが現実的か、金融機関と相談しながら絞り込んでいく流れになります。

特に離婚で名義や連帯保証の整理が必要な方、返済の遅れが出始めている方は、動き出すのが早いほど選べる手段が多く残ります。半年後の自分が困らない選択をするためにも、売るかどうか決めきれていない段階で構いませんので、まずは残債と相場の確認からお問い合わせください。

9. よくある質問(FAQ)

住宅ローンの残高が売却価格より高い(オーバーローン)場合でも家は売れますか?

条件を満たせば売却可能です。売却代金だけで住宅ローンを完済できない場合は、まず自己資金で不足額を補填する方法や、住み替えローンの利用を検討します。こうした方法が難しい場合は、債権者の同意を得たうえで任意売却を検討することがあります。任意売却後も債務が残る場合は、返済方法について債権者と協議することになります。

ペアローンや連帯債務を組んでいる家は、どちらか片方の意思だけで売却できますか?

片方の意思だけでは売却できません。ペアローンや共有名義の物件を売却・処分するには、名義人全員の合意が必要です。どちらか一方の名義に変更して住み続ける場合でも、名義から外れる側の債務を清算するか、金融機関での再審査と承諾を受ける必要があります。

家を売却したあとにローン残債が残ってしまう場合、残りの借金はどうなりますか?

家を売却する際は、原則として住宅ローンを完済し、抵当権を抹消する必要があります。売却代金だけで完済できない場合は、不足分を自己資金で補填したり、住み替えローンを利用したりする方法が検討されます。それでも完済が難しく、債権者の同意を得て任意売却を行った場合には、売却後も債務が残ることがあります。残った債務については、債権者と協議しながら返済を続けることになります。

10. 出典

[出典1] 国税庁:登録免許税の税額表
[出典2] 国税庁:譲渡所得の計算のしかた(分離課税)
[出典3]国土交通省 不動産情報ライブラリ
[出典4] 法務省:相続登記の申請義務化について
※ 掲載内容は執筆時点の情報です。最新情報は各自治体・関係機関の公式ホームページをご確認ください。

田中 歩

田中 歩

株式会社あゆみリアルティーサービス 代表取締役
三菱UFJ信託銀行にて、富裕層向け不動産コンサルティングやファイナンス業務などに17年間従事。2009年に株式会社あゆみリアルティーサービスを設立。宅地建物取引士、1級FP技能士、公認不動産コンサルティングマスターなどの資格を有し、現在は不動産相続・投資コンサルティングや空き家再生事業、不動産売買仲介などを幅広く手掛ける。ビルオーナー、地主・設計会社・不動産会社との顧問契約も多数。金融と不動産の実務を融合させた、実用性の高い提案を得意とする。経営学修士(MBA:早稲田大学大学院)、現在、早稲田大学大学院博士課程に在籍中。

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