住宅ローンの年収目安完全ガイド|シミュレーションで適正額を把握しよう!

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住宅ローンの目安は、年収によって異なります。住宅購入は人生における大きな決断となるため、しっかりシミュレーションを行い、年収に見合った住宅ローンを組まなければなりません。この記事では、「年収倍率」と「返済比率」を使い、「住宅ローンの借入可能額」と「無理なく返済できる適正額の目安」をご紹介します。また、共働き世帯におけるローンの組み方と注意点についてもまとめていますので、住宅ローンをお考えの方は、ぜひご一読ください。

目次

1. 住宅ローンの年収倍率は6倍以下が目安

最初に年収倍率から見た借入可能額について解説します。「住宅ローンの年収倍率」とは、世帯年収に対して借入額(融資金)が、何倍になっているかを示す指標です。計算式は「住宅ローンの年収倍率=借入額÷世帯年収」となっており、一般的に世帯年収の5倍から6倍までが無理なく返済できる倍率とされています。

1-1.実際の年収比率は4倍から6倍程度

長期固定金利タイプ住宅ローン「フラット35」利用者を対象にした調査結果では、住宅ローンに対する年収倍率は、全国平均で「3.6~5.9倍」、首都圏では「3.8~6.0倍」となっています。所要資金(購入価格等)に対する年収倍率は、全国平均で「5.3~7.6倍」、首都圏で「5.8~8.0倍」となっており、ある程度自己資金を確保してから、購入していることが分かります。

【全国平均】(2023年度)

住宅の種類 世帯年収
※2
所要資金
(購入価格等)
年収倍率
※3
融資金
(住宅ローン)
融資金の
年収倍率
注文住宅 ※1 629万円 3,863万円 7.0倍 3,040万円 約4.8倍
土地付注文住宅 704万円 4,903万円 7.6倍 4,171万円 約5.9倍
建売住宅 600万円 3,603万円 6.6倍 3,092万円 約5.2倍
マンション 955万円 5,245万円 7.2倍 3,889万円 約4.1倍
中古戸建て 536万円 2,536万円 5.3倍 2,182万円 約4.1倍
中古マンション 659万円 3,037万円 5.6倍 2,393万円 約3.6倍
融資利用者全体 661万円 3,921万円 6.7倍 3,238万円 約4.9倍

※1:建設費をフラット35で借り入れており、かつ、土地取得費をフラット35で借り入れていないもの
※2:フラット35利用者および収入合算者の年間収入の合計
※3:フラット35各利用者の年収倍率(所要資金をその世帯の年収で除した数値)の総和をサンプル数で除したもの

【首都圏平均】 東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県(2023年度)

住宅の種類 世帯年収
※2
所要資金
(購入価格等)
年収倍率
※3
融資金
(住宅ローン)
融資金の
年収倍率
注文住宅 ※1 665万円 4,195万円 7.2倍 3,187万円 約4.8倍
土地付注文住宅 785万円 5,680万円 8.0倍 4,744万円 約6.0倍
建売住宅 660万円 4,199万円 7.0倍 3,570万円 約5.4倍
マンション 944万円 5,801万円 7.7倍 4,225万円 約4.5倍
中古戸建て 603万円 3,172万円 5.8倍 2,672万円 約4.4倍
中古マンション 685万円 3,379万円 5.9倍 2,635万円 約3.8倍
融資利用者全体 713万円 4,383万円 6.9倍 3,547万円 約5.0倍

※1:建設費をフラット35で借り入れており、かつ、土地取得費をフラット35で借り入れていないもの
※2:フラット35利用者および収入合算者の年間収入の合計
※3:フラット35各利用者の年収倍率(所要資金をその世帯の年収で除した数値)の総和をサンプル数で除したもの
出典:2023年度フラット35利用者調査

1-2.FPがおすすめする倍率は年収の5倍

次に年収別の住宅ローン借入額の目安を確認してみましょう。以下の表での年収別借入額目安は、5倍と7倍で例示しています。預金や投資信託などの金融資産が豊富で、教育費を含む各種費用や資金にめどがたっているのであれば、6倍以上も検討の余地があるものの、FPとしておすすめする年収倍率は5倍です。

年収別の借入額一覧【年収倍率】

世帯年収 年収倍率5倍 年収倍率7倍
300万円 1,500万円 2,100万円
400万円 2,000万円 2,800万円
500万円 2,500万円 3,500万円
600万円 3,000万円 4,200万円
700万円 3,500万円 4,900万円
800万円 4,000万円 5,600万円
900万円 4,500万円 6,300万円
1000万円 5,000万円 7,000万円

2. 住宅ローンの返済負担比率は25%以下が目安

次は住宅ローンの返済負担比率から見た、借入可能な金額を解説します。返済負担比率とは年収に対し、年間返済額が何割となっているかを示す指標です。計算式は「返済比率 = 年間返済額 ÷ 年収 × 100」となっており、一般的には年収の25%までが目安とされています。

2-1.実際の返済比率は25%程度

住宅ローンを借りている人の実際の返済負担率について、フラット35を利用者のデータで見てみましょう。全国平均は23.4%、中央値は24.2%、首都圏では平均24.0%、中央値25.0%です。なお件数がもっとも多かったのは、全国・首都圏ともに「25.0~30.0%未満」でした。

20%未満の合計件数は、全国10,330件、首都圏は3,461件と、どちらも約3割となっています。無理なく返済することが最優先である方は、返済負担率20%がひとつの目安と言えます。

フラット35利用者 総返済負担率分布(2023年度)

(単位:件数) 全国 首都圏
総件数 32,382 11,745
5.0%未満 219 86
5.0~10.0%未満 1,271 425
10.0~15.0%未満 3,322 1,128
15.0~20.0%未満 5,518 1,822
20.0~25.0%未満 7,108 2,432
25.0~30.0%未満 8,628 3,116
30.0%以上 6,316 2,736
中央値(%) 24.2 25.0
平均(%) 23.4 24.0

※総返済負担率: 各利用者の総返済負担率(1カ月あたり予定返済額を世帯の月収で除した数値)の総和をサンプル数で除したもの
※2023年4月から 2024 年3月までに住宅金融支援機構が買取りまたは保険付保の承認を行った案件(借換えにかかるものを除く。)のうち 32,382 件について集計した
出典:フラット35利用者調査 2023年度集計表
全体 第21表 総返済負担率

2-2.FPがおすすめする返済負担比率は25%以下

世帯年収別の返済比率25%と20%で、毎月の返済額と借入額を例示しました。住宅ローンの条件は、返済期間35年、ボーナス支払い無し、固定金利2%、元利均等返済で計算(端数切捨て)しています。毎月の返済額を確認して、無理のない返済が可能かを判断しましょう。

年収別の借入額一覧【返済比率】

返済比率25% 返済比率 20%
世帯年収 毎月の返済額 借入目安 毎月の返済額 借入目安
300万円 6.2万円 1,870万円 5.0万円 1,500万円
400万円 8.3万円 2,500万円 6.6万円 1,990万円
500万円 10.4万円 3,140万円 8.3万円 2,500万円
600万円 12.5万円 3,770万円 10.0万円 3,010万円
700万円 14.5万円 4,380万円 11.6万円 3,500万円
800万円 16.6万円 5,010万円 13.3万円 4,010万円
900万円 18.7万円 5,640万円 15.0万円 4,520万円
1000万円 20.8万円 6,280万円 16.6万円 5,010万円

3. 住宅ローン適正額をシミュレーションしてみよう

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ここまで、年収倍率および返済負担比率で借入可能な額をお伝えしてきました。無理なく支払うことができる適正額を算出するには、実際の支払い額や今後必要になるさまざまな費用を含めてシミュレーションをしましょう。

3-1.家計簿で基本生活費を把握する

物価が上昇すれば、生活費全般が徐々に増えていきます。また子どもがいる場合、成長とともに食費や光熱費も増えていくでしょう。簡易的な家計簿をつけながら、今現在の「基本生活費」を把握しつつ、将来かかる費用もシミュレーションしておきましょう。

3-2.教育費・老後資金も考慮する

住宅ローンの返済と教育費がかかる時期は重なっています。目安手取りと比較しながら、子ども1人あたりにかかる教育費の予算を決めて準備しておくと安心です。進学先が公立か私立で金額は大きく異なるケースもあるため、事前に夫婦で話し合いをしておきましょう。また老後費用のシミュレーションも欠かせません。目標金額の設定をし、NISAやiDeCoなどの長期運用が候補となります。

3-3.実際に使えるシミュレーションツール紹介

住宅ローンの毎月の返済額や返済可能額などが、簡単にシミュレーションできるサイトを3つご紹介します。

クイックシミュレーション(住宅金融支援機構)
借入金額から「毎月の返済額」を調べる、または年収や毎月の返済額から「返済可能額」を調べることができます。

借金シミュレーター(金融庁)
「借金の種類」で「家」を選択してから、希望の借入金額、予想金利を入力します。
希望する支払い回数(最大450回・35年)を入力し、ボーナス払いの有無を選択すると、毎月の返済金額や総返済額などが分かります。

ライフプランシミュレーター (金融庁)
本人や配偶者の年齢や年収、子どもの人数と希望する進路(公立・私立)、住宅の費用(住宅ローン年間返済額等)、生活費を入力すると、老後まで資金が持つかどうか判定することができます。

4. 共働き世帯の住宅ローンの組み方

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夫婦共働きなら、ペアローンまたは年収合算で借りることができます。どちらも単独でローンを組むよりも借入可能額が大きくなるため、より高額な物件の購入が可能です。

4-1.ペアローンと収入合算ローンの違い

ペアローンは夫婦それぞれが主債務者(契約者)として、各自の収入に見合った契約をします。メリットは、住宅ローン控除や団体信用生命保険を2人分利用できることです。デメリットは、契約が2つになるため、ローンの諸費用が2倍かかることです。

収入合算は、夫婦どちらか一方が主債務者(契約者)となり、もう一方が「連帯債務者」または「連帯保証人」となります。借入可能額は、主債務者と連帯債務者(連帯保証人)の合算収入に応じた金額となりますが、ローンの諸費用は1つ分です。ただし、団体信用生命保険は主契約者のみとなります。なお、連帯債務型であれば、住宅ローン控除は夫婦2人とも対象です。

夫婦ともに一定以上の収入があるならペアローンが良いかもしれません。夫が30年の固定金利型で契約し、妻が20年の変動金利型で契約するなど、収入合算よりも柔軟な支払い方が可能です。

4-2.共働きの注意点

夫婦2人分の収入で審査を受け、住宅ローンを組んだ場合、片方の収入が大きく減ったときに、相当な負担が生じます。育児や病気での休業に備えつつ、定期預金や収入保障保険への加入など、事前の対策をしておきましょう。

5. まとめ

住宅ローンの借入額は、年収倍率や返済負担率が目安となります。ただし、同じ年収であっても、年齢や子どもの数も異なるため、住宅ローンの返済に回せる金額も人それぞれです。「いくら借りられるか」ではなく、「いくらなら無理なく返せるか」というスタンスで借入額を検討しましょう。住宅費だけでなく、教育費や生活費、老後費用も含めて資金計画をシミュレーションしておくことをおすすめします。家族のライフイベントに必要な資金が足りる計画となっているか、ライフプラン表を作成して確認してみましょう。

山内 真由美

山内 真由美

ファイナンシャルプランナー(CFP®)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士
小樽商科大学卒業後、食品メーカー、都市銀行勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。東京吉祥寺において、子育て世代の家計相談・教育資金相談に応じている。著書:FPママの親と子で学ぶお金のABC(河出書房新社)

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