
「家の査定」は、家の売却時における最初のハードルです。正しい知識や理解がなく査定結果を鵜呑みにすると、あとで売却計画の破綻を招くことにもなりかねません。今回は、査定の仕組み・相場の決まり方・査定方法の種類・査定依頼時の注意点までを網羅し、分かりやすく解説します。
1. 家の査定額にかかわる評価要素
家の価値は、周辺の取引事例をもとに対象となる家の特徴や法的な制限などさまざまな要素を加味して総合的に評価されます。どのような要素が査定に影響するのかをみていきましょう。
1-1.建物の構造
建物の構造には、木造、S(鉄骨)造、RC(鉄筋コンクリート)造、SRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造などがあります。一戸建てでは木造が多いですが、マンションではRC、SRCが主流です。木造よりも鉄骨造、RCよりもSRCなど、頑丈な建物の方が高く評価される傾向にあります。
1-2.土地の特徴
土地には地形(じがた)、接道状況など、さまざまな評価ポイントがあります。一般的に、変形地、がけ地、傾斜地、接道している部分が狭い、前面道路が狭いなどの悪条件はマイナス評価となります。一方、角地や商業地、容積率が大きいなど利用価値の高い土地はプラスになるため、土地の特徴も、家を高く売るための重要なポイントです。
1-3.築年数・建物・設備の劣化状況
一部のビンテージマンションや重要文化財を除いては、築年数がたっていて、建物・設備が劣化しているものほど価値は低くなるのは否めません。いわゆる「旧耐震」の建物は耐震補強についても査定評価に影響します。
1-4.法令上の制限
建築基準法、都市計画法、その他法令上の建築制限がある物件はマイナス査定となります。例えば、建物建築後に建築基準法の制定・改正によって再建築不可となっている物件や、条例などによって再建築や現状を変更する増改築ができなくなってしまっている物件などがこれにあたります。
1-5.周辺環境
騒音、粉じん、悪臭、嫌悪施設など、買主が敬遠しがちな要素がある物件はマイナス評価を受けることがあります。
2. どこに査定を依頼するのか
家の査定は、一般的には物件があるエリアの不動産会社に依頼します。もっとも財産分与や相続等にかかわる鑑定が必要な場合には不動産鑑定士に依頼することもあります。
2-1.不動産仲介会社
不動産仲介会社各社のホームページや、一括査定サイトからの一括査定を依頼するのも一般的です。物件から離れたエリアの不動産会社だとデータ不足で良い査定は望めませんので、地元密着の会社か大手不動産会社に依頼するのが良いでしょう。
2-2.不動産買取会社
物件の買い取りを希望する場合は、不動産買取を専門に扱う不動産会社に依頼します。不動産買取会社は、物件の再販を目的として買い取りますので、査定価格は若干低めとなるのが一般的です。不動産仲介会社から紹介してもらうこともできます。
2-3.不動産鑑定士
不動産鑑定士は、一般的な居住用不動産の査定として使わないケースがほとんどで、財産分与や相続等にかかわる正式な鑑定、投資用の物件、数億~数十億円規模の物件の場合に依頼します。鑑定料がかかりますが、買主にとっては担保価値が明確となり金融機関の評価もよくなるため、安心して家を売却できるでしょう。
3. 査定方法の違い
家の査定は不動産会社の担当者が行います。最近ではAIによる査定も増えてきましたので、活用してみるのも良いでしょう。
3-1.AI査定
大まかなエリアと建物の種類(戸建て・マンション)、土地面積、床面積などをもとに、売出価格や取引事例のデータベースを参照して、AIが査定します。査定結果がそのまま家の売却価格になるわけではありませんが、取引価格の目安を手っ取り早く知る方法として一度やってみる価値はあります。
3-2.机上査定
土地建物の詳細な情報をもとに、不動産会社の担当者が机上で査定します。Webサイトに必要情報を入力して一括して複数の不動産会社に依頼する方法もあるので便利です。
3-3.訪問査定
不動産会社の担当者が、対象物件を実際に訪問して査定する方法です。すでに売却を決めているのであれば、最初から訪問査定を依頼しても差し支えありません。
4. 査定後から売却までの流れ
査定依頼に納得して売却することを決めたなら、不動産会社と仲介契約を締結して売却依頼をします。一般的には売却依頼から契約・決済・引渡しまで4~6カ月程度の期間を要します。
4-1.不動産売買の仲介契約の締結
不動産売買の仲介契約には、一般媒介、専任媒介、専属専任媒介の3種類があります。複数の不動産会社に依頼できるか、報告義務があるかなど契約内容が異なるため、契約前にきちんと担当者から内容の説明を受けることが大切です。複数の会社に依頼する予定がないならば、専任媒介がおすすめです。
4-2.売却活動
売却活動中は、検討客の内覧の対応のほか、不要物の処理など、契約・引渡しに向けた準備を行います。境界確定や枝・塀などの越境などのトラブルがある場合には、事前に解消しておきます。
4-3.売買契約・引渡し
売買契約から引渡しまでは1カ月程度です。住宅ローンが残っているならば金融機関とのコミュニケーションも必要ですので、事前の段取りが重要になってきます。
5. 査定依頼時の注意すべきポイント
査定を依頼する目的は、売却価格の目安を知るのはもちろんですが、誠実で信頼のおける担当者かを見極める機会でもあります。複数の会社に査定を依頼して、ベストな会社に仲介を任せましょう。
5-1.査定価格が売却価格ではない
査定価格は家売却時の資金計画に大きな影響をもたらします。もっとも、査定価格はイコール売却価格ではないことは念頭に置いておくべきです。余裕をもった資金計画が第一です。
5-2.高額な査定に注意する
根拠のない高額な査定に飛びつくのは危険です。単に専任媒介契約を取りたいだけかもしれません。高額な査定が出たときには、その理由について納得できるものか確認しましょう。
5-3.複数の査定を比較検討する
複数の査定を取ると、価格の違いに疑問がわいてくるでしょう。疑問をひとつずつ質問していくうちに、家の評価についての理解が深まり、納得感のある売却活動につながります。
6. 土地売却でよくある質問
Q1. 家の査定は本当に無料でできますか?あとから費用を請求されることはありませんか?
A.家の査定のみで費用を請求することはありません。無料です。建物のインスペクションや測量、不動産鑑定士による鑑定の場合には別途費用が生じますが、必ず事前の説明があります。
Q2. 匿名でも家の査定はできますか?精度は落ちますか?
A.基本的に匿名での家の査定は受けていないことが多いようです。これは、所有者以外の人物からの査定依頼を避けるためです。エリアや広さなどの基本情報のみから大まかな売却額の目安を表示するWebサービスは存在しますが、精度が落ちることは否めません。
Q3. 査定額が会社によって違うのはなぜですか?どれを信用すればいいですか?
A.会社によって査定のベースとなる取引事例が異なることや、プラスポイント・マイナスポイントの評価方法が異なるため、査定額にも差が出ます。査定の根拠を聞いて納得感のあるものを信用するのが良いでしょう。
7. まとめ
ネット上では、さまざまな家の査定の宣伝があるため、どれが良いのか迷うかもしれません。まずは、対象物件のエリアに詳しそうな、複数の不動産会社に査定を依頼してみましょう。実際に売却を依頼する際には、査定内容やその説明が信頼のおけるものだったか、誠実な対応であったかという点を振り返ってみてください。良い不動産会社に出会えることを願っています。

宅地建物取引士
株式会社イーアライアンス代表取締役社長。中央大学法学部を卒業後、戸建・アパート・マンション・投資用不動産の売買や、不動産ファンドの販売・運用を手掛ける。アメリカやフランスの海外不動産についても販売仲介業務の経験をもち、現在は投資ファンドのマネジメントなども行っている。
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