オフィスマーケットレポート(2025年12月)
【東京都心5区 大規模ビル】

アナリストの視点

中央区の空室率低下の背景には、複数の湾岸エリアのビルでテナント誘致が進んだことが挙げられる。八重洲等の主要エリアでは空室が非常に限定的な一方、湾岸エリアでは大口の募集床を抱えるビルのリーシング活動が長期化していた。採用面での優位性確保や社員満足度向上の観点から、交通利便性に優れたビルへの需要は強いが、都心部の需給バランスの引き締まりを受けて、交通利便性が課題である湾岸部へもオフィス需要が滲み出している。
(基準日:2025年11月30日)


※東京都心5区: 千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区
※大規模ビル: 1フロア面積200坪以上の賃貸オフィスビル
※空室率: 貸付総面積に対する「現空面積」の割合
※潜在空室率: 貸付総面積に対する「募集面積」の割合。既存ビルにおいて、テナント退去前を含む募集床が対象
※募集面積: 各統計日において公開されているテナント募集面積の合計
※統計開始日: 1994年1月1日

Ⅰ.実質GDP成長率

年率1%前後の成長が続くと予測

2025年7-9月期の実質GDP成長率2次速報(内閣府)は、輸出・住宅投資の落ち込みにより6四半期ぶりのマイナス成長となった。ニッセイ基礎研究所は今後3年間の実質GDP成長率を2025年度0.9%、2026年度1.0%、2027年度1.3%とし、年率1%前後の成長が続くと予測している。(図表1)

Ⅱ.失業率

前月から横ばい。就業者数は着実に増加

10月の完全失業率(労働力調査 総務省)は前月から横ばいの2.6%となった。有効求人倍率(厚生労働省)、その先行指標である新規求人倍率はともに前月から低下(=悪化)した。就業者数は着実に増加しており、女性の就業者数(季節調整値)は2ヵ月連続で過去最高を更新している。(図表1)

【図表1】主要経済指標データ
202512_03_5ku_image01.jpg出所:ニッセイ基礎研究所

Ⅲ.空室率・潜在空室率

9ヵ月連続の低下。低下傾向が続く

空室率は前月比マイナス0.25ポイントの1.13%となった。港区の新築・築浅ビルや湾岸エリアで空室消化が進み、主な低下要因となっている。空室率は2020年9月以来の1%を下回る水準が視野に入りつつある。潜在空室率は前月比マイナス0.17ポイントの2.62%となった。空室率・潜在空室率ともに9ヵ月連続で低下し、低下傾向が続いている。

【図表2】空室率&潜在空室率
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Ⅳ.募集賃料

上昇傾向が継続。2020年8月と同水準まで回復

募集賃料は再び上昇に転じ、上昇傾向が継続している。既存ビルの募集床は品薄感が強まり、建築中ビルにおいてもテナント誘致が順調に進んでいる。需給バランスの引き締まりを背景に、募集賃料は2020年8月と同水準の31,000円/坪台半ばまで回復している。

【図表3】募集賃料&募集面積
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Ⅴ.区別 空室率

中央区は2021年3月以来の1%台に低下

区別の空室率は、中央区が前月比マイナス0.68ポイントの1.58%と大幅な低下で、2021年3月以来の1%台となった。千代田区は11ヵ月連続、渋谷区は2ヵ月連続で1%を下回り、コロナ禍前と同様の極めて低い水準で推移している。

【図表4】区別 空室率
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Ⅵ.エリア別募集賃料(円/坪)

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※規模
(1フロア面積)
・大規模(200坪以上)
・大型(100坪以上200坪未満)
・中型(50坪以上100坪未満)
・小型(20坪以上50坪未満)

※「-」は、調査時点においてテナント募集を行ったビルが少なかったため、適正データが算出できなかったエリアです。

Ⅶ.空室率の推移(6大都市 大規模ビル)

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Ⅷ.募集賃料の推移(6大都市 大規模ビル・主要駅前地区)

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※募集賃料:共益費込
※外税表示

提供:三幸エステート株式会社

会社HP:https://www.sanko-e.co.jp/
当レポートは情報提供を目的とし、情報の正確性に十分配慮して作成されておりますが、その内容を保証するものではありません。使用にあたっては貴社の責任と判断にてお願い致します。

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