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オフィスマーケットレポート(2025年6月)
【東京都心5区 大規模ビル】
アナリストの視点
港区の空室率は空室を抱えた新築・築浅ビルの影響で都心5区でも突出して高い水準にあったが、複数のビルで大口の空室が消化された。加えて、今年竣工する建築中ビルの内定率が上昇しており、成約に向けた話が進んでいる募集床も多い。マーケットにはデータが示す以上に品薄感が広がっており、予想を上回るペースで空室消化が進んでいる。今後は湾岸エリア等でリーシング活動が長期化しているビルへオフィス需要が滲み出すかが注目される。
(基準日:2025年5月31日)
※東京都心5区: | 千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区 |
※大規模ビル: | 1フロア面積200坪以上の賃貸オフィスビル |
※空室率: | 貸付総面積に対する「現空面積」の割合 |
※潜在空室率: | 貸付総面積に対する「募集面積」の割合。既存ビルにおいて、テナント退去前を含む募集床が対象 |
※募集面積: | 各統計日において公開されているテナント募集面積の合計 |
※統計開始: | 1994年1月1日 |
Ⅰ.実質GDP成長率予測
25年度0.3%、26年度0.9%
ニッセイ基礎研究所は実質GDP成長率を2025年度0.3%、2026年度0.9%と予測した。2025年4-6月期は2四半期連続でのマイナス成長を予想するものの、7-9月期以降は民間消費や設備投資等、内需の持ち直しでプラス成長に復帰すると見込んでいる。(図表1)
Ⅱ.失業率
前月から横ばい。横ばい圏内の動きが継続
4月の完全失業率(労働力調査 総務省)は前月から横ばいの2.5%となった。有効求人倍率(厚生労働省)も前月から横ばいで、その先行指標である新規求人倍率は前月から低下(=悪化)した。失業率と有効求人倍率は横ばい圏内の動きが継続しているが、米国の関税引上げ等、景気の先行きには不透明感が高まっており、雇用情勢への悪影響が懸念される。(図表1)

Ⅲ.空室率
2ヵ月連続で大幅な低下。港区の新築・築浅ビルを中心に空室消化が進む
空室率は前月比マイナス0.59ポイントの2.12%と、2ヵ月連続で大幅な低下となった。前月に続き、港区の新築・築浅ビルを中心にまとまった面積の空室消化が進んだことが主な低下要因となっている。潜在空室率は前月比マイナス0.56ポイントの4.14%となり、空室率同様に前月から大幅に低下した。

Ⅳ.募集賃料
上昇傾向が続く。募集面積は2020年8月以来の30万坪台に減少
募集賃料は前月から上昇し、18ヵ月連続で前月から上昇または横ばいとなり、上昇傾向が続いている。募集面積は2020年8月以来となる30万坪台に減少した。都心部の多くのエリアで品薄感が漂っていることから、賃料水準を引き上げる動きが広がっている。

Ⅴ.区別 空室率
港区は2021年5月以来となる3%台に低下
区別の空室率は、港区が2ヵ月連続で1.5ポイント以上の大幅な低下となり、2021年5月以来の3%台となった。港区以外は前月から小幅な動きに止まっている。千代田区は5ヵ月連続で1%を下回り、コロナ禍前と同様の極めて低い水準にある。

Ⅵ.エリア別募集賃料(円/坪)




※規模 (1フロア面積) |
・大規模(200坪以上) ・大型(100坪以上200坪未満) ・中型(50坪以上100坪未満) ・小型(20坪以上50坪未満) |
※「-」は、調査時点においてテナント募集を行ったビルが少なかったため、適正データが算出できなかったエリアです。
Ⅶ.空室率の推移(6大都市 大規模ビル)

Ⅷ.募集賃料の推移(6大都市 大規模ビル・主要駅前地区)

※募集賃料:共益費込
※外税表示
提供:三幸エステート株式会社
会社HP:https://www.sanko-e.co.jp/
当レポートは情報提供を目的とし、情報の正確性に十分配慮して作成されておりますが、その内容を保証するものではありません。使用にあたっては貴社の責任と判断にてお願い致します。
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