地積測量図とは?法務局での取得方法や見方・公図との違いも徹底解説

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不動産の売却や相続、登記手続きなど、土地に関する取引や手続きには「地積測量図」という図面が重要な役割を果たします。特に、土地の正確な面積や境界線に関わる情報は、トラブル回避や資産価値の把握に欠かせません。正確な境界情報がないまま売却や相続を行ってしまうと、後々隣地との紛争に発展する恐れもあります。

こうしたリスクを避けるためにも、地積測量図の役割と仕組みを理解しておくことは非常に有益です。この記事では、土地家屋調査士の視点から、地積測量図の取得方法や見方、公図との違いまでを、初心者にも分かりやすく丁寧に解説します。

目次

1. 地積測量図とは?基本概要と役割

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まず、地積測量図の定義、目的、および不動産取引や登記手続きにおける役割から解説していきましょう。

1-1.地積測量図の定義と目的

地積測量図とは、登記された土地の境界と面積を正確に記録した測量図で、主に不動産取引や登記手続きに活用されます。土地家屋調査士が現地の筆界(不動産の境界線)の確認、現地の精密な測量、境界立会、境界確認書の調印などを行ったうえで、精度の高い情報を図面化したものです。「この土地の面積は何平方メートルで、どこまでが土地の範囲か」という情報が記載してあるため、不動産を売却する際に、正しく伝えることができます。

地積測量図は、分筆登記(ひとつの土地を複数に分ける登記)、地積更正登記(登記された面積を修正する登記)などの登記申請時に添付が必要です。この図面は法務局に備え付けられ、公的な土地情報として長期にわたり保管されるため、極めて重要な資料な資料とされています。

1-2.いつ必要になるのか

地積測量図は、不動産の売買や相続において、土地の正確な形状や面積を確認する際に必要となります。また、隣地との境界をめぐるトラブルが生じた場合や、登記手続き、隣接地所有者との境界確認の話し合いの場面でも、重要な参考資料となります。加えて、住宅ローンの申請や建築確認申請を行う際に、金融機関や行政から提出を求められるケースもあるため、土地を所有するうえで備えておきたい図面のひとつです。

2. 地積測量図の取得方法とない場合の対応

法務局で地積測量図を取得する方法、必要な情報、手数料、また「地積測量図がない場合」の対応方法を紹介します。

2-1.取得方法と必要な情報

地積測量図は、法務局(登記所)の窓口、もしくは登記情報提供サービスを通じて誰でも取得可能です。取得には、「土地の所在(市区町村名や字名など)」および「地番(登記上の番号)」が必要になります。手数料は1通あたり数百円程度と手軽であり、所有者でなくても第三者による請求が可能です。

なお、図面は紙での交付だけでなく、データでの取得もできるようになっており、インターネット経由で閲覧する方法も普及しています。

2-2.地積測量図がない場合の対応

古い土地や未登記地、あるいは地積測量図が整備される前に登記された土地については、そもそも地積測量図が存在しない場合があります。このような場合には、土地家屋調査士に依頼して新たに測量を実施し、地積測量図を作成する必要があります。

作成された図面は登記申請書に添付され、法務局に登記することで正式な資料として備え付けられます。また、やむを得ず地積測量図が入手できない場合には、公図や地籍図など他の資料を参考にすることもありますが、精度や信頼性の面では劣るため、注意が必要です。

3. 地積測量図の見方と構成要素

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ここでは、地積測量図の主な記載内容や、確認すべきポイントについて解説します。

3-1.地積測量図の主な記載内容

地積測量図には、地番や所在地、土地の面積、方位(北の向き)、境界標(コンクリート杭や金属標)の有無、隣接地の地番情報などが明記されています。さらに、基準点、図面の縮尺、測量方法、作成年月日、作成者の記名などが含まれており、登記や現地復元に欠かせない要素です。これらの情報が明確であることで、土地の範囲や正確な面積を把握しやすくなります。

3-2.注意すべきポイント

地積測量図を見る際に「筆界未確定」と記載されている場合は注意が必要です。これらは、隣接地との境界確認が完了していないことを意味しており、売買や建築前にトラブルを招く可能性があります。また、図面の記載内容と現況が一致しているかどうかの確認も重要です。

例えば、図面上に境界標が記載されているのに、現地に実際の杭や標識が見当たらない場合は、過去に移動・破損・撤去された可能性があります。こうした不一致を放置すると、将来の紛争リスクとなるため、事前に土地家屋調査士など専門家に確認を依頼することが安心です。

4. 地積測量図の作成要領

地積測量図は、不動産登記法に基づき、土地家屋調査士が厳密な基準のもとで作成します。具体的には、筆界の確認、現地の精密な測量、境界立会、境界確認書の調印、図面への情報記載(縮尺・面積・境界標・基準点等)などの手順を経て作成され、公的資料としての信頼性を確保しているのです。登記への添付や筆界特定制度における証拠資料として使用されるため、精度・形式ともに一定の基準が求められます。

5. 公図との違い

地積測量図は、土地家屋調査士が現地を正確に測量し、国の定めた作成要領に従って作成される公的資料です。境界や面積に関する精度が非常に高く、登記や境界確定、建築確認申請などの場面で活用されます。一方、公図は法務局が保管する参考図であり、土地の大まかな位置や形状を把握するための簡易な資料です。

過去の資料をもとに作成されているため、現況と一致しないことも少なくありません。そのため、目的に応じて使い分けることが重要であり、精度が求められる場面では地積測量図、所在確認や目安を得たい場合には公図といったように、実務上の使い分けが必要です。

比較項目

地積測量図

公図

精度

高い

低い(目安)

作成者

測量士などの専門家

法務局(補助資料)

用途

登記・測量・境界確定

所在確認・目安用

5-1.どちらを使うべきか

例えば、不動産を売却する際や建物を建てる際、あるいは境界をめぐって隣地所有者と話し合う場合など、正確な面積と筆界の確認が必要な場面では、地積測量図の使用が不可欠です。一方で、不動産の所在をざっくり確認したい場合や、簡易な資料として使う場合には、公図で十分なケースもあります。目的や精度の必要性に応じて、どちらを参照すべきか判断しましょう。

6. まとめ

地積測量図は、土地取引や管理に欠かせない基本資料です。土地の形状や面積を正確に把握するためには、公図よりも精度の高い地積測量図を活用することが欠かせません。特に、不動産を売却したり、相続で分割したりする場合などには、客観的な資料として大きな役割を果たします。

土地に関する手続きや話し合いの場では、図面の内容が交渉材料となることも少なくありません。信頼性のある地積測量図を準備しておけば、大きな安心材料となるでしょう。

また、公図と地積測量図の違いを理解し、それぞれの特徴や適切な使いどころを把握しておくことも重要です。公図はあくまで大まかな位置関係の把握にとどまり、法的な根拠としては限定的です。精度が求められる場面では、必ず地積測量図を使うようにしましょう。

今後、土地を取り扱う場面に備えて、地積測量図の仕組みや活用法を理解しておけば、トラブルの防止やスムーズな手続きにつながります。必要に応じて、土地家屋調査士などの専門家に相談するなど、不動産に関わる意思決定にご活用ください。

米中 庸裕

米中 庸裕

土地家屋調査士・行政書士
アジャスト土地家屋調査士法人 代表。実際に線が引かれているわけではない土地に、法的に根拠のある境界線を確定すべく、境界線の専門家「土地家屋調査士」として活動中。専門用語を用いず、お客さまに100%理解していただける説明を心がけている。

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