
不動産の売却は人生の一大イベントです。取引される金額も大きく、売却が完了したなら、忘れずに確定申告を行う必要があります。この記事では、不動産を売却後の確定申告について、専門家である税理士が詳しく解説します。また、確定申告が必要になるケースや必要な書類に加え、税金負担を軽減する特例についても分かりやすく解説しているので、不動産取引をお考えの方はぜひ参考にしてみてください。
1. 不動産の売却では、譲渡所得が発生すると確定申告が必要
不動産の売却金額から諸費用を差し引き「利益」が出た場合は、「譲渡所得」として所得税・住民税の課税対象になります。譲渡所得が発生したなら、売った年の翌年に確定申告を行い、所得税を納めなければなりません。売却した不動産の種類や所有期間によっては、税金の軽減や納税金額が0円になる特例が適用されることもあります。ただし、その場合でも確定申告は必要です。
2. 譲渡所得とは
譲渡所得とは、不動産や株といった「有価証券」を売却したときの所得です。この場合の所得とは、売却した金額から売った資産の「購入原価」や「売却費用」、税法上の特別控除などを差引いた「利益」をいいます。
譲渡所得金額=収入金額 −(取得費+譲渡費用)− 特別控除額
2-1.確定申告が必要な場合
譲渡所得が発生した場合は確定申告が必要になります。売却金額から諸費用を控除し、譲渡所得が発生しない場合は申告不要です。ただし、譲渡所得が0円であっても、譲渡所得の特別控除は「確定申告」が条件になっているため、期限内の確定申告書が必要になります。
また、譲渡所得の計算にミスがあり、発生していないと思っていた譲渡所得が実際には発生していた場合、期限後申告や無申告になるケースがあるため注意が必要です。なお、売却金額から取得費と譲渡費用を差し引くとマイナスになる場合もあります。これを「譲渡損失」といい、原則として確定申告は不要です。
2-2.申告期限
確定申告の期限は、不動産を譲渡した翌年の3月15日です。
2-3.分離課税
土地や建物を売ったときの譲渡所得税の税額は、給与をはじめとするほかの所得(総合課税)と分けて計算しなければなりません。これを「分離課税」といいます。譲渡所得の分離課税は、総合課税の税率とは別です。累進課税の適用もなく、所得税と住民税を合わせ、売却不動産の所有期間に応じた20.315%か39.63%(2037年までは復興特別所得税も加算)になります。
2-4.所得税と住民税に関係する仕組み
「所得税」は、譲渡をした翌年2月16日から3月15日までに、住所地を所轄する税務署へ所得税の確定申告をして納めます。「住民税」は、市区町村が所得税の申告をもとに税額を計算し、納税通知書を送付するため、届いた納税通知書をもとに納めてください。
住民税の納付方法は市区町村によって異なりますが、次のいずれかの方法が一般的です。
・4期(6月末、8月末、10月末、翌年1月末)に分けて納付
・全額を一括で納付
3. 譲渡所得税の計算の仕組みと特別控除

ここでは、譲渡所得の計算の仕組みと特別控除について、解説します。
3-1.譲渡所得の定義と計算方法
譲渡所得とは、土地、建物、株式、ゴルフ会員権といった資産の譲渡によって生ずる所得です。譲渡所得金額の計算は、後ほど説明する売却収入から取得費と譲渡費用、要件を満たした特別控除を差し引いて計算します。
譲渡所得金額=収入金額 − (取得費 + 譲渡費用)− 特別控除額
3-2.譲渡所得税の短期と長期の違いと税率
土地や建物の譲渡所得に対する税金は、ほかの所得と区分して計算します。また、その不動産を所有していた期間に応じ、「長期譲渡所得」か「短期譲渡所得」に区分され、それぞれ適用される税率が異なるため注意しましょう。
なお、相続により取得した不動産を売却した場合の所有期間は、被相続人(亡くなった方)の取得の時期がそのまま取得した相続人に引き継がれます。
そのため、被相続人が取得した時点から、相続や贈与で取得した相続人が譲渡した年の1月1日までの所有期間によって、「長期譲渡所得」か「短期譲渡所得」かが判定されます。
具体的な長期譲渡と短期譲渡の相違点と税率は、以下の通りです。
短期譲渡 |
項目 |
長期譲渡 |
譲渡年の1月1日時点で5年以下 |
所有期間 |
譲渡年の1月1日時点で5年超 |
所得税:30.63% |
税率 |
所得税:15.315% |
3-3.譲渡所得税の特別控除等
居住用不動産の売却では、所有期間の長さに関係なく最大3,000万円の特別控除を受けられます。この特別控除には確定申告書が必要です。また、特例を受けるための条件もいくつかあるため注意してください。
3-4.居住用軽減税率の特例
譲渡した年の1月1日現在で、10年超所有していた居住用不動産を売却したときは、長期譲渡所得の税率よりも低い税率で税額を計算できるケースもあります。長期譲渡所得金額が6,000万円以下の場合は所得税率10%、6,000万円を超える場合は、超える部分の金額が所得税率15%です。
例えば、所有期間12年の居住用不動産を売却した際の譲渡所得が8,000万円の場合は、次のような税額になります。
(80,000,000円-60,000,000円)×15%+6,000,000円=9,000,000円
※2037年までは復興特別所得税(所得税額の2.1%)も加算されます
参照:国税庁「No.3305マイホームを売ったときの軽減税率の特例」
3-5.空き家特例
被相続人(亡くなった方)の居住していた建物または土地を相続した場合も特例があります。一定の要件を満たした状態で2027年12月31日までに売却した場合、譲渡所得金額から最大3,000万円の特別控除が可能です。
参照:国税庁「No.3306被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
3-6.相続税取得費加算
相続税の申告期限の翌日から3年以内に、相続で取得した不動産や株式を売却した場合は、相続税の一定割合を譲渡資産の取得費に加算できます。
参照:国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」
3-7.買換え特例
一定の要件を満たした状態で、居住用不動産の売却後、別の居住用不動産を購入した場合は各種特例があります。この特例により、譲渡所得税の納税猶予や、通常は認められていない譲渡損失の相殺が可能です。なお、譲渡所得が生じた場合でも、非課税になるわけではないため注意が必要です。要件や計算が複雑なため、税理士や税務署への相談をおすすめします。
参照:No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例|国税庁
3-8.譲渡損失の損益通算と繰越控除
マイホームの売却で譲渡損失(赤字)が生じた場合、所有期間が5年超で一定の要件を満たしていれば、その年に発生したほかの所得(事業所得や給与所得など)と差引計算(損益通算)ができます。
◆要件
(1)新たにマイホームを買い替える場合
マイホームの売却において譲渡損失が発生した場合、一定の要件を満たせば損益通算および繰越控除が可能です。特例の適用には、マイホームを売却した年の前後1年(計3年間)以内に新たなマイホームを取得したうえで、年末にその新たなマイホームの取得にかかる住宅ローン残高があるなど、いくつかの要件を満たす必要があります。
この要件を満たして、新たにマイホームを取得した場合は、マイホーム売却時の譲渡損失(赤字)全額が差引計算でき、翌年以降への繰り越しも可能です。
(2)新たにマイホームを買い替えない場合
新たにマイホームを買い替えない場合も、いくつかの要件を満たせば、譲渡損失の金額について損益通算および繰越控除が可能です。特例の適用には、譲渡契約締結日の前日において、住宅ローン残高があるマイホームを売ったなど、いくつかの要件を満たす必要があります。ただし、新たにマイホームを取得しない場合は、住宅ローン残高から売った金額を控除した残額が上限となるため注意が必要です。
また、マイホームの譲渡損失(赤字)が、その年に発生したほかの所得よりも大きい場合は、その年の翌年以降から3年間繰り越すことができ、翌年以後の所得から差し引き計算ができます。ただし、合計所得金額が3,000万円を超える年は差引計算ができません。
なお、損益通算や繰越控除を受ける場合は、「居住用財産の譲渡損失の金額の明細書(確定申告書付表)」や一定の書類を確定申告書に添付して提出する必要があります。
4. 不動産売却時の譲渡所得計算例
実際に不動産を売却した場合の譲渡所得の計算例を3つ紹介します。
4-1.マンション売却(譲渡益あり)
◆前提条件
取得費:土地1,000万円、建物2,500万円
減価償却費相当額(建物):1,500万円
譲渡費用:300万円
売却代金:3,000万円
取得費:1,000万円(土地)+2,500万円(建物)-1,500万円=2,000万円
譲渡所得:3,000万円−(2,000万円+300万円)=700万円
4-2.土地売却(譲渡損)
◆前提条件
取得費:土地3,000万円
譲渡費用:150万円
売却代金:2,000万円
譲渡所得:2,000万円−(3,000万円+150万円)=▲1,150万円
4-3.親から相続した物件の売却
◆前提条件
取得費:土地1,000万円、建物1,000万円
相続後の費用(登記費用等):20万円
相続税の取得費加算:10万円
減価償却費相当額(建物):900万円
譲渡費用:100万円
売却代金:1,300万円
取得費:1,000万円(土地)+1,000万円(建物)−900万円+20万円+10万円=1,130万円
譲渡所得:1,300万円−(1,130万円+100万円)=70万円
5. 不動産の譲渡所得税申告のために必要な書類
ここでは、不動産の譲渡をした際に発生する金額の算定方法と必要書類について解説します。
5-1.譲渡収入金額
譲渡所得の収入金額とは、土地や建物を売った際に、買主から受け取る金額です。これ加えて、不動産を譲渡した日から年末までの期間に対応する「固定資産税および都市計画税」(未経過固定資産税等)に相当する金額を受け取った場合は、譲渡価額(収入金額)に含めます。譲渡所得(収入金額)は、下記の書類をもとに算出されます。
5-2.売買契約書
不動産の購入や売却では「売買契約書」を作成します。売買契約書には「取引の相手の氏名」「不動産の所在地や面積」「売買金額」「支払い条件」「契約日」「引渡し日」などを記載します。譲渡所得は売買契約書の内容をもとに計算します。売却時の売買契約書だけでなく、購入時の売買契約書も保管してあれば、譲渡所得税をスムーズに計算できるでしょう。
5-3.精算書
不動産売買では、売買契約書のほかに「精算書」を作成し、最終的に受け取る金額を決めることがあります。精算書には「固定資産税の精算」のほか、マンションの場合は「管理費」や「修繕積立金の日割り精算」、賃貸用不動産の場合には「預かり敷金の精算」などさまざまな精算内容が記載されます。
精算金額の「固定資産税の精算金額」には注意が必要です。この精算金額は譲渡収入として扱われ、売買金額に加算して譲渡所得の計算をしなければなりません。また、精算書には取得費や譲渡費用として扱われるものが含まれることがあり、譲渡所得の計算上で差し引ける場合もあります。精算書にさまざまな項目が記載されているため、譲渡所得の計算に困った場合は、税理士や税務署への相談がおすすめです。
参照:国税庁「未経過固定資産税等に相当する額の支払を受けた場合」
5-4.譲渡費用
譲渡所得は、譲渡収入から売却時に直接かかった経費を控除できます。譲渡で支払った経費の領収書は忘れずに受け取っておきましょう。
〇不動産売買契約書などに貼付する収入印紙代
〇仲介手数料
〇建物の取り壊し費用
〇測量費等の土地・建物を売るために直接要した費用
〇賃借人が要る場合の立ち退き料、借地の場合の地主への名義書換料など
5-5.取得費
不動産を購入したときにかかった取得費は、不動産を売却する際に譲渡収入から控除可能です。控除額は、購入時の売買契約書や領収書などを参考に計算します(実額取得費)。取得費のうち、建物に関しては、売却までの経過年数に応じて減価償却費相当額を取得費から控除しなければなりません。減価償却費は、建物の構造や使用状況によって耐用年数(償却率)が決められており、取得価額に償却率と経過年数をかけて算出します。
また、相続で不動産を取得した場合や、かなり昔に購入したため、不動産の取得費が不明な場合は、不動産売却金額の5%を取得費として計算すること(概算取得費)が可能です。実際の取得費の金額が譲渡価額の5%に満たない場合は、譲渡価額の5%相当額を取得費として計算できます。
参照:
国税庁「No.3252 取得費となるもの」
国税庁「No.3258 取得費が分からないとき」
5-6.その他の必要書類
不動産の譲渡所得税申告には、「登記事項証明書」が必要です。登記事項証明書は、登記簿に記録された不動産の所有者や所在地、地積などの情報を記載した証明書で、登記簿謄本とも呼ばれています。登記事項証明書に記載されている実際の不動産の所有者や地積といった情報次第では、確定申告書への添付が必要なケースもあります。
不動産の確定申告を行う場合は、マイナンバーカードや、本人確認書類(運転免許証・保険証・住民票の写しなど)の添付や提示が必要です。マイナンバーカードがあれば、本人確認書類は必要ありません。ただし、マイナンバーカードがなく、通知カードの写し(番号確認書類)のみ場合は、本人確認書類の添付も必要です。自身の状況に合わせ、確定申告に必要な書類をしっかりと確認しておきましょう。
6. 確定申告書の流れと作成方法

確定申告の作成手順と作成方法を解説します。
6-1.確定申告を行う時期と事前準備物
確定申告書において、譲渡所得を計算する場合は、具体的には以下の流れで計算します。
譲渡価額(売却価額)の内訳等の計算 |
|
取得費の計算 |
|
譲渡費用の計算 |
|
適用できる特例の選択 |
|
譲渡所得金額の計算 |
6-2.確定申告の提出方法
確定申告書の提出方法は以下の3つです。
1.e-Tax
国税庁ホームページでの「確定申告書等作成コーナー」により、確定申告書、譲渡所得の内訳書などを画面の案内に沿って自動計算で作成し、e-Taxにより送信できます。
2.税務署持参
住所地を管轄する税務署の受付に提出するか、時間外収受箱への投函で提出できます。
3.郵送
住所地の所轄税務署あるいは業務センターへ郵便または信書便で送付します。郵送により提出した場合、通信日付印が提出日とみなされます。
6-3.譲渡所得の内訳書の記載
譲渡所得税の申請は、「譲渡所得の内訳書」に情報を記載したうえで計算し、確定申告書に添付して提出する必要があります。e-Tax WEB版を利用すれば、質問に応じて情報を入力していくだけで、簡単に「譲渡所得の内訳書」の作成が可能です。内訳書は、国税庁のホームページで書式をダウンロードして記入することもできます。記入内容は以下の通りです。
1面:譲渡所得のあった年や確定申告をする人の氏名や住所などを記入します。
2面:売却不動産の不動産登記や売却前の状況と売買契約書や精算書から譲渡価額(売却金額)、買主の「氏名」や「支払い条件」などを記載します。ここで記載する「1譲渡価額」を3面の下の方「(A)収入金額(1)」に転記します。
3面:売却不動産の取得費・譲渡費用・譲渡所得金額を記載します。「4譲渡所得金額の計算をします」欄は、所有期間の区分(長期・短期)、特例を適用する場合はその条文、収入金額や必要経費欄は点線に従って転記します。特別控除欄は、特例を適用するときの控除額を記載します。
4面:買い替え特例などを適用するときに記載します。
6-4.確定申告書の記載
ここでは、確定申告書における譲渡所得の記載をする「第三表」について説明します。第三表は、課税所得や税額の計算をする箇所が非常に分かりにくいため、内容をよく確認をしながら記入してください。
申告書記載欄の番号などは年によって異なりますが、今回は2024年分の申告書を参考にします。なお、ご自分で作成する方には、入力作業が比較的簡単に行えるe-Tax WEB版がおすすめです。
譲渡所得の申告書は、確定申告書(第一表・第二表)と分離課税用の第三表を組み合わせて作成します。前項で作成した「譲渡所得の内訳書」の2面にある「1譲渡価額」を、左上の収入金額・分離課税にある(シ)~(タ)欄に記載してください。居住用不動産の軽減税率の特例を適用した場合には、(タ)の欄に記載し、それ以外の場合は、短期と長期の一般分に記載します。
次に、譲渡所得の内訳書3面の「E譲渡所得金額」を申告書第三表の所得金額の分離課税欄に記載します。記載する欄は(68)~(72)となり、収入金額の欄と同様の箇所に記載してください。上記の金額から千円未満を切り捨てた金額については、(80)か(81)の欄に記載します。また、総合課税の所得と所得控除額については、それぞれ第三表の(12)および(29)欄へ記載してください。
第三表の右側「税金の計算」の欄は、「課税される所得金額」欄にそれぞれの税率を適用して計算した金額を記載します。具体的には、総合課税分(87)、短期譲渡所得分(88)、長期譲渡所得分(89)となります。ほかの税額と合計して(95)に記載し、申告書第一表の右側(31)に記載してください。あとは一般的な申告書の書き方と同様です。
確定申告書作成時の注意点です。第二表の下の方に「住民税・事業税に関する事項」という欄があり、その中に住民税の徴収方法を選ぶ欄があります。「自分で納付」を選択しない場合、給与の特別徴収と合算されて給料から天引きされ、給与以外の所得額が勤務先に把握される可能性があります。申告書作成中はほとんど気にしない箇所ですが、要注意ポイントです。
6-5.確定申告書等作成コーナーの使い方
国税庁が用意している「確定申告書等作成コーナー」では、確定申告書や譲渡所得の内訳書をスマートフォンやパソコン画面の案内に沿って作成できます。自動計算のため計算ミスもなく、税務署への持参や印刷・郵送代も不要です。
7. よくある質問
不動産売却についてのよくある質問を紹介します。
7-1.赤字(譲渡損失)の場合はどうなる?
土地や建物の譲渡で、収入金額から取得費(購入費)および譲渡費用(売却費用)を差し引いて譲渡損失(赤字)が出た場合は、他の不動産譲渡による所得額から控除できます。
例1)土地A:譲渡利益1,000万円、土地B:譲渡損失▲300万円
→ 土地Aの譲渡利益と土地Bの譲渡損失を差し引いた700万円に対して、税金が課される
ただし、譲渡利益より譲渡損失のほうが多かった場合は、事業所得や給与所得など、ほかの所得との差引計算(損益通算)ができません。
例2)土地A:譲渡利益1,000万円、土地B:譲渡損失▲1,300万円
→ 土地Aの譲渡利益と、土地Bの譲渡損失を差し引いて残った▲300万円は、ほかの所得と差引計算不可
なお、居住用財産を譲渡した際の譲渡損失は、一定の要件を満たす場合に限り、譲渡をした年の事業所得や給与所得などとの差引計算(損益通算)が可能です。残った譲渡損失の額があるときは、翌年以後3年間にわたり、繰り越して控除できます。
7-2.共有者との売却時の申告はどうする?
共有者がいる場合の確定申告において注意する事項は、譲渡価額(売却代金)・取得費・譲渡費用は、総額をベースに計算します。その後、共有者の氏名や持ち分などを入力して譲渡所得が計算されるため、共有者がいる場合でも「総額」で譲渡所得を計算するようにしましょう。
7-3.無申告のリスクとペナルティ
不動産を売却し、譲渡益があるにもかかわらず確定申告をしなかった場合には、無申告加算税が課されます。課される無申告加算税率は、税務調査の事前通知前であれば5%、事前通知後は10%~30%です。また、無申告により期限までに納税していない場合、期限の翌日から納付日まで延滞税が課されます。
このように、譲渡益があるにもかかわらず確定申告をしない場合はペナルティを課されます。悪質と判断される場合はより重い税額が課される可能性もあるため、必ず期限内に申告するように心がけましょう。
8. まとめ
不動産を売却した際の確定申告について、確定申告の基礎知識や手順、記載方法および必要書類、そして特例について解説しました。不動産売買は高額な取引で、特例の適用要件も複雑なため、専門知識が必要です。ご自身での確定申告が不安なら、税理士をはじめとする専門家のサポートも有効な選択肢になるでしょう。

税理士
一般企業における経理事務を約25年経験した後、大手税理士法人勤務を経て税理士事務所開業。フリーランス・中小企業専門の税理士として、税務業務のみならず、将来の企業運営も含めた経営サポート業務を提供。また、近年の電子帳簿保存法やインボイス制度への対応も含めたITツールの導入にも積極的に導入サポートを行っている。
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