不動産査定とは?手続の流れ・必要書類・Q&Aなど無料査定完全マニュアル

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不動産査定とは、不動産会社が物件のさまざまな情報をもとに、不動産の価値を判定することです。この記事では、不動産査定の仕組みや特徴、不動産査定の流れなど、事前に知っておきたい知識を宅地建物取引士が詳しく解説します。そのほか、無料査定と有料査定の違いや、AI査定・机上査定・訪問査定の特徴や活用法、必要書類など、不動産査定の情報を網羅しました。

査定方法や必要な準備など、不動産査定に関する不安や疑問を感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

1.不動産査定とは?基本の仕組みを解説

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不動産査定は、目的によって査定を依頼する相手が異なります。ここでは、目的に応じた依頼先や査定額に影響を及ぼす要素などについて解説します。

1-1.不動産査定の目的とは?

不動産の査定の目的は、売却する不動産の売却額を公平な基準に基づいて算出する作業です。一般的には、不動産会社に目安となる売却額を出してもらいます。この売却額は、自分の持っている資産や資金をどのように運用していくかを左右するため、査定はとても重要な作業です。

例えば、不動産を売却する際、売却する自宅の住宅ローンが残っているケースもあり、売却資金でローンを完済したいケースがあるでしょう。また、売却した資金を頭金として新居を買い替えることを検討するケースもあります。どちらのケースも、不動産の売却資金をどの程度使えるかの確認・検討が重要です。そのためにも、不動産査定を行い、所有している不動産の価値を知ることは欠かせません。

不動産の売却は、不動産仲介会社に仲介を依頼しますが、不動産の査定は、不動産の売却前に依頼するのが一般的です。不動産査定は、査定を行った不動産仲介会社に仲介業務を依頼するか否かを判断する機会にもなります。査定時の対応や査定結果、サービス内容、販売活動の提案内容などは、信頼できる会社であるかを判断する材料になるでしょう。

なお、不動産の価値判断には目的や対象不動産の種類などによって「不動産査定」と「不動産鑑定」、に分けられます。

不動産査定

不動産査定は、不動産仲介会社が現時点で売却できる金額を判定する作業です。そのため、査定価格は売却開始の売出価格や、値引交渉を受ける際のボトムラインを設定するための参考価格といえます。

不動産査定は、「査定実施日から3カ月以内に売却できるであろう金額」として提示するため、実際に成約した類似物件の取引事例を参考に行います。

不動産鑑定

不動産鑑定を行うのは、戸建てやマンションのような住宅だけではありません。例えば、収益ビル・物流倉庫・ホテル・工場用地・ゴルフ場・鉄道用地・借地権や底地権・区分地上権・農林地なども不動産鑑定の対象になります。不動産鑑定は、さまざまな形態や権利関係を持つあらゆる土地・建物の経済価値を判定する作業です。

不動産鑑定は、ただ売却価格を判定するだけではありません。相続税や贈与税、財産分与の算定のほか、訴訟において不動産価値を算定するケースもあります。加えて、企業会計やM&A、国や自治体の公的取引など特殊で希少な物件や案件であれば、不動産鑑定士への依頼も少なくありません。

1-2.不動産査定額を左右する要素とは?

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不動産の査定額は「物件そのものの価値」と「不動産市場での需給バランス」の二重構造で決まります。

物件そのものの価値を決める要因として以下のものがあります。

●類似物件の直近の取引事例
●物件の特徴(駅距離・築年数・構造・間取り・設備・住環境など)
●他のエリアとの比較(近隣エリアや通勤通学の所要時間が同じエリアなど)

また、不動産市場での需給バランスに影響する要因として以下のものがあります。

●売却時期(春の新年度の時期は売買件数が多い)
●類似物件の供給量(同時期の競合物件の数)
●新たなニーズへの対応(再開発や大学移転、新駅設置など)

1-3.売出価格と成約価格との違い

「査定額」は過去の成約事例や物件固有の条件、市場の動向をもとに「理論上このくらいで売れるだろう」と推測した金額です。一方、「実際の売却価格(成約価格)」は、販売活動期間、競合物件の動向、買主との交渉など実際の販売活動を経て最終的に売買当事者が合意した金額になります。

ほとんどの「売出価格」は、査定額や成約価格よりも少し高めですが、売出価格を高めに設定する理由は将来の値下げ幅を確保しておくためです。販売活動期間が長引いてしまい少しでも早く売ろうとする場合は、価格を下げることで買主の購買意欲をかき立てて早めに成約しやすくするためです。

また、購入申込時に買主から値下げ交渉が入るケースも少なくありません。そのため、値下げに応じる余地としてあらかじめ査定額は5?10%の上乗せが一般的です。

2.3つの不動産査定の概要や特徴について

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不動産の査定方法には、大きく「AI査定」「机上査定」「訪問査定」の3種類があります。

2-1.AI査定(査定シミュレーション)

AI査定(査定シミュレーション)は、今すぐにおおまかな査定価格が知りたい方におすすめです。AI査定の方法は、一戸建てなら「住所(都道府県、市区町村、町名)・土地面積・延床面積・築年数・購入時の価格・売却希望時期」などを入力します。マンションなら「マンション名・部屋番号・専有面積・間取り・所在階」などを入力します。AI査定の待ち時間は、この査定対象不動産の情報入力から結果の出力まで数十秒程度です。

AI査定なら、迅速に査定結果を出力でき、一度に複数者へ査定依頼を出すこともできます。その代わり、査定額の精度はほかの査定よりも低いため注意が必要です。

2-2.机上査定(簡易査定)

机上査定(簡易査定)とは、対象となる不動産と類似する周辺の不動産の取引状況(相場)から価格を算出する方法です。過去の取引状況や市場動向、地域の特性などのデータをもとに対象不動産を訪問することなく机上で査定が完了することから、「机上査定」と呼ばれています。

机上査定は、物件の簡単な情報をインターネット・対面・電話口で伝えるだけで依頼できます。その情報をもとに、近隣にある類似物件の成約・売出事例と比較し、査定額の算出が可能です。早ければ当日中、遅くても数日で査定結果が知らされます。

机上査定は、一般的にAI査定よりも査定価格の精度が高く、一括で複数社へ査定依頼を出すのも簡単です。しかし、物件の劣化状況や売却時期や売却活動期間などの物件の個別状況が加味されていないため、査定額の精度が十分でないこともあります。

2-3.訪問査定(詳細査定)

訪問査定(詳細査定)とは、対象となる不動産を実際に現地で調査・確認して、査定価格を算出する方法です。訪問査定の方法は、「築年数と建物の状態」「設備や使用状況(手入れの具合)などの建物の条件」「周辺環境」「接道条件や隣接地との境界などの土地の条件」「構造」を細かく確認したうえで金額を算出します。

訪問査定は確認や調査が増えるため、机上査定よりも多くの時間が必要です。特に、一戸建て・土地や少し築年の古い中古マンションでは、不動産の条件が物件ごとに異なります。そのため、より高い精度の査定額を算出したい場合は、訪問査定がおすすめです。丁寧査定を行う不動産仲介会社であれば、法務局や役所で、不動産の権利関係や対象不動産に関係する法令まで調べて査定額を算出することもあります。

このように、訪問査定は、査定価格における精度の高さがメリットです。その一方、複数社に依頼した場合、たくさんの訪問に対応しなければならないことや、強引な営業をされた場合に煩わしく感じることがデメリットといえるかもしれません。

3.不動産査定には無料と有料がある

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不動産査定には、以下のように無料の場合と有料の場合があります。

3-1.査定作業にも費用はかかっている

不動産仲介会社の「無料査定」であっても、実際には以下のようなコストがかかっています。

●レインズや独自の査定システムの利用料
●担当者の人件費や交通費
●法務局や役所調査の実費
●報告書のプリント・製本代

このようなコストがかかっているにもかかわらず、不動産仲介会社が無料査定を行っている理由は、売却を受託した場合の「仲介手数料」で費用を回収できることや、将来の潜在顧客への広告宣伝費と考えているからです。

3-2.不動産査定と不動産鑑定の違いについて

不動産鑑定士が行う有料査定では、売却準備を目的とするケースはほとんどありません。個人であれば、相続や贈与、財産分与、法人であれば簿価見直しやM&A、特殊な不動産や権利の価値判断など、「鑑定」自体が目的です。この場合、不動産鑑定士へ鑑定業務を依頼しているため、その「鑑定」に対して支払いが発生します。

また、不動産鑑定は、合理的な市場における長期平均的な判断基準に基づいて行われます。特定の買主・売主の事情や短期的な人気およびトレンドなどを排除しているため、不動産仲介会社が不動産査定を行うときのような、「今この瞬間に市場でいくらなら売れるか」という視点では鑑定を行うことはありません。

鑑定評価書に記載される内容は、取引当事者の特別な事情が影響しないという前提(正常性)に立って行われる鑑定です。そのため、次で述べる「取引事例比較法」「原価法」「収益還元法」という3つの手法で鑑定が行われます。

4.不動産査定で用いられる3つの方法

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不動産の査定額は、対象となる不動産の周辺取引事例(販売中、成約したもの)を参考に相場を把握するのが基本です。そのため、近隣の同種物件との比較により、おおむねの査定額が決まります。

また景気や地価の動向など大局的な経済環境を踏まえたうえで行われる、不動産個別の状況についての確認と調査の結果も査定額に影響します。加えて、所有者の希望、販売スケジュールなどの個別事情も加味して最終的な査定額を算出するのが一般的です。

上記以外の不動産価格を評価する方法として、「取引事例比較法」「原価法」「収益還元法」という3つの評価方法があります。

4-1.【1】取引事例比較法

取引事例比較法とは、同じ地域・用途・規模・築年数などが近い不動産の過去成約事例を集め、条件差を補正して「今売ればいくらか」を推測する方法です。試算価格は以下の式で算出されます。

試算価格 = 取引事例 × 事情補正 × 時点修正 × 地域要因補正 × 個別要因補正

●事情補正:取引事例に影響を及ぼす相場以外の特殊な事情(競売や親族間取引など)
●時点修正:取引事例の成約日と鑑定時点との市場変動
●地域要因補正:取引事例と鑑定不動産の立地格差(駅距離や用途地域や商圏力など)
●個別要因補正:建物状態や間取り、眺望、設備の劣化などの個別要素

取引事例比較法は、実際の取引結果を査定基礎にするため実勢価格に近く、住宅地や区分マンションを高い精度で鑑定できます。一方、事例が乏しい郊外や特殊物件では参照するデータが数少ないため、参照事例や補正値を誤ると推計誤差が広がる点には注意が必要です。

4-2.【2】原価法

原価法とは、鑑定時点において同等建物を現在新築した場合のコスト(再調達原価)を算出し、経過年数や劣化率を減価して評価する方法です。積算価格は以下の式で算出されます。

積算価格 = 再調達原価 ×(1 ― 減価修正率)

●再調達原価:設計仕様、施工単価表、建築費指数から積算
●減価修正率:耐用年数、保守メンテ状況、設備や機能の劣化具合を考慮

原価法は、建物の担保性や保険価額の試算に向いています。金融機関の担保評価や新築直後の物件において説得力があり、事例の乏しい公共施設・生産施設の評価にも有効的です。一方、築古物件では減価割合の設定が鑑定士の裁量であるため、実勢価格と乖離することもあるため注意が必要です。

4-3.【3】収益還元法

収益還元法とは、対象不動産が将来生み出すと期待される純収益の総和を求めることにより対象不動産の試算価格を求める方法です。収益価格は以下の式で算出されます。

収益価格 = 年間収入(純収益NOI)÷ 還元利回り

●年間収入:空室等損失や貸倒損失、維持管理費、公租公課、損害保険料などを控除した純収益(NOI)を使用
●還元利回り:(年間総収入 ― 空室や貸倒の損失 ― 運営費)÷ 物件価格

収益還元法は、収益不動産(賃貸マンション・オフィスビル・ホテル)でもっとも一般化した計算方法です。投資の採算ラインを直接示すためREITや証券化、ノンリコースローンでも標準指標として広く採用されています。ただし、将来予測と利回り設定に不確定要素が多く、景気変動やテナント構成の入れ替わりで収益が揺れやすい点には注意が必要です。

5.不動産査定価格を左右する要因

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不動産査定価格は立地条件や築年数をはじめとする、さまざまな要因で左右されます。査定価格と関連がある条件の内容や実例をご紹介していきましょう。

5-1.査定価格を左右する条件面の理由

査定価格を左右する条件とその内容および実例について以下の表にまとめています。

査定価格を左右する条件

その条件の内容や実例

立地の条件

駅距離、エリア、買物利便性、その他交通の便など

築年数

新築からの経過年数(古いほど価格は安くなる)

耐震基準

新耐震か旧耐震のどちらの基準で建築されたか

土地の条件

地目、面積、土地の形状、高低差など

周辺環境

日照条件、眺望、景観、治安、買物や交通の利便性など住環境全般

市場状況

売却時期、同時期に売り出している競合物件の数、不動産市況や景気の動向

建物の外観

見た目の古さ、屋根や外壁および外構などの劣化状況

室内や設備の状態

破損や故障、設備の状態、人気設備の有無など

不動産仲介会社が査定時に資料をチェックして所有者へ確認するのは以下のようなポイントです。

Point1. 権利関係:
法務局で登記簿を確認するなど不動産の所有者や共有者、抵当権設定の状況といった権利関係について確認します。

Point2. 土地や建物の状態:
隣接する建物の状況や建築予定に加え、周辺施設、眺望、前面道路の状況、上下水道など不動産の外部や周辺状況も確認します。さらに、建物の修繕やリフォームの履歴、日当たり、室内の設備、マンションであれば管理の状況など不動産そのものに関する点も確認事項です。

Point3. その他
住宅ローンの残債や売却理由、売却希望時期、売却希望価格などを確認します。

5-2.査定価格が各社で異なる理由

査定の依頼を受けた不動産仲介会社は、訪問した物件の内外を確認するため、同じ取引事例を参照しているはずです。しかし、不動産仲介会社によって査定価格が異なることがあります。これは、各不動産会社によって物件の劣化状況や維持管理に対する評価、不動産市況の傾向分析やライバル物件に対する競争力などの評価が異なるためです。

また、実際の査定額よりも「高額売却ができる」と自社の販売力を売主へアピールし、信頼されてから売却の依頼を受けようと、事実に反した高額の査定額を設定する不動産仲介会社がまれに存在しています。相場を大きく外れた高価格で売り出しても、売れる可能性はほとんどないため、査定金額は高いほど良いわけではありません。反対に、査定担当者が相場を読み間違え、安い価格で売り出して損をするケースもあります。

相場とかけ離れた価格設定にしないためにも、売却査定は複数社に査定を依頼し、結果を比較するのが良いでしょう。

6.不動産査定(訪問査定)の流れ

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ここからは、不動産の簡易査定から訪問査定への流れを解説します。

6-1.【1】簡易査定を依頼

不動産仲介会社による査定は、簡易査定・訪問査定ともに、多くの場合無料です。面倒に思える査定依頼も簡単な登録作業だけで済むため、一度に複数社への査定依頼が出せます。まずは不動産仲介会社へ簡易査定を依頼します。不動産の査定依頼は、Webサイトから依頼するのが昨今の主流です。別の方法としては店舗へ直接電話し依頼するケースもあります。

査定を依頼する場合には、自宅の間取りや購入時の金額が分かるものを用意し、おおよその希望金額をあらかじめ伝えられるようにしてから連絡しましょう。また、いつまでに査定報告書が必要かに加え、希望する報告の方法(メールや面談)なども伝えてください。

6-2.【2】簡易査定の結果報告

簡易査定は、たいてい依頼してから数日で、メールや郵便、持参などの方法で「簡易査定報告書」が届きます。査定報告書には、簡易な査定であるものの、おおまかな査定額や売出し価格(不動産仲介会社が提案する価額)、査定根拠などの情報が書かれているのが一般的です。

6-3.【3】訪問査定を依頼

訪問査定を依頼する場合には、営業担当者が現地(自宅)を訪問する日を決めます。訪問査定結果が出るまでの期間は、訪問から数日~1週間程度みておくのが一般的です。訪問査定も、不動産仲介会社間の査定額のズレを発見しやすいように、複数の不動産仲介会社へ依頼するのをおすすめします。

6-4.【4】担当者が訪問して室内を内覧し査定

訪問日に担当者が物件を訪れ、内外を確認し、重要書類を確認し、必要事項を控え、いったん自社へ持ち帰ります。その際、部屋の隅々まで見て査定してもらえるよう、荷物の整理や清掃をしておき、見落としがないよう査定環境を準備しておくと良いでしょう。また、住んでみて良かったことや悪かったことも売却査定や販売戦略に活かせるので、伝え漏れのないように伝達事項を整えてから査定に臨むのがおすすめです。

6-5.【5】訪問査定の報告書をもとに説明を受ける

訪問査定の場合、査定結果が出るまでに数日~1週間程度かかります。査定額・根拠・売出価格は、査定報告のなかでも特に大切な情報です。

<査定額>
査定報告書で極めて重要な項目が「査定額」です。査定額は、不動産仲介会社が「このくらいの価額で売れるだろう」と考える「相場の金額」であり、おおむね「3カ月程度で売却できるであろう金額」を提示します。

<根拠>
査定報告書には、査定額の根拠が示されています。近隣の取引事例がもととなっているケースが多いですが、建物を取り壊した場合に、「再び同じ物件を建て直す費用(原価)」を基準として、経年劣化などを差し引いた価格で設定する場合などもあります。根拠がしっかりしている査定報告書は信頼できるといえるでしょう。

<売出し価格>
売出し価格は、不動産仲介会社が「このくらいの金額で売り出してみては?」と提案する価格です。ご自身が考える希望価額があれば、査定依頼時に不動産仲介会社へ伝えて相談してみてください。

7.査定後に売却しないのはアリ?依頼時のポイント

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不動産査定を依頼したのなら、その後は必ず売却しなくてはならないのでしょうか?

7-1.査定だけ依頼して売却しないのはアリ?

査定を依頼したからといって、必ず売りに出さなければならないわけではありません。「いくらくらいの価値があるのだろう」と気になったときなど、単に不動産の価格を知るために査定を依頼することも可能です。

7-2.査定後に断る場合のマナーと方法

不動産の売却を目的として査定を依頼した場合は、査定結果を受けて実際に売りに出すか出さないかを判断します。査定の結果、売却を決意した場合は、査定を依頼した不動産仲介会社に売却(の仲介)を依頼するのが一般的です。

ただし、売却をしない場合は、曖昧な返答はせずに「売却しない」という意思を不動産仲介会社へはっきりと伝えるのがマナーです。どうしても口頭で伝えづらい場合はメールでも構いませんが、のらりくらりと返答を濁すのはやめましょう。

7-3.査定後のしつこい営業トラブルを避けるコツ

査定後に粘り強く営業をかける不動産仲介会社もいますが、売却をするか・売却をどこへ任せるかなどは、売主の自由です。無料査定に対する感謝を伝えるのは良いことですが、無料査定を依頼したからといって、その不動産仲介会社へ売却を依頼しなくてはならないわけではありません。曖昧な返答をせず、「売却の意志はない」とはっきりと断ることも、無用な営業トラブルを避けるコツといえるでしょう。

8.訪問査定に必要な書類と準備

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訪問査定時に整えておくべき書類や準備について解説します。

8-1.査定依頼時に必要な書類

不動産査定では物件や所有者に関するさまざまな点を確認・調査して査定するため、手元にできるだけ参考資料を用意しておくとより正確に査定してもらいやすくなります。例えば以下のようなものを用意しましょう。

本人確認書類

免許証、パスポート、マイナンバーカードなど

登記簿謄本

対象不動産全部、購入時のものが手元にあるはず、法務局でも有償で入手可

権利証(登記識別情報)

対象不動産全部、購入時のものが手元にあるはず、再発行不可

地積測量図

対象不動産全部、購入時のものが手元にあるはず、法務局でも有償で入手可

建物の設計図書

確認申請図、竣工図書の建物図面など

建築確認済証

対象不動産全部、購入時のものが手元にあるはず、再発行不可

検査済証

対象不動産全部、購入時のものが手元にあるはず、再発行不可

重要事項説明書

購入時のものが手元にあるはず、再発行不可

報告書や評価書など

地盤調査報告書、耐震診断報告書、住宅性能評価書、既存住宅性能評価書、アスベスト使用調査報告書など

販売図面

販促資料、購入時のものが手元にあるはず

8-2.書類が揃っていないときの対処法

不動産査定に必要な書類が揃えられないと完全な査定ができないこともあります。そのため書類が見当たらないような場合は、査定を行う不動産仲介会社へ相談してください。もし、ほかの書類で代用がきく場合は、代わりになる書類を用意し、再発行ができる場合はすぐに手配しておきましょう。

8-3.査定依頼時に必要な情報

査定を依頼する場合、対象となる不動産に関する必要な情報を伝えなければなりません。戸建てであれば「住所(都道府県、市区町村、町名)・土地面積・延床面積・築年数・購入時の価格・売却希望時期」などを伝え、マンションなら「マンション名・部屋番号・専有面積・間取り・所在階」などを伝えましょう。

特に売却を前提に査定を依頼する場合、訪問査定の際には売却理由や売却条件(引渡し時期など)や、自分が知っている不動産の短所を隠さず伝えることが大切です。また、そこで生活している際に「良い」と感じる部分も伝えると、どのように販売していくかの戦略を立てやすくなります。

8-4.訪問査定を受ける際の事前準備

訪問査定を受けるなら、事前に売却価格の相場を調べておくと良いでしょう。自分で相場を把握していると、適切な金額を提示している不動産仲介会社を選びやすくなります。特に売出しを真剣に検討しているなら、事前の相場把握は必須といえるでしょう。

8-5.不具合や瑕疵(かし)を発見する

故障・不具合やネガティブ情報などのマイナス要素は査定額を下げる要因です、それでも、査定額を下げたくないからといって瑕疵を告げずに隠していると、査定が不正確になるばかりではなく契約不適合責任を問われる場合があります。契約書で詳しく告知してさえいれば契約不適合責任を負うことはありません。マイナス要素だからこそ早めに確実に伝えるようにしましょう。

9.自分で相場(適正価格)を調べる方法

自分で相場(適正価格)を調べる方法は以下の2つです。

9-1.地価公示・基準地価・路線価・固定資産税評価額を調べる

不動産査定を上手に活用するためには、事前に自分でも相場をある程度調べておくべきです。相場を知っていれば、不動産仲介会社の提案額が妥当かの判断もしやすくなります。

不動産の基準価格を調べるツールや窓口は以下の通りです。

●地価公示・基準地価は「不動産情報ライブラリー
●路線価は「財産評価基準書路線価図・評価倍率表
●固定資産税評価額は「対象不動産を管轄する自治体の役所」

なお、不動産の実勢価格(実際に取引される価格)は、地価公示の約1.1倍が一般的です。そのため、地価公示が分かれば実勢価格の目安も把握できるでしょう。また、相続税評価の基準となる「路線価」と「固定資産税評価額」は、それぞれ地価公示の0.8倍と0.7倍です。そのため、「路線価」や「固定資産税評価額」からでも、地価公示を経由して実勢価格を推測の目安を推測できます。

ただし、公的な不動産指数と実勢価格との関係はエリアによって異なるため、あくまでも参考程度にとどめましょう。

土地相場は、国土交通省の土地価格情報システム(不動産情報ライブラリー)、マンションや建物については、レインズの取引情報サイト(レインズ マーケット インフォメーション)で過去の取引事例を調べられるので、近隣の同種物件の成約価格をチェックしてみてください。

また、野村不動産ソリューションズが運営する不動産情報サイト「ノムコム」では、自宅マンション相場が把握できるサイト「マンションデータPlus」をご用意しております。

9-2.不動産ポータルサイトで類似物件の価格を調べる

不動産ポータルサイトに掲載されている、売り出し中の物件を調べれば、類似物件の販売価格が推測できます。ただし、売れない場合の価格改定や値下げ交渉に対応できるように高めに設定していることがほとんどです。一般的には、成約価格よりも5%程度高額になっていることが多いと理解したうえで、類似物件のデータを活用するようにしましょう。

10.不動産査定について良くある質問(FAQ)

不動産査定について良くある質問を4つご紹介します。

10-1.査定で金額だけ知って売却しないのは失礼?

査定だけで売却しなくても失礼にはなりませんが、事前に「査定のみの依頼」であると伝え、査定後に売却しないことをはっきりと伝えましょう。

10-2.AI査定(匿名査定)でも正確な金額は出る?

AI査定はあくまで粗い目安金額でしかありません。正確な査定額が知りたい場合は、売却時期・不動産市況・競合物件数・物件の長所と短所、現地で確認した物件の劣化や不具合などを加味した訪問査定がおすすめです。

10-4.いちばん売却能力が高いのは査定金額が高い不動産仲介会社?

不動産仲介会社と不動産鑑定士の査定は、査定の目的や査定対象物件の種類および特異性が異なります。売却が前提の査定なら不動産会社が正確であり、贈与・相続・財産分与・企業会計の簿価の見直し・特殊な不動産の鑑定なら不動産鑑定士が正確だといえます。

10-3.不動産仲介会社の無料査定より不動産鑑定士の有料査定の方が正確?

査定の参考にする取引事例の違いや市況の分析内容が異なれば査定金額にも差が出ます。まれに、売却を依頼されたくて、販売力が高いと錯覚させるために査定金額を高く設定する不動産仲介会社も存在します。そのため、複数社(少なくとも3社以上)へ査定を依頼して査定報告書を比較検討するのがおすすめです。

11.まとめ

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不動産査定は AI査定・机上査定・訪問査定の3つがありますが基本的にはどれも無料で受けられます。状況や目的に応じて3つの査定を上手く使い分ければ、物件価値の把握に役立つでしょう。売却を見据えた不動産査定の場合は最低でも3社以上に依頼し、査定価格および価格設定の根拠だけでなく担当者の説明力や販売戦略、対応姿勢や人となりまで比較するのがおすすめです。

不動産査定は、不動産仲介会社へすべて一任するのではなく、自身でも公的な不動産価格指数やポータルサイトの売出物件情報などで相場観を養っておきましょう。また、簡易査定や訪問査定を受ける場合には、少しでも査定の精度が上がるように書類や情報を準備して臨むようにしてください。

柴田 敏雄

柴田 敏雄

宅地建物取引士、管理業務主任者
司法書士事務所に2年、大手不動産管理会社に5年、個人顧客を中心に不動産賃貸・売買の仲介営業会社に7年間従事。また、外資系金融機関にも2年間従事し個人顧客へ金融資産形成や相続税の節税アドバイスなどを担当。現在は不動産/金融業界での経験を活かし、記事を執筆にもあたっている。

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