

マンションは、時間の経過とともに建物や設備が少しずつ劣化していきます。建物や設備の安全性と機能性を維持するためには、定期的な点検や修繕によるメンテナンスが重要です。マンションにメンテナンスが必要な理由のほか、時期や費用の目安、専有部分と共用部分のメンテナンスの違いなどを解説します。物件選びのヒントに活用してください。
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[目次]
マンションにおけるメンテナンスの概要
マンションにおけるメンテナンスとは
法定点検と任意点検の違い
マンションメンテナンスの必要性
1.安全性・快適性を保つ
2.資産価値の維持・向上につながる
3.マンションの寿命を延ばす
マンションメンテナンスの役割分担と内容
1.共用部分のメンテナンス
2.専有部分のメンテナンス
マンションのメンテナンス時期
共用部分と専有部分によるメンテナンス時期の違い
メンテナンスの実施時期
1.大規模修繕の時期
2.共用部分のメンテナンス時期
3.専有部分のメンテナンス時期
マンションメンテナンスの費用相場
1.共用部分のメンテナンス費用相場
2.専有部分のメンテナンス費用相場
マンションメンテナンスの費用相場

マンションのメンテナンスは、建物の安全性と資産価値を守るための重要な取り組みです。ここでは、マンションにおけるメンテナンスの意味や種類、法定点検と任意点検の違いについて説明します。
■マンションにおけるメンテナンスとは
■法定点検と任意点検の違い
■マンションにおけるメンテナンスとは
マンションのメンテナンスとは、点検、修繕、清掃など、建物の構造体や設備機能を維持管理する活動全般のことです。メンテナンスは大きく下記の3種類に分けられます。

適切なメンテナンスの継続的な実施は、突発的な故障や事故の防止にもつながります。日常の快適性の維持、将来的な修繕費用の削減にも影響するため、長期的な視点で計画的に取り組むマンションが多いようです。建物の老朽化が進み、修繕では安全性を確保しきれなくなった場合などに検討される「建て替え」も、一種のメンテナンスであると言えるでしょう。
マンションのエレベーターについて知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
⇒ マンションのエレベーターの設置義務や特徴は?台数や注意点も解説
マンションの建て替えについて知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
⇒ マンションの建て替えとは?実態、流れ、住民への影響などをまとめて解説
■法定点検と任意点検の違い
マンションのメンテナンスのひとつである「点検」には、「法定点検」と「任意点検」の2種類があります。法定点検は法令により実施が義務付けられている点検で、原則として、有資格者による実施と行政への報告が必要です。違反に対しては、罰則が設けられている場合もあります。任意点検は管理組合などが主体となって実施するもので、法的義務はありません。

任意点検の主な例
●外壁の目視点検
●屋上防水の状態確認
●給排水管の劣化診断
●機械式駐車場の点検 など
任意点検は、早期の不具合発見につながります。こまめな修繕を実施することで、結果的にコスト削減につながることも多いため、積極的な実施が推奨されています。
マンションの機械式駐車場について知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
⇒ マンションの機械式駐車場を選ぶメリットは?仕組みや種類を解説

マンションのメンテナンスは建物を維持するだけではなく、住む人の生活の質や資産価値にも影響し得る重要な要素です。ここでは、マンションにメンテナンスが必要な理由として、主に3つの要因を紹介します。
■1.安全性・快適性を保つ
■2.資産価値の維持・向上につながる
■3.マンションの寿命を延ばす
■1.安全性・快適性を保つ
マンションにおけるメンテナンスの最も重要な目的は、居住者の安全確保です。定期的な点検により、危険箇所を早期に発見し、事故を未然に防ぎやすくなります。エレベーターや給排水設備、オートロックなどの適切なメンテナンスは、日常生活の利便性の維持にもつながります。
マンションのオートロックについて知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
⇒ マンションにオートロックは必要?種類とメリット、注意点について解説
■2.資産価値の維持・向上につながる
適切にメンテナンスされたマンションは、築年数による資産価値の下落が比較的緩やかです。外観の美しさや利便性は、マンション購入検討者の第一印象に影響します。定期的な外壁洗浄や塗装、改修などにより、築古物件でも魅力を維持しやすいのもメリットです。
メンテナンスが確認できるポイント
●外壁の美観(汚れ、ひび割れ、塗装の状態)
●共有部分の清潔さ、明るさ
●エレベーターの動作状況
●駐輪場やゴミ置き場の整理整頓 など
マンションのゴミ置き場について知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
⇒ マンションのゴミ置き場の特徴!種類とよくあるトラブルを解説
■3.マンションの寿命を延ばす
国土交通省によると、鉄筋コンクリート造のマンションの平均寿命は68年とされています。鉄筋コンクリート部材の効用持続年数は一般的な建物で120年、管理次第では150年という調査結果もあります。(参考:国土交通省「期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について」)
あくまでも理論上の数値ではありますが、適切なメンテナンスを継続していれば、マンションの寿命を100年以上に延ばすことも可能です。
マンションの寿命について知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
⇒ マンションは何年住める?寿命や購入前のチェックポイントを解説

マンションのメンテナンスは、共用部分と専有部分で責任者が異なります。それぞれの範囲と具体的な内容を正確に理解することでトラブルを防ぎ、適切な維持管理が可能になります。
■1.共用部分のメンテナンス
共用部分は、居住者全員が共同で使用する部分です。主に管理組合が主体となって、メンテナンスを実施します。この部分のメンテナンス費用は、基本的に区分所有者が毎月支払う管理費や修繕積立金から捻出されます。
共用部分の主な範囲
●建物構造:外壁、屋上、柱や梁・壁のような躯体など
●共用施設:エントランス、廊下、階段、エレベーターなど
●設備配管:給排水管の縦管、ガス管の本管など
●その他:駐車場、駐輪場、植栽、外灯、フェンスなど
注意が必要なのは、バルコニーや窓サッシ、玄関ドアなど、特定の住戸が専用的に使用する「専用使用部分」です。これらも共用部分の一部であり、大規模な修繕や交換は管理組合が実施します。
マンションの共用部分について知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
⇒ マンションの共用部分はどこまで?間違えやすい共用部分と注意点を解説
管理組合について知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
⇒ マンションの管理組合とは?役割から加入義務、起こりやすいトラブルまで解説
■2.専有部分のメンテナンス
専有部分は、各区分所有者が専用で使用する部分です。主に室内の間仕切り壁、床、キッチン、洗面台、トイレ、レンジフード、浴室などが該当します。この部分のメンテナンスは、区分所有者(オーナー)が自己責任・自己負担で実施します。
共用部分とつながっている箇所もあるため、リフォームを行う際は管理規約の確認が必要です。管理組合への届出を求められるケースもあります。

マンションのメンテナンスは、部位や設備によって適切な実施時期が異なります。ここでは、共用部分と専有部分によるメンテナンス時期の違いや、実施時期について解説します。
■共用部分と専有部分によるメンテナンス時期の違い
■メンテナンスの実施時期
■共用部分と専有部分によるメンテナンス時期の違い
共用部分のメンテナンスは、管理組合が策定する「長期修繕計画」に基づいて、計画的かつ規則的に実施されます。専有部分の実施時期を決定するのは、区分所有者の判断です。使用状況や劣化具合によって異なるため、一概にはいえません。区分所有者の中にはメンテナンスを効率的に実施するため、共用部分のメンテナンスにあわせてリフォームを行う方もいます。
時期をあわせたリフォームの例
●給排水管更新時に、専有部分に該当するキッチン・浴室のリフォーム
●外壁修繕時に、専有部分に該当するサッシ周りの補修
●大規模修繕時、専有部分に該当する専有部分の一括工事 など
■メンテナンスの実施時期
それぞれのメンテナンス時期について説明します。
■1.大規模修繕の時期
■2.共用部分のメンテナンス時期
■3.専有部分のメンテナンス時期
■1.大規模修繕の時期
国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」によると、外壁の補修・塗装や屋上防水の更新などを伴う大規模修繕の周期は「12年から15年」が一般的です。同省が実施した「令和3年度 マンション大規模修繕工事に関する実態調査」でも、12年から15年周期で大規模修繕を実施しているマンションが全体の約7割を占めました。
同調査からは、平均修繕周期は1回目が15.6年、2回目が14.0年、3回目が12.9年と、大規模修繕工事の回数が増えるほど周期が短くなる傾向もうかがえます。目安を知っておくことで、ライフイベントの調整や資金計画などがスムーズに進めやすくなります。
■2.共用部分のメンテナンス時期
共用部分のメンテナンス時期は、一概にはいえません。現状や管理組合の考え方などにより、方針が異なるからです。主要設備の一般的なメンテナンス時期の目安については、下表を参考にしてください。

これらの周期は一般的な目安です。マンションの立地環境や使用環境、使用されている資材のグレードなどによって劣化の進み具合も異なります。専門家による定期的な建物診断に基づき、適切な時期にメンテナンスを行うことが重要です。
■3.専有部分のメンテナンス時期
専有部分のメンテナンスは、区分所有者の責任と判断で実施されます。大規模修繕や共用部分とは異なり、決められた計画はありません。快適な生活を維持し、水漏れなどの思わぬトラブルを防ぐためには、自分で点検や更新のスケジュールを意識することが重要です。主要設備の一般的なメンテナンス時期の目安については、下表を参考にしてください。


マンションのメンテナンス費用は、建物規模や築年数、立地条件により異なります。ここでは、適正な資金計画の目安として、一般的な相場を紹介します。メンテナンス時の参考にしてください。
1.共用部分のメンテナンス費用相場
2.専有部分のメンテナンス費用相場
■1.共用部分のメンテナンス費用相場
共用部分のメンテナンス費用は、主に管理費と修繕積立金で賄われます。国土交通省の「令和5年度マンション総合調査」によると、令和5年度における一戸当たりの月額修繕積立金額の平均は、駐車場使用料等からの充当額を除く場合で13,054円。同充当額を含む場合は13,378円でした。管理費用では駐車場使用料等からの充当額を除く一戸当たりの月額平均が11,503円、含む場合は17,103円です。
修繕積立金は築年数の浅いうちは安く、築年数が経過するごとに高くなっていくのが一般的です。管理費も、マンションの総戸数が多いほど入居者の負担額が安くなる傾向があります。タワーマンションなどは戸数が多くても管理費が高くなる場合があるので、ひとつの費用相場としてお考えください。
■2.専有部分のメンテナンス費用相場
一般社団法人住宅リフォーム推進協議会が実施した「2024年度 住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査 報告書」によると、マンションのリフォームは予算も実際にかかった費用も「100~300万円未満」が最も多いことがわかりました。
表を見てわかるとおり、専有部分のメンテナンスは検討時よりも予算が膨らみがちになる傾向があります。不具合が起きてから対応する場合は、よりその傾向が顕著に表れやすいようです。日常点検をこまめに行い、問題の早期発見につなげましょう。実際にメンテナンスでリフォームにあたる際には、何を重視したいか優先順位を決めておくことをおすすめします。

マンションのメンテナンスには主に、安全で快適な住環境の維持、資産価値の保全、建物寿命の延長という重要な目的があります。適切なメンテナンスで、大切な住まいがより快適になるでしょう。
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