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#マンションの間取り考

2026.07.24

犬・猫「ペット可」と "暮らしやすさ" がリンクする、マンションの間取りをチェック

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近年、都市部を中心に「ペット可」のマンションは増えていますが、表示上の条件だけでは実際の暮らしやすさまでは分かりません。

犬・猫と暮らすことを前提に、マンション購入を検討している人に向けて、人とペット双方が快適に暮らせるマンションのチェックポイントを解説します。ペット専用スペースの有無だけでなく、動線や床材・収納の配置、掃除のしやすさなどを確認していきましょう。

増える「ペット可マンション」と住まい選び

近年、犬や猫を家族の一員として暮らす世帯が増え、マンションでもペット飼育への対応が進んでいます。

国土交通省「2023年度(令和5年度)マンション総合調査(※1)」では、「ペット飼育」に関する使用細則等を定めている管理組合は70.5%となっています。これは、「ペット可マンション」の割合そのものを示したものではありませんが、多くのマンションでペット飼育に関する一定のルール整備が行われていることが分かります。

一方で、「ペット可」と表示されていても、その内容はマンションごとに異なります。例えば、小型犬や猫のみ可、頭数制限ありなど、細かな条件が定められているケースも少なくありません。また、共用部では抱きかかえて移動するなど、独自のルールが設けられている場合もあります。

さらに、「ペット可マンション」と「ペット共生型マンション」は意味合いが異なります。

「ペット可マンション」は、基本的には"ペット飼育を認めているマンション"です。

一方、「ペット共生型マンション」は、人とペットが快適に暮らせることを前提に計画されたマンションを指します。例えば共用部の足洗い場や滑りにくい床材、脱臭や換気への配慮、ドッグランなど、設計段階からペットとの暮らしを意識している点に特徴があります。

ただし、実際の暮らしやすさは設備の有無だけで決まるわけではありません。毎日の動線や収納の配置、掃除のしやすさなど、「人とペットがどのように空間を使うか」によっても大きく変わります。

マンションを選ぶ際は、「ペット可」という条件だけで安心するのではなく、実際の間取りや生活動線まで含めて確認することが大切です。

引用元(※1)国土交通省「令和5年度マンション総合調査(概要編)」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001750161.pdf

間取りによって「人とペットの動き方」は変わる

実際の暮らしやすさは、単に広さだけではなく、「どのように動くか」によっても変わります。ここでは、代表的な3つの間取りを比較しながら、人とペットの動線の違いを見ていきます。

※赤矢印は人の動線、青点線はペット(主に猫)の移動イメージを示しています。

■【図1】 動線が集中しやすい田の字型プラン:専有面積68m2

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個室数を確保しやすい典型的な田の字型プランです。一方で、玄関・廊下・洗面室・LDKの動線が一直線に集中しやすく、人とペットの移動が重なりやすい特徴があります。

特に洗面室入口がLDK側にあるため、朝夕の家事動線や生活動線がリビング周辺へ集まりやすく、落ち着くスペースの確保には工夫が必要になる場合があります。

その一方で、キッチンの入口を限定しやすいため、侵入防止ゲートを設置しやすい点はメリットといえるでしょう。

■【図2】 リビング中心で動線に広がりのあるプラン:専有面積64m2

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リビングを中心に各部屋へアクセスしやすい間取りです。廊下部分が比較的短く、空間全体に広がりを感じやすい特徴があります。

また、玄関に土間収納を設けることで散歩用品やペット用品を収納しやすく、玄関まわりに余裕を確保しやすくなっています。玄関と洗面室が近いため、散歩後の足拭きや掃除動線を短くしやすい点も特徴です。

引き戸を多く採用することで、人とペット双方が移動しやすく、空間を柔軟に使いやすい点も特徴です。

■【図3】 開放感を重視したアイランドキッチンプラン:専有面積69m2

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アイランドキッチンを採用した、開放感とデザイン性を重視したプランです。キッチンまわりを回遊しやすく、室内全体に広がりを感じやすい特徴があります。

ただし、ペットもキッチンまわりへ入り込みやすくなるため、調理中の安全性や家具配置には配慮が必要です。

また、玄関と洗面室が近いため、散歩後の足拭きや掃除がしやすい点も特徴です。開放感を重視したプランでは壁面が少なくなりやすいため、ケージや収納家具をどこに置くかも考えながら間取りを見たいところです。

ペットと暮らしやすい間取りの基本条件

ペットと暮らしやすい住まいというと、専用設備や広いスペースをイメージする人も多いかもしれません。しかし、特別な設備の有無だけでなく、上の間取りで見てきたように「人とペットが無理なく動けるか」という視点が重要になります。

マンションでは、同じ面積でも間取りによって使いやすさが大きく変わります。ここでは、人とペットが共に快適に暮らしやすい間取りを見る際の基本的なポイントを整理していきます。

■玄関まわりに余裕がある

犬と暮らす場合、散歩後の出入りが毎日の動線になります。そのため、玄関まわりにある程度の余裕があると暮らしやすさが変わります。たとえば、散歩後には、リードの着脱や足拭き、キャリーの一時置きなど、玄関まわりで行う動作が意外に多くなります。

それらを考慮すると、玄関からすぐに人の通行動線と重ならない空間があると安心です。また、収納が少ない玄関では、ペット用品が表に出やすく、生活感が強くなりやすい傾向があります。収納についての詳細、考え方については後述します。

■回遊できる動線はストレスを減らす

間取りを見る際は、私は「人がどのように移動するか」、つまり、生活動線を意識してみます。ペットと暮らす住まいでも同様で、人の動線とペットの居場所が重なりすぎると、毎日の小さなストレスにつながる場合があります。

特に細い廊下や袋小路のような空間では、人とペットの動線がぶつかりやすくなります。朝夕の忙しい時間帯には、人の移動に犬が反応したり、猫が逃げ場を失ったりすることもあります。

一方で、リビングを中心に動線が広がる間取りでは、人とペットが適度な距離を保ちながら動きやすく、空間全体にゆとりを感じやすくなります。

また、視線が窓やバルコニー方向へ抜ける間取りは、実際の面積以上に開放感を感じやすい場合があります。

■掃除しやすい床・家具配置になっているか

ペットと暮らす場合、掃除のしやすさは日々の快適性に直結します。

毛がたまりやすい家具配置や凹凸の多い床材、滑りやすいフローリング、小さな段差などは、掃除のしやすさだけでなく、ペットの足への負担につながる場合があります。

また、ラグや置き家具が多いと掃除機がかけにくくなり、衛生管理の負担も増えます。マンションでは、デザイン性を重視して美しくリフォームされている物件もありますが、見た目だけでなく、人とペット双方が動きやすく、掃除しやすい空間になっているかも確認したいポイントです。

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ペット用品を置く「収納」の考え方

収納計画は、実際の暮らしやすさに大きく影響します。マンションでは、限られた空間の中で「どこに何を置くか」を具体的に想像することが大切です。

実際に、ペットとの暮らしでは、フードやトイレ用品、ケージ、掃除用品など、意外に多くの物が必要になります。

ところが、一般的なマンションの収納計画は、住む人の持ち物を前提としており、ペット用品まで想定されていない場合がほとんどでしょう。

ペット用品は意外に場所を取るため、間取りによっては置き場所に悩むこともあります。特にトイレは、掃除のしやすさや換気、人の動線との関係も考えながら配置したいところです。

間取りを見る際は、「ペット用品をどこに置くか」を具体的にイメージすると、入居後の生活が想像しやすくなります。

犬と猫では「良い間取り」が違う

ペットといっても、犬と猫では暮らし方が大きく異なります。

犬の場合は、散歩動線や足洗いのしやすさ、滑りにくい床、足音への配慮などが重要になります。特にマンションでは、下階への音の影響も考えたいポイントです。

一方、猫の場合は、上下運動できる空間や、日当たりの良い場所、落ち着ける隠れ場所などが重要になります。窓や玄関の開閉動線によっては、脱走リスクが高まるケースもあるでしょう。

同じ「ペット可」でも、どのような動物と、どのように暮らしたいかによって、適した間取りは変わってきます。

マンション内覧時に確認したいポイント

図面だけでは分からない「実際の使いやすさ」を確認できるのが内覧です。床の滑りやすさや段差の有無、収納位置、玄関まわりの余裕などを、人とペット双方の動線をイメージしながら確認したいところです。

また、共用部の利用ルールやペット飼育細則についても事前に確認しておくと安心です。

まとめ「人とペットの動き」が自然に重なる間取りを選ぶ

ペットと快適に暮らせる住まいは、単に「ペット可」であるだけではなく、人とペット双方の行動が無理なく重なる空間になっていることが重要です。

玄関まわりの使いやすさや回遊できる動線、掃除のしやすさ、収納計画など、小さな積み重ねが日々の暮らしやすさにつながります。

マンションを選ぶ際は、広さや価格だけでなく、「どのように暮らすか」という視点から間取りを読み取ってみると、入居後の満足度も大きく変わってくるでしょう。

井上恵子(いのうえ・けいこ)

井上恵子(いのうえ・けいこ)

住まいのアトリエ 井上一級建築士事務所主宰/一級建築士/インテリアプランナー
総合建設会社の設計部で約14年間、主にマンションの設計・工事監理、性能評価などを担当。2004年の独立後は生活者の視点から「安心・安全・快適な住まい」「間取り研究」をテーマに、webサイトでの記事執筆、新聞へのコラム掲載、マンション購入セミナーの講師として活動。
著書に「住宅リフォーム計画」(学芸出版社/共著)「大震災・大災害に強い家づくり、家選び」(朝日新聞出版)などがある。夫と子ども2人との4人暮らし。
住まいのアトリエ 井上一級建築士事務所 http://atelier-sumai.jp/

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