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#マンションの間取り考

2026.03.10

自分らしく快適な住まいに「リノベーション」しやすいマンションの間取りは?

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中古+リノベーションを前提に物件を探す人が増えています。「どこまで間取りを変えられるのか」「水回りの移動は可能なのか」といった不安を持つ人も多いのではないでしょうか。

実は、マンションにおいて壁を抜ける構造や水回りがまとまっている間取りはリノベーション向きで、間取り図から"変えやすさ"を読み取ることができます。プロ目線のチェックポイントを知れば、後悔のない住まい選びに役立ちます。

「リノベーションしやすい間取り」はここを見る!3つのチェックポイント

中古マンションをリノベーション前提で選ぶときは、間取り図から"どれくらい自由に変えられるか"を読み取ることが大切です。

特に人気の高い専有面積60m2?70m2台では、限られた空間をどう使いこなすかがポイントになります。ここでは、まず押さえておきたい3つの視点をご紹介します。この3つを押さえておくと、図面だけでも「リノベーションのしやすさ」をおおまかに判断できます。

【リノベーションのしやすさを判定する3つのポイント】
1.構造(ラーメン構造か壁式構造か)
2.水回りのまとまり
3.梁の位置と窓の位置

1. 構造:壁が抜けるかは「構造の種類」でほぼ決まる
マンションには大きく分けて「ラーメン構造」と「壁式構造」とがあります。ラーメン構造は、建物を柱と梁で支えるため、間仕切り壁を動かしやすい傾向があります。建物の骨組みだけ残して内装や設備を全て撤去し、ゼロからつくり直す「スケルトンリフォーム」を希望する場合はラーメン構造のマンションがやりやすいでしょう。

一方で、壁式構造は壁が建物を支えるため撤去できない壁が多く、大きな間取り変更に制限が出やすいと言えます。壁式構造は5階建て以下の低層マンションで多く採用されています。

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間取り図でのチェックポイントは下記になります。
・厚く描かれた壁がある(耐力壁の可能性がある)
・四角い柱が描かれている(ラーメン構造の可能性が高い)

壁が厚く描かれている場合は抜くことができない壁の可能性があります。また、間取りに柱がある物件はラーメン構造の可能性が高いと考えられ、「壁を抜いてLDKを広げたい」など、大きな間取り変更を考えている人は、まずこの構造を確認しておくと良いでしょう。

ただし「壁式構造だから大きな間取り変更が一切できない」というわけではありません。 取り払えない壁がある場合でも、開口を広げたり、既存の壁を活かして収納やゾーニングを工夫したりすることで、広がりのある空間づくりは十分可能です。

壁式は"できない"のではなく、できることの方向性がラーメン構造と少し違うと考えると、物件選びの幅が広がります。

2. 水回り:水回りを"元の位置の近くで活かせる"間取りはリノベーションを進めやすい
キッチン・浴室・洗面・トイレといった水回りは、排水管の位置や勾配の制約があるため、元の位置から大きく離すほど工事が複雑になり、費用も上がる傾向があります。

向きを変えたり多少の移動をしたりすることは可能ですが、大きく離れた場所に移動させるリノベは、実現ができるかどうか慎重な見極めが必要です。

一方で、将来的に希望する間取り変更の水回りの位置が、現在の水回りの近くで計画できる物件を選ぶと、実現しやすくなります。特に60m2台では、限られた面積の中でLDKの広さや収納改善などに優先的に予算を使いたいケースが多いため、水回りの大きな移動に費用をかけすぎると、全体の満足度に影響しやすくなります。

そのため、「水回りを大きく移動しないと実現できない間取り」よりも、「元の水回りの近くで配置を工夫できる間取り」のほうが、希望のリノベーションを進めやすくなります。

3.窓の位置・梁の有無:一体空間づくりの自由度が決まる
リノベーションで人気が高いのが、LDKを広げたり、隣室を取り込んだりする「一体空間」への変更です。このとき、窓の位置やサイズ、梁の有無が、空間のつながりやすさに影響します。

・窓の位置・サイズ
窓が大きい間取りは採光や通風に恵まれ人気のある間取りですが、「リノベーションのしやすさ」という視点からは、壁と異なり、動かすことができないだけに影響が大きいと言えます。

大きな窓は、壁を新設したい位置と重なると、プランの選択肢が狭くなることがあります。

・梁の張り出し
天井にある梁は、なるべく目立たないように部屋の四隅や間仕切り壁の位置に合わせて設けられています。リノベーションで間仕切り壁を取り払うと、部屋の中央に梁がそのまま段差として残ることがあります。せっかく大空間になっても、天井の凹凸が目立つと空間の一体感が損なわれてしまうことがあるため注意が必要です。

梁は間取り図で点線表示されることがありますが、一般的な図面では省略されていることも多いです。気になる場合は、不動産会社に「梁の位置が分かる図面」があるかを確認すると安心です。

間取り図から読み解く:リノベーションを進めやすい例と、工夫して叶える例

それでは、実際にリノベーション例におけるBefore/Afterの間取り図を見ながら説明しましょう。

1)ラーメン構造の例:壁を取り払いLDKを広げる王道リノベ【図1】

【図1】専有面積72.49m2、3LDKの間取り
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【Before:既存の間取り】
LDKと隣り合う約4.5帖の洋室は間仕切り壁で仕切られています。図面を見ると、この壁の上部には梁が通っておらず、構造壁でもないため、取り払って大きな一体空間に変更しやすいラーメン構造であることが分かります。キッチンは北側の壁付けタイプで、LDKが広く使えるように配慮した間取りです。

【After:リノベーション】
洋室との壁を撤去し、LDKを約18帖 → 約22帖へ拡大。梁がないため天井がフラットにつながり、開放的な大空間が実現しました。キッチンは既存位置を活かしつつ対面式へ変更。玄関まわりも広げて収納を確保し、ライフスタイルに合わせた柔軟な空間づくりが可能になっています。

【ポイント】
ポイントは、〈抜ける壁〉と〈梁の位置〉の確認です。ラーメン構造は壁を動かしやすい分、梁の出方が空間づくりの自由度を左右します。梁と壁の位置さえ把握できれば、ラーメン構造の強みを最大限に活かせます。

2)壁式構造の例:動かせない壁を"活かして"新しい空間をつくる【図2】

【図2】専有面積68.4m2、3LDKの間取り
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【Before:既存の間取り】
赤く表示した耐力壁は撤去できません。LDK(約11帖)は細長く、収納も最小限です。一見すると大きな間取り変更が難しそうに見えますが、動かせない壁を区切りとして活かす工夫ができる間取りです。

【After:リノベーション例】
玄関側は土間収納+ワークスペースへと大胆に用途を変更し、キッチンは水回りに近接した位置で、L字型+パントリーを実現しました。耐力壁を活かしてファミリークローゼットを設け、収納量を大幅に増やしています。

動かせない壁があるからこそ、空間の役割分担が明確になり、メリハリのある間取りに生まれ変わります。

【ポイント】
壁式構造は、撤去できない"耐力壁"があるため大きな一体空間づくりには工夫が必要ですが、できないわけではありません。動かせない壁をあえて仕切りとして活かしたり、収納やワークスペースの配置に役立てたりすることで、暮らしやすさは大きく変えられます。壁の位置がはっきりしているぶん、空間の役割を計画しやすいという利点もあります。

リノベの可能性は間取り次第!

リノベのしやすさは、"間取り図をどう読むか"で大きく変わります。中古物件選びでは、まず図面から「どこまで変えられるか」を見極める視点が大切です。

(1)図面+内見で「変えやすさ」を把握する
内見の際には
・構造の種類
・水回りの位置
・梁の位置
を確認しておくと、「この物件はどこまで変えられるのか」がより具体的にイメージできます。また、マンションごとに工事可能範囲や時間帯が異なるため、管理規約のチェックも必須です。

(2)構造は「できる/できない」ではなく、"どう工夫するか"のヒント
ラーメン構造なら壁を取り払った大胆な間取り変更がしやすく、壁式構造でも動かせない壁を"活かす"ことで、暮らしやすい空間につくり替えることができます。

(3)将来を見据えた"長く使えるリノベーション"に
間取りを読むときには、将来の家族構成や働きの変化も視野に入れておくことが大切です。リノベーション後の暮らしを長い目でイメージしておくことで、今の選択が将来にわたって価値あるものになります。

(4)気になる物件が見つかったら
図面で読み取れる情報に加えて、マンションの管理規約も早めに確認しておきましょう。また、リノベーションに詳しい専門家へ相談しておくと、工事の可否を判断しやすくなります。 マンションごとに「できる/できない」の範囲が異なるためです。

間取り図の"読み取り力"がつくと、リノベーションで叶えられる暮らしの幅は大きく広がります。

これからの住まい選びに、少しでもお役に立てれば幸いです。

井上恵子(いのうえ・けいこ)

井上恵子(いのうえ・けいこ)

住まいのアトリエ 井上一級建築士事務所主宰/一級建築士/インテリアプランナー
総合建設会社の設計部で約14年間、主にマンションの設計・工事監理、性能評価などを担当。2004年の独立後は生活者の視点から「安心・安全・快適な住まい」「間取り研究」をテーマに、webサイトでの記事執筆、新聞へのコラム掲載、マンション購入セミナーの講師として活動。
著書に「住宅リフォーム計画」(学芸出版社/共著)「大震災・大災害に強い家づくり、家選び」(朝日新聞出版)などがある。夫と子ども2人との4人暮らし。
住まいのアトリエ 井上一級建築士事務所 http://atelier-sumai.jp/

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