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住宅ローンコラム 高田先生に聞く!住宅購入マネー事情

住宅ローン、金利1%の上昇でこれだけ違う!

2007年11月20日

2006年7月に、ゼロ金利政策が解除になり、金利上昇が懸念されましたが、最近ではアメリカのサブプライムローンから発展した世界的な金融不安などもあり、住宅ローン金利も思ったほどは上昇していない、と感じていない方も多いでしょう。
実際の金利を見ても、2006年10月のフラット35の平均金利は3.093%、1年後の2007年10月の平均金利は、3.152%と、大きな変動はありませんでした。
しかしながら、もう1年前の2005年10月の平均金利は2.78%。緩やかな動きではあるものの、ジワジワと上昇している感は否めません。
金利の上昇は、住宅ローンの返済額や、借り入れする額にも大きな影響を及ぼします。金利が1%上昇すると、どのくらいの違いが出てくるのでしょうか?

毎月返済額と総返済額はこれだけ違う!

まず、気になる返済額の違いを見てみましょう。
3,000万円の借り入れ、30年返済の場合、金利が1%高くなると、毎月返済額は1万7千円程度も高くなります。この毎月の差額が、30年間分になると、総返済額では600万円以上もの差に。つまり、もし、3,000万円の住宅を全額住宅ローンで購入したとすれば、金利3%で借りた人よりも、金利4%で借りた人は、同じ物件を600万円以上高い値段で購入したことになってしまいます。
また、もう一つ注目したい点が、金利3%の場合と4%の場合の差よりも、4%と5%を比較した場合の方が、差が大きいということ。同じ金利差1%であっても、金利が高いほど、返済額の差は大きくなります。
金利だけを見ていると、返済額の違いを見逃しがちです。金利が上昇傾向にある今、返済額でどのくらい違ってくるのかにも、注目しましょう。

実際は、借り入れできる額が少なくなる

どのくらいの借り入れができるのかは、「毎月いくらなら返済できるか」を基準に考えるべきです。借入額ありきで、「予定している返済額より、2万円くらい多いけど、どうにかなるだろう」と安易な気持ちで借り入れをしてしまうと、将来的に家計の破綻につながりかねません。
実際には、毎月返済額などから借り入れできる額を計算することが多いでしょう。金利の上昇は、借り入れできる額にも影響してくることになるのです。
上記の表は、「毎月返済額を13万円程度にしたい」と考えた場合、返済期間30年のケースでいくらの借り入れができるのか試算したものです。
金利3%では、3,090万円の借り入れが可能ですが、4%になると360万円少ない2,730万円までしか借り入れすることができません。
もし、金利4%で同じ3,090万円を借り入れしようとすれば、毎月返済額は14万7千円あまり。希望の返済額よりも1万7千円も多くなってしまい、ムリな借り入れになってしまう恐れがあります。
金利上昇により予算オーバーとなってしまうという場合には、自己資金を増やしたり、両親からの援助を受けるなどの方法でカバーするか、頭金を増やせない場合には、購入予算を下げる必要もあるでしょう。

今買うか、頭金が準備できるのを待つか

今買いたいのだけれども、頭金の準備ができていない場合、頭金の準備ができてから買うのと、全額住宅ローンを利用して今買うのと、どちらが良いのでしょうか?
3,500万円の物件購入を例に、5年後に金利が1%上昇したと仮定して比較してみましょう。
3500万円の新築マンションを購入3500万円の新築マンションを5年後に購入
頭金なしで今購入した場合と、5年後に頭金500万円で購入した場合を比較してみました。5年後に購入なので、同じ時期に返済が終わるよう返済期間は5年短く試算しています。金利が1%上昇したとすると、借入額は500万円少ないものの、毎月返済額は約8,500円増えてしまいます。
結果的に頭金を含めた住宅購入の総支払額は、ほぼ同じになりました。ただし、頭金を準備するための5年間には当然賃料も必要ですので5年間の賃料を考えると、頭金がなくても今購入した方が、住宅にかかる総額としては少なくなります。
共働きや、現在社宅に住んでいて住宅費があまりかからないなど、頭金を貯めるスピードが速い人であれば、頭金を貯めてから購入した方が総額が少なくなることもあります。
一般に、購入価額の2割程度の頭金を準備しましょう、と言われますが、頭金の有無よりも、購入後の返済額が重要です。返済額がムリのないものであれば、頭金の有無はあまり気にしなくても良いでしょう。
ただし、なぜ頭金が貯められなかったのか、その原因を探り、改善することは必要です。家計の見直しをして、住宅ローンを返済する上での心構えを作りましょう。

ライフプランからの買い時も大切に

毎月の返済額や総返済額から見ると、金利上昇が心配な場合には、早めの購入が良さそうです。
ただし、住宅購入のタイミングは、金利や不動産相場の状況という外部的な要因のほかに、自分や家族にとってのタイミングも重要です。
頭金が無くても、今購入したほうが得だから、という理由だけで購入してしまうと、数年後に家族構成が変わったり、住みたいエリアが変わったりなどで、住宅の買いかえを余儀なくされることも考えられます。買いかえのために、仲介手数料等の諸費用もかかることになり、その分の出費が生じてしまいます。
このようなことを、なるべく避けるためにも自分にとっての買い時を見極めることも、とても重要です。

執筆者:高田 晶子(たかだ あきこ)

株式会社マネーライフナビ取締役。
ファイナンシャルプランナー(一級FP技能士)、宅地建物取引主任者、信託銀行不動産部勤務、 不動産コンサルティング会社を経て、1996年にFPとして独立、2010年より現職。 家計全般、保険の見直し、住宅購入など個人向け相談を中心に、 執筆、マネーセミナー、マネーコンテンツの制作等を行う。

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