料理研究家 中島デコ さん
16歳でマクロビオティックに出会い、結婚後の25歳から本格的に学び始める。2男3女の母。1999年にカメラマンの夫エバレット・ブラウン氏と共に日本のプロヴァンスと言われる千葉県・外房に移住し、自然農法を取り入れた『ブラウンズフィールド』を始める。広大な敷地の一角に田園を望む『ライステラスカフェ』〔2006年〕や徒歩3分に位置する古民家で宿泊施設『慈慈の邸(じじのいえ)』(2012年)をオープン。そこではいろんなイベントを開催。料理本「中島デコのマクロビオティック パンとおやつ」(パルコ出版)やエッセイなど著書多数。
日本古来の食事法は人を健康にします
「私は大げさなことをやってるのではなくて、日本古来の食事しているだけなんですよ。お米と野菜を育てて、味噌や醤油を手作りし、その季節にとれる野菜をおいしくいただいているという。例えば、冬にきゅうりやトマトは自然に育たないので食べられない。その食べられない時期があるから、季節や食物ってありがたいなと思います」
中島さんがこうした昔ながらの知恵をヒントにモノと自然を大切にした心地よい暮らしを始めたのは結婚後のことです。「元気な子供を産んで、子育てを楽しみたいと思った」ことからです。どんな食事を作っていけば、そういう生活ができるかを考えていたとき出会ったのがマクロビオティックでした。
また中島さん自身、RHマイナスという特殊な血液型の持ち主。「まずは自分が健康で元気でないと子育てできない」という考えもあって、自然に健康を維持できる日本古来の食事法を実践されてきました。結果、50代になった今も元気そのものの中島さん。世界中を飛び回り、講演もし、本も書き、子供も5人育て上げられました。「ね、すごいでしょ。日本の食事って」と語る中島さんの言葉からあらためて日本の食事はすごいんだなと実感させられました。
さらに「季節に沿った料理の真骨頂は、おせち料理」だとも言います。「春に撒いて育てたもち米、秋に採った芋や栗、冬に採れる根菜これらをまさにありがたいという気持ちを込めて年末に料理をし、みんなで新春を祝いながら1年の健康を願うことができるおせち料理って日本が誇る最大イベントだと思います」。
一汁三菜が基本食
ふだんの食事は「今、あるもの」を使って一汁三菜を基本にされています。
そんな中で子供たちがまだ小さい頃は「ハンバーグ食べたい」とか「甘いものを食べたい」とか言ってきたそうです。そんな時も中島さんは工夫しながら、子供が喜ぶ料理を作ってきました。
「マヨネーズも、卵を使わずに豆乳や油、お酢でできるし、ハンバーグが食べたいと言って来たらそれに似たものを作ります。そういう技術を知っていればケーキだってプリンだってすぐ作れるようになります。大根の煮物に衣をつけてフライにすればカツになるし、そこに工夫したソースをかければもう洋食です。マクロビオティックって食べ物が制限されていると思っている人も多いけど、意外とバラエティ豊かなものを食べているんですよ」。
家族一緒に食べることも大切
中島さんがもうひとつ大切にされているのが「家族で食事を楽しむ」ことです。「オーストラリアは、お店が16時に閉まってしまうんです。考えれば、お店の人にも家族があります。家族で食事をするのが当たり前の生活というのが、そこにはありました。日本は便利を追求しすぎるせいか、家族がバラバラに食事をとるのが多いですね。そうすると心の栄養にならない、時間を決めて一緒にゆっくり食事をすることでもっと食事が楽しくなります」。
日本食は海外から見ると健康食だったのです
最近ニューヨークに行って驚かれたことがあったそうです。「“グルテンフリー(*)”という言葉をよく見かけました。アメリカも健康志向が増えているからなんでしょうね。でも和食は元々グルテンフリー。ご飯とみそ汁と煮〆なら完璧なグルテンフリーの食事です」。
そんな中島さんに今後の目標を伺いました。「無理しないで楽しむ、好きなことを無理しないで生きれたらいいと思います。また、昔のように家族のつながり、地域のコミュニケーションの良さも私達は若い人に伝えていかなければいけない。これは食事にもいえることで、私が梅干しを漬けたり、ぬか漬けを作ることで、大人になったらこういうことをしないといけないよと伝えていく使命があると思っています。それは自分の子供だけでなく興味のある若い人にどんどん伝えていきたいですね」と、ゆっくりした時間の中であっても実践してきた人だけが持つ力強い言葉が返ってきました。
(*)「グルテン」とは、小麦や大麦、ライ麦などに含まれるたんぱく質の一種で、それを摂取することでアレルギーなどを引き起こすことがあると言われています。
5人の子どもを育てた中島デコさんと、現在子育て真っ最中の長女、子嶺麻(シネマ)さんの共著。2世代にわたって中島家で引き継がれている、定番おやつのレシピと、ちょっとした工夫で、赤ちゃんと大人が一緒に楽しめるおやつ、食事のフォローもできるおやつ、持ち歩きができるおやつなどを紹介しています。
(「美容と健康を支える発酵食品」で紹介の酵素ジュースも本誌の中に掲載されています)
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