バックナンバー

ニッポンの夏の知恵 ござのなごみ

  • より深いリラックスを作る
  • 快適な睡眠を演出
  • 暮らしに寄り添う
  • 一期一会の手仕事 私らは自然を織り込む職人です

より深いリラックスを作ってくれるござ

自然素材のござ特有の癒し効果

畳やござをインテリアに取り入れている部屋にいくと、イ草のなんとも言えない自然な香りが落ち着いた気分にさせてくれます。ある大学の研究によると、イ草の香りは人にとって「自然で心地よい」と認識され、イ草は嗅覚的にも人にやさしい素材であることが報告されています。

また、日本有数のイ草の生産地である福岡県で行われた実験では、畳のある部屋と無い部屋で学生たちにテストを行なったところ、畳のある部屋の学生のほうが正解数が多かった、という報告も。

「畳やござのサラッとした足触りの良さや、イ草の自然な香りがお部屋にあるだけで、リラックスと集中力を促し、癒しの空間を演出できます。それがござの最大の魅力ですね」(紅楳さん)

このような嗅覚、触覚での特性以外にも、ござの黄色味がかった緑色は、他の素材と色彩的によく調和すると言われています。
「最近では、フローリングにイ草のカーペットや置き畳を敷いてソファやベッドを置き、和テイストの空間を楽しむ方が増えています。和室以外でも、ござが違和感なくマッチするのは、イ草のもつ自然素材の風合いがさまざまなインテリアと相性がいいことを証明しています」(紅楳さん)

見た目も涼しく、肌に触れた感触も楽しめ、懐かしいイ草の香りでリラックスできる・・・、ござは住まう人に癒しと、やさしいくつろぎ時間をもたらしてくれるのです。

ござの力 イ草が人にやさしい理由

六角形の蜂の巣構造が湿度を調整。天然の抗菌空気清浄機の役目を。
湿度調整作用
イ草の断面はスポンジのようになっており、その中に空気がたくさん含まれています。湿度が高い時には大気中の水分を吸収し、湿度が低くなってきたら水分を放出することで湿度調節の役割を果たしています。
浄化作用作用
イ草は大気汚染の原因となっている二酸化窒素やシックハウス症候群の原因とされるホルムアルデヒドを吸着する機能があると言われています。天然の空気清浄機といわれるゆえんがここにあります。
抗菌作用
イ草には強い抗菌性があります。北九州市立大学国際環境工学部の森田洋博士の研究ではサルモネラ菌、ブドウ球菌、O-157、O-111などに抗菌作用を示し、繁殖を抑えることが実証されています。

快適な睡眠を演出するござ

イ草の特性が作り出す心地よい睡眠時間

蒸し暑い夏の夜は、ござの上で寝てみませんか。さらりと肌触りが心地よく、汗をかいてもべとつきません。ござに使われるイ草は、その茎に海綿状の芯が入り、それが適度な弾力性・クッション性を保つとともに、適度な湿度に調節する役目を担っています。一説によれば、イ草1キロあたり1リットルの水分を吸収するとも言われています。寝転んだときにカラダから放出される汗の水分をござが素早く吸収。だからござの上に寝ると、いつまでも肌がサラっとして気持ちがいいのです。

そればかりか、この空気クッションは吸音・遮音にも優れ、室内の音をソフトに反響させるともいわれています。寝ている時の雑音も気にならなくなって、深い眠りをもたらしてくれるのかもしれません。

また、ござは「御座」とも書き、古くは神の座や貴族の座に用いられてきました。言ってみればとても貴重なものだったのです。それが江戸時代になると庶民にも愛され、日常の風景の中にいつもあるものになってきました。風通しのいい部屋に寝ござを敷けば、そこが直ちに至福の空間になったりもします。

現在では、さまざまなお部屋の空間にマッチするイ草のマットが増えました。子供用の寝ござもあるので夏の昼下がり、親子でござの上でお昼寝もいいかもしれません。

ござ(畳)の歴史 日本特有の「上足文化」が夏の敷物を生み出した

  • 奈良時代
    ござの最も古いものは、奈良東大寺の正倉院にある聖武天皇が使用した「御床畳」という木製の台の上にわらを重ね、表に編んだイ草をかぶせて錦の縁をつけたものでした。
  • 平安時代
    平安時代に入って貴族の邸宅が寝殿造の建築様式となると、板敷の間に寝具や座具として畳やござが置かれるようになりました。この様子は、絵巻物などにも描かれています。
  • 江戸時代
    畳やござが一般庶民のものとなったのは、江戸中期以降のこと。江戸時代の長屋では、畳は大家ではなく住む側が用意するもので、それだけ大切に使うようになったそうです。
  • 昭和以降
    戦後すぐの頃は、畳干しをして畳が痛むのを防ぐ習慣がありました。現代では和室が減った住宅事情もあり、イ草を使ったマットを畳代わりに敷くことが多くなりました。

暮らしに寄り添うござ

大自然の息吹をお部屋にもたらす優しいインテリア

人に優しい天然素材としてイ草の魅力が再認識されるようになってから、イ草は、畳やござ以外にも多くのインテリアの素材として使用されています。

とくに夏のシーズンにオススメなのが、イ草で作ったテーブルセンターやランチョンマット、コースターです。イ草の風合いを活かしながら、色彩豊かなデザインを楽しめ、麦茶やアイスコーヒーなどの、夏ならではのティータイムを涼しげに演出できます。

足元から涼感を感じたい方はリビングにラグを敷いてみましょう。形や柄も豊富で選ぶのに迷うほど。お部屋の空気も浄化され、深呼吸がしあわせに感じるかもしれません。

空間に上質なイメージを醸し出す椅子やテーブルなどの家具、壁面を演出するアートボードなど、人にやさしいイ草の機能の新たな生かし方が、様々なインテリア商品で展開されています。見た目も涼しく、さりげなく空間をイメージチェンジしてくれるイ草の商品たち。この節電の夏こそ、天然素材のイ草の素晴らしさを体感してみませんか。

次へ

私のお気に入り時間 - バックナンバー

GO PAGE TOP