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家族団らんを紐解く

団らんは家族間のコミュニケーション作りはもちろん、子供のコミュニケーション能力の基礎作りにとても大切な家族のイベントです。今回はインタビューにご協力いただいた京都女子大学の表先生のお力を借りて紐解いていこうと思います。

TVから見る家族の団らん

「家族の団らん」は戦後、欧米文化が入ってからのこと。戦前は向田邦子の「父の詫び状」(NHK総合 放映スタート1986年)のような「頑固親父が食卓の上座に座り、家族は黙ってごはんを食べるというしつけ中心の団らんで和気あいあいとした雰囲気とは程遠いものでした」と表先生。

それが1960~70年代にかけてのテレビの登場で大きく変貌をとげていきます。サザエさん(フジテレビ 1969年放映スタート)やちびまるこちゃん(フジテレビ 1990年放映スタート)に人々は釘付けになり、「時間ですよ」(TBS 1970年放映スタート)や「寺内貫太郎一家」(TBS 1974年放映スタート)のように、大家族が織りなす日常のシーンから、家族と一緒にいることの楽しさや喜びを知った人々もいました。

CMも食卓を変えていきました

1958年、老舗の食品メーカー「桃屋」がご飯のおかずとして「江戸むらさき」のCMに三木のり平を登場させ、多くのファンを獲得しました。ご飯がおいしいと話題もはずみます。家族の団らんに一役買っています。このシリーズは今も、ももクロを使ったキムチCMで食卓をにぎわしてくれています。

団らんは子供の成長に大切なことだったのですが

とはいえ、いまや両親は共働き、子供は塾通い。ご飯を一緒に食べる時間が少なくなってきました。またゲームの登場で家族の楽しみ方も変わってきました。「国際比較調査によると、日本の親子の接触時間はアメリカや韓国に比べて短い」と表先生は著書に記し、「家族関係を円滑にし、子供のコミュニケーション能力の基礎となる、家族のコミュニケーションが減少傾向にある」と憂いています。

「家族の日」があることをご存知ですか? 11月第3日曜日は家族の日

実は、家族が一緒に過ごす時間を作りましょう、と国が定めた日があります。それが11月第3日曜日の「家族の日」です。(今年は11月17日)家族の絆を見直す日が制定されていたのです。さらに「家族の日」の前後各1週間(今年は11月10日(日)~23日(土))を「家族の週間」とし、家族一緒の楽しい時間を過ごすことを意識して生活しましょうという期間も設けられています。その期間、家族ならではのイベントを楽しんだり、親子でご飯を作ったりして楽しんでみてくださいね。

「桃屋」のCMから知る食卓の歴史!

レトルト食品の開発は日本が初!

その昔、日本のお母さんは一汁三菜を基本に、貧しくても楽しい食卓演出をがんばってきました。戦前、
保存食として缶詰が輸入され、食卓メニューに変化をもたらしましたが、でもそれは最初、軍需中心で市民への普及は戦後まで待つことになります。 戦後、レトルト食品の開発や「食」のあり方を見直す学校給食法やテレビの普及による家庭での食卓のあり方が徐々に変化していき、今や飽食の時代といわれるまでに日本の食卓は大きく変貌をとげていきます。

1871年… 缶詰の製法が伝わり、軍の保存食として生産。
1877年… 明治政府は北海道開拓使による官営の缶詰工場を石狩に設置し、石狩川をさかのぼってくるサケを原料に我が国で初めて缶詰の商業生産を開始。
1950年… 桃屋「江戸むらさき」発売。この8年後よりTVCMを放送開始し、手軽で経済的なご飯のお供というアピールを行うようになった。
1954年… 児童生徒の心身の発達と食生活の改善のため、学校給食法が制定。
1958年… 父・母・子供の核家族を指す「団地族」という言葉が流行。日本初の缶ビール・インスタントラーメンが発売される。
1959年… 皇太子明仁親王(今上天皇)の御成婚の中継をきっかけにテレビが一般家庭にも普及し始める。この頃から食卓での会話をする家庭も多くなる。
1964年… 東京オリンピック開催。桃屋のTVCMは当時の流行や話題をパロディにしたものが多く、この年もオリンピックのパロディで5つの商品を同時に紹介するCMを放送。
1968年… 桃屋のCMがカラー版となり、商品の説明がカラーになったことで視覚的に表現。
1969年… レトルトパウチに詰められたカレー製品が発売。
1971年… アルミ缶ビール・カップ麺が発売。マクドナルド第1号店オープン。
1976年… 持ち帰り弁当ほっかほっか亭創業。
1984年… ピラフ、グラタンなどの軽食の冷凍食品が発売。
2005年… 食育基本法制定。「食」のあり方を学ぶことが求められる。
2012年… 「和食:日本人の伝統的な食文化」と題してユネスコへ無形文化遺産としての登録申請
2013年… ユネスコの検討、審査を経て、平成25年12月に可否が決定される予定

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