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知らないと損をする
相続・贈与対策

2014/12/25
不動産を購入すれば、節税になって財産も分けやすくなる

〈成功実例〉

分けにくい不動産は増やして解決。遺言も残すことで相続問題の不安を解消できた

被相続人:Tさん(70代男性) 相続人: 奥さん(60代)、娘さん 2人(ともに40代)

奥さんが認知症に。自分の介護も財産の管理も託せない

Tさんには40年間連れ添っている奥さんがいます。老後の面倒は奥さんに看てもらうものとばかり思っていましたが、その奥さんが50代に入ってから体調を崩し始め、病院に入退院を繰り返すようになりました。次第に自宅から外出するのも難しくなり、70歳になる手前で認知症にかかってしまいました。

Tさんには2人の娘さんがいらっしゃいますが、それぞれ結婚して別の土地で暮らしています。また、2人とも仕事をし、子どもも成人前のため、今すぐ同居して母親の介護を引き受けてもらうわけにはいきません。結局、 Tさんは奥さんを介護施設に入所させることにしました。

自分が亡くなった後のことは奥さんにすべて任せられるものとばかり思っていただけに、相続の問題は Tさんにとって大きな悩みとなりました。このまま何も対策を打たないで娘さんたちに負担をかけてしまってはいけないと、私のところに相談に来られました。娘さんたちが相続のことで揉めたり、心配したりしないで済むように遺言書を残しておきたいということでした。

所有する不動産が1ヵ所に集中して分与しづらい

Tさんが所有する財産は、自宅と敷地内にあるアパートになり、不動産評価は8,000万円。そのほかに5,000万円の預金をお持ちでした。何も手を打たないでいると1,150万円の相続税がかかることがわかりました。

Tさんはご自分が奥さんよりも先に亡くなった場合、長女に奥さんの介護を託したいと思われていたため、自宅とアパートの両方を長女に相続しようと考えました。ちなみに、奥さんに相続させると配偶者の特例が使え相続税を大幅に減らせるのですが、奥さん自身が認知症のため財産の管理ができる状態ではありません。

不動産をもう一つ購入すれば節税になる

不動産を長女に相続した場合、不動産を管理する会社をつくって、アパートの家賃収入を次女と二人で分けるようにすればよいのではと、Tさんは考えました。しかし、二人とも結婚して別世帯になるので、不動産を共有したり、会社を共同運営することは、後々のトラブルの元になります。姉妹でも財産の共有はしないほうが良いのです。

そこで長女とのバランスをとるために、Tさんには、新たに不動産を購入して次女に相続するよう勧めました。預金のうち3,000万円を購入資金とし、さらに3,000万円を銀行から借り入れし、次女の住まいの近くに 6,000万円のアパートを購入。借入れの返済が必要になりますが、家賃で返済していけるので、 Tさんが亡くなられる頃には借入れも減っているはずです。この対策を実行して貸付用の特例を適用すると、当初想定した1,150万円の相続税はかからなくなります。

財産の分け方を決めて遺言書に残しておく

Tさんが奥さんよりも先に亡くなった場合、相続人は奥さんと二人の娘さんになります。しかし、前述のとおり奥さんは認知症のため、不動産など相続財産に関する判断も管理もできる状態ではありません。そこで、自分が亡くなった後の財産の分け方を娘さん二人に共有し、さらに遺言書にして残すようにされました。しっかり準備できたことで、 Tさんも娘さんたちも先の見通しがついたと安心されました。

〈相続対策のポイント〉

Point1.不動産は共有せず、数を増やして分けやすいようにする

いくら仲のよい姉妹でも、不動産を共有し、共同運営していくうちに意見の食い違いや役割分担の違いにより、不平不満が募っていくことが十分考えられます。ですので、不動産は共有するのではなく、単独所有できるように、新たな不動産を購入するのが得策と言えます。
また、現金を不動産にかえたり、購入資金を借入れしたりすることで、財産評価を下げ、節税効果を生むことができます。

Point2.分けにくい不動産は、遺言書で決めておく

不動産は、評価や収入が違うため、分けにくい財産とも言えます。Tさんの場合は、自宅と敷地内のアパートが駅に近くて立地もよいため、次女も相続したいと言い出しかねません。ですので、自宅とアパートは母親の面倒を看ることを条件に長女に相続、次女には新たに不動産を購入して相続することを、生前に娘さんたちに話をするとともに、遺言書に残すようにします。そうすれば、家族間で遺産分割協議をする必要がなくなり、相続の手続きもスムーズになります。また、残った預金や借入えrも二人で等分するなど、相続のことをしっかり遺言書に記しておくことで、家族間で揉める不安を解消できるのです。

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執筆者:曽根恵子

公認 不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士。日本初の相続コーディネーターとして1 2000件以上の相続相談に対処。感情面、経済面に配慮した“オーダーメード相続”を提案し、家族の絆が深まる「夢相続」の実現をサポートしている。NHK「あさイチ」」、TBS「はなまるマーケット」、フジ「とくダネ」などに出演。新聞、雑誌の取材も多数。「相続税を減らす生前の不動産対策」(幻冬舎)など著書多数。

本コラムは、執筆者の知識や経験に基づいた解説を中心に、分かりやすい情報を提供するよう努めておりますが、その内容について、弊社が保証するものではございません。