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知らないと損をする
相続・贈与対策

2014/12/01
贈与するなら現金よりも不動産のほうが3倍おトク!

〈失敗実例〉
お孫さんに現金を贈与して後悔!現金よりも不動産にすれば財産を残せたのに...
被相続人:Aさんのお父さん 相続人: Aさん(50代女性)、Aさんのお母さん、Aさんの妹さん

何もしなければ多額の相続税がかかってしまう父親の財産

Aさんのお父さんは80歳。もうリタイヤしていますが、かつては自分で会社を経営していたので、同年代の男性に比べて財産が多く残りました。お父さんの財産は7,000万円の自宅(土地280m2で6,500万円、建物500万円)と預貯金、株式を合わせて9,000万円もあることがわかりました。相続人はAさんのお母さんとAさん、そして妹さんの3人です。顧問税理士から、このままでは1,720万円の相続税を払わなくてはならないと言われました。

小規模宅地等の特例を使って相続税を大幅削減

預貯金が減ってしまうのを避けたかったAさんは、セミナーなどに出かけて相続の勉強をしてみると、ご両親の住む実家に同居すれば相続税が安くなることがわかりました。そのことをご両親に話をすると、お孫さんと一緒に住めるうえに相続税も減るということで賛成してもらえ、Aさんは旦那さんと娘さんを説得して同居を始めました。また、今まで住んでいた旦那さん名義の自宅は貸家にして家賃収入も得られるようになりました。

特例を適用するには遺産分割の確定が必要

実際に小規模宅地等の特例を適用するにはまだハードルがありました。お父さんの相続税を申告するまでに遺産分割を確定させる必要があり、家族間で揉めると特例が使えないのです。

遺産分割を確定するには、遺言書を作成するのが良いと聞いたので、お父さんに相談して、Aさんが自宅を相続、預貯金を法定割合で相続するという内容の遺言書を作成してもらいました。

さらなる相続税の削減のため孫に現金を贈与

それでもまだ多額の相続税が課税されるため、お父さんの財産を減らす必要がありました。そこで、妹さんの希望もあり、お父さんの現金をお孫さんたちに贈与してもらおうと考えました。妹さんには大学生と高校生の娘さんが2人と中学生の息子さんが1人いて、まだまだ教育資金がかかります。一方、Aさんには娘さんが2人いて、そのうち長女は嫁ぎ、次女は同居しながらアルバイトをしています。

教育資金贈与を利用するよりは、暦年贈与の方が自由度は高いことから、基礎控除を超える額にして申告をしておけば税務署に対しても問題がないと、顧問税理士からすすめられましたそこで、お父さんに相談をすると1人300万円を贈与しようということになり、快諾してくれました。

それにより、お父さんは1,500万円(300万円×お孫さん5人)の財産を減らすことができ、その分節税することが可能に。申告をする際に1人あたり18.5万円の贈与税を支払うことになりますが、281.5万円が手元に残るので、お孫さんにすれば貴重な財産になるはずでした...。

贈与された300万円を1年足らずで使い果たすはめに

ところが、Aさんの2人の娘さんは、自分の口座にまとまった現金が入ると、すっかり有頂天になってしまい、友人との飲食代やゲームなどの交遊費に使い始めました。贈与を受けた時点で本人のお金ですので、自由になるとはいえ、使い果たすのに1年もかかりませんでした。その話を聞いたお父さんは残念がり、その後の贈与は実現しませんでした。

〈失敗しない相続対策のポイント〉

Point1.現金贈与は間違うと税務調査の対象になりかねない

Aさんのように一般的な節税対策として多くの方が現金贈与を実行されています。贈与税の基礎控除は年間110万円ですので、毎年、基礎控除の範囲内で少しずつ贈与を続けている方が多いと思われます。

しかし、現金贈与は方法を誤ると、相続のときに税務調査の対象となり、結局、否認されて相続財産になり、節税対策が無駄になることがあるかもしれません。

それに、現金などの金融資産は額面どおりの時価で評価されます。1,000万円の現金は、現在も将来も1,000万円の価値だということです。多額の贈与をするとその分贈与税が課税されるうえに、税務調査の対象になる可能性もありリスクが伴います。

Point2.現金の贈与よりも不動産でもらったほうが断然おトク

不動産を相続する場合は少し事情が異なります。不動産は、時価よりも低い路線価や固定資産税評価で評価されるので税金が減る分、より多くの価値分を贈与できます。土地は時価の8割程度の路線価に。建物は時価の4割程度の固定資産税評価となり、さらに人に貸していればその価格の7割の評価まで下がります。よって、現金で不動産を購入して賃貸にすれば、購入した価格の30%程度に評価が下がるため、下がった分の7割が節税できることになります。

具体的な数字に落としこんで例にあげると、1,590万円で購入した22.79m2・築6年の中古マンションの土地の時価は360万円で、路線価では288万円となり、さらに貸家建付地だと218万円(借地権80%の場合)になります。建物の固定資産税評価は246万円で、貸家評価だと172万円に。そうすると1590万円で購入した中古マンションの評価は390万円(218万円+172万円)となり、結果的に時価の24.5%まで評価を下げることができます。もし、1590万円を現金ではなく390万円の評価の中古マンションに替えて贈与したなら、現金贈与よりも(今のままだと)3~4倍の財産価値があると言えるでしょう。

Aさんのお父さんもお孫さんに300万円の現金を贈与するのではなく、現金で区分マンションを購入し、その不動産を贈与する方法であれば、お孫さんが使ってなくなるということもなく、家賃収入のある価値の高い財産を残せたのです。このような後悔をしないためにも、贈与するときには不動産の活用を検討してみましょう。

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執筆者:曽根恵子

公認 不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士。日本初の相続コーディネーターとして1 2000件以上の相続相談に対処。感情面、経済面に配慮した“オーダーメード相続”を提案し、家族の絆が深まる「夢相続」の実現をサポートしている。NHK「あさイチ」」、TBS「はなまるマーケット」、フジ「とくダネ」などに出演。新聞、雑誌の取材も多数。「相続税を減らす生前の不動産対策」(幻冬舎)など著書多数。

本コラムは、執筆者の知識や経験に基づいた解説を中心に、分かりやすい情報を提供するよう努めておりますが、その内容について、弊社が保証するものではございません。