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知らないと損をする
相続・贈与対策

2014/11/04
残した現金が税金で減ってしまうのって、残念!

相続は財産を食い尽くす?

バブルが崩壊してからは、土地を持ってさえいれば値上りして財産が増えるという常識は崩れてしまいました。多くの方が、価値が変わらない「現金」が一番の財産だと捉え、堅実に貯金をすることが資産を築くことだと考えるようになりました。お金は「使う財産」ではなく、「貯める財産」となったのです。

「相続は3代で財産がなくなる」と昔から言われています。財産があるばかりに相続税が課税され、親から子へ、子から孫へ、孫からひ孫へと代がかわるたびに財産減っていき、最後にはなくなってしまうという揶揄です。
確かに土地をお持ちの方は、相続税を納めるために土地を売って現金を払うことが一般的ですので、相続のたびに土地がなくなるのでしょう。ならば、土地ではなくはじめから現金を貯めていれば資産を手放すことなく相続税を払える、という考えは間違ってはいません。

けれども、土地でも現金でも財産評価に対して相続税が課税されますので、財産評価が高い資産のまま相続すると多くの相続税がかかり、その分資産が減ることになります。

現金は投資してこそ有効な財産

いい形で財産を次世代へ引き継ぐには、「貯める財産」のままでは難しく、「収益を生む財産」として価値を落とさず財産評価を減らす方法を考える必要があります。その方法のひとつとして、「現金で不動産を購入して賃貸物件(収益物件)にする」対策があります。

現金で借入れなく賃貸不動産を買うと、財産評価は購入価格の30%程度に下がるため、確実な節税効果が生まれます。まとまった現金は減りますが、借り手がいれば家賃として一定額が毎月戻ってきて、返済もありませんので、不安は残りません。形を変えて財産を維持すれば、価値を落とすことなく相続を乗り切り、次世代へ継承させることができるのです。

このように、現金は持っていれば増える財産ではなく、不動産などに投資して、節税しながら収益を得る、「投資する財産」だと考える必要があります。生前に贈与したり、節税対策や快適な生活のために有効に使うことを考えて、実行してこそ、有効な財産と言えるでしょう。

【実例】夫婦合わせて1億円。現金が残り過ぎて不安になったAさんの場合

被相続人:Aさんのご主人 相続人:Aさん(70代女性)+娘さん

Aさん夫婦はともに70代。ご主人は3年前に脳梗塞で倒れて、特別養護老人ホームに入所されました。妻であるAさんが一人暮らしになってしまったため、娘さん夫婦が心配して、現在は同居して3人のお孫さんに囲まれながらにぎやかに暮らしています。

そんな幸せなAさんですが、相続のことを考えると不安でしかたありません。2015年に相続税が増えることもとても気がかりです。相続人はご自身と娘さんの二人だけで、基礎控除は多くありません。ご主人の財産は、自宅とアパート一棟で、Aさんも2分の1共有にしています。また、ご主人は7,000万円、Aさんは5,000万円と、二人で1億円を超える貯金もお持ちです。夫婦ともに派手な生活を好みませんでしたので、気がつくとそれだけの現金資産になっていました。

Aさんは相続に関する本を読むなどして、現金資産が多いことはよいことばかりではないと気が付かれました。若い頃にアパートを買ったことが功を奏したと、不動産を持つメリットもおわかりでしたので、また不動産を購入しようと考えられました。

ご自分の要望に合った2つの物件がすぐに見つかり、司法書士によるご主人の意思確認も問題なく済んで、節税も実現しました。

[対策前]
●財産評価 1億2,200万円
内訳
預貯金:7,000万円円
その他(自宅、アパート):5,200万円
[合計]1億2,200万円

●相続税 1,200万円(改正法)
(計算式)
1.課税価格の合計額から相続税の基礎控除額を差し引き、課税遺産総額を計算します。
 財産評価 1億2,200万円 ー 基礎控除 4,200万円(3,000万円+600万円×法定相続人数 2人)
 =8,000万円
2.母親の課税遺産総額を法定割合2分の1と想定し、4,000万円に税率20%を掛け、定められた控除額200万円を引きます。
 4,000万円×20%ー200万円=600万円
3.子ども1人の課税遺産総額を法定割合2分の1と想定し、4,000万円に税率20%を掛け、定められた控除額200万円を引きます。
 4,000万円×20%ー200万円=600万円

◇対策
預貯金の4,000万円で区分マンションを購入。財産評価額は1,200万円にまで下がった。

4.母親と子ども1人の相続税を合算し、合計額を出します。
 600万円+600万円=1,200万円

◇対策
預貯金の7,000万円のうち5,000万円で2戸の区分マンションを購入。区分マンションの財産評価額は1,500万円にまで下がった。

[対策後]
●財産評価 8,700万円
内訳
2つの区分マンション:1,500万円
預貯金:2,000万円
その他(自宅、アパート):5,200万円
[合計]8.700万円

●相続税 575万円(改正法)
(計算式)
1.課税価格の合計額から相続税の基礎控除額を差し引き、課税遺産総額を計算します。
 財産評価 8,700万円 ー 基礎控除 4,200万円(3,000万円+600万円×法定相続人数 2人)
 =4,500万円
2.母親の課税遺産総額を法定割合2分の1と想定し、2,250万円に税率15%を掛け、定められた控除額50万円を引きます。
 2,250万円×15%ー50万円=287万5000円
3.子ども1人の課税遺産総額を法定割合2分の1と想定し、2,250万円に税率15%を掛け、定められた控除額50万円を引きます。
 2,250万円×15%ー50万円=287万5000円
4.母親と子ども1人の相続税を合算し、合計額を出します。
 287万5000円+287万5000円=575万円

【節税額】対策前の相続税 1,200万円 ー 対策後の相続税 575万円 = 節税額 625万円
※さらに小規模宅地等特例、配偶者の特例を適用すれば0円にすることも可能です。

ひとまずご主人の財産に関する相続問題は無事に解決し、娘さん夫婦もこれで安心だと、とても喜ばれました。
Aさんは、今度はご自身の財産に関する相続問題として、ご自分の預金も不動産に替えて、生命保険にも入っておこうと対策を練られています。

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執筆者:曽根恵子

公認 不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士。日本初の相続コーディネーターとして1 2000件以上の相続相談に対処。感情面、経済面に配慮した“オーダーメード相続”を提案し、家族の絆が深まる「夢相続」の実現をサポートしている。NHK「あさイチ」」、TBS「はなまるマーケット」、フジ「とくダネ」などに出演。新聞、雑誌の取材も多数。「相続税を減らす生前の不動産対策」(幻冬舎)など著書多数。

本コラムは、執筆者の知識や経験に基づいた解説を中心に、分かりやすい情報を提供するよう努めておりますが、その内容について、弊社が保証するものではございません。