26年基準地価(上)、全用途など5年連続上昇
2026年09月16日
国土交通省が16日発表した7月1日時点の基準地価は、全用途と住宅・商業地の全国平均が5年続けて上昇した。コロナ禍以降の景気回復や円安による海外からの資金流入を背景に、東京や大阪など大都市圏のほか、白馬や妙高といったリゾート地にも上昇地点が増えた。一方、高齢化と人口流出が進む過疎地や災害被災地では下落が目立ち、二極分化が鮮明だ。
名古屋や仙台などの有力都市でも建築費と地価が高まり、住宅需要と地価の伸びを抑える要因になった。東京都心のマンション需要は今も旺盛だが、湾岸など一部地域では過度な値上がりで販売が鈍り、地価上昇の勢いが削がれた場所があった。全国の地価は近年、上昇基調が続いているが、場所により天井感が漂ってきた。
全国的に住宅需要が底堅い上、繁華街や地方の観光地などでは訪日客らの受け皿ともなるホテルの新増設、店舗開設が多く、地価は大都市を中心に広い範囲で上昇した。全用途平均と住宅・商業地に変動率マイナスの地点は今回なかった。全用途の地価上昇率は前年と同じ1.5%だが、この数字はバブル末期91年の3.1%に次ぐ高さだ。ただ平均値の内訳には濃淡がある。
三大都市圏のうち東京と大阪の住宅・商業地価は旺盛な外需や再開発事業の進展などで前年を上回る伸び率を示したが、名古屋では上げ幅が縮んだ。札幌や福岡など地方4市の住宅地も上昇率は23年の7.5%に対し26年は2.9%、商業地価は9.0%から6.0%などと勢いが落ちた。
土地経済課によると、地価や建築費の上昇を受け住宅購入に慎重な動きが広がったり実需層が郊外に流れたりしたという。急速に進む物価高や金利上昇も購入の足かせになっているようだ。
住宅地では、行政の手厚い施策で子育て環境が整い、転入者が増えた千葉県流山市や北海道東川町の地価が上がった。大手の半導体工場や関連企業らが進出した北海道千歳市、熊本県菊陽町などでも居住や宿泊などの関連需要が地価を押し上げたが、現地では住宅やオフィスの需給が緩み地価が上げ止まる地点もあった。
都道府県の地価変動率を前年調査と比べると、住宅地では長崎が横ばいから上昇、栃木と山口が下降から横ばい、宮城が上昇から横ばいに変化。宮城では中核の仙台市で地価上昇の勢いが弱まったのが響いた。一方、商業地では秋田と山梨が横ばいから上昇、栃木と宮崎が下降から上昇、和歌山が下降から横ばいに転じた。栃木では宇都宮や小山の街づくりが進んだ。最も上昇率が高いのは住宅・商業地とも東京都だった。
昨年7月1日以降の1年間を前半と後半に分け、地価公示(1月1日時点)と調査地点が重なる場所の変動率を比べると、住宅地は全国が前半1.6%に対し後半は1.4%、三大都市圏は2.1%が1.9%、地方4市は1.6%が1.1%へと上げ幅が縮小した。商業地でも多くの圏域で同じ傾向だった。土地経済課は「時がたつほど建築費と地価の上昇の影響が色濃くなった」と読む。
都市部で住宅の供給量が細り、事業者の価格転嫁で値上がりが加速。その結果、地価上昇が止まったり上昇地点が郊外に分散したりする傾向が地方や大都市郊外で強まっている。
(提供:日刊不動産経済通信)
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