キッチンスペシャリスト 水谷聡子 さん
株式会社グラン・ジュッテ代表取締役社長。25歳で地元の総合建築会社・三代目の夫と結婚。1995年にインテリアコーディネーター、1997年に二級建築士の資格を取得。家業を手伝いながら、社内にリフォーム事業部「PA★DU-DUE」を設立した。2001年、ショールーム兼オフィスをつくり独立。女性コーディネーターの視点を活かした住宅・店舗の設計デザインで人気を集める。キッチンを重視しながら、「暮らし全般のプロデューサー」を目指す。
主婦がしあわせな気分で料理が作れないと家族の笑顔は生まれない
水谷さんのキッチンプランは施主様に「キッチンからどんなシーンを見たいですか」という質問からスタートします。「ご主人や子供の様子を見ながら」「私だってテレビを見たい」「ベランダのお花を見ながら」など、家族の数だけ回答があると言います。
共通して言えることは「自分だけが孤立したくない」という思い。「キッチンを中心に間取りを決めてほしいというオーダーも増えていて、いつも家族と一緒にいたいという主婦の思いですね。それは逆に言えば、主婦が楽しく調理ができないと家族の笑顔は生まれないということです」ときっぱり。「今あるキッチンでも少し工夫するだけで、家族の笑顔があふれるしあわせキッチンができますよ」。
しあわせキッチンにする3つのポイント
ではどうすればいいのでしょうか。「3つのポイントがあります。それは新築やリフォームの際の考え方になりますが、参考になると思います」
ポイント1「レイアウト」
「新築・リフォームの際、キッチンレイアウトにはとてもこだわります。重要なポイントは、キッチンに立つ人が、ダイニング・リビングにいる家族との一体感が得られるかどうかにあるようです。多くの奥様が、調理をしながら家族の様子を見ることが出来る【対面型】のスタイルを希望されます。
これは、食事を作ることが家族のシアワセをつくる行為だということを象徴していると思うし、いっしょに暮らしを楽しみたいという気持ちの表れ。今あるキッチンのカタチを変えるのは、費用も時間もかかります。もし料理をしながら気持ちが塞いでしまうようなら、キッチンスペースが閉鎖的なのかもしれません。余分なものがあって、視界を妨げ、家族が近寄りがたい状態になっているのかも。
ヒントは、多くの方にとって憧れの『アイランドキッチン』。キッチンを中心に、家族・友人が楽しく集うレイアウトをイメージしてみてください。」
ポイント2「適材適所の収納」
「こんなことがありました。シンクの後ろにある収納棚の扉に鉄板を貼ってほしいっておっしゃる。なんでかっていうと、マグネット式のペーパーホルダーをそこに貼りたいからって。自分の動線を考えて、そこにペーパーホルダーがあるとすごく使いやすいと。たいへん新鮮なご提案でした!ラップやホイルに比べてサイズの大きいキッチンペーパーは、所在に困りがちなアイテム。扉の裏にセットできれば、すっきり収納、そして使いやすい。そしてその奥様にとってコンロの反対側の位置というのも、調理の流れに沿った便利な場所なのです。こうして、ご自分の動線を客観視して、モノの置き場を決めてくださいね。
使いやすい、取り出しやすい、見つけやすいを叶える収納棚
同時に必要なことは「断舎利」です。本当に必要なものかどうか、いくつあったらいいかを決めてもらいます。不要なものがあふれかえったぐちゃぐちゃなキッチンは不幸です。使用頻度の高いものをしゃがまないと見つけられないというのも大変です。
ひと手間がキッチンをきれいに保ってくれるし、ひとつひとつの動作が大事です。それを私は適切適所の収納と言って、使いやすい、取り出しやすい、見つけやすい収納をしましょうとお伝えしています」
ポイント3「設備機器のセレクト」
「家族と一緒の時間を増やすために設備機器に助けてもらうことをおすすめしています。
人気設備機器のNO.1はIHです。飛び散った油汚れなどもさっと掃除できるところが人気ですね。コンロまわりの掃除は結構時間かかりますからね。
人気NO.2は、食品庫です。収納家具ではあるのですが、新築・リフォームでは設備機器になるので。それもパントリーではなく、スライドで引っ張る背の高い収納棚(写真参照)。すき間収納でよく見かけますね。人気の高い理由は検索しやすいこと。賞味期限切れもすぐわかってストレスもない。そこに何があるかもすぐわかるから、ご主人や子どもにも伝えやすい。
NO.3は食洗機です。一番手間な後片付けの時間圧縮に役立ちます。」
しあわせキッチンは家族のコミュニケーションを作り出す場所
また水谷さんは、いろんなご家族の笑顔演出にホームパーティの提案もされています。「テーブルコーディネーターとして活動していた時期もあって、そのとき集めていた器だとか、海外に行った時に買ってきたものを使って演出するだけなんですよ。歓声が上がるんです。大したお料理じゃなくても、ナプキンに少しキラキラするナプキンリングを付けるだけでもテーブルの上が華やかになるでしょう。『こんな世界があるんですね、ヒントになりました』『今度ママ友を集めてやってみます』『家族へのサプライズや家族記念日の演出の参考にします』ってみなさんに喜んでいただいています」
ホームパーティのサービスで使用するグッズ
キッチンスペシャリストとして、主婦の方がキッチンに立つ喜びをどうやって引き出してあげたらいいのか、キッチンでの家族のコミュニケーション作りはどうしたらいいのか、いつも考え続けている水谷さん。「キッチン内での家族の動線を考えて、断捨離をしてみる。そこで取り出しやすい場所を決める。もし可能なら食洗機を思い切って購入してみるとか、すぐ出来ることにチャレンジしてみて下さいね。」そして少し間をおいて「しあわせキッチンはしあわせ家族の原点」だとも。キッチンが変わることで家族に笑顔が戻ってきた例をたくさんみたからこそ言い切れる水谷さんの力強い言葉。「ぜひ出来ることから始めてくださいね」と優しいまなざし。水谷さんが推奨するしあわせキッチンの人気の高さがわかる気がしました。
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