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#マンションの間取り考

2019.02.20

忙しい日々にゆとりが生まれる!家事動線の良いマンションの間取り

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総務省の「社会生活基本調査(平成28年版)」によると、一日のうち女性が家事にかける時間は平均で2時間24分とのこと。この時間を少しでも短くできれば、日々の暮らしにゆとりが生まれます。そのひとつの方法として「動線」に注目してみましょう。

「動線」とは「人が移動する経路」のことで、特に炊事、洗濯、掃除など「家事」を行う際の動線を「家事動線」と言います。この家事動線がスムーズになっていると家事時間の短縮につなぐことができます。それでは、これから日々の暮らしにゆとりを生む「家事動線の良いマンションの間取り」を見てみましょう。

キッチンと洗面脱衣室 に「2way動線」を採用

「洗濯機をまわす」「食事を作る」。この二つは、ほぼ毎日行っている人が多い、2大家事と言って良いでしょう。これらをもし同時に行うことができれば、家事時間の短縮につながります。間取りの例を【図1】に示します。

この間取りは第3回「マンションでよく見かける間取り4タイプのメリットと注意点」にて「センターイン」形式として紹介した間取りです。

センターイン形式の間取りは、寝室などのプライベート(P)空間とリビングなどのパブリック(P)空間を南北に振り分けるPP分離型の間取りとなっていることが特徴のひとつです。この「PP分離型の間取り」は、住戸の中央付近に水まわりが集まっています。

【図1】

こちらの間取りのキッチンには「リビング」と「洗面脱衣室」につながる2方向の出入り口があり、「2way動線」になっています。キッチンと洗面脱衣室間の移動がスムーズであることはもちろん、間にある引き戸を開け放すことで、キッチンに居ながら洗面脱衣室にも目が行き届きやすくなります。

従って、「キッチンで食事をつくりながら洗濯機を回す」という「ながら家事」がしやすくなります。さらに洗面脱衣室には廊下につながる出入口もあるため、キッチンから洗面脱衣室を経由して廊下に出ることも可能です。このように行き止まりがない間取りは動線がスムーズでストレスが少なくなるでしょう。

キッチンからバルコニーに出られる「戸建て感覚」で家事時間を短縮

次に、戸建て住宅の良さを取りこんだ間取りをご紹介しましょう。【図2】の間取りはキッチンの位置に注目してください。キッチンがバルコニーと隣り合っており、キッチンとバルコニーの間にドア(=勝手口)がついています。キッチンに居ながらバルコニーの様子がわかり、スムーズに出入りすることができます。炊事をしつつ、洗濯物を干す・取りこむ、バルコニーの植物への水やりなど、室内・外の家事の同時並行がしやすい間取りです。

さらに、リビングの一角に3~4畳程度の畳敷きの空間があると洗濯物を畳むときに便利です。

【図2】

もうひとつの特徴は、バルコニーに「SK」がついていることです。「SK」とはスロップシンクの略で、蛇口と深いシンクがセットになっており、ガーデニングの水やりはもちろん、ぞうきんや子どもの上履きを洗うのにも便利です。こちらの間取りのようにキッチンのすぐそばについていると、使いやすく便利です。

【写真1:スロップシンク】

さらに、キッチンは①リビング・ダイニング ②洗面脱衣室 ③バルコニーと、3方向に行くことができる「3way動線」になっています。キッチンと洗面脱衣室が扉を隔てて隣り合っているため、この扉を開けておけば、洗濯機を回したり、子どもの入浴を見守りつつ、キッチンで作業をすることも可能となります。このように、キッチンを中心にさまざまな「ながら家事」ができる動線になっています。

究極の動線は「回遊動線」

次に「回遊動線」の間取りを紹介します。回遊動線とは、行き止まりがなくぐるぐる回ることができる動線のことです。

この間取りは「マンションの間取り考」連載第3回「マンションでよく見かける間取り4タイプのメリットと注意点」で紹介した間口の広い「ワイドスパン型」の間取りです。

【図3】

【図3】の間取りは、【図1】【図2】の間取り同様、キッチンと洗面所が隣接し、家事がしやすい動線になっています。さらに「回遊動線」になっていることに注目してください。

例えば買い物をして帰宅をし、冷蔵庫まで荷物を持っていくときに、リビング・ダイニングを通っていく方法と、洗面脱衣室を通っていく2通りの方法があります。

洗面所側からアプローチした方が冷蔵庫に近く、またリビングにお客様が来ているときなども、洗面所側を通っていけば顔を合わさずキッチンに行くことができるので、とても便利です。

このような回遊動線になっていると、掃除の際、隣の部屋に移動しながら次々と掃除機をかけることができます。お掃除ロボットを利用する場合でも、回遊動線があれば効率よく掃除を進めることができるでしょう。

回遊動線になっている間取りのメリットは掃除のしやすさだけではありません。回遊動線上のドアを開けておけば、ここが風の通り道になり、家の中を自然の風が通り抜けていくようになります。住戸の間口が広いワイドスパン型の間取りはもともと採光条件に恵まれていますが、回遊動線になっていれば通風条件もよくなり、居住性がさらに向上します。

今回は家事の時間を短縮できるマンションの間取りを解説しました。家事時短を図るためには、キッチンと洗濯機の位置関係がひとつのポイントになるでしょう。また、出入口が2方向にある「2way」、3方向にある「3way」も、出入口が多いほど通り抜けができて便利な一方、開口部を設けることでその場所には他のものを設けることができなくなります。それぞれのメリットを理解しながら、自身のライフスタイルに合う間取りを選ぶようにしましょう。

井上恵子(いのうえ・けいこ)

井上恵子(いのうえ・けいこ)

住まいのアトリエ 井上一級建築士事務所主宰/一級建築士/インテリアプランナー
総合建設会社の設計部で約14年間、主にマンションの設計・工事監理、性能評価などを担当。2004年の独立後は生活者の視点から「安心・安全・快適な住まい」「間取り研究」をテーマに、webサイトでの記事執筆、新聞へのコラム掲載、マンション購入セミナーの講師として活動。
著書に「住宅リフォーム計画」(学芸出版社/共著)「大震災・大災害に強い家づくり、家選び」(朝日新聞出版)などがある。夫と子ども2人との4人暮らし。
住まいのアトリエ 井上一級建築士事務所 http://atelier-sumai.jp/

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