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特集コラム

#住まいのリセット術

2018.12.27

家事を効率的に回すことを考えたリフォームとは?

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家の中で無駄なく動くために「動線」について考えたことはありますか?

それぞれのライフスタイルにあった動線を組み立てるためにはどうすればいいのかを『40代からの住まいリセット術』の著者、水越美枝子さんに伺いました。

住み心地の良い家は、洗濯動線がシンプル

--水越さんはご著書の中で「洗濯動線」の重要性についてご説明されています。家のさまざまな場所の中で、洗濯動線を見直すべきとお考えの理由についてお聞かせください。

家で生じる動線は、大きく「家事動線」と「身支度動線」とに分けて考えられます。この2つにおいて、行ったり来たりの移動がなるべく少ない家が、住み心地のいい家につながると私は考えています。人の行き来が少なくて済めば、バタバタと動き回ることも少なくなり、家の中で生じるストレスが減ります。そして、その問題は多くの場合、洗面所がポイントになっていると思います。

日本では、洗面所というスペースは、家族みんなが利用する、とても空間効率が高い場所と言えます。朝晩、家族が顔を洗ったり、歯を磨いたりする場所であり、髪をセットしたり、化粧をする方もいるでしょう。お風呂に入るときは、そこで脱ぎ着もして、洗濯をする場にもなりますす。

動線に目を向けると、家事動線の中で一番大きな動きをするのが、実は洗濯をするときの動線です。だから洗濯の動線を見直すことが、プランの決め手になると考えています。私はリフォームの仕事をするときには、お客様の洗濯動線について、詳しく確認しますが、それはその家庭に一番合ったプランニングをするために必要なことだからです。

まずは動線図でチェック!

--洗濯動線を見直すことがリフォーム成功の鍵となるわけですね。どこをどう見直して改善するのか、今の住まいを簡単に検証する方法はありますか?

洗濯動線は洗って干すだけでなく、実際には、衣類の動線として脱ぐ・洗う・干す・取り込む・たたむ・しまう・着るという、7つの工程のサイクルで考えられます。

どの場所で何をするのか、そこまでの移動距離は何歩なのか、図1.洗濯導線チェック表の空欄に場所と歩数を記入してみてください。

図1.洗濯動線チェック表

動線の長さがはっきりとわかると思います。移動距離が短ければ、効率も上がります。それぞれの工程への歩数をいかに少なくするかが、動線を整えるということになります。

例えば図2は、動線効率が評価されて、賞をいただいた設計プランの1階部分です。

図2

寝室の隣にすぐ洗面室と浴室があり、家事室、ウォーキングクローゼットと続き、回遊しています。洗濯動線がこの部分だけで完結できるようになっています。身支度動線から見ても、起きて顔を洗う、服を着る、化粧をする、といった動作が効率的に行えるプランです。

ライフスタイルによってもリフォームの仕方は違ってくる

--動線図チェックでわかった動線を整えるために、どこをどう変えていくと良いのでしょう?

どういう場合にも適用できる法則のようなものがあれば良いのですが、今は生活が多様化しています。マンションの場合は設備の位置も関係してくるので、それぞれのケースごとに、それぞれの工程の移動距離を縮めていくことです。

まず、洗濯物を干すとき、読者の皆さんはどこに干しているでしょうか?

以前は庭やバルコニーなど外に干すのが一般的でした。しかし今では、ライフスタイルや住宅環境が大きく変わってきていると思います。共働きで夜に洗濯をする家庭や、花粉症やPM2.5なども気になるため、あえて洗濯物を外に干さずに乾燥機を使ったり、室内に干す家庭も多いでしょう。

干す場所が変われば洗濯動線も変わります。乾燥機を使うのであれば、洗面所に乾燥まで済ませた洗濯物をたたむスペースを作るのもいいですね。そうすれば、洗濯物を洗ってからたたむまで、ほとんど移動せずに済みます。

バルコニーに干すご家庭であれば、洗濯機は洗面所になくてもいいかもしれません。

昔よくあった、バルコニーに洗濯機を置く場所があるというのも、実はとても効率が良い配置です。洋服を脱いでから干すまでの動線の間のどこかに洗濯機があれば、必ずしも洗面所になくても行き来の少ない、効率のいい動線になります。このようにして、ライフスタイルに合った動線作りを考えていきます。

家事動線を考えたリフォーム例

--マンションで家事動線を考える場合、戸建てとの違いはありますか?実際に家事動線を考えて実現できるリフォーム例があれば教えてください。

マンションをリフォームするとなると、換気や排気のダクト口やパイプスペースの位置は変えることができません。浴室や、キッチンの換気扇へのルートが成り立つかどうかと、水周りの給水・排水のルートが成り立つかが特に考慮すべきポイントになります。制約は多いですが、床下を数センチ上げ、天井も少し下げて、その隙間に配線や配管を通すという工夫をすることで、マンションでもキッチンや洗面所の位置も動かすことが可能な場合もあります。

一例として、ライフスタイルに合わせて洗濯家事動線を考えたリフォーム例を紹介しましょう。

●外に干したい家庭の例

まずは、3人の子どもたちが独立し、今は一人暮らしになっている女性のお客様からご依頼いただいた、築35年のマンションのリフォーム事例です。小さな部屋に仕切られて、暗く、寒かった住戸の間取りを変え、暖かく、効率の良い動線に変更しました。

以前は洗濯機をバルコニーに置いていたため、脱いだものを洗濯機に持って行くのも、取り込んだものをたたんでしまうのも、家中を移動しなくてはなりませんでした。

全面的なリフォームで水回りの設備を大きく動かし、リフォーム後は、洗濯機からベランダまではキッチンを通って一直線に干しに行くことができるようになりました。キッチンで作業することの多い主婦にとっては、家事をする間の移動距離が少なくて済む配置です。さらに、ウォークインクローゼットを設けることで、しまう場所も一箇所になり、移動距離が直線で短くなりました。

マンションでも、工夫次第でこんなリフォームができます。

●室内に干したい家庭の例

こちらは窓の近くに洗濯物を干すスペースを作った例です。

夫婦ともフルタイムで働いており、昼間外には干せないということで、バルコニーに面した子ども部屋の前を洗濯物を干す場所にしました。室内で乾かすには、日の当たる方が早く乾きますし、家にいる休みの日は外にも干せます。洗ってから干すまでは、少し移動距離がありますが、行ったり来たりしないよう考えられているので、洗濯動線はシンプルと言えるでしょう。子ども部屋は、ガラスのドアと上部のらん間でバルコニーからの光が入るようになっています。

さらに集中クローゼットを設けることで、衣類の管理を一括して行え、たたむ・しまう・着るという工程を移動距離がほぼゼロでできるのも利点です。しまう場所が着る場所と同じですから、ここで身支度が全てできて、合理的です。

―マンションのリフォームを考えるときに、自分がどこに洗濯物を干すのか、どのくらい移動しているのかを意識して、もう一度プランを見直してもいいかもしれません。普段、動線を意識することはあまりない人も、洗濯動線チェックで改めて「洗濯」という1つの家事においても多くの動線が生じることを意識できるのではないでしょうか。洗濯動線をいかに短く、効率的にするかを考えながら、住み心地のいい家にしていきたいですね。

水越美枝子(みずこし・みえこ)

水越美枝子(みずこし・みえこ)

一級建築士。日本女子大学住居学科卒業後、清水建設(株)に入社。商業施設、マンション等の設計に携わる。1991年から6年間バンコクに滞在。1998年、一級建築士事務所アトリエ・サラを共同主宰。新築・リフォームの住宅設計からインテリアコーディネート、収納計画まで、トータルでの住まいづくりを提案している。著書に「40代からの住まいリセット術――人生が変わる家、3つの法則」「いつまでも美しく暮らす住まいのルール――動線・インテリア・収納」「人生が変わるリフォームの教科書」などがある。

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