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【鎌倉市】海と山に囲まれた歴史の街、鎌倉市の防災対策

 
鶴岡八幡宮

神奈川県南東部に位置する鎌倉市は鎌倉町と腰越町が合併して誕生し、その後、深沢村と大船町を編入して、現在の市域となりました。南側は相模湾に面しており、取り囲むように丘陵地が広がっています。市の北部には柏尾川沿いの平地やその北側の台地もみられます。丘陵地や台地では河川の浸食による谷戸地形が形成されました。

南を海に、三方を山に囲まれた地形から、源頼朝は日本で初めての武家政権を樹立する場所として、この地を選びました。鎌倉幕府が開かれるとともに都市づくりが始まり、今に至る街の基盤となっています。当時の鎌倉は政治、軍事、外交、文化などあらゆる面で日本の中心地でした。現在もその名残が至る所にみられ、観光都市として人気を集めています。

様々な災害のハザードマップをまとめた「鎌倉市防災情報ハンドブック」
腰越・七里ガ浜エリア版(腰越地域) 津波ハザードマップ(地図面)

鎌倉市では様々な災害が起きた際に想定される被害を地図にしたハザードマップが6種類作成されています。

鎌倉市洪水ハザードマップ」は想定最大規模の大雨で滑川、神戸川、柏尾川が氾濫した場合の浸水区域や深さ、浸水継続時間を示したものです。「鎌倉市内水ハザードマップ」は大雨が下水道などの排水能力を上回った際の浸水区域や深さ、浸水継続時間を表示しています。「鎌倉市土砂災害ハザードマップ」には大雨により土砂災害が発生する恐れがある土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域が記されています。「鎌倉市高潮ハザードマップ」は国内観測史上で最も大きな台風が、沿岸に最悪の被害を与える経路で襲来した場合の高潮による浸水区域、深さ、浸水継続時間をシミュレーションにより予測し、地図にしました。

地震に対しては、「鎌倉市地震ハザードマップ」が作られています。これは市内で想定される震度を示した「揺れやすさマップ」と液状化のしやすさを表す「液状化危険度マップ」で構成されています。大規模地震時には津波の襲来も懸念されます。「鎌倉市津波ハザードマップ」は市内で津波の高さが最大の地震と、津波到達時間が最も短い地震を想定し、「津波避難対象区域」を図示しています。

このように市内では様々な災害により、被害が起きる可能性があります。そこで、津波・地震・洪水・内水・土砂災害の各災害のハザードマップをまとめ、それぞれの災害への備え、情報収集、避難行動のとり方などを解説した「鎌倉市防災情報ハンドブック」も作成されています。

 

「鎌倉市津波避難経路マップ」作成や「沿岸部一斉津波避難訓練」など津波対策を推進
津波避難経路マップ(腰越~七里ガ浜エリア)

2011(平成23)年に発生した東日本大震災では東北地方太平洋沿岸を中心に大きな被害に見舞われました。大規模地震が発生した際は鎌倉市に大津波が襲来し、大きな被害になる可能性があります。そこで、市では津波避難経路の整備や津波避難ビルの指定、避難できる空地の確保に加え、津波避難訓練の実施や津波防災の啓発などを進めてきました。

さらに、2014(平成26)年には「鎌倉市津波避難計画(全市版)」を、2015(平成27)年には「鎌倉市津波避難計画(地域別避難計画)」を策定し、各地域で津波が予想される場合の避難手順を定めました。「鎌倉市津波避難計画(地域別避難計画)」の策定では地域住民の意見も取り入れています。その際に出された意見に基づき、津波浸水想定区域から安全な区域や津波避難ビルへの避難経路を示した「鎌倉市津波避難経路マップ」も作成されました。

津波襲来が予想される時に、迅速に避難するためには日頃の訓練が重要です。そのため、毎年「沿岸部一斉津波避難訓練」が行われています。この訓練は相模湾で大規模地震が発生し、大津波警報が発表されたという想定で実施します。防災行政用無線から大津波サイレンが放送され、対象地域の住民は「津波ハザードマップ」などを見ながら、自治会・町内会が設定した高台などの安全な場所に避難します。その過程で避難ルートを確認し、避難の課題を把握します。

津波の危険性を啓発するための「鎌倉市津波シミュレーション動画」も作られました。この動画では市内4か所に津波が襲来した場合に予想される被害が、コンピューターグラフィックで再現されています。これにより、避難の必要性や津波発生のメカニズム、想定される地震と津波の到達時間などを視覚的に理解できます。この動画はYouTubeの鎌倉市公式チャンネルで視聴できるほか、市の総合防災課や各図書館でDVDが貸し出しされています。

 

災害時には空路、海路も活用して物資を輸送
「鎌倉市立第一小学校」もヘリコプター臨時着陸場に指定

鎌倉市では地震災害などにより住宅が被害を受けた場合または被害が予想される場合は、自主防災組織が事前に決めた集合場所へ一時的に避難することとされています。その後、集団で「指定避難所(ミニ防災拠点)」へ避難します。火災の延焼が拡大し、「指定避難所(ミニ防災拠点)」が危険になった場合は「広域避難場所」へ避難します。

指定避難所(ミニ防災拠点)」は市立小・中学校25校に設置され、余裕教室などに食料や防災資機材を備蓄しています。また、風水害時には、状況に応じて、市立小学校や支所などを避難所として開設することになっています。災害時に開設されている避難所とその混雑状況は「VACAN(バカン)」で確認できます。

山と海に囲まれているという地理的特徴から、大きな地震が発生した場合に道路交通が 遮断され、避難や物資輸送が阻害されることが懸念されます。そこで、市では陸路が使えない場合の物資輸送対策にも取り組んでいます。災害時の物資空輸の拠点となるヘリコプター臨時着陸場は「笛田公園」や「鎌倉市立第一小学校」など16か所が指定されています。また、江ノ島にある「湘南港」を海路による物資受入港として利用することにしました。

大津波や大雨による河川の氾濫から身を守るためには、その土地の標高を知ることが有効です。そのため、市内の消防署や郵便局、保育園、幼稚園に加え、海抜10m以下の公園や沿岸部の電柱・カーブミラーで海抜表示が行われています。さらに、全国でも珍しい取り組みとして、市内の郵便ポストへの海抜表示も実施されました。

 

地域防災力向上を目指し、啓発にも取り組む

鎌倉市では防災啓発の取り組みも行われています。例えば、「防災とボランティア週間」にあわせて実施される「防災のつどい」では、市民の防災意識向上を図るため、防災に関する講話などが行われています。

また、地域防災の中心となる人材を育成するため、「防災リーダー研修」も進めています。対象は市内在住者で、地震・風水害災害の疑似体験や自主防災組織の役割などを学べます。

鎌倉市は海に面していることから、津波対策に力を入れています。その他、大雨による河川の氾濫や土砂災害など様々な災害を想定し、総合的な対策が進められています。

掲載日
2026/07/15

本記事は、(株)ココロマチ が情報収集し、作成したものです。記事の内容・情報に関しては、調査時点のもので変更の可能性があります。

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