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不動産投資・収益物件 > 不動産投資の最新動向 > 財産の管理から引き継ぎまで「家族信託」の効果(1ページ目)
不動産投資の物件選びのポイントや不動産投資の出口戦略、利回り・不動産価格・マーケット情報など不動産投資に関する最新動向をわかりやすく解説いたします。
2015年2月17日
今年(2015年)からスタートした相続増税に対応するため、相続対策への関心が高まっています。
相続対策では、「遺産分割」「納税資金」「節税」の3つのバランスが大切だと言われますが、ここへきて、もう一つ重要なテーマが指摘されるようになってきました。それは「財産の管理」です。財産管理をきちんと行うには、今までにないアプローチが必要になっています。その一つが「家族信託」です。
今回は、相続対策専門士(公認不動産コンサルティングマスター)や相続診断士(R)などの資格を持ち、一般社団法人家族信託普及協会の代表理事でもある芳屋昌治さんに、家族信託とは何か、どう活用すればいいかを伺いました。
――最近、相続対策で「財産管理」が重要だといわれるようになった理由は何ですか?
芳屋さん(以下、芳屋)/1月下旬に政府が「新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)」を出しましたね。団塊世代が75歳を迎える2025年に、認知症が高齢者の5人に1人、約700万人にも上るという推計が出され、その対策が喫緊の課題となったからです。実は2012年時点で、認知症予備軍を含めると800万人以上に達すると厚生労働省は発表しています。
こうした流れの中で、非常に困った状況が噴出しています。親が認知症になると、家族でも財産の管理・処分が困難になるという問題です。
親の預金通帳がどこにあるかを知らない人も多いのですが、仮に知っていたとしても、認知症で本人の意思確認ができないと、原則、銀行は預金の引出しや送金、解約を認めてくれません。高齢者施設に入所する資金をねん出するために、自宅を売却することも難しくなります。本人(の意思)確認ができなければ司法書士が登記できないからです。
――認知症になった場合、成年後見制度を活用することもできますね。
芳屋/はい、成年後見制度を使えば預金の解約はできます。ただ、それ以外の財産の管理に係わる面では制約が多いことがネックになっています。
裁判所指定の監督官の下で「その人の財産を守り、保全する」ことが前提になっていますから、所有している不動産を売却することは簡単ではありません。建物が老朽化しても、大規模修繕をしたり、建て替えたりすることは認められないことも多いようです。金融資産を子や孫に生前贈与することも不可能です。つまり、不動産の有効活用や相続対策などがまったくできなくなるのです。
――「家族信託」を使えば、それが可能になるのですか?
芳屋/既に認知症になってしまった場合は、残念ながら信託契約を結ぶことができません。元気なうちに信託契約を結んでおけば、その後に認知症になったとしても財産の管理や承継をスムーズに行うことが可能です。