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不動産投資・収益物件 > 不動産投資の最新動向 > メリットを比較!アパートVS一棟マンション(2ページ目)
不動産投資の物件選びのポイントや不動産投資の出口戦略、利回り・不動産価格・マーケット情報など不動産投資に関する最新動向をわかりやすく解説いたします。
2017年7月 4日
前ページでは、似た価格・エリアのアパートとマンションを比較し、アパートのほうがキャッシュフローが多いという結果になりました(満室想定時・表面利回り)。しかし、これはあくまでも机上の試算で、実際の不動産投資、賃貸運営の面では、必ずしもこうした試算通りに行かないことがあります。
ここからは、より現実的な視点で、投資の「入口」「運用中」「出口」の3つの側面から考えてみましょう。
不動産投資の入口、つまり物件の購入においては、ローンを抜きに語ることはできません。売りアパートが有利かどうかを判断するには、金融機関の融資の現状を知っておくことが必要です。
ここでは返済期間にスポットを当てて考えてみましょう。借入金額と金利が同じなら、返済期間が長いほど月々の返済額は低くなり、それだけキャッシュフローは良くなります。
収益物件に対する融資の返済期間の上限は、法定耐用年数から建築後の経過年数、つまり築年を差し引いた年数にしている金融機関が多いのが現状です。そのため法定耐用年数が長いほうが、融資面では有利に働きます。
一棟マンション=RC造の場合は法定耐用年数が47年のため、新築なら35年の借り入れが可能ですし、築15年でも30年返済で借りられます。しかし、売りアパート=木造の場合、新築の場合は法定耐用年数である22年より少し長い25~30年も可能ですが、築10年を超える中古に対しては、返済期間が10~15年以下と極端に短くなるのです。築10年超のアパートは融資対象から外している金融機関もあります。
もっとも最近では、より長期の融資を扱う金融機関も出てきました。ある銀行では、木造でも耐用年数の基準を法定の22年ではなく40年で見るようになっています。そのため新築なら最長35年、築10年でも30年返済が可能です。
ただ、こうした金融機関は限られるため、中古のアパートを買う場合はローンの選択肢が限られるのが現状です。融資を受けられても金利が高くなる傾向があります。
これに対してRC造の一棟マンションのほうが、ローンの選択肢は広いでしょう。一棟マンションに融資する金融機関が10行だとすると、売りアパートは2~3行しかないというイメージです。
さらに、2棟目、3棟目を買い増す場合は、1棟目に何を買うかが重要になります。というのも、金融機関によって「1棟目の融資には柔軟だが、2棟目以降は審査が厳しくなる」「RC造の一棟マンションには積極的だが、築年数の古い売りアパートには厳しい」といった、融資姿勢の違いがあるからです。
価格が低く表面利回りが高いからと築年の古い中古アパートを1棟目に購入してしまうと、2棟目が購入しづらくなる恐れもあります。
続いて、実際の運用状況について見てみましょう。アパートとマンションではどちらが有利なのでしょうか。
最近の調査(不動産評価会社のタス など)では、賃貸住宅の空室率は、マンションよりアパートのほうが高いというデータがあります。RC造マンションのほうが、遮音・防音性能、断熱性などの基本性能が高く、オートロックの割合が多くてセキュリティ面でも優れているため、入居者には好まれるからでしょう。
2015年の相続税改正のあと、賃貸住宅、特にアパートが急増し、エリアによっては供給過剰なケースもあります。
また、木造の売りアパートは、一棟マンションより相対的に耐用年数が短い、つまり劣化するスピードも速いということです。家賃の下落率も、マンションよりアパートのほうが高い傾向があります。こうした競争力の低下を防ぐために、特にアパートでは、大規模修繕やバリューアップ(価値向上)のリノベーションが必要になりやすいでしょう。
入口(物件購入)の部分で触れたように、融資の面では、売りアパートより一棟マンションのほうがやや有利です。これは出口、つまり売却する際にもいえます。
たとえば、RC造の一棟マンションを新築で買って10年後に売る場合、買い手の立場から見ると築10年の中古一棟マンションを購入することになります。残存耐用年数は37年ありますから、35年ローンが使えます。築10年の時点で買って10年後に売る場合でも、その時点で築20年のため、買い手は25年融資が受けられます。それだけ幅広い購入者層に売れるわけです。
一方、木造の売りアパートを新築で買って10年後に売ろうとすると、築10年の中古アパートとなり、融資を受けるのはマンションより厳しくなります。つまり買い手を見つけにくくなるわけです。売る際に、価格を調整したり、減価償却を活用できる買い主を探すなど、より具体的なソリューションが必要になるかもしれません。
建物が使い物にならなくなり、「古家付き土地」として売却する場合には、RC造のマンションより解体費の安い木造アパートのほうが有利になる面もあります。
また、土地の条件によっても売りやすさに違いがあります。
たとえば、「整形地」と「旗竿地」(間口が狭く、細長い路地状部分がある土地)(図3)を比べると、整形地のほうが売りやすいのが一般的です。旗竿地は、相対的に価格は安いケースが多いのですが、建物について制限を受けやすく、売却先が限られてしまうかもしれません。
Aのような分割しやすい土地なら、一般の売主だけでなく、建売業者の開発用地としても売れる可能性が高いでしょう。
立地や土地の条件、建物の規模、出口戦略、そして資産形成の目標まで、トータルで考えないと、どちらが有利かどうかの判断はできないといえるでしょう。