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不動産投資・収益物件 > 不動産投資の最新動向 > 店舗・事務所物件への投資、メリット・デメリット(2ページ目)
不動産投資の物件選びのポイントや不動産投資の出口戦略、利回り・不動産価格・マーケット情報など不動産投資に関する最新動向をわかりやすく解説いたします。
2014年9月18日
<空室リスクが高い>
店舗・事務所は居住用の物件に比べ、空室リスクが高いのが最大のデメリットです。「住まい」は、景気が悪くなったからといってすぐに引っ越したりはしません。しかし、店舗や事務所の「撤退(閉店)」「移転」は柔軟に行われます。住宅に比べて景気動向などに左右されやすいのです。たとえ都心部でも、不景気になると一挙に複数のテナントが退去してしまうおそれがあります。
<賃料の変動率が大きい>
賃料水準も景気動向に大きく左右されます。住宅でも家賃の上下はありますが、通常は物価上昇率に近い範囲、2年で5%~10%程度でしょう。しかし店舗・事務所の場合は、需給バランスによって大きく変わり、5割、10割の変化もあり得ます。なお、大きく下がるおそれがある一方で、大幅に値上げできる可能性もあります。
<テナント募集にノウハウがいる>
ひとくちに店舗・事務所といっても、さまざまな業種・業態があり、それぞれのテナントごとに、求められる立地や建物の構造・設備が異なります。たとえば、コンビニエンスストアは住宅地から商業地まで幅広く分布していますから、応用が効きそうです。しかし、1階部分に限定しているチェーンが多く、また、間口の広さや道路との段差など、ちょっとしたことで出店条件に合わないケースもあるようです。
特定の業種・業態に合わせた作りになっている物件が一度空いてしまうと、他の業種・業態への転換が難しく、新たなテナントが入るまでに時間がかかる場合があります。住宅系よりも、入居者募集のノウハウ、テクニックが必要といえるでしょう。
<金融機関の融資条件が厳しい>
店舗・事務所に対する金融機関の審査は住宅系よりも厳しく、担保掛け目も低めに設定される傾向があるようです。審査にも時間がかかります。その理由は、物件の担保力やオーナーの資金力・実績の他に、テナントの属性まで詳しく調べるケースが多いからです。いわゆる反社会的勢力ではないか、テナントとなる企業の経営状態はどうかなども審査されることがほとんどです。なかには、店舗専用、事務所専用の一棟ビルには融資しない金融機関もあります。
オーナー個人でテナントの属性まで調べることは難しいでしょう。その点で、金融機関の融資審査が厳しいのは、ある意味ありがたいことでもあります。審査に通る物件なら、ある程度は信用できるといえるのではないでしょうか。物件を仲介する不動産会社でも、調査をおこないアドバイスをするケースがあります。
<地震保険への加入ができない>
店舗・事務所は、地震保険には加入できません。地震保険は、国が再保険引き受け先となり、複数の損保会社が共同提供しているもので、保険料も低めに設定されています。専用住宅か併用住宅が対象です。住宅以外の事業用の場合は、店舗総合保険などに「地震危険補償特約」を付けるタイプもありますが、保険料や補償内容は個別に審査されます。
店舗・事務所には、以上のようなメリット・デメリットがあります。これらを踏まえて魅力を感じるなら、投資対象の選択肢のひとつに加えてもいいでしょう。ガイドの経験上、店舗・事務所に投資するのは、住宅系の投資物件を複数所有している、不動産投資経験者が多いようです。
中高層のビル全体が店舗・事務所のタイプはリスクが高いため、初心者の方にはお勧めできません。あえて店舗・事務所の高収益性を目指したいなら、2~3階建て以下のロードサイド型店舗、ないしは、タワーマンションの低層階にある区分店舗などを検討すると良いかもしれません。5~10年は安定した経営が見込めるテナントが入っていれば、リスクもそれほど大きくないのではないでしょうか。
初心者の方の場合には、1~2階が店舗や事務所で、2~3階以上が居住用という住宅併用タイプがおすすめです。店舗・事務所で高収益を得ながら、比較的安定した居住用部分を確保することによって、空室リスクを減らせるからです。住宅併用なら地震保険にも加入できます。
もちろん、住宅併用でも、店舗部分に入居するテナントの安定性は大切です。短期間で退去し、1フロアが長期にわたって空きテナントとなっては、マイナスが大きくなってしまいます。安定した入居を期待するには、立地がポイントになります。ここで言う立地の良し悪しは、単に都心に近い繁華街であればいいというわけでもありません。
一見すると立地に難があるのに、安定した稼働率を維持している例もあります。神奈川県のターミナル駅から徒歩20分以上という住居・店舗併用ビルで、1階の店舗に20年以上も入居しているテナントがいるのです。
その秘密は、1階店舗の入居者だけが一括契約できる10数台分の駐車スペースです。このビルの近隣には、これだけまとまった駐車スペースを安定して確保できる物件はなく、大きな差別化になっているのです。この物件の立地では、1階が全て住居である場合よりも、安定した高収益の源泉になっているといえるでしょう。
店舗・事務所物件というのは、基本的に借り手が商売をするためのものです。そのため、ビジネスとして賃料を交渉することも可能ですし、一方で、家賃水準やテナントの出入りは景気の波に大きく左右されます。立地により大きく変わりますが「ハイリスク・ハイリターン」といえますね。とはいえ、中には上述した住居・店舗併用ビルのような物件も潜んでいます。住居系の物件とは視点を変えれば、「ミドルリスク・ミドルリターン」の物件を見つけることもできるかもしれません。