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不動産投資・収益物件 > 不動産投資の最新動向 > 不動産投資シミュレーション(1)その物件買うべき?(2ページ目)
不動産投資の物件選びのポイントや不動産投資の出口戦略、利回り・不動産価格・マーケット情報など不動産投資に関する最新動向をわかりやすく解説いたします。
2015年7月27日
前ページでは単年度の状況を見ましたが、賃貸経営としては中長期の推移も見ておくべきです。図3は、30年間のキャッシュフロー推移を予測したシミュレーションをグラフ化したものです。1年目は満室想定時の家賃からスタートし、2~5年目までは家賃減率1%に設定。その後も、家賃が2年ごとに1%ずつ下がるものとして、税引き前と税引き後の推移を示しています。
家賃が下がるについて税引き前・税引き後ともに減少し、29年目で「キャッシュアウト」のほうが多くなる、つまり税引き後のキャッシュフローが赤字になってしまいます。これは修繕費を計算に入れていない場合ですから、仮に途中で何度か大きな修繕が発生すると、もっと早い段階でキャッシュアウトとなるかもしれません。シミュレーションでは、定期的に修繕費を計上する設定も可能です。
※なお、図3のグラフで税引き後CFが16年目に急に増えるのは、45歳で取得したオーナーが60歳で定年し、課税所得が減って所得税・住民税の負担が軽くなるため。オーナーの所得の状況によって、試算結果が変わってきます。
グラフには示していませんが、家賃が変わらない設定にすると、税引き前のキャッシュフローは一定です。しかし、家賃が下がらなくても、ローン金利支払い額の減少など、必要経費の金額が変化して課税金額が増えるため、税引き後のキャッシュフローは徐々に減って行きます。
また、キャッシュフロー予測では、税引き後キャッシュフローの累積金額も算出します。この累積金額が初期投資の際に支払った自己資金を上回った時点までが「資金回収期間」です。何年で資金回収できるかも投資判断の指標の一つになるでしょう。キャッシュフローの累積金額は、次の売却シミュレーションの際にも使用します。
不動産投資が成功したかどうかは、購入した時点では判断できません。税引き後キャッシュフローの累積金額(インカムゲイン)と売却益(キャピタルゲイン)を合わせたトータルの収益(純利益)が、何年後にいくらになるか。それがプラスになって始めて成功といえるでしょう。
また、インカムとキャピタルを合計した純収益が投資した自己資金に占める割合はどのくらいか、その割合を年平均に換算した「自己資金年利回り」が何%になるかをチェックすることも重要です。自己資金が最終的にどのくらいの利回りで運用できたのかがわかります。これらの売却シミュレーションによって、出口を含めた投資判断ができるようになります。
税引き後キャッシュフローの累積金額と売却益を合計した総収益を1年単位で試算します。また、売却益については、購入時と同じ価格で売れた場合、値上がりした場合、値下がりした場合などの複数のシナリオを作ることも可能です。
たとえば、図4は前述の物件を6年後に売却した想定で、売却時の表面利回りが7%と8.1%の2パターンを試算しています。表面利回り7%は購入時の物件 価格とほぼ横ばいです。しかし、6年間の家賃収入によって、借入金が減少し、累積のキャッシュフローも1200万円ほどになるため、売却後に1,800万 円以上の純利益が出ます。自己資金年利回りは11.9%ですから、好成績といえるでしょう。
表面利回り8.1%で売却した場合は、物件価格が約12%値下がりしたのと同じ状態です。それでも、わずかながら純利益が出ます。つまり、12%以上値下がりしなければ損はしないという「損益分岐点」がわかるわけです。
表面利回りだけではなく、こうした様々な分析ツールを使うことによって、投資物件を選べるようになるのではないでしょうか。