来年(平成28年)1月からマイナンバー制度が始まります。

提供:税理士法人タクトコンサルティング 株式会社タクトコンサルティング 2015年4月20日

1.はじめに

2013年5月に成立・公布されたマイナンバー法(正式名称:行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)により、平成28年1月1日から、社会保障、税、災害対策に係る行政手続で、マイナンバー(個人の場合は12桁の個人番号、法人の場合は13桁の法人番号。個人は日本に住民票を有するすべての人に対し、法人は国、地方公共団体、設立登記法人等に対し、一者一番号が指定され今年の10月以降に通知される。)の申し出・記載が必要になります。次の2で、マイナンバー法の施行に伴って改正される税に係る行政手続の一端を紹介します。

2.税務における基本的規定と具体例

マイナンバー法の成立を受けて、国税通則法第124条1項が次のように改正されることが既に決まっています。太字のところが改正(追加)された部分です。
(書類提出者の氏名、住所及び番号の記載等)
第124条 1項 国税に関する法律に基づき税務署長その他の行政機関の長又はその職員に申告書、申請書、届出書、調書その他の書類を提出する者は、当該書類にその氏名(法人については、名称。以下この項において同じ。)、住所又は居所及び番号(番号を有しない者にあっては、その氏名及び住所又は居所)を記載しなければならない。(以下省略)

上記条文でいう「番号」が上記1のマイナンバーのことです(同条3項)。所得税法、法人税法等の個別の税法とそれらの施行令、施行規則においても、マイナンバー法を前提にした所要の改正がなされており、国税通則法の上記規定とともに、税務関係の手続き規定の施行期日を待っている、という状況です。また、地方税関係についても、地方税に関する法令において同様の改正が行われ同様の状況にあります。

マイナンバーが導入されることによる具体的な影響を一言で言えば、〈税務の申告書、申請書等の諸様式にマイナンバーの記載欄が追加され、それらの書式も変更される〉ということです。法定調書(給与所得の源泉徴収票や支払調書等)は、支払者=法定調書の税務署長への提出者のマイナンバーだけではなく、支払いを受ける者のマイナンバーも記載されることになります。このことは、支払いを受ける者が自分のマイナンバーを支払者(具体的にいえば勤務先等)に告知する(教える・提供する)ということを意味します。

代表的な法定調書である給与所得の源泉徴収票には、給与の支払者、給与を受ける者だけではなく、給与を受ける者の控除対象配偶者及び控除対象扶養親族等のマイナンバーも記載されます。それらのマイナンバーは、給与所得者がその勤務先に提出する「扶養控除等申告書」に、控除対象配偶者等のそれを記載することが定められており(所得税法194条)、それによって給与の支払い者はそれを知ることになるわけです。

3.会社等の事業者に必要な準備・対応等

従業員等に給与等を支払う会社等の事業者は、平成28年1月(予定)から税や社会保険の事務手続きに関して、個人のマイナンバーを取り扱う事務(「個人情報関係事務」)を行うことになりますから、マイナンバー法上の「個人番号関係事務実施者」(同法2条13項)に当たります。個人本人が個人番号関係事務実施者に対して、自分のマイナンバーを含む個人情報を提供することは同法19条3号で認められていますので、事業者は、個人番号を通知(今年の10月~)された従業員等から、予めそのマイナンバー等の個人情報の提供を求め、個人情報関係事務の準備をすることができます。給与や社会保険関係のシステムの変更や個人情報管理のための社内ルール策定等と併せ、マイナンバー制度への対応準備を進めておくことは、個人情報事務を遺漏なく処理するため必要不可欠です。

4.終わりに

マイナンバー制度の施行により、従来それぞれの行政機関が別々の番号等で管理していた同一人の各種の情報がひも付きにされて集約できるようになるので、特に個人について各人ごとの所得や税務上の資格(所得税法上の扶養親族とされているか等)、行政サービスの受給状況等を把握しやすくなり、負担を不当に免れることや、給付を不正に受けることを防止するとともに、真に行政サービスによる支援が必要な人を的確に把握することができるようになります。また、行政の効率化、国民の利便性の向上(行政手続きにおける添付書類の削減など)も期待されています。

内閣府のホームページでマイナンバー制度全般について積極的な広報が開始されています。制度の理解と準備のため、ご一読をお勧めします。

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