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菅総理大臣所信表明演説に見る不動産市場への影響

提供:法人営業本部 CRE情報部 2020年12月15日

2020年10月26日第203国会における菅総理大臣の所信表明演説が行われました。本稿では当該演説にて表明された内容から大都市圏の不動産市場に関連する事項について考えてみたいと思います。

I.所信表明演説の概略

菅総理大臣の所信表明演説で語られたテーマとおおよその分量(全体=100※1)は以下の通りです。

①新型コロナウイルス対策と経済の両立 16%
②デジタル社会の実現、サプライチェーン 10%
③グリーン社会の実現 8%
④活力ある地方を創る 9%
⑤新たな人の流れをつくる 8%
⑥安心の社会保障 15%
⑦東日本大震災からの復興、災害対策 10%
⑧外交・安全保障 18%
⑨おわりに 7%
※1:各項目を足しても100にはなりません。

新型コロナと経済、デジタル、グリーン社会が先に述べられたキーワードではありますが、④~⑦で国土・各地方に関する事項が42ポイント割かれており、後に述べられたテーマではあるものの地方を大切にする姿勢が見えたものと考えます。また各国との関連について述べられているため⑨外交・安全保障の分量は多くなっています。

II.大都市圏の不動産市場に関連する事項

本項では所信表明演説の中にあった大都市の不動産市場に関連する可能性がある事項を記載しています。概して不動産へのトピックスとしては、これまで各政策に反映されている事項であり目新しさはなかったように思われます。

1.「⑤新たな人の流れをつくる」について
都会から地方へ、また中小企業やベンチャーへの人の流れをつくる方策として大企業経験者を政府のファンドを通じて経営人材に紹介する取り組みが述べられています。さらには海外の金融人材を受け入れ、世界の国際金融センターを目指す旨記載されています。

2.「④活力ある地方を創る」について
この項では地方における観光需要の回復と輸出をはじめとした農業の振興とに力点がおかれ、大都市のフレーズとしては、首都圏の消費は全国の3割程度である(ため消費の7割を占める地方の活性化が重要)ことが触れられたに留まりました。

地方の活性化のための「東京の一極集中の是正」などのフレーズはなく、省庁や企業等の地方への移転等東京の経済力をそぐような事項を念頭に置いているわけではないようだとの印象を改めて受けています。

3.その他の項目について
・「②デジタル社会の実現、サプライチェーン」に関連して医療・保険分野や先端産業のサプライチェーンの多元化が述べられています。

一方「⑧外交・安全保障」では中国との関連について、両国の安定した関係は国際社会のために極めて重要であり共通の諸課題について連携していく、とされており、生産全般の大規模なサプライチェーンの再構築というよりは、まずは新型コロナで露わになった脆弱性や成長産業の競争力育成を担保することを念頭に置いている印象を受けました。

・「②デジタル社会の実現、サプライチェーン」に関連してテレワークの後押しとしての例としては役所の押印の廃止程度しか記載されていませんでした。

・「⑥安心の社会保障」で女性の雇用や同一労働同一賃金で簡単に触れられていますが、安倍元首相が所信表明演説等で語っていた高齢者を含めた「一億総活躍社会」のフレーズがなくなり、社会保障費の削減を念頭においた労働市場への人材供給についてはやや後退した印象を受けました。

・「⑦東日本大震災からの復興、災害対策」で災害に対する国土強靭化はその必要性が挙げられています。

出所:首相官邸HP

※内容は2020年10月30日時点のものです

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