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一期一会の手仕事 インタビュー

パジャマクラブ デザイナー 佐藤 晴香さん
(株)カイタックファミリー メディア部パジャマクラブ課デザイナー。素材選びからデザイン、試作作り、修正までこなしながら究極の素肌にやさしい快眠パジャマ作りを目指しています。
http://www.pajamasclub.jp/
肌が喜ぶ素材で、ぐっすり眠れるパジャマ作り
昔から服飾系の仕事に就きたい、と思っていた佐藤さん。念願かなって、いまやパジャマのデザイナーとして日夜奮闘努力の毎日。「快眠のためのパジャマ、肌ストレスのないパジャマ作りを目指して今も毎日が勉強です」。そんな佐藤さんのデザイナーとしてのこだわりや、快適なパジャマ作りについての思いなどをお聞きしました。

パジャマ作りのスタートは緻密に計算され尽くした素材選びから

佐藤さんたちのパジャマ作りは素材選びから始まります。「パジャマは素肌に直接触れるものなので、できるだけ肌にやさしく、肌にストレスのない素材選びを徹底して行います」

入社当初はたくさんの生地見本の中から、どの素材がパジャマに適しているのかイメージもつかなかったという佐藤さん。「手や肌に触れてみたときは柔らかかった素材が、試し洗いをした後にゴワゴワしたり、生地がゆがんだりすることがあると知って、素材選びの大切さを実感しました」。

工場へ発注する際の縫製仕様書を作る時には、襟のところだけ部分縫いして洗いテストをしたり、細部に関しても徹底したチェックを行っています。これまで、生地の縮みや、毛羽立ちなど、当初イメージしていた風合いが出ないことで素材を別のものに変えたことも何度もあったそう。

「試し洗いのときは、洗剤や柔軟剤は使わないんですよ。地下水(※)だけで実行して、タンブル乾燥または自然乾燥をさせます。その過程で出る生地の縮みやゆがみの予測と実測はデザイナーとしての大切な仕事のひとつでもあるんです」。パジャマは毎日着て、頻繁に洗うもの。着心地が良く長く愛用するためにも、作る段階で「普段使いを意識」することがデザインをしていく上で重要なこと。そのためにも素材の変化をきちんと把握する重要性は高く「ほんとに難しいです」と言葉をかみ締めながら語る佐藤さん。

今や主力デザイナーとしてその手腕を発揮するまでに成長した佐藤さんですが、そこに至るまでは並々ならぬ努力もあったようにも感じました。

※カイタックグループのある岡山県総社市は地下水が豊富に湧き出ることで有名なところ。水温が17度と年間を通じて一定していることで生地を均一に洗うのに最適だといわれています。

サンプルができる4~5ヶ月の間で何度も微調整をしていって始めて形として誕生するのです。

試し洗いをクリアーしてパジャマのサンプル見本ができても、再度テスト洗いが待っています。縮みや歪みをチェックしてそれが確認された場合は、パターンまで戻って修正をかけ、またテスト洗いをして、またチェックをして…というプロセスを何度も繰り返していきます。そこからさらにスタッフやモデルさんに実際に着てもらい、体の厚みに対するゆとり部分、寝返りの際の動きやすさなどを最終チェック。
「秋冬ものは、首が開きすぎていないか、寝返りをうったときに袖が上がっていかないかなども見ていきます」。

そうして何度もテストと微調整を繰り返し、やっとひとつのパジャマが誕生します。「最終の合格がでるまで4、5ヶ月かかるんですよ」と佐藤さん。生地と向き合いながら、着る人の気持ちにたった着心地とは、、、何度洗っても着心地の良さが長続きするようにするには、、、佐藤さんの頭の中は常にいくつもの想いが交錯しているといいます。デザイン画を起こすだけではないデザイナーとしての想いは「奥深いからだと思うんですが、どんどんおもしろくなってきました」とどまるところを知りません。

佐藤さんがドキドキする瞬間

入社当時「かわいいデザインのパジャマを作りたい」という想いを持っていた佐藤さんが、社会に出て最初に遭遇した大きな山はお客様の幅広い年代層。「デザイナーとして好きなデザインを思い切りできると思ってました。いろんな方から仕事はお客様に合わせて余分なものは削っていかないといけないと指導を受け、頭の中ではわかっていたんですが、それでもという思いもあって最初はとまどいました」。そんな佐藤さんでしたが日々の努力のかいもあって、最近では「自分の好きな世界だけで作れるときもあるんですよ」と満面の笑顔。

そんな熱い想いを胸に秘めた彼女が一番緊張するのが、手がけた新しいパジャマのカタログができた後の初めての受注日。「たくさんの受注数があった時はデザイナー冥利につきます」と佐藤さん。
今後もパジャマデザイナーとしてのあくなき追及は続きます。

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