

床材は室内に占める面積が広く、住まいの印象を大きく左右します。また、洗面やリビングなど、部屋の用途によって求める機能が変わるのが特徴です。では、床材のリフォームにはどのようなものがあるのでしょうか。
リフォームの傾向やニーズ、トレンドの床材について、野村不動産パートナーズのリフォーム部門に在籍する五十嵐洋平が解説します。
床材を張り替えるリフォームというと、和室を洋室にしたり、既存のカーペットをフローリングにしたりといったリフォームをイメージする人が多いでしょう。しかし、リビングや居室の場合、実際にはフローリングからフローリングへ張り替えるリフォームがほとんどです。
既存のフローリングがへこんだり傷ついたりしている場合はもちろんですが、圧倒的に多いのが「色味を変えたい」「フローリングの幅を変えたい」という要望です。結果として、全面的に床材を張り替えるリフォームになります。
中古マンションの場合、マンションが建てられた時代のトレンドが床材に反映されています。数十年前に建てられたものであれば、細幅で色の濃いフローリングが多いでしょうし、洋室にカーペットが敷かれているマンションも多くありました。床材のトレンドは数年で入れ替わるので、結果的にリフォームする時点でトレンドとなっている色味や幅の床材を採用することが多くなります。
一方で当然、住む人の好みによっても選ぶ床材は異なります。中古マンションを購入した際に、旦那様は「このままでいいか」とあまり気にしない場合でも、奥様が「この物件のフローリングの色は嫌。全体を異なる色味や風合いのフローリングに張り替えたい」と希望してリフォームすることもあります。
リビングや居室の床材はフローリングが多いのですが、洗面所などの水回りにおいては事情が変わります。「水に濡れても良い床材」のニーズが高くなります。以前は水回りの床材にフローリングが使われた時期もあったのですが、フローリングは水分を含むと劣化をしてしまうので、今は水に濡れても劣化しない素材のもの、さらに手入れしやすいものが水回りの床材として好まれます。
手入れしやすい床材として挙げられるものの一つが「目地」が生じない床材です。目地、つまり床材と床材をつなぐ部分は汚れやすいため、目地がなく水に強い「塩ビタイル」や「クッションフロア」にリフォームするケースが多いでしょう。
もちろん、すべての人が目地のない手入れしやすい床材を希望するわけではありません。デザイン性を高めたいというニーズから、目地があってもおしゃれなタイルや天然石を希望する人は一定数います。ただし私の経験上、「絶対にこの床材を使いたい」という強いこだわりがある場合に限られるように思います。
それでは、多くの人が注目するフローリングのトレンドについて紹介しましょう。
ひと口にフローリングと言っても、素材や表面の天然木の厚さによって「突き板(つきいた)フローリング」「挽き板(ひきいた)フローリング」「シートフローリング」に分かれ、これらを総称して複合フローリングといいます。他に、すべて天然木でできた「無垢フローリング」(単層フローリング)というものもありますが、マンションではあまり使用されないので、ここでは割愛します。

突き板フローリングと挽き板フローリングは、どちらも表面に天然木を用いた複合フローリングで、1シートではなく複数のフローリング板をつなぎ合わせて使用します。
表面の天然木が薄いものが突き板フローリングで、厚いものが挽き板フローリングです。「風合いがいい」と挽き板フローリングを好む人もいますが、挽き板フローリングは価格が突き板フローリングの3倍~4倍ほどになるため、マンションのリフォームではあまり使われません。
近年、マンションのリフォームでよく使われるフローリングは、突き板フローリングです。表面が天然木で自然な風合いが感じられますし、最近は塗装技術が進んで傷が付きにくくメンテナンス性が高い上、コスト面からもベーシックな床材と言えます。
色は樹種によって変わります。定番のオークやウォールナットのほか、2025年現在はメープルなどの淡い色味で、木目を綺麗に再現したものがトレンドです。突き板フローリングで人気が高いブランドは、朝日ウッドテックの「ライブナチュラル」です。特にメンテナンス性に優れており、お手入れがしやすい点が評価されています。
一方、シートフローリングは、木目などが印刷された樹脂製シートを表面に張ったフローリングで、天然木を使用していません。基本的に継ぎ目のない1シートで、コストはリーズナブルですが、一部が床からはがれてしまうと、全体を張り替えなければいけない点はデメリットです。
シートフローリングは表面が樹脂製の印刷で、同じ図柄が一定間隔で繰り返されるため、自然な風合いという面では突き板フローリングに劣り、安っぽく感じる人もいるでしょう。色が豊富でさまざまな色・種類がありますが、色のトレンドは移り変わりが激しいため、床材をリフォームして5年?10年ほど経つと見た目に古く感じるかもしれません。
施工環境や予算の都合でシートフローリングを使う場合は、朝日ウッドテックの「アネックス」や、パナソニックの「ベリティス」を選択することが多いでしょう。
そのほかに、床暖房に対応した「上張り工法」が可能なフローリングもあります。ナオステックの「ナオス・フローリング」は、薄くて上張り工法が可能なため、リフォームで使いやすく、コストも抑えられると人気です。
マンションでは、一般的に管理規約で床材の遮音等級が規定されているので、まず、好みの床材が遮音等級を満たしているかを確認する必要があります。
マンションの床は、「置床(おきゆか)」と「直貼り(じかばり)」に大別されます。置床はスラブ(コンクリート)の下地とフローリングの間に空間ができる工法で、その空間によって騒音がある程度緩和されます。一方、直貼りはスラブに直接フローリングを貼る工法で、騒音が響かないように、フローリング裏面に緩衝材が設けられています。
リフォーム後に階下や隣室と騒音トラブルにならないよう、管理規約で規定の遮音等級を確認して、リフォームしたい床が置床なのか直貼りなのか、希望の床材が規定の遮音等級を満たしているかどうかを確認してリフォームしましょう。
また、水回りに使用する床材の場合、クッションフロアや塩ビタイルをタイルや天然石にリフォームする際に、特に注意しなくてはいけないことがあります。それは「床材の厚み」です。
クッションフロアと塩ビタイルは厚さ2mm~3mmとほぼ同じなので、これらの床材の中での変更であれば問題なく張り替えられますが、クッションフロアをタイルに張り替えるときや、塩ビタイルを天然石に張り替えるときは注意が必要です。タイルの厚みは約10.5mm、天然石の厚みが約20mmなので、床材の下地から高さを調整しなければならず、大がかりな工事になります。
床材をリフォームするときにまず重要なのは、管理規約や既存床の状況を確認しつつ、その場所ごとの用途で選ぶことです。水を使用するスペースなのか、部屋着でくつろぐ部屋なのかで選択する床材が変わります。
その上で、家族が好む色や風合いの床材を選びましょう。リビングや居室の床は室内に占める面積が広いので、床材によって部屋の雰囲気がガラリと変わります。自然な風合いを重視するなら突き板・挽き板フローリング、天然木にない色にこだわるならシートフローリングを選ぶなど、好みに合わせながら飽きのこない床材にリフォームしたいものです。

野村不動産パートナーズ株式会社
建築学部を卒業後、新卒でリフォーム業界に。以来、24年にわたってリフォームに携わり、設計から現場まで幅広く経験を積む。現在は仲介案件を主に担当している。
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